①DISCは基本一枚のみ装備可能(ただしキラークイーンとシアーハートアタックなどの例外はある)。
②DISCは生物を問わず*誰でも*使用可能。精神が未熟な場合はスタンドに対応して進化する。
③スタンド本体が死亡すると、DISCも消滅する(能力が残ることはある、ノトーリアスB・I・Gなど)。
④スタンドの特殊能力の習得状況は原作準拠で、本体の精神的状況で成長もする
(スター・プラチナは最初から5秒時を止め、シルバー・チャリオッツ・レクイエムは制御不能にある)。
⑤スタンドはスタンド使いにしか見えない(ただし、霊視系の技能があれば見える)。
⑥スタンドは通常の物質をすり抜ける(ただし、チープ・トリックのように能力を対応される可能性はある)。
⑦スタンドによっては、発動条件がある(例、アヌビス神であれば刀剣が必要)。
また、スタンドによっては、物品や技能が付属することもある(例、ブラック・サバスには”矢”が付いてくる)。
⑧DISCは全ての能力が任意に取り外し可能。また、再起不能になるととDISCが飛び出る。
⑨DISCは壊れない(ただし、ザ・ハンドなどで処分は可能)。
⑩能力を解除しても、スタンド能力は残る場合もある(ホワイトスネイクのDISCなど)。
傭兵として雇われた私の任務は、実に簡単なものである。
魔界の方から東京キングダムへ、お偉いさんが会談に来ているので、その建物の警備である。
普通こういう仕事は、お偉いさんが常備しているだろう軍隊がやるものと思っていたのだが。
どうやら度重なる小競り合いで人が足りていないらしく、こうしてオークやら獣人やら大量の傭兵を雇ったという訳だとか。
ぼーっと警備するだけなら、どんなに楽な仕事かとは思うのだが。
ここは人と魔の思惑交じり合う魔都、東京キングダムである。
何も起こらないはずがない訳で。
現在、別のエリアを担当している連中が、こっそり潜入・暗殺しようとしていた米連(アメリカ及びに太平洋諸国連合)の特殊部隊と交戦中だ。
結構なドンパチをやってるらしく、遠く離れたここまで音と振動が響いている。
米連はこの作戦に新兵器を導入しているらしいが、それでも魔族の連中は上手くやっているようである。
名の知れた傭兵が予めあちら側に多く回されており、上手く均衡が取れているのだろう。
私たちは増援に回されることなく、最低限の人数だけでこの区間に配置されている。
別の場所で争いが起きているとはいえ、ここの警備を完全に手薄にする訳にはいかないからだ。
そしてこの混乱に乗じて、対魔忍がここの区間を通ってやってくるかもしれない。
対魔忍は独自に米連側の情報を入手していたらしく、この場において漁夫の利を狙おうとしている。
詳しい情報は不明だが、極少数の人数でどこかを通り、中枢へ暗殺に向かうそうな。
「ということらしいよ」
で、何で下っ端の傭兵でしかない私が、こんな情報を知っているかというと。
“ハーミットパープル”の念写能力で、あらかじめ情報をキャッチしておいたからだ。
大きな組織だと、作戦を立てるために書類を作らないといけないからな。
米連・対魔忍側の作戦計画書を、念写でプリントアウトさせてもらった。
特に、米連側からは新兵器の詳細などの綿密な情報も得られている。
そして当然、この情報は魔族側にも流してある。
匿名で流したので信ぴょう性は薄いと思ったが、上手く活用してくれたようで何よりだ。
恐らく、あちら側で情報の裏取りでもしたのだろう。
私は別に勢力争いなどに興味はないが、自分が被害を受けるのは御免なのだ。
そう言った意味で、どの勢力も上手く立ち回ってほしい所である。
私も安全のためなら協力を惜しむつもりはない。
「何だと! 対魔忍がここに来るだと!?」
と突然、サル顔の獣人が私に向かって叫んでいる。
なんだよ、うるさいな。
というか知らなかったのか?
こいつはリーダーだから、伝えられても良さそうなんだが。
「何を驚いているんだ、アンドリュー? 対魔忍の襲撃など、よくある事じゃないのか?」
「お前こそ何を言っている! 対魔忍など冗談ではない!」
「とりあえず、落ち着け。リーダー」
魔族にとって、対魔忍は脅威であると分かっているつもりだが。
脳筋集団とはいえ、その戦闘力は下等種族で太刀打ちできるものではないのは確かである。
とはいえ、こちらとてパワータイプ相手に正面からぶつかるつもりはない。
「対魔忍たちの計画書には、誰が動くかは記載されていなかった。依頼人たちの重要度も加味して、おそらく実行部隊は下忍。良くて中堅どころだろ。幹部クラスが動くとなると、事務書類に記さなければ組織に混乱が起こるはずだからな」
対魔忍は暗部であるが、同時に公務員だからな。
情報のやり取りはきちんとするし、仕事の書類だって作るのは確認済みだ。
“ハーミットパープル”では、誰が来るまでは特定できなかったが。
相手がどの経路を通ってくるのかも未定だ。
てか対魔忍側、作戦の詳細は現場任せかよ。
“高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する”なんて言葉が思い浮かぶが。
今の私の念写だと、こういう場合の情報は得られないので困る。
こういう作戦を指揮できるのは、余程の天才かアホのどっちかだな。
「対魔忍が来た場合は、奇襲を持って殺すのがいいんじゃないか? 私の“天候を操る能力”を持って、光の幻影を見せる。その隙にアンドリューたちは下っ端対魔忍を撃ち殺してくれ」
「なにを勝手なことを! 私が隊長だぞ! 私は今すぐにでも逃げる!」
「だけどなー。戦わないという選択ってあるのか? 傭兵が戦わないでいいのか、私は知らないけどよ」
私も若干、無茶を言っているのかね?
この面子の中で一番強いのは能力者である私だが。
発言権は子供ということであまりないだろうしな。
「アサギ級の、名の知れた対魔忍が来た場合は流石に私でもヤバいだろうが。その時は私が殿を務める。その間に逃げてくれ」
対魔忍側の最強戦力である井河アサギが、こんな所へ流石に来るとは思えないが。
とはいえ、最悪を想定しないのは馬鹿らしい。
私は一応保険を打ってあるとはいえ、そこは心配である。
流石に、まさか来ないよな?
来ても大丈夫なように、対策してはあるが。
「どうだい? レオン、ピグマ、パンサー。君たちはどう思う?」
「対魔忍をこの手で嬲り殺せる絶好の機会だ。私は構わない」
「対魔忍を打ち取ったら。特別報酬はワテらのモンやで」
「君の意見を尊重しよう。お嬢さん」
どうやら、アンドリュー以外は私の提案に乗り気のようだ。
獣人もオークと同様、ヤることしかない連中が殆どだが。
コイツらは私に欲情をぶつけようとしないから良いな。
まあその代わりド悪党であるのだが、それは仕方がないか。
「クッ! 勝手にしろ!」
そういってアンドリューは私たちに悪態をつく。
彼からの援護は期待できそうでないな。
まあいいだろう。
「ん。どうやらこっちに対魔忍が来たようだぞ。私の射程距離に入った。相手は一人だ。スピードからして、恐らく15秒後に隣接するぞ」
現在装備中のスタンド、“ウェザー・リポート”により敵を捕捉した。
このスタンドの能力は天候操作。
能力の一環で風を周囲に散布し、それをレーダーの代わりにしている。
広範囲の索敵ができるスタンドということもあって、このスタンドは普段からメインに使っている。
「3、2、1」
曲がり角の先から、その対魔忍は出てきた。
獣人たちがそれに合わせて、一斉射撃を行う。
そのまま蜂の巣にされるかと思いきや、すぐに対魔忍は角へと姿を隠した。
(今のを避けた? 完全にタイミングは合っていたはずなんだが)
こちらが射撃をやめた瞬間、再び対魔忍は顔を出した。
その一瞬で、こちらに多数のクナイが飛来する。
私たちに向かったクナイは、“ウェザー・リポート”の発する空気摩擦により燃え尽きて届かない。
しかし今のでこちら側は一瞬とはいえ、ひるんでしまった。
その一瞬の隙をつき、対魔忍はこちらへ接近して忍者刀を振るう。
私はスタンドでガードしたが、その一撃の前に私以外は切り殺されてしまった。
私も村での生活で血や身近な死には慣れているとはいえ。
これはひどいと言わざるを得ない。
獣人、役に立たなすぎるだろ。
「あいつら、獣人の中では幾分マシな奴らだったのだがな」
あいつらにスタンドを渡しておけば、とも思わないでもないが。
その場合は消失リスクがあるので、しなかったのだ。
とはいえ、対魔忍の動きが予想以上に早いな。
私も生半可なスタンドだと負けていたんじゃないか、これ?
「一応、名を聞こうか? 対魔忍?」
「獣人のガキが。いきがってんじゃねーぞ」
一口に対魔忍の恰好といっても、色々ある訳だが。
その対魔忍は単色でシンプルなデザインのぴっちりスーツを着ている。
配色や髪型からして、多分アサギたちではない、と思う。
「アタシに名は無い。かかってきな。クソガキ」
彼女はモブ対魔忍ということだろうか?
対魔忍自体は決戦アリーナで沢山でてきたのだし。
その中のネームドという可能性もあるが、私には判別できない。
「『ウェザー・リポート』!」
私は魔族の傭兵で、相手は対魔忍だ。
スタンドの繰り出す大振りの拳に、思いっきり風圧を乗せて殴り掛かる。
「っ!」
「もらったぁ!」
その一撃を、対魔忍はあっさりと避けた。
スタンドはスタンド使いにしか見えないはずである。
それはこれまでの生活で立証済みだ。
よって、この一撃は不可避の一撃のはずだが。
相手に、風の動きでも読まれたか?
しかし相手は現に、スタンドのビジョンを明確に避けて、こちらに忍者刀を振るってきている。
「ッ! うおおおおお!? 身体が、燃えるッ!?」
こちらのスタンドビジョン的には、がら空きのボディーを晒している訳だが。
それでもこちらは防御が出来ない訳でもなんでもない。
空気抵抗による発火で、対魔忍の身体をこちらに近づくほど燃やしていく。
対魔忍はたまらず忍者刀を翻した。
「てめえ!」
「ほっ、と!」
「チイッ!」
風圧を乗せたり乗せなかったりするラッシュに加え、光速の稲妻攻撃をも放つが。
モブ対魔忍は、それもヒラリと回避してみせる。
だが今ので防御のカラクリは見切った。
この現象は私の所持するスタンドの中に、思い当るものがある。
「ははあ。さては未来視、あるいは予知能力のようなものを持っているな? それが固有の忍術だろ?」
コイツ、稲妻を認識する前に避けたんだよな。
こちらは完全にノーモーションだったのにも関わらず。
動体視力とかで解決できる問題ではないのに、“あらかじめ知っていた“と言わんばかりに回避してみせた。
私の持つスタンドで言えば、それができるのは未来予知ができる“エピタフ”ぐらいだ。
「フン。勘の良いガキだね。その通りさ。アタシは“狐憑き”。アンタの動き、背後の幽霊の動きも、御狐様は全て御見通しってことさ」
それは確か、精神が錯乱した人のことを指す言葉だったか?
狐は日本における信仰の対象であり、守護霊として扱われることもあるとされる。
まるでスタンドだな。
コイツ、なんてものを身に着けてやがる。
「“狐憑き”? それは忍術と言えるのか?」
「ッ! うるさい!」
対魔忍は、一人につき一つの“忍術“を身に着けているのが基本だ。
その大半は、火遁や風遁などのメジャーな忍術が大半だろうに。
狐憑きは多分、呪術や修験道の領域だと思うのだが。
もしかして、今の対魔忍は対魔忍以外の家系や分野からも人材を発掘しているのか?
この世界がどのシリーズに当たるかは掴めていないが、時代によってはそういったことも有り得るはず。
(しかし。 “見た“と言ったな? 能力によってはスタンドが見えるのか。あり得なくもないとは思ってたとはいえ、驚きだな)
スタンドは生命エネルギーが作り出す像であるとされる。
理論的には生命エネルギーを感知できるなら、スタンドが見えても可笑しくは無い、か?
(とはいえ、どうするつもりなんだ? それでも、“ウェザー・リポート”は突破できないだろ)
対魔忍の術は、比較的応用範囲が広い。
とはいえ相手の術的に、能力は支援タイプのものだろう。
証拠に相手の攻撃手段は物理に頼っており、そしてこちらに物理攻撃は通じない。
(こっちも、どうするかね。”キング・クリムゾン”なら通用するかもしれんが。スタンドの切り替え中を狙われたら嫌だな。なんとか隙を作らないとな)
すると、対魔忍は大きく私から距離を取った。
「はああああ!」
「ッ!?」
そのまま大きく前進し、忍者刀を大きく振るう。
ならば空気摩擦の餌食、かと思いきや。
身体が燃えるにも関わらず、こちらへ攻撃を続行した!?
「うお、おおお!?」
痛ってぇ!?
腕一本持ってかれたぞ!?
片腕と時間さえあればスタンドで治療できるとはいえ。
これ、マジかよ!?
「へっ! どうだ!」
「嘘だろ! 己の腕が燃え上がってるのに攻撃するのかよ!」
「アタシを誰だと思ってやがる! アタシは対魔忍だ。この程度の怪我なんぞ、どうってことねー!」
な、なんつー理論だ。
主人公かよ。
そういや、こいつら正義の対魔忍様だったわチクショウ!
「あー。これは、私の慢心だな。認める、かあ。負けると思って戦う奴はいないと言うが、私も油断していた訳だな」
私も、頭対魔忍と相手を馬鹿にしすぎたな。
思えば脳筋相手に、正面から当たるのは愚策だよな。
「スタンドの出力で負けるということは、精神的に私は敗北しているのだろうかねー」
それに、私もスタンドを過信しすぎた。
使っているスタンドは、作者が持て余すクラスのスタンドだったが。
とはいえ、スタンドバトルって頭脳戦がメインなんだよな。
対魔忍との戦闘で正面から打ち負けても、決して可笑しくは無い。
「ま。この戦いも、ハナから無意味だけどね。既に“詰んでいる”」
「なんだと?」
「私はこういうのは趣味じゃないけどな。皆、君らが来るのを楽しみにしてらしいぜ」
戦闘があれば騒ぎになるし、この場には監視カメラだってある。
こうやって私ごときに足止め食らっているのがアウトなんだよなあ。
一旦退却するか、私を無視して振り切るべきだったな。
そうしている間に、シャッターで退路が塞がれたようだ。
「どうやら、あちらさんは我慢の限界らしいな」
相手から見て、前方にオークの増援が現れる。
その中の一人が、手りゅう弾のようなものをこちらに投げつける。
そこから大量のガスが噴き出て、辺りを充満する。
「くっ!」
「やはりと言うか。私も巻き込むのかよ。『ウェザー・リポート』!」
雲を私の周りに固めて、気密性の高い保護スーツを作り上げる。
ガスは多分催眠か催淫ガスだろうが。
オーク共が防護服を着ていないから、後者か?
対魔忍は前方に突撃して回避しようとするが、その先にはガスがあらかじめ散布されていた。
どうやら予知能力も、ちょっと先の未来までしか見えないのだろう。
ガスの御蔭で、対魔忍を無力化できたようだ。
「ん?」
無力化された対魔忍に、発情した大量のオーク。
何も起きないはずがなく。
リアルでそういった場面を眺める趣味もないので、この場を立ち去ろうとしたのだが。
オークの何匹かが性器をこっちに向けたまま、にじり寄ってくる。
あ、やべ、これアカン奴や。
「うおおぉ!? 『ウェザー・リポート』ッ!」
**
今日の任務を終えた私は、東京キングダムにあるラブホテルを訪れている。
傭兵の雇い主も寝泊まりする所は提供していたが、オークと獣人共と一緒なので勘弁させてもらった。
「疲れた」
ここに来てから最近は、そこそこ高いラブホテルで寝泊まりしている。
最初は適当な隙間に展開した、“バーニング・ダウン・ザ・ハウス”に寝泊まりしていたのだが。
それだと、何故かエロ生物の邪魔が入ることが多かった。
その点、このラブホテルはある程度の信用がおける。
利用する客の質も高く、サービスも良く、結界や防音設備もバッチリだ。
それでも完璧に安全、という訳ではないが。
「『キラークイーン』。『第一の爆弾』(触れたものを爆弾に変える)」
安全のため、部屋の扉を爆弾にしておくことを忘れない。
こういう時に、このスタンドは便利だ。
流石は、自らを追う者を始末する事に特化したスタンドである。
「今夜は安心して熟睡できる、といいなあ」
「げっげっげ。子供一人でラブホテルなんて、よくないなあ。どれ、おじさんがグベラッ!?」
熟睡できませんでした。
原作対魔忍を使おうかと思ったけど、調べてみると対魔忍って呪術系の技を使う奴あんまりいないんだよね。