どうもちゅーに菌or病魔です。
アニメ鬼太郎の怒涛の設定追加に溺れる!溺れる!
みんな――作者みたいになるから……見切り発車はやめようね!(戒め)
でも鬼太郎の小説はもっと増やしましょう(矛盾)
後、どうしてくれるんだ。49話見てから小説の為にそれより前の話を見返すと、名無しが可愛く見えて仕方ない。
最後に今回オリジナル回かつ、西洋妖怪編にちなんだキャラが出ます。ではどうぞ。
(ふっふっふ……遂に、遂に来てしまいました!)
とある狐の大妖怪が住まう街。そんな街を一望出来る高層ビルの屋上に、腕を組みながら足を大きく開いて街を見下ろす人影があった。
(黄金の国ジパング! お父様が世界の王になる地です!)
それは長いツインテールをそれぞれリボンで纏めた髪型をし、長手袋とニーソックスを履いており、ミニスカート丈のドレスを着た妖怪の少女であった。また、その全ては闇のような黒一色で統一され、ワンポイントの白や赤が入る程度である。
また、背の丈は平均的な中学生程度であり、綺麗よりも可愛らしいが先行する容姿をしていた。
(お父様や
彼女は右目は前髪に隠れており、赤く澄んだ瞳の左目だけが覗いている。その様子には浮き立つような高揚が見られた。
(そもそも、私が手伝うと言ったらお父様は"お前にはまだ早い"と言って何もさせてくれないのがいけないんです! そのせいでみんなもお父様に言われているからって何もさせてくれないし! アデルは飴くれるけど!)
握り拳を作り、何かを思い出しつつ振り払うように力を込める少女。その姿からは何かに物申したいように見える。
(お、お城の外に出たのは生まれて初めてですが……私とて
何故か、途端に手足がぷるぷると震え始める妖怪の少女。その様は生まれたての小鹿のようであった。
(それにしても――)
妖怪の少女は小首を傾げ、難しそうな顔になりながらハテナを浮かべる。
(ブリガドーン計画って具体的に何をするんでしょうか? 誰も教えてくれないから知りません)
"まあ、お父様を世界の王にするらしいですし、崇高な計画でしょう"と、妖怪の少女は呟くと、人間の街へと繰り出すため、屋上から飛び降りた。
数十階層はあるタワーマンションであったが、妖怪の少女は軽々と飛び降り、当たり前のように地面へと落ちていく。その行為に対して、彼女は一切の恐怖の色はない。
(ふふん、お父様譲りの私の身体能力なら――)
そして、地面を目前にしながら降り立とうと体勢を変えた瞬間――。
「がっ――!?」
妖怪の少女は真横から石柱でぶん殴られたような明らかに激し過ぎる衝撃を受け、意識を手放した。
◆◇◆◇◆◇
「はやーい!」
「うふふ、そうでしょう。そうでしょう」
現在、犬山乙女こと羽衣狐は、妹の犬山まなを自身のバイクに乗せて道路を走っていた。普通に制限速度通りで走っているが、バイクに乗った経験のないまなは、車とは違うスピード感に目を輝かせていた。
ちなみに二人ともキチンとバイクヘルメットをしているが、ヘルメットには羽衣狐の呪術が刻まれており、そのまま普通に会話が出来るようになっている。
ちなみに乙女がバイクの免許を取った最大の理由はこれである。危ないという大義名分で、まなを自身の前に乗せ、密着する時間そのものを楽しむのだ。
「私もいつか、バイクの免許欲しくなっちゃ――」
「それはダメよ。危ないもの」
「えぇ……」
即答された矛盾しか孕まない答えにまなは困惑する。酒を常用し、タバコをたまに噴かしながらも、まなに禁酒・禁煙を謡っていた乙女は伊達ではない。まあ、経験者故の体験談ということもあるが、それにしても棚上げであろう。
「もう……いじわ――」
まなが乙女に呟いた瞬間、乙女は視界の上方から何かが落ちてきていることにいち早く気づき、それが妖怪であることにも気づいた。
そして、余りにも卓越した判断能力と、豊富な戦闘経験を持つ羽衣狐故に、刹那の時間に無意識の考察をする。
まず、眼前にいるのは人間ではなく、かなりの妖力を持った少女の形をした妖怪である。また、バイクに乗る自身と衝突する寸前であるということだ。
まなに関しては自身が庇えば特に問題はない。
問題があるとすれば羽衣狐が乗っているのは、黒いカラーのヤマハ・
そして、妖怪から損害賠償の請求は出来ない。
羽衣狐は無意識に妖怪の少女と自身のバイクを天秤に掛け、気づいた頃には既に行動していた。
「あっ」
「――――!?」
出された尻尾の一本が、妖怪の少女を薙ぎ払っていたのだ。無意識故に手加減をほとんどしていない一撃によって、妖怪の少女の肢体はくの字に折れ曲がる。
結果的にだが、バイクの速度であらかじめ加速していた尻尾は、ちょうど不良がバイクに乗って鉄パイプて殴打するように威力が引き上がっていた。
「がはっ!?」
そして、数十m以上弾き飛ばされ、前方の突き当たりに建っていたビルの外壁に背中から打ち付けられる。肺の空気を吐き出した妖怪の少女は白目を向いており、そのままコンクリートの地面に落ちて沈黙する。
幸いにもと言うべきか、妖怪として人間には見えないように行動していたため、周囲の人間には気づかれていないが、とても女の子がしてはいけないような体勢で、妖怪の少女は気絶しており、見るに堪えない。
「………………」
「……お、乙女姉?」
妖怪の少女の近くにバイクを寄せて停車した羽衣狐は、心配した様子のまなを他所に、少し遠い目をしながら呟く。
「大丈夫よ、まな。妖怪にマトモな法律は無いから、轢き逃げしてもノーカンだわ……」
「大丈ばないよ!? お姉ちゃん!?」
まながいたため、伸びている妖怪の少女は、とりあえず犬山家で回収することになった。
◆◇◆◇◆◇
「うぅ……ここは……?」
目を覚ました妖怪の少女は回りを見渡した。
そこは黒系のモノで固められた大人の女性の部屋といった様子であり、城にある自室でも、配下の誰の部屋でもないことがわかる。
「あら? 起きたの?」
その声に目を向けると、妖怪の少女は固まった。何せ、そこにいたのは日本人の特徴を残しつつ、人間離れした美貌を持つ女だったのだから。
女は妖怪の少女が寝ているベッドの横に椅子を置いて座っていた。そして、これまで読んでいたと思われる黒いブックカバーに包まれた本から顔を上げて口を開く。
「うふふ、おはよう寝坊助さん。いい夢は見れたかしら?」
「あわわわわ……」
(な、なにこの方!? カーミラやアデルよりも、もっとずっと美人です!?)
「私は犬山乙女。乙女って呼んでね。しがない半妖だけれど、それでもよければよろしくね」
そう言いながら黒い狐耳を出してピコピコと動かし、一本の尻尾を出して見せる乙女。終始笑顔で、微笑みを強めるだけで更に美しく見えるのだから反則だろう。
「あなたのお名前は?」
「わ、私は――」
思わずそのまま本名を名乗りそうになった妖怪の少女であったが、頭の中で多少冷静になった部分が、日本妖怪に名を語ってよいものかと踏み止まる。
そして、仮に素性がバレたのならば、父親や仲間に迷惑が掛かるのではないかと考えた。数秒間黙った末、何もよい名が浮かばなかったのだが、何か言わねばならないと感じた妖怪の少女は口を開く。
「べ、ベア子と申します……」
小学生だってもっと語彙に富んだ名前を思い付くであろうが、妖怪の少女――ベア子は、長い長い居城生活による深刻な対人経験値の不足からそれが精一杯であった。
「――うふふ、面白いわねあなた。ならそう呼びましょうか。ベア子さん」
「ひゃ、ひゃいっ!?」
名前を聞いた瞬間、少しだけ間があり、それから何故か頭に手を乗せて撫でてきた乙女にベア子は飛び上がらんばかりに体を跳ねさせ――。
「いっだい゛ッ!?」
腰部の激痛により、ベッド上で踞った。生まれて初めて感じる体が動かせなくなる程の痛みに、ベア子は涙目になりながら目を白黒させる。
「あら? ダメよ。あなた何故か腰を強く打ったみたいで、私と妹が通り掛かったときに、地面で伸びていたから私の家で介抱することにしたの」
「そ、それはご迷惑を……すみませんでした……」
「大丈夫。ただのお節介だもの。お礼なんていらないわ」
(いい半妖さんです……乙女さん……)
ベア子は感激したような様子で乙女を見つめていた。全く関係ないかも知れないが、他人の何かしらの形の弱みや優しさにつけ込むことが、詐欺師の常套手段である。
すると次の瞬間、ベア子のお腹が可愛らしい音を立て、乙女は目を丸くする。それを聞かれたベア子は真っ赤になりながらも取り繕う。
「だ、ダメージの回復のせいでお腹がその……」
「ふふ、何か作るわよ。まなー! 起きたわよー!」
「あの子、起きたの乙女姉!?」
そう言って乙女は立ち上がる。そして、部屋から出るついでに声をあげて人間の子――犬山まなを呼び寄せる。
体格を比べればまなの方が、ベア子よりも少し大人に見えた。そのため、いつも以上にまなは目を輝かせていた。
「うん、ちょっと話の相手をしてあげて」
「はーい! こんにちは!」
ぬるりと現れた人間のまなに少し身を強張らせるベア子。しかし、まなの陽だまりのような笑顔と表裏のない様子に、すぐに打ち解けるのだった。
◇◆◇◆◇◆
「うーん……」
とりあえず、昨日のシチューの残りをグラタンにしつつ考える。
"
その上、娘――もといベア子とやらは、よほどに
当時の私は焚刑にされた"ジャンヌ・ダルク"の遺灰を回収し、遺体を復元して、それに転生することで、羽衣狐史上歴代最高クラスの肉体を得ていた。正直、肉体のポテンシャルなら
まあ、復元の際に流石に遺灰を全て回収するには至らなかったので、私の妖力を固めて少し補ったら"青かった瞳は黄色に、金髪は白髪に、肌は死人のように白くなった"が仕方ないだろう。
尻尾が少なく、まだ大妖怪としては中の上ぐらいだった私は、肉体のポテンシャルを存分に発揮して、それはそれは様々な世界中の大妖怪に戦いをふっかけた。私に黒歴史というものがあるのならあの時代であろう。正直、無茶苦茶楽しかった。だって、一気にチートになったんだもん。誰だってああなる。
バックベアードとは、そんな最中に私が戦った大妖怪の一体である。当時は人間を妖怪に変えるブリガドーン計画なるものを進めており、大義名分もバッチリだったので、もちろん私は嬉々として挑んだ。
結果、配下は私が全て魂ごと消滅しない程度にボコボコにし、バックベアードとの決戦では、バックベアードがまさかの肉体派だったということが判明した。肉体のスペックはほぼ互角であったが、真っ当に武術を嗜んでいた私に軍配が上がった。
そんなこんなでバックベアードの野望を阻み、それからは一度も会っていない。まあ、要するに無茶苦茶性格の悪い腐れ目玉だったということだ。ソイツに娘が居て、なんの冗談か私の下に今いるのだから意味がわからない。
「はぁ……」
まさか、アイツまだブリガドーン計画を諦めていないのではないかという、一抹の不安が過る。まあ、やり方ぐらいは変えている筈だが、そうなるとまためんどくさいことになるな。
全く……実力は当時でも最上級クラスの大妖怪であり、プライドにかまけず、真っ当に生きていれば、全盛期の酒呑のような存在になれるだけのポテンシャルも持っていたというのに勿体ない話だ。これだから初めから実力持って生まれた連中はいけ好かない。酒呑を見習え、酒呑を。
とりあえず完成したグラタンシチューを持って、私の部屋の前に戻る。すると楽しげな話し声が聞こえたので、これまでの考えを振り払い、扉に手を掛けた。
「出来たわ――」
「えへへー、ベア子ちゃん! まなお姉ちゃんって呼んで?」
「ま、まなお姉さん……?」
「きゃー! あ、乙女姉おかえり!」
「………………ええ」
そこには私のベッドの上で、まなよりもちょっと小柄なベア子を背中から抱いているまながいた。
まなに伝えるべきだろうか……その娘多分、木でいうところの年輪のように妖気を見ると"500歳"は行っていると思うのだけれど……まあ、いいか。
私は犬山乙女の仮面を付けつつ、部屋に入るのだった。
「え? ベア子ちゃん行くところないの!? なら家に来なよ!」
「いえ、そこまでお世話になるわけには……」
「えへへ、もう友達なんだから固いこと言わないの! まなお姉ちゃんにまかせなさい!」
「と、友達――!? こ、これが友達というものなんですか……?」
蛇足であるが、まなは大変ベア子が気に入り、まなの凄まじいコミュ力の高さと笑顔でベア子もまなになついた。そのため、ベア子は気が済むまで家に滞在することになった。
まあ、犬山家はそういうことには非常に寛容なので当然の結果だろう。金銭面に関しては、犬山家はそもそも裕福な上、私のウーチューバーとしての収入もとんでもないことになっているので全く問題ない。この前上げたフリースタイルモトクロスの動画もスゴかったな。
もうどうにでもな~れ
そんなことを考えながら、バックベアードの配下の西洋妖怪が殴り込んできたときのため、この街にきぬの元配下の京妖怪と、私の配下を何体か呼び戻す準備を始めるのであった。
ベア子
まなと同い年か、若干年下くらいに見えるバックベアードのひとり娘。本名は別にあるが、恐らくこの作中に語られることはない。ずっと城の中で育てられたため、世間知らずで純粋。しかし、バックベアードの娘であり、影に潜んで広げながら他者を引き込む、眼から光線を出す、瞬間移動、戦闘はステゴロなどバックベアードの持つ力を全て引き継いでいる。また、本人が自覚している以上に生まれながらの大妖怪であり、バックベアードには及ばずとも元々の妖力が非常に高い上、ポテンシャル自体はバックベアードを超えうる。
現在は、ブリガドーン計画を手伝うため、城を勝手に飛び出し、日本に来て犬山家に保護されて生活している。ちなみにブリガドーン計画の内容については全く知らない上、これがはじめの外出である。推定年齢500歳以上。
~Q&Aコーナー~
Q:なぜベア子?
A:6期のベアード様が、人型形態でステゴロな上、ロリコン殺しビー――眼から光線まで放っていたので、もう別に出しても違和感ないかなって(真顔)
Q:ベア子ちゃんはどのぐらい強いの?
A:バックベアード様の人型形態の5割ぐらい
Q:ベア子ちゃんの弱点は?
A:優しい