ダンジョン飯IF 連載版   作:蜜柑ブタ

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※ダンジョン飯9巻で、有翼の獅子が悪魔である可能性が浮上したので、書いてみたネタ。

※黒ファリン様。→進化で、魔王ファリン様?

※有翼の獅子が悪魔であることを仮定して、迷宮の主になったファリンを食べようとしたら逆に食べられたというIF。

※ライオスとファリンが黄金郷の王家の子孫だという前提。

※ライオスがドラゴンキメラになった前提。



それでも、OK!って方だけどうぞ。





IFのIF  育てた家畜に逆に食べられた

 

 悪魔にとって、人間とは、人間が食べるために育て上げる家畜と同じだった。

 それも丹精込めて育てた上質に肥えた。

 迷宮という卵の中に契約を交わした人間を閉じ込め、そこで欲望を叶えてやる。そうすることで欲望を肥大化させて食べ頃になったら、喰ってやるのだ。

 悪魔が人間達が住む世界に行くには、糧がいる。それが人間の欲望だ。

 人間の欲望には限りが無い。そして旨味も欲望によりけりだ。

 有翼の獅子と呼ばれている悪魔は、密かに困っていた。というのも、シスルという褐色のエルフと契約を交わしたのだが、彼の欲望の方向性が自分が求めた欲望と程遠く、なおかつシスルに逆に迷宮の底に閉じ込められてしまったのだ。これでは、時が来てもシスルを喰えない。

 迷宮という殻を悪魔ごと滅ぼすというカナリアが来る前になんとかしなければと思っていたとき、思わぬ冒険者がやってきた。

 

 シスルが迷宮の底に閉じ込めた黄金郷の王家の血縁者。

 二人の兄妹は、それを知らずにやってきた。

 

 思わぬ人物達の登場に、有翼の獅子は歓喜した。

 シスルを廃し、新たな迷宮の主に据えて育て上げ、最後に自分が喰らうための欲望の器がやってきたからだ。

 そうと知れば、やるべきことはひとつだ。

 二人の兄妹を迷宮の底へと密かに導くのだ。シスルは簒奪者として排除するだろうが、シスルが守る黄金郷との繋がりが二人を導くのだ。

 やがて、二人の内の兄の方がシスルの使い魔である赤き竜に喰われた。

 そして赤き竜の腸(はらわた)から取り出された遺体を、妹が友の力で蘇生させた。

 結果、兄は使い魔の赤き竜の魂とひとつになってしまった。シスルが黄金郷の王の捜索に使っていた使い魔を放っておくわけがない。故に、シスルは、赤き竜とひとつになった兄の方をキメラに変えた。

 結果、残された妹の方は、兄を救うために迷宮の主であるシスルを倒すことを決断した。

 すべては、順調だった。

 そう……、考えていた。

 

 有翼の獅子は、ぼう然と横たわっていた。

 自身の黒い血で汚れた床の上に転がっていた。

 ガリ…、ブチ…、グチャ…っと、異様な音が耳に入る。

 唯一動く目を動かせば、かの黄金郷の末裔の妹の方……、ファリン・トーデンが自分の前足の肉を噛んでいた。

 シスルを打ち倒し、思惑通り新たな迷宮の主となったファリンが、兄への愛欲を肥大化させていったところを喰らうつもりだった。

 だが…、どうだ?

 結果が、これだ。

 未来を見通す力を持った己でもこんな結末は見なかった。

 どこで見誤ったのか分からない。

 

「ライオス兄さんと私の楽園を邪魔する奴は……、全部邪魔…全部全部…壊してやる…。私を喰らうなら、喰ってやる……。」

 

 ファリンがブツブツと呟きながら、有翼の獅子の肉を喰らっていた。

 やがて前足を喰っても埒があかないと考えたのか、ファリンが、引き裂かれた有翼の獅子の腹に手を突っ込み、未だに脈打っている心臓を掴んだ。

 さすがにソレはマズい!っと有翼の獅子が抗議の声を上げるが、ファリンが聞くわけがない。

 引きずり出された心臓に、遠慮無くファリンは食らいついた。

 心臓とは、魔力の源が詰まった部位。ソレを失えば悪魔とて無事では済まない。もちろん喰らった側もだ。

 しかし、ファリンは、一瞬ウッ!と呻いただけで、がむしゃらに有翼の獅子の心臓を貪り食った。

 ミチミチとファリンの体が変化していく、背中から有翼の獅子とよく似た翼が生えてきて、犬歯が伸び、頭に角が発生する。もはや、その姿は、人のソレでは無い。

 有翼の獅子は、残された魔力で保たれている自身の目でそれを見届け、やがて意識が永遠の闇へと落ちていこうとして……。

「兄さんにも分けてあげないと……。」

 肉体から切り離されていく魂を鷲掴みされた。

 やめてくれ…、これ以上は!

 そう叫びたくとも、もう声は出せない。

「兄さーん。コレ、一緒に食べようよ。」

「不味そうだな。」

「美味しくないから、美味しくなるよう料理しようよ。ね? 魂は、魔力に分解して……。」

 

 イヤだ イヤだ イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ!!

 やめてくれ! 私が悪かった!

 頼む、それだけは!!

 

「ダ~メ。」

 ファリンがそう言って血塗れの口で笑った。

 

 有翼の獅子だった魂は、粉々に砕かれ、魔力にされて二人の兄妹に吸収されたのだった。

 

 

 

 




短編書くなら、続きを書けって話ですけどね……。

ダンジョン飯は、飯要素が少なくなってきたのが少し残念。
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