それでも我輩はネコである。   作:far

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第3話

 

 我輩は通訳を手に入れたのである。これで英語が完璧でなくとも大丈夫だ。

 ただこの通訳。やたらと忙しいので、常に我輩のそばにいるわけではない。むしろ、いないことのほうが多かろう。

 

 通訳の名前は、アルバス・中略・ダンブルドアである。名前が長いので、一部省略。

 

 ただの猫の妖精の幽霊という、変り種であるが危険はなさそうな存在として、ここホグワーツに居座ろうとした我輩であったが。

 この老年になっても好奇心を失わぬ、世界最高峰の魔法使いの興味を引いてしまったのが、運の尽き。

 何らかの呪文で、調べられた結果。心に直接語りかけてきたのだ。

 

How do you do?(はじめまして)

 

 英語だった。いや、それなら普通にしゃべってくれれば良いのではなかろうか?

 

ニャーー(英語わかりません)

 

 しかし共通語で返した我輩の意味は、なぜか通じた。

 

When it is(ならば), what language is it possible to speak about?(どんな言葉なら話せるのかね)

ミー(日本語でおk)

 

 このあたりで、校長の命令でハグリットが退場。変わった生き物というだけで、我輩をかばってくれそうな盾が無くなってしまった。

 なのに我輩は、危機感も何も感じていなかった。それは校長が、にこやかな雰囲気や表情のまま、何も変わらなかったからだろう。

 あの老人の人たらしの手法に、うっかりやられてしまっていたらしい。

 そして気を抜いてしまっておった我輩は、しばしの話し合いを経て、校長と契約を結んでしまった。

 

 なお、内容はわからない。

 

 だって英語ですらない、何かで書いてあるのだ。そんな言語で書いてある以上、何かろくでもないことも書いてあるに違いない。

 言語理解だか何かの呪文で、我輩の言っておる、あるいは考えておる内容が理解できるくせに、あちらのことは隠す。

 

 その秘密主義で、アンタは敵を作ってるし、味方にも不信感持たれてるからな。

 

 素直に伝えたら、傷付いた顔をしていた。意外と素直な反応であるな。

 

 なお我輩の表向きの立場は、不死鳥のフォークスと同じ、校長のペットである。

 べつだん、我輩の飼い主はボスだけだ、などと言い出すつもりは無いのであるが。

 無いのであるが。

 こう、なんだ。なにやら、こう。違和感のようなものは、ある。

 当初の予定では、ハグリッドの飼っている、もろもろの妖精や妖怪や幻想動物の一体として、このホグワーツで生きようと思っておった。

 エサだけもらっては、ふらっといなくなる、半野良の猫としてやっていこうと思っておった。

 それに比べれば、権力の後ろ盾がある分、生徒に(特に赤毛の双子だ!)面白全部で狙われたり、研究目的で調べようとされたりしないだけマシなのであろうな。

 

 ところで、グリフィンドールは騎士道とか言っておるのに、イタズラやそれに類するだまし討ちが、好き過ぎないだろうか。

 停滞しがちな、特にスリザリンなどが主流になれば、ゆっくりと衰退してしまいそうな魔法界に活力を与える。そういう意味で必要な人材なのであろうが。

 もう少し、こう、なんというか。建て前というものを、大事にして欲しいものである。

 

 ああ、そうそう。どうしても聞いておかねばならないことがあった。

 校長、校長。いや、契約主であることだから、マスターとでも呼ぼうか。

 ヘイ、マスター。生き残った男の子は、今ホグワーツにいるかい?

 いてもいなくとも、これだけは言っておくのである。

 

 アンタは名前を言ってはいけないあの人を倒すのに、彼が必要だと思っているが…… 別に、いなくても倒せる。

 

 うむ。マジな話である。

 成長させるのにあれやこれやして。ひいきして、試練与えて、事件見逃して、人死に出して、しかも本人には直接何も教えない。

 どう考えても、割に合わぬぞ?

 しかも彼は、勘が利かぬ。それでいて、思い込みが激しい。つまり。勘違いして、それをずっと引きずる。

 だいたい何か事件や試練があったとして、最初に彼が疑った人物は、全員無実だ。間違いない。断言しようとも。

 

 ああ、言っていなかったであるな。これは失礼。

 

 ではあらためて。我輩はネコである。未来のことを少しばかり知っておる、自分でもよくわからない生き物だ。

 よろしく、マスター。(Give my best regards,Master.)

 

 

 




●アルバス・中略・ダンブルドア
銀河英雄伝説の、エンリケ学長が元ネタ。あまりに長い名前なので、ヤン・ウェンリーにエンリケなんとかオリベイラと頭の中で呼ばれていた。なお、その後両者は会っていないので、そのエンリケなんとかオリベイラという名前すらヤンは覚えていないと思う。

●アンタは名前を言ってはいけないあの人を倒すのに、彼が必要だと思っているが…… 別に、いなくても倒せる。
ギャグマンガ日和より。というか、ソードマスターヤマトより。長期連載マンガ(という設定)を、俺の新しいワキ(技)を見せてやる。などの編集さんの誤植まみれのせいで人気がガタ落ちして打ち切りをくらったマンガ家が、それまでの伏線全部を3ページで回収した上で終わらせろ、という無茶振りをされた結果のひとつ。
お前は俺を倒すのに、聖なる石が必要だと思っているようだが―――別になくても倒せる
俺に生き別れの妹がいるような気がしていたが―――そんなことは無かったぜ!
などのやり取りのあと最後は「ウオオオいくぞオオオ!」「さあ来いヤマト!」→ヤマトの勇気が世界を救うと信じて…!ご愛読ありがとうございました! で終わる。
これぞ打ち切りマンガ、というべきスタイルを凝縮したような出来であったため、作中の小ネタにもかかわらず、知名度が高い。
一度読むか見ると、納得してもらえると思う。たぶんネットのどこかにあらすじなどはある。
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