「彼、戸部くんはある女生徒に告白がしたいと、その手伝いなどを頼まれました。」
私は事実をそのまま述べた。
「そうか…その依頼を解決した後に問題が起きて比企谷はああなったのか?」
平塚先生の質問に
「いえ、今回の依頼は解決できませんでした。」
私は平塚先生の「なぜだ?」との質問がある前にきっぱり言った。
「あのクズ谷くんのせいです。あの馬鹿は依頼を解決するどころか戸部くんに告白すらさせませんでした。私達が場所までセッティングしたにも関わらずです。」
私の声にはイラつきも篭っていたと思う。そうだ、あの男は全てを台無しにしたのだ。私たち3人いえ、私と由比ヶ浜さんの頑張りを全て否定したのだ。許せない。あの男だけは。
「ま、待て。なぜ比企谷はどうして依頼を解決しなかったんだ?」
平塚先生の困惑もわかる。私たちですら未だに知らないのだ。彼が何故あんな事をしたのか。どうせろくでもない事なのだろう。
「あ、あの、それ私のせいだと思います。」
恐る恐るといった感じで声を上げたのは…海老名さんだった。
「なにかしら、彼に『告白して下さい』とでも依頼したの?顔に似合わず大胆な事をするのね、あなた。」
皮肉たっぷりに言い返してやった。
「姫菜があたし達のところに相談しに来たのはヒッキーに告白させる為だったんだ。……相談なんか受けなきゃよかった。」
由比ヶ浜さんがみんなにギリギリ聞こえるかどうかの声で呟いた。
「あんた、いい加減にしな!言っていい事と悪いこともわかんないの!?それと結衣!あんた見損なったよ!あんたがそんな奴だなんて思ってなかったよ!」
「うるさいわね、部外者は黙っててと言った筈よ三浦さん。さもないとここから出て行ってもらうわよ。」
「そうだよ!優美子は黙っててよ!関係ないじゃん!奉仕部に何も言いに来てない部外者は黙っててよ!別に優美子になんて思われようが知らないし!」
私と由比ヶ浜さんに反論されて三浦さんは顔が真っ赤なっていた。ふふ、部外者が踏み込んでくるからこうなるのよ。いい気味だわ。
「ま、待て!頼むから待ってくれ!昨日一体何があった!?詳しく聞かせてくれ!」
平塚先生が我慢ならないといった様子で質問してきた。
「わかりました。では…」
「…これが昨日、あの場所で行われた出来事です。」
私は彼の告白のところまでの説明を一通り終え、平塚先生に向き直った。
「ったく、あいつは…」
平塚先生もわかってくれるはずよ。悪いのは彼だって。
「確かにあいつにも悪いところがあったな。前にもやり方を考えろと言ったことがあったんだが…仕方ないあいつが落ち着いたらファーストブリットを食らわせてやらないとな。」
平塚先生が呆れた様に言った時だった
「すみません、あなたは学校の先生ですよね、少しよろしいですか」
医者の先生が話しかけてきた。
「は、はい、なんでしょう。」
「今回の彼についてなんですが、一つ聞きたいことがありまして。彼は…いじめ、もしくは家庭内で暴力などを受けてはいなかったでしょうか?」
医者の先生が真剣な顔で質問してきた。
「学校側としてはいじめは確認できていません。又、家庭内での暴力なども相談を受けていませんし、そのような様子も見られませんでした。なぜ、そのようなことを?」
私たちも思い当たる節はない。文化祭以降のあれも彼の自業自得だし、小町さんの様子からあの家庭で暴力があったなんて信じられない。
ただ、医者の先生の言葉を聞いて、平塚先生の顔が青ざめた。
「彼の腹部辺りに複数の痣が確認され、形状などから拳による暴行だったと思われます。」