「これで大丈夫よ〜。」
「ありがとうございます先生。大丈夫?」
「あっ……えっと……だ、大丈夫です。お二人ともありがとうございます。」
「お礼なら助けてくれたあの人達にも言わなきゃなんだけど……正直会いたくない……。」
私は保健室に女の子を連れてきた。ところどころ切り怪我があったので、先生に絆創膏を貼ってもらい、1人で立てないぐらいフラフラだったので、ベットで寝てもらった。助けてくれたあの人達は『迅さんにフラれたけど迅さんを見守ろう会』?だっけ?の人。一度フっちゃったから会いづらい……。
「あ、あの……ここまで連れてきてもらって……あ、ありがとうございます。」
「いいよいいよ!」
私は女の子の寝ているベッドの近くの椅子に座る。
「あ、そうだ。自己紹介してなかったね。私、2年3組の隼 迅って言うの。あなたの名前は?」
「い、1年1組の空峰 静瑠です。」
「えっと……イジメっていつから……?」
「…………入学してすぐだったはずです……。」
「…………。」ギュッ
「!?」
私は黙って椅子から立ち上がる。そして、私は静瑠ちゃんを……静かに抱きしめた。
「ずっと辛い思いしてたんだね……。」
「え、えっと……あの……///」
「あっ!ごめん!苦しかった!?」
「い、いえ……そうじゃなくて……。」
私は静瑠ちゃんのことを離す。怪我人を無闇に抱きしめるのは良くないね。傷に触れて痛かったかもしんないし……。
「う、嬉しかったんです……友達なんて高校に入ってからいなかったので……こんなに優しくしてもらえると思ってなかったので……。」
「えっ?」
私は心底驚いた。お世辞抜きでこの子はとても可愛い。超が3つぐらいついてもいいレベル。私よりも絶対モテてもいいはずなのに……。っていうかなんで私はこんなにモテるの?そのせいであんな変なグループ生まれてるし……(汗)
「じゃあ、私が友達になろうか?」
「え?」
私は静瑠ちゃんにそう言うと、今度は静瑠ちゃんが、とても驚いた顔をした。
「あ、ごめん、嫌だった?」
「いえ……そ、そうじゃなくて……い、いいんですか?わ、私なんかが友達で……。」
「勿論!なりたくて言ってるんだよ♪」
私は静瑠ちゃんにそう言った。静瑠ちゃんは私の方を向いて、涙を流し始める。
「あ、あの……ひぐっ……わ、私とと、友達に……えっぐ……なってくれるんですか……?」
「勿論!ほら、泣き止んで。」
「は、はい……。」
私はハンカチを取り出して静瑠ちゃんの涙を拭く。
「どう?落ち着いた?」
「はい……。ほ、本当にいいんですか?こ、こんな私と……。」
「いいのっ!じゃあ、今日一緒に帰る?朝見かけたから多分帰り道一緒でしょ?」
「え……い、いいんですか?」
「うんっ!」
キーンコーンカーンコーン
「うわっ!予鈴鳴った!じゃあ私行くね!」
「あ、はい。」
私は保健室から飛び出て、自分の教室に戻っていった。
「と、友達……ふふっ♪」
ちっちゃな体の女の子は、ベッドの上でそう言い、可愛らしい笑みを漏らした。
「ひゃー!やっと終わったー!」
私は授業とHRを終え、椅子にもたれかかってそう言った。
「んじゃ、帰ろうか。」
「その前に、寄らなきゃいけないところが。」
「ん?」
私は立ち上がり、荷物を持って聖平と一緒に教室を出た。目指すは1年1組の教室。私と聖平は1年1組の前に到着すると、後ろのドアから中を見渡す。
「んー……どこかなー……?あっ、いた。静瑠ちゃん!」
私が静瑠ちゃんを呼ぶと、私に気付いたらしく、小さな体でちょこちょこと歩み寄ってくる。……何この子、めっちゃ可愛い。
「えっと……こ、この人は?」
「無視してもいいy」
「おいこら。俺は山祇 聖平。まあ、こいつの幼馴染ってやつだ。」
「そうでしたか。空峰 静瑠です。よ、よろしくお願いします。」
「じゃあ、帰ろっか。」
「あ、はい。」
「あっ、静瑠ちゃんの家寄ってもいい?見てみたい!」
「あ、俺もいいか?」
「ぜ、全然いいですよ……!」
私は聖平と静瑠ちゃんと一緒に下校する。勿論、帰る途中も会話をする。そして、1つわかったことが。
「静瑠ちゃんもGGOやってるの!?」
「えっ!?あっ、はい、やってます……。」
「私もやってるんだ〜聖平からのプレゼントで。」
「バイトで頑張って貯めた。」
静瑠ちゃんもGGOをやってるらしい。フレンドになりたい……。一緒にスコードロン組んでモンスター狩りしたいなぁ……。そして、その後3人で歩くこと数分…………。
「ここが私のお家です。」
「…………(汗)」
「…………(汗)」
私と、多分聖平も困惑してると思う。お金持ちだったよ静瑠ちゃん。静瑠ちゃんはインターホンを押して、
「風友美さん、門開けてください。」
静瑠ちゃんがそう言うと、屋敷の中から1人の1人のメイドさんが出てきて、門を開ける。うわ、めっちゃ美人。
「おかえりなさいませ、お嬢様。……この方達は?」
「隼 迅です。」
「山祇 聖平です。」
「私のお友達だよ。通してあげてね。」
「わかりました。自己紹介ありがとうございます。わたくし、メイドの咲妃 風友美と言います。以後、お見知りおきを……。」
初めてみたメイドさん!メイドさんは美人って相場が決まってるのかな?
「では、どうぞ。」
風友美さんは私達に道を開ける。3人で門を通ると、風友美さんは門を閉めた。そして、私達は静瑠ちゃんの家の中に入る。
『おじゃましまーす……。』
私と聖平は少しビビりながら玄関に立ち入る。正直恐縮です。
「お母さん、ただいま。」
「おかえり静瑠。……あら、お友達?」
「うん。私の部屋に連れてくね。」
静瑠ちゃんは大きな廊下をどんどん進んでいく。そして、一つのドアの前で止まり、ドアを開けて中に入る。私達も、静瑠ちゃんに続いて部屋の中に入る。そこには、少し高級そうな内装の、女の子らしい部屋でした。
「ここが私の部屋です。」
「わぁ〜!」
私も女の子です。可愛らしい内装には正直興奮します。しかし、そんなとき少しの違和感が。私は時計に近寄り、隣接している壁に耳を当てる。……うん、やっぱり。
「ねえねえ静瑠ちゃん。」
「?どうしましたか?」
「ここ……空洞音が聞こえる。なんかあるの?」
「……言いたくありません……。私のこと……嫌いになっちゃうかもしれないので……。」
「……大丈夫!私、なにがあっても静瑠ちゃん嫌いにならないよ!」
「で、でも……。」
「こいつの言葉は信用できるぞ。有言実行もこいつの取り柄だからな。」
「わ、わかりました……。」
静瑠ちゃんは机の中から一つの鍵を取り出す。そして、時計に近づき、鍵穴に突き刺す。っていうかそんなとこに鍵穴あったんだ。全然気がつかなかった。すると、時計が横に動き、階段が現れる。なるほど、空洞音はこれか。
「ど、どうぞ……。」
私達3人は、階段を降りていく。そして、その先にある部屋からの光が見える。その先にあったのは………………大量のエアガンでした。
「わ、私、昔から銃が大好きなんです。昔サバゲーもやってて……。」
「へぇ……ねえ、好きな銃とかは?」
「え、えっと……こ、これですね。」
静瑠ちゃんは2つの銃を取って、私達の方に戻ってくる。
「GGOでも使ってる、ドラグノフっていうスナイパーライフルと、スコーピオンっていうサブマシンガンです。」
「ん?この銃……見覚えが……。」
しかも、見たのはつい昨日のような……。しかも、超至近距離で。
「……ねえ静瑠ちゃん。」
「や、やっぱり嫌ですよね……銃が大好きな人なんて……。」
「いや違う違う。昨日GGO赤黒の服着て、ナイフ持ってる人とプレイしてた?」
「え?な、なんで知ってるんですか?……え……も、もしかして、マックスさん?」
「ボイちゃん?」
昨日一緒にスコードロン組んで、フレンド登録したネガティブ思考の《虚空》の少女、ヴォイドもといボイちゃん。
「わーボイちゃんだー!」
「えっ!?あ、あのっ!ちょっと!///」
私は静瑠ちゃんを抱きしめる。わー!昨日の通り可愛いっ!確かに考えてみれば色々と似てる。口調とか、ネガティブ思考なところとか。
「あのっ!色々と困りますぅ!///」
「ハッ!あはは、ごめんごめん。」
「うぅ〜……///」
「おい迅、説明しろ。」
「あぁ、はいはい。えっとね〜…………。」
静瑠ちゃんを解放した私は聖平に説明を求められたので、聖平に説明し始めた。
「…………というわけ。」
「なるほど、この子が今日お前が話してた子ってことだったってわけか。」
「うんうん。」
「皆様、お菓子を持ってまいりました。」
「風友美さん、ありがとう。」
気の利くメイドさんによって持ってこられたお菓子を食べながら、ギリギリの時間まで私達は話した。銃の話や、GGOの話で、そして、時間になった。
「じゃあ、また広場でー!」
「はい、力になれるかわかりませんけど、頑張ります。」
「じゃあねー!」
私と聖平は、暗くなったので家に帰った。けど、またすぐ会う。GGOの中で遊ぶ約束をしたから。家に着き、やるべきことをやった私は、自分の部屋に入る。
「さて、やりますかー!」
アミュスフィアを被り、ベッドに寝転がる。そして…………
「リンク・スタート!」
静瑠ちゃん=ボイちゃん