ダンジョン飯IF 連載版   作:蜜柑ブタ

43 / 58
※『IFのIF  やはり、魔物は魔物だ』の派生?
※カブルー→ライオス前提。
※そんな状態で、たまたまトイレ帰りの途中で食事中のライオス・ドラゴンキメラに遭遇し、自分を食べさせようとするカブルーの話。

カニバリズム表現あり。注意。
あと、微ヤンデレ気味の腐向けです。注意。


IFのIF  あなたと一緒にいられるなら

 

 人間……、思わぬ再会(?)をすると、固まるものだ。お互いに。

 ましてや、相手が……、元人間というか…なんというか…。

 ただお互いに、相手を見て、固まった。

 だがすぐに向こうが興味を失って、食事を再開した。

 ガツガツ、ガリガリ、クチャクチャと、魔物の生肉を骨ごと噛んでいる。

 

「そんなに、僕って、あなたにとって、脅威ですらないんですか?」

 

 カブルーの問いかけに、ライオス・ドラゴンキメラは、答えない。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 今思えば、間違いなく一目惚れだったと思っている。

 このことは、仲間にも言っていない。

 あの金色に魅入られてしまった。

 ライオス・トーデンという人間を一目見て、ガラにもなく惚れてしまった。

 仲間には、裏表のないあの人の良い顔の化けの皮が剥がれるのを見たいなんて言ったが、惚れた弱みだ、そういう裏の顔だって見てみたいと、そう思ったからだ。好きになった相手を何でも知っておきたいと思って何が悪い?

 なのに、ライオス・トーデンは、妹のファリン・トーデンの安直な思いつきで黒魔術で蘇生され、今や迷宮の魔物と化してしまった。

 怒りと同時に、シュローが言うように迷宮から解放しなければと、彼が唯一攻撃しないファリンを盾にして人間の急所を狙ったものの、それでは死なず、魔物となった彼は逃げていった。

 それがまるで、妹に自分を見て欲しくないと考えていたように見えた。

 奥手なシュローなんかより自分の方が想う気持ちは強いはずだと自負しているつもりだ。

 彼を殺せないと言って島を出て行ったシュローとは違う。必ずまた彼に出会い、そして迷宮の呪縛から解放したい。まだ見ぬ狂乱の魔術師の手から奪い取ってやる。

 

 そんな中、トイレに行くために仲間から離れて行動していた時に、出くわした。

 ドラゴンと鳥を合せたような巨体に、人間の上半身が生えた異形の姿。忘れるはずがない。

 人間の上半身……ライオス・トーデンをそのままに、こんな異形に変えたあの魔法使いのエルフも、そんな彼を支配している狂乱の魔術師も許せない。

 いつか必ず殺す。

 ……それよりも、まずは…。

「そんなに、僕は美味しそうに見えませんかね?」

 まったくこちらに興味を示していない、ライオス・ドラゴンキメラに、ちょっと、イラッときていた。

 好きの反対は、無関心とはこのことだろう。

 試しに近寄ってみると、すぐ手が触れるほど近寄ってもライオス・ドラゴンキメラは、カブルーに興味を示さない。

 ムカッときて、目の前の羽毛にモフッと手を乗せた。

 すると、ギロッと、ようやくライオス・ドラゴンキメラの目がカブルーに向いた。

「ああ、やっと僕を見てくれた。」

 カブルーは、表情のない目が向けられたけれど、嬉しそうに笑った。ついその勢いで、目の前の羽毛に頬を乗せていた。

「……。」

「うわっ。」

 すると、バサッと煩わしそうにカブルーが触れていた片羽が上がった。

 その勢いでカブルーは、後ろにふらつき、そのまま尻餅をついた。

 そして、ズシッとカブルーの足の間に、竜の足が踏み込まれた。

 上を見上げると、ライオス・ドラゴンキメラの顔が自分を見おろしていた。

 口と首元の羽毛を血で赤く染めていて、それに金色の目が……。

「綺麗だなぁ……。」

 なんて思ったことをつい口にしていた。

 そのまま、静かな時間が流れる。

 どうやら自分を殺す気は無いらしいが、先ほど触られたのが煩わしかったらしい。初めて遭遇したときの凶暴性が嘘のようだ。もしかしたそこまで好戦的な魔物じゃないのかもしれないなんて希望が湧いてくる。

 さて、どうしたものかとカブルーは、考えた。このままでは、いずれ自分が帰ってこないことを気にして仲間が来るだろう。その前に事を終わらせたい。

 しかし、今の彼に想いを伝えたとて、無意味だろう。

 だが何かしら痕跡は残したい。

 ふと、ライオス・ドラゴンキメラの手にある魔物の死体に目が行った。

 そうだ、思いついた。彼との確かな証を残す方法を。

 カブルーは、腰からナイフを取り出すと、腕をまくって切りつけた。

 血があふれ出る。

 ライオス・ドラゴンキメラがそれを見て顔を僅かにしかめた。

 それがまるで、どういうつもりだ?と問いかけているように見えた。

 カブルーは、血が流れ落ちる腕を、ライオス・ドラゴンキメラに差し出した。

「食べてください。」

 ライオス・ドラゴンキメラは、血が滴るカブルーの腕を見つめた。

 やがて、ライオス・ドラゴンキメラは、手にしていた魔物の死体を捨て、巨体を下にかがませて、カブルーの腕を掴んで引き寄せた。

 そして、まだ鮮血が残る口を開いて、腕の傷口に噛みついた。

「っ……。」

 ブチブチと皮膚と筋が噛みきられていく。その痛みは相当なものだ。

 やがて、噛みちぎられた。

 ライオス・ドラゴンキメラは、カブルーの肉を噛みしめる。その光景を、カブルーは、恍惚とした顔で見ていた。

 そしてよく咀嚼した後、飲み込んだ。

 肉を失ったことで血が余計にあふれ出て、それを彼は、舌で舐め取る。唇が、舌が、新しい自分の血で汚れていく光景を見ている、それだけでゾクゾクとした。興奮で。

 そんな性癖はないはずだが、彼にならそれでもいいかもなんて思えてきた。

 

「カブルー!」

 

 カブルーが浸っていた時、仲間の声が聞こえた。

 その声でハッとしたのか、ライオス・ドラゴンキメラは、カブルーを離し、翼を広げてどこかへ去って行った。

 仰向けに倒れたカブルーは、その姿を目で追った。

 やがてドタバタと仲間達が駆けつけてきた。

 カブルーの腕の傷を見てギョッとし、何があったんだと問われたが、カブルーは魔物にちょっと囓られたとだけ言って、ライオス・ドラゴンキメラに自ら食べさせたことは伏せた。

 ホルムがすぐに治療してくれたが、骨が見えるほど深く噛みちぎられた跡は完全には消えなかった。

「ごめん…。これだけ深い傷だと完全には治せない。」

「いいよ。これで。」

「えっ?」

「あ、いや、なんでもない。」

 カブルーは、そう言って安心させるように笑った。

 

 

 

 

 これで、あなたの血肉に、僕の血と肉がひとつになった。

 もしも、あなたが正気を取り戻したとき、僕を食べたことをダシにあなたに迫りますから、覚悟していてくださいね。ライオス・トーデンさん。




『IFのIF  やはり、魔物は魔物だ』に、同性愛恋愛要素を入れたら、こうなった。みたいな?

この世界の回復魔法なら、骨が見えるほどの傷でも完全に治せそうですが、あえて残しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。