ダンジョン飯IF 連載版   作:蜜柑ブタ

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ファリンとマルシルの過去話は省きました。

なので、ウンディーネを怒らせた回か始まります。


2018/05/05
 ファリンが回復役だったことを忘れて、一部矛盾が生じたので一部を書き直しました。


第十六話  ケルピー肉の焼き肉

 ファリンの食あたりもおさまり、彼女がぐっすり寝ている間に、マルシル達は、これからの段取りを話し合った。

 タイルの床に地図を広げ、チルチャックが地図の一部を指さした。

「現時点がココ。…オークから聞いたレッドドラゴンの出現場所がココだ。二日もありゃ着くか。」

 なんだかんだ色々と寄り道したり、立ち止まる事はあったが、確実に目的のレッドドラゴンまで近づいていた。

 レッドドラゴンが出現した位置まで近づいたが、向こうは魔物。ジッとしてない。

 だがセンシが言うような習性があるのなら、そう動き回ってはいないはずである。

「野営もあと、二回におさめたい。中間地点で一度。レッドドラゴンの手前で一度。ロウソクが消えたらファリンをたたき起こす。用事は済ませとけ、次の休憩まで少し遠いぞ。」

 すると、マルシルが挙手した。

「身体、拭きたい。」

「…どこで?」

「部屋の隅でやるから。」

「……手短にな。」

 そしてマルシルが床に魔法陣を書き、火を起こして小鍋にお湯を沸かした。

「じゃあ、外に出てるから。」

 そう言って出て行こうとするチルチャックとセンシ。

「え? いいよ。服のままやれるから。そこにいて。危ないし。」

「…あ、そう。」

 そして、二人が背中を向けている間にマルシルは、お湯でぬらしたタオルで身体を拭き始めた。

 少し前まで、男女比率は、半々だった。

 だが今は、一人は抜け、ファリンは、寝ている。

 マルシルは、抜けてしまったメンバーである、ナマリのことを思い出し、ムカムカとした。

 生活がかかっているのは分かるが、何もあんな時に脱退することはないだろうと。

 

 やがて、ロウソクの火が消えた。

「ファリン、起きろ。」

「うぅ…。」

 ペシペシと叩かれ、ファリンは、呻きながらゆっくりと起き上がった。

「マルシルもいいか?」

「うん。あ、湧かしすぎたわ。」

 そう言ってマルシルは、鍋の湯を捨てに湖の方へ行った。

 そして鍋の中の湯を捨てた。

 

 すると、水面が波打ち。

 水の球体が宙に浮かび上がった。

 

「…う…。ウンディーネ!?」

 次の瞬間、プクッと膨れた水の球体が弾けて、水を弾丸のように飛ばしてきた。

 水の精霊・ウンディーネだ。

 間一髪で水の弾丸を避けたマルシルは、通路を転がった。

「杖…!」

 運の悪いことに愛用の杖を持っていなかった。

「何事!?」

 騒ぎに気づいたチルチャック達が顔を出した。

 水の弾丸は壁に突き刺さり、そこからジョロジョロとウンディーネがあふれ出て、再び球体になった。

 そしてまた弾丸をマルシルに向けて飛ばしてきた。

 強固なタイルすら一瞬にして切断する水流から逃れるため、マルシルは、湖の方へ飛び出していた。

 水から顔を出し、慌てて水中歩行の魔法をかけて立ち上がろうとしたとき、後ろの方でウンディーネが元の形に戻りつつあった。

 ウンディーネは、水の精霊であるため攻撃のたびに水に戻り、元に戻るのを繰り返す。

 その習性故に隙は大きいが……。

「武器はダメだ…。火が無いと…。」

 そう、弱点が限られており、なおかつ不定形であるため…。

「マルシル! 一人でなんとかしろ!」

「そう言われても……。」

 しかも杖がない今のマルシルでは、不定型なウンディーネを狙って爆発させるのは難しいのだ。

 マルシルは、両手をかざし、連続して爆発魔法を繰り出した。

 爆発により、通路の柱と壁が崩れ、ウンディーネが散った。

 そして静寂がおとずれた。

「マルシル! 何ボーッとしてんだ!」

 声をかけられハッとしたマルシルがチルチャック達の方へ走った。

 その直後。マルシルの足を、ウンディーネの水の弾丸が貫いた。

「っーーーーー!」

「マルシル!」

「やめろファリン! おまえの魔法じゃどうにもできねぇ! 距離が遠い!」

 不定型なウンディーネ相手では、切り裂く魔法は効き目がない。しかもマルシルとの距離があり防御魔法も使えない。回復させてやりたくても接近しないとできない。

 水の上で膝をついたマルシルを、ウンディーネが元の姿に戻りながら見おろす。

 そこを狙ってマルシルが爆発魔法を当てた。ウンディーネは、散り、水に落ちた。

「やったか!?」

「ダメ! 水に逃げたわ! マルシル、立って!」

「…っ…、ど、どこ!?」

 マルシルは、闇雲に水に向かって爆発魔法を当てた。

「どこ!? どこ!?」

 そして背後から撃たれた水の弾丸により左肩を貫かれた。

「っ!!」

 ギッと背後を見たマルシルが、爆発魔法を後ろの水面に当てた。

 爆発により水しぶきが振ってくる。

「ああ…、すっとろくて見てられない!」

「待て! 今、火を起こす!」

「間に合わないわ…。待っててマルシル!」

「行くな!」

 駆け出そうとしたファリンをチルチャックが止めた。ここでファリンまでやられてしまったら、お終いだから。

 マルシルは、左肩を押さえて激しく呼吸を乱していた。

 もう魔力は少ない。次の一撃でなんとかしないと死ぬ。

 何か、何か変化があるはずだと、マルシルは水面を見た。

 その時、変化は起こった。

 わずかにマルシルの血が入ったことで水の色が違い、そこが動いている。

「そこ!!」

 そしてマルシルは、そこに向かって最後の爆発魔法を当てた。

 マルシルがの身体が吹き飛び、その身体は通路の方へ飛んだ。それをファリンが受け止めファリンはその重さで倒れた。

「マルシル!」

「回復はあとだ! 逃げろ!」

 そうこうしている内についに再び球体になったウンディーネが、水の弾丸を飛ばしてきたので、ファリン達はマルシルを抱えて逃げ出した。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 通路の先にある建物中に避難し、マルシルを壁に寝かせた。

「マルシル…、具合はどう?」

「血は止まったけど…、魔力が足りない…。」

 傷は癒やしたが、失った魔力は戻らない。

「どうすんだ、これから? 魔力切れの魔術師を連れてはいけないぜ? 水中歩行はファリンがいるからなんとかなるが…。」

「…通りがかった冒険者が、魔力を回復できる魔力草を分けてもらえればいいんだけど。」

「そう都合良く他人の面倒を見る冒険者が通るかよ。取引できるようなもんねーだろ? しいてケルピーの肉程度だ。相手が餓死寸前だといいが…。」

「迷宮で、この栄養源は希少だ。」

「栄養の話をしてねえんだ。」

「…肉……。」

 ファリンは、考えた。

 肉…、栄養…、鉄分?

「センシ! レバーはある!?」

「無論だ。」

「栄養補給させよう!」

「おいおい。」

「やらないよりはマシだよ! 魔力回復の糧になるかもしれないし!」

「よし、決まりだ。」

 

 そして、調理が始まった。

 

 と言っても…、肉と野菜を切るだけなのだが…。

 

 そう、焼き肉だ。切って焼くだけ!

 超簡単。

 ケルピーの焼き肉。

 

「マルシル。起きて。」

「うぅん?」

「いいものがあるよ。」

 火を起こし、その上に置いた網の上の肉をセンシが必死になって焼いていた。

 やがて、肉が焼けた。

「モモ。」

 取り皿に焼けたモモの部分を置いた。

「レバーは?」

「内臓はしっかり火を通さんといかん。」

「ごめんね、マルシル。先に食べるね。」

 そして実食。

「…あー、ちょっと筋っぽいが、旨い。」

「うん。クセがないね。馬の味に近いのか…、海獣に近いのか…。わかんないなぁ。」

「バラ。」

「脂が甘い!」

「柔らかいな~。」

「マルシル。レバーが焼けたぞ。」

 そして焼けたレバーをぐったりしているマルシルに食べさせた。

「ヒレ。」

「口の中でとろける!」

「俺、これ好き。」

「はい、レバー。」

 マルシルは、レバーを食べた。

「テール。」

「美味しい!」

「なんか不思議な味だな?」

「野菜も食うのだぞ。ほれ、マルシル。レバーじゃ。」

 マルシルにレバーがどんどん渡された。

 ムグムグと食べていたマルシルだったが…、やがて…。

「ほ……。」

「ほ?」

「他のとこも食わせろ!!」

 大声を張り上げて、そして、ぐったりと倒れそうになったのでファリンが支えた。

「少し元気が戻ったみたいだね! レバーすごい!」

「さておき…。」

 チルチャックが言った。

 魔力不足はどうするのかと。

「なんでバジリスクに魔力草詰めたよ?」

「最善だったと思っている。」

 そういえばローストバジリスクの調理の際にセンシは、魔力草を持っていた。

 それが今あれば…っと思ったが、後の祭りである。




馬肉は好きですが、やや凍らせたのとユッケしか食べたことがありません(部位不明)。
部分によって当然味が違うのでしょうけど、気になりますね。


次回は、元仲間のナマリとの再会と、テンタクルス。


2018/05/05
 タンスの治療で血が回復してたようなので、回復で足りない血を回復させることがおそらくはできるのではないかと思ったのでマルシルの不調は体力の消耗と魔力不足だけにしました。
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