我輩は魔法世界で悪巧み中である。当面の安全を確保するため、そうせざるをえないのだ。
ひとまずは、マスターことダンブルドアの安全を確保しよう。そう思って、まずは最大の死亡要因を取り除こうとしたのだ。
そこ。イヤな予感を働かせない。
確かに我輩も、この時点で「良かれと思ってぇ!」という誰かの叫びが聞こえた気がしたが。
それを口にしたら、ますます実現してしまいそうなので、言ってはならぬ。ならぬのだ。いいね?
話を戻して、マスターの死亡要因と言えば、蘇りの石。正しくは、それに仕掛けてあった呪いである。
マスターには。かつては、妹さんがおった。
幼いころに、男の子に三人がかりでリンチされたことがトラウマで、以降ずうっと精神と魔力が乱れっぱなしになった妹さんが。
なお。死因は、ホモの痴情のもつれの際の、巻き込まれ事故である。
マスターには、お父さんもおった。
妹さんをリンチした男の子らに、復讐をしたお父さんが。
まあ、そこまでは。ヴィランである我輩としても、べつだんよろしいのであるが。
お父さん。犯人が自分だとバレるように、しかも魔法を使ってヤってしまったのでアズカバン行きに。
なお。そのまま獄中死している。
そしてお母さんも、妹さんが起こした魔法の暴発で死亡している。
弟さんだけは元気でいるが、仲は当然のように良くは無い。
その割には不死鳥の騎士団創設メンバーであったり、ホグワーツの近所のホグズミード村でバーテンをやっていたりするあたり、単純に嫌っているだけではないのだろう。それでも原作では、死ぬまで関係の修復は無かった。
この家族の死と崩壊は、マスターのトラウマである。
呪われているな、とわかっていても。それでもと、死者を蘇らせるという石に手を伸ばしてしまうほどに。
まあその結果は。ワンチャンいけるか、とやってみて、ワンチャンなかったのだが。
そのまま試すよりも、せめて研究しろよというハナシである。
正直、お父さんはヤるなら完全犯罪を企むべきであり、お母さんは家族を連れて田舎に引っ込むよりも、妹さんの魔法を封じてメンタルケアに励むべきだったと思うのだ。
今更言っても、詮無いことである。すべては、後知恵というやつだ。
だがしかし。石についてはまだ起こっておらぬ。後ではなく、先になる。
善は急げ。さっそく、呪いがあることと、マスターがそれを装備してしまうこと。両方を合わせて、石のことを伝えた。
えっ。石の在り処? 確か名前を言っては、って面倒だな。
さっきも言ったが、マスターは直接取りに行かぬほうが良い。
そうであるな。リーマス。リーマス・ローピン? ロビン? ああ、ルーピンね。うむ、彼にバイト代でも出して、持ってきてもらえば良いのでは?
ローブも新調できぬほど、生活に困っているらしいし、何より彼は無職のヒマ人だ。
色々やるのに、巻き込んでおいて損は無い人材であるぞ。うん。
もし石の呪いが解けたら、死の秘宝三つが、全部手に入るであるな。やったね!
そう言ったところ。急に怖い顔をして、しわだらけのまぶたをカッと開き、厳しい目つきでニラまれた。
そして、何かを察したような「あっ…」という顔をすると、深いため息をついて、また穏やかな顔つきへと戻った。
えっ。なんだったのであるか?
「
よくわからぬが、とりあえずうなずいておいた。
そういえばステインさんも、こちらを警戒している目で見ていた時期があったが、いつしか今のマスターのような反応をして、それ以降はああいう目になったなあ。いやあ、懐かしい。
きっと我輩の善意が伝わり、警戒する必要など無いと、わかってくれたのであろう。
マスターは心を読むか何かして、それを直接悟ったのではないかな。
頭の中をのぞきこまれるのは、いい気はせぬが。まあ、我輩は不審人物―――人物? であるのは間違いないし、そこはガマンしよう。
その気になれば、溜まりまくった瞑想の経験値で、防げそうな気もするし。今は気にしないで、流すとしよう。
リーマス宛に手紙を書き、フクロウ便で飛ばすマスターをフォークス先輩と一緒に見守る。
彼、もしくは彼女には、明日働いてもらう予定だ。会話できる知能があるかわからぬが、少し友好度を上げておこう。
「
確かマスターも、ヘビ語が話せたはず。マートルのトイレから、隠し部屋に行くとしよう。
ただ、もう今日は眠いから明日にしよう。
マスターもなにやら疲れた様子であるし、ぐっすりと寝て、回復してから行くとしよう。
あの歳で、衝撃的な事実と、突然向き合ったのだ。疲れるのも無理はない。
ふむ。マスター。ところで我輩の寝床は、どこになるのであるかな?
●いいね?
ニンジャスレイヤーより。通称忍殺。誤解されたニッポンという、強烈な世界観で繰り広げられる物語。ニンジャは世に隠れ、魂となってヒトに取り憑き乗っ取るのだ。コワイ! ヤクザにゲイシャにスシにとネタも盛りだくさんである。
表向き、ニンジャは存在しない。ニンジャを目にしたものは、アイエエ! とニンジャ・リアリティ・ショックを起こす。そんな彼らには言ってあげよう。
「ニンジャは存在しない。イイネ?」
「アッハイ」と彼らは答えてくれるだろう。
そこから生まれた、ネットで相手に同意を強要する場合に使われる、ネタセリフである。