私の通う聖学院はいわゆる超おぼっちゃま&お嬢様高校である。
学校に執事を連れてくるというのは日常茶飯事ではあるのだけれど、うちに限っては少し違っている。
「あんた……授業受ける意味よね……」
私はとなりの机に突っ伏している男子に声をかける。
「いえ、お嬢様。最高の睡眠時間でした」
「うん。それ、最低だからね」
ほかの人の執事やメイドはそれなりの年齢なのだけど、私の執事は私と同い年。故に、同じクラスで同じ授業を受けている。
なんでこんなことになったんだっけ? お父様が生きている頃にうちに迎え入れたっていうのは覚えてるんだけど……ていうか、こいつはなんで執事になったんだっけ?
コイツのことだから適当に、とかいう理由かもしれないわね。
「ねえ、あんたって……って、いない!?」
「絢介君なら保健室に行ったよ?」
私の前の席の親友の瑠奈がやつの行き先を教えてくれる。
瑠奈とは幼稚園からの長い付き合いである。故に、うちのダメ執事とも同じだけの付き合いである。
それにしても、あいつ、居眠りに行ったわね……
あいつは、自分が執事っていう自覚があるのかしら……
ふっ、愚問すぎるわね。
そんなものは皆無か……
「二人とも相変わらずだね、由香」
「そうかしら? あいつがマイペースすぎるだけよ……」
私は思わずため息を漏らしてしまう。
「そうかな? 絢介くんは由香のことちゃんと考えてくれていると思うよ? それに、堅いだけの執事よりは全然いいよ」
そういって瑠奈は苦笑した。多分、自分の執事のことを言っているんだろう。私はそっちの方がいいんだけど……
瑠奈は昔からうちのダメ執事に甘い気がする。
「隣の芝生はなんとやら、という事ね。お互い」
瑠奈につられ、私も苦笑したのであった。
放課後。
「本格的に雨が降ってきたわね。傘なんて、持ってきてないわよ」
「全く、これだからお嬢様は。天気予報くらい確認しておいてください」
ダメ執事はため息をついたかと思うと、カバンの中から折りたたみ傘を取り出し、私に差し出した。
「あんたはどうするの?」
「私は学校に置いておいた普通の傘があります。濡れたくはございませんので」
こいつは……
「普通は逆じゃない?」
「なんのことだか良くわかりません。私はこれから買い物に行きますから先に帰ってもらえると助かります」
買い物なら大きい傘が必要なのは無理もないわね。
「分かったわ。それなら私も付き合うけど?」
「いえ、他にも謁見したいものがございますので、先に帰ってもらえると助かります」
「……わかったわ。じゃあ、先に帰って待ってるわ」
またこいつの部屋にコレクションが増えるらしい。一体何なのか気になるけれど、そこは大目に見ましょう。
絢介はけんすけと読みます。
にしても、コレクションって何でしょうね?
そんなに大したものは考えてません!!(適当)