本日二本目。
我輩は侵略中である。そんなつもりは、ほんの少し。気持ちくらいしかなかったのであるが。
事の起こりは、お米である。
食べたかったので、マスターに頼んだのだ。さすがにそのまま口にするのは、はばかられた。そこで、少しぼかしてこう言ったのだ。
故郷の日本が恋しいので、取り寄せたいものがある。
こうして我輩はマグル世界、つまり普通の世界の、通販ができる手立てが整ったのである。
色々と、取り寄せた。米、ミソ、ショウユの三種の神器。インスタント食品。マンガ。
そうしてマスターの資産が豊かなのをいいことに、日本三昧を楽しんでおったのだ。
気付いたら、それらがホグワーツで流行っていた。
しもべ妖精経由で、彼らと親しい一部の生徒から流出してしまったようだ。
それらの仕入れも、しもべ妖精の仕業だ。皆様のお望みのものを買い入れる。しもべ妖精として、当然のこと。であるらしい。
カップ麺など、カップ○ター派とカッ○ヌードル派にわかれて、きのこたけのこ戦争にも似た何かが始まってしまっている。
なおカップ○ードル派はグリフィンドールに多く、○ップスター派はスリザリンに多い。
完全に寮内の意見が統一されているわけではなく、時に寮を超えた友情や、寮内での裏切りが見られる。お前たちは、どれだけカップ麺にハマっているのか。
ハーマイオニーとロンが「「まさか君が(あなたが)異教徒だったなんて」」と仲良く言い争っていたらしい。
最新作では、彼らが結婚しなかったルートなどもあったが、この世界ではどうなることやら。
ハリーとドラコが、ともに少数派のカップうどん派として、少し仲良くなっていたのには笑わせてもらった。
カップうどんを食べる時は、争いや言い争いは無しであるらしい。赤いキ○ネと○ん兵衛を、仲良く分け合って食べておった。
マグルの文化も、捨てたものではないな。UF○の湯きりをしながら、スネイプ教授がそうつぶやいたのを、我輩とマートルだけが知っている。
うむ。マートルである。トイレのマートルとして、そこそこ有名であるな。
彼女と知り合ったのは、バジリスクのマンダを従えに、マスターと秘密の部屋に乗り込んだ時である。
そして結局、ネビルを捕まえるのが面倒になった我輩に。彼の代わりにと必要の部屋に連れ込まれた、魔法練習のパートナーであるな。
彼女も幽霊であるので、魔法が使えるか不安であったが、やってみるものだ。
亡くなった当時の格好のまま。つまりホグワーツの制服に、杖も持っている姿で固定されておったので、使うことが出来たのだ。
我輩がニャーとしか言わぬので、付いて来たはいいものの、当初は困惑しておったのだが。
我輩が八階のバカななんちゃらの絵のお向かい。グリフィンドールの塔の入り口の近くだというのに、不自然に何も無い壁の前。
そこをうろうろとして、必要の部屋を出すと眼を丸くして驚いた。
そして部屋の中で、置いてあった杖を手にして、マートルを見ると。こちらの意図を察したのだろう。なにやらお姉さんぶって、我輩に杖の優雅な振り方から教え始めた。
いやあ。年甲斐も無く、ワクワクしたのである。杖を持って、イスに向けてあの呪文を唱えた時などは、顔がニヤけておった。
では、皆さんご唱和ください。
「
我輩は長年にわたって、「ヴ」ィンガーディアムと覚えていたが、「ウ」ィンガーディアムであるらしい。
そして正しい発音と、正しい動作で行使された呪文は、正しく行使された。
浮いたのだ。イスが浮いたのだ!
魔法が使えたぞーー!!
マートルとハイタッチする。浮いているイスを、よくやったなと撫でてやる。よーしよしよし。
ありがとう必要の部屋。ありがとうマートル。ありがとう、素材のよくわからない杖。
全く自分では何も出来ずに、眺めることと、口を出すことだけというのは、思った以上に退屈である。
アインクラッドで、学んだことだ。
やはり、ある程度は自分で何でもできないとな。力がないと、選べる選択肢の数は、格段に減ってしまうのだ。
ところでだ。
カップ麺と同じく。いつの間にか、マンガが広まってしまっておるのだが。
翻訳してるヤツと、増やしているヤツがいるらしい。
髪型がオサレになったり、杖を腰の鞘のようなものにしまったり。
杖ではなく、手を次々と組み替えて魔法が発動しないか試していたり。
手首でくっつけた両手を開いて前に。そして後ろに引いて、勢いよく前に出したり。
逆手に構えた杖で、妙に気合が入った素振りを、力尽きるまで繰り返したり。
男同士がただ話しているだけであるのに、顔を赤らめるようになったり。
明らかに、文化侵略されておるのだが。
これをどうにかする、便利な魔法って、無かったであるかな?
さすがの必要の部屋さんも、これには答えてくれぬ気がするのだ。あとで一応試してみるが。
今回は、原作補正さんに頼るのではなく、むしろ倒す側にいる。ゆえに、気にする必要は無いと言えば無いのである。
しかしこれではまるで。ファンタジーを汚染してしまったような、そんな気分になってしまって仕方が無いのだ。
この状況。キッカケは確かに我輩である。あるが。だがしかし。我輩のせいではないと思うのだ。
「俺は悪くねぇー!」
うむ。責任は無くとも、それをやたらと主張するのは格好が悪い。思い出したよ。ありがとうスカイウォーカーじゃない人。
何食わぬ顔で、何か問題が? という態度で流せば良いのだな。
世の中。素直に責任を認めても、良いことなどは少ないのだ。むしろ、責任が無くても責められることが多いし、少しでも認めたら、そこを足がかりにどこまでも譲歩を強いられる。
正直は美徳である。しかし正直者はバカを見るのだ。
このまま流行が続くか、廃れるかもまだわからぬことであるし。
ここはひとつ。様子を見るのである。
●きのこたけのこ戦争
きのこの山とたけのこの里。同じメーカーの、形が違うだけのものであるのに、どちらを好きかで争いが起こる、罪深きお菓子。
ネタとしてシャレで言い争っているだけなので、本気にしてはいけない。しかしシャレであるがゆえに、本気で言い争わねばいけない。いいね?
●オサレ
オシャレとは微妙に違う、独特の感性を表現した言葉。BLEACHの久保先生の詩などの作品に漂うソレ。
●手を組み替えて
NARUTOより。手の形で十二支などを示す印を組み、次々と組み替えて忍術を発動するのだ。
●手首で~
カメハメ波である。
●逆手に構えた~
アバンストラッシュである。カサでこれをやった事のある男は、きっと多数派。
●「俺は悪くねぇー!」
テイルズオブジアビスより。主人公がダマされて、大量殺人を犯してしまった直後のセリフ。確かにダマされた上に、ダマしたのが幼少時からの師匠。止めるべきだった、止められたヤツらもいたが、このセリフは実に格好が悪い。しかも連呼してしまったので、ほとんどの味方に一時見限られる結果に。
その味方も、まともな人はほぼいないのであるが。ゲームの別名が「俺は悪くねぇRPG」なのは伊達ではない。