ダンジョン飯IF 連載版   作:蜜柑ブタ

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久しぶりに…、久しぶりに書けた!


今回は、ライオス・ドラゴンキメラを解放したあとのことを考える回。


第四十三話  ライオスの問題

「良い考えだと思ったんだけどな~。」

「なにが?」

 休憩中にファリンが不意に残念そうにそう呟いたので仲間達の視線が集まる。

「チェンジリングを使えば、近縁種になるでしょ? だから、兄さんを正気に戻した後、チェンジリングで小型のドラゴンにすれば…って。」

「おま…そんなこと考えてたのかよ。」

「だって! あんな大きな身体じゃ…、まずダンジョンの出入り口から出るのが大変でしょ!? それに、その後も…一緒に歩いてたら周りの人達の視線が釘付けになるだろうし。」

「いや、そういう問題じゃ…。」

「例えば足元を掘って高さを変えるって手も考えたよ? でも、そもそもの問題があるって気がついた…。」

「それって?」

「あっ、分かったわ。」

「なんだ?」

「地上は魔力が薄いこと。地上に近い層の魔物や、一部の魔物は外でも目撃されることはあるわ。でも、竜は……、それも大型の炎竜。その巨体を維持するだけの魔力が必要になるし、地上にいる竜は住処が限定されている。だから、兄さんが例え正気に戻っても、魔力の薄い人里じゃ暮らせないかもって…。」

「だからチェンジリングをと?」

「うん…。でも、ただキノコの苗床になるだけで身体を洗ったら戻っちゃうなら無意味。」

「魚が水の外で生きられないように。なるほど…、それは重大な問題じゃな。」

 センシが頷き、そう言葉を漏らす。場がシーンとなる。

 ふーむっと何やら考え込んだセンシだったが、やがて語り出す。

「わしが思うに、ライオスは、ベーコンエッグじゃな。」

「えっ?」

「以前に魂を卵と喩えた話をしたと思う。ベーコンの上に卵が乗った状態…、それがあのライオスの状態じゃ。ベーコンの上に乗って焼かれた卵は、綺麗に卵を傷つけず剥がせんこともない。そして、イヅツミは、具入りオムレツじゃ。具を取り除けば卵はボロボロになるのは想像に容易い。」

「つまり、兄さんの場合はドラゴンの魂がベーコンとしてくっついている状態? だから、下半身のドラゴンの部分を取っちゃえば人間に戻れるかもってこと? それはいくらなんでも…。」

「あの時…、狂乱の魔術師が現れ、ライオスと離ればなれになった時じゃ。わしは、ドラゴンの肉から保存食を作っておったが、それらはすべて、残りのドラゴンの死体と共にキメラとなったライオスの血肉となった…。だが、血肉にならなかった部位がある。それは…。」

 

 自分達が食べた、ドラゴンの肉を使った料理だったと、センシは言った。

 

「他の生物に消化された肉は、自己を失う。それは、生と死が曖昧なこの迷宮において絶対的な掟なのかもしれん。」

「……つまり、兄さんの身体のドラゴンの部分を全部食べちゃえば、兄さんの中からドラゴンの魂を消せるかもしれないってこと?」

「……卵という魂の喩えと、食われて消化された肉が自己を失うということが絶対だということが正しければのう。」

「それは……、何食分になるの?」

「疑問に思うところがちがーーーう!!」

「そこだよ!! じゃあ、他に代案があるの!?」

 総ツッコミするマルシルらに、それ以上の大声でファリンが怒鳴った。

「少なくとも、今の兄さんの下半身のドラゴンの部分の大きさは…、推定でも数トンはありそう…、もとの炎竜の大きさを考えればずっと小さいけど、鱗と鳥の羽と…皮とか…骨とか、食べれない部分を除いたとしても、やっぱりトン単位なのは間違いない。この場にいる私達だけで食べても少なくとも2年弱? ひとり何キロ食べれば…。」

「俺がキロ食えると思ってんのか?」

 チルチャックがうんざり顔で言った。

「ライオスの体調とかも考慮しても、そんな長い時間かけることはできないわよ?」

「他に食べてくれそうな相手を見繕えばいいのでは?」

 センシがそういうと、ファリンは、うーんっと悩んだ。

「えーと、オーク達と、ナマリやシュロー達でしょ…、あとカブルー君達?」

「いるじゃないか。」

「でも、それだけ合わせても、足りないかな…。食欲旺盛な1個中隊は欲しいところだね。」

「んな大人数、ダンジョンにいねぇよ。」

「よし、決まり!」

「なにが?」

「まず、有翼の獅子を助ける! 次に狂乱の魔術師を倒す! それで兄さんを解放した後、ドラゴンの部分を食べる仲間を探す! 当面の目標ができたわ!」

「な、なんてポジティヴ……。」

「じゃあ、他に案がある?」

「えっと…それは…。」

「じゃあ、決まり!」

 ファリンは、すごい笑顔だ。最愛の兄を助けられる方法が見つかったとすごい大きな希望を持っている。そんな顔だ。

「おい…、マルシル…おまえ親友なんだろ…?」

「無理、無駄…。あんな顔した時のファリンは誰にも止められないわ…。」

 ヒソヒソと聞いたチルチャックに、マルシルは諦めたように首を横に振るのであった。

 

 

 




ダンジョン飯は、すごい発想だらけで目から鱗が落ちそうな気分になります。


原作でのファリン・ドランキメラをベーコンエッグに喩え、イヅツミよりも人間に戻せる可能性の高さとその方法……。


ちなみに、このネタでのドラゴンキメラ(ライオス)は、ファリンのドラゴンキメラよりも体格が良いです。なので重量も多め。
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