それでも我輩はネコである。   作:far

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なにかようやくネコがハリポタ世界になじんだ。そんな気がします。
本日二本目。


第7話

 我輩は侵略中である。そんなつもりは、ほんの少し。気持ちくらいしかなかったのであるが。

 事の起こりは、お米である。

 食べたかったので、マスターに頼んだのだ。さすがにそのまま口にするのは、はばかられた。そこで、少しぼかしてこう言ったのだ。

 

 故郷の日本が恋しいので、取り寄せたいものがある。

 

 こうして我輩はマグル世界、つまり普通の世界の、通販ができる手立てが整ったのである。

 色々と、取り寄せた。米、ミソ、ショウユの三種の神器。インスタント食品。マンガ。

 そうしてマスターの資産が豊かなのをいいことに、日本三昧を楽しんでおったのだ。

 

 気付いたら、それらがホグワーツで流行っていた。

 

 しもべ妖精経由で、彼らと親しい一部の生徒から流出してしまったようだ。

 それらの仕入れも、しもべ妖精の仕業だ。皆様のお望みのものを買い入れる。しもべ妖精として、当然のこと。であるらしい。

 

 カップ麺など、カップ○ター派とカッ○ヌードル派にわかれて、きのこたけのこ戦争にも似た何かが始まってしまっている。

 なおカップ○ードル派はグリフィンドールに多く、○ップスター派はスリザリンに多い。

 完全に寮内の意見が統一されているわけではなく、時に寮を超えた友情や、寮内での裏切りが見られる。お前たちは、どれだけカップ麺にハマっているのか。

 

 ハーマイオニーとロンが「「まさか君が(あなたが)異教徒だったなんて」」と仲良く言い争っていたらしい。

 最新作では、彼らが結婚しなかったルートなどもあったが、この世界ではどうなることやら。

 

 ハリーとドラコが、ともに少数派のカップうどん派として、少し仲良くなっていたのには笑わせてもらった。

 カップうどんを食べる時は、争いや言い争いは無しであるらしい。赤いキ○ネと○ん兵衛を、仲良く分け合って食べておった。

 

 マグルの文化も、捨てたものではないな。UF○の湯きりをしながら、スネイプ教授がそうつぶやいたのを、我輩とマートルだけが知っている。

 

 うむ。マートルである。トイレのマートルとして、そこそこ有名であるな。

 彼女と知り合ったのは、バジリスクのマンダを従えに、マスターと秘密の部屋に乗り込んだ時である。

 そして結局、ネビルを捕まえるのが面倒になった我輩に。彼の代わりにと必要の部屋に連れ込まれた、魔法練習のパートナーであるな。

 

 彼女も幽霊であるので、魔法が使えるか不安であったが、やってみるものだ。

 亡くなった当時の格好のまま。つまりホグワーツの制服に、杖も持っている姿で固定されておったので、使うことが出来たのだ。

 我輩がニャーとしか言わぬので、付いて来たはいいものの、当初は困惑しておったのだが。

 我輩が八階のバカななんちゃらの絵のお向かい。グリフィンドールの塔の入り口の近くだというのに、不自然に何も無い壁の前。

 そこをうろうろとして、必要の部屋を出すと眼を丸くして驚いた。

 そして部屋の中で、置いてあった杖を手にして、マートルを見ると。こちらの意図を察したのだろう。なにやらお姉さんぶって、我輩に杖の優雅な振り方から教え始めた。

 

 いやあ。年甲斐も無く、ワクワクしたのである。杖を持って、イスに向けてあの呪文を唱えた時などは、顔がニヤけておった。

 では、皆さんご唱和ください。

 

Wingardium Leviosa!(ウィンガーディアム レヴィオーサ)

 

 我輩は長年にわたって、「ヴ」ィンガーディアムと覚えていたが、「ウ」ィンガーディアムであるらしい。

 そして正しい発音と、正しい動作で行使された呪文は、正しく行使された。

 

 浮いたのだ。イスが浮いたのだ!

 

 魔法が使えたぞーー!!

 

 マートルとハイタッチする。浮いているイスを、よくやったなと撫でてやる。よーしよしよし。

 ありがとう必要の部屋。ありがとうマートル。ありがとう、素材のよくわからない杖。

 

 全く自分では何も出来ずに、眺めることと、口を出すことだけというのは、思った以上に退屈である。

 アインクラッドで、学んだことだ。

 やはり、ある程度は自分で何でもできないとな。力がないと、選べる選択肢の数は、格段に減ってしまうのだ。

 

 ところでだ。

 

 カップ麺と同じく。いつの間にか、マンガが広まってしまっておるのだが。

 翻訳してるヤツと、増やしているヤツがいるらしい。

 

 髪型がオサレになったり、杖を腰の鞘のようなものにしまったり。

 杖ではなく、手を次々と組み替えて魔法が発動しないか試していたり。

 手首でくっつけた両手を開いて前に。そして後ろに引いて、勢いよく前に出したり。

 逆手に構えた杖で、妙に気合が入った素振りを、力尽きるまで繰り返したり。

 男同士がただ話しているだけであるのに、顔を赤らめるようになったり。

 

 明らかに、文化侵略されておるのだが。

 これをどうにかする、便利な魔法って、無かったであるかな?

 さすがの必要の部屋さんも、これには答えてくれぬ気がするのだ。あとで一応試してみるが。

 今回は、原作補正さんに頼るのではなく、むしろ倒す側にいる。ゆえに、気にする必要は無いと言えば無いのである。

 しかしこれではまるで。ファンタジーを汚染してしまったような、そんな気分になってしまって仕方が無いのだ。

 

 この状況。キッカケは確かに我輩である。あるが。だがしかし。我輩のせいではないと思うのだ。

 

「俺は悪くねぇー!」

 

 うむ。責任は無くとも、それをやたらと主張するのは格好が悪い。思い出したよ。ありがとうスカイウォーカーじゃない人。

 何食わぬ顔で、何か問題が? という態度で流せば良いのだな。

 世の中。素直に責任を認めても、良いことなどは少ないのだ。むしろ、責任が無くても責められることが多いし、少しでも認めたら、そこを足がかりにどこまでも譲歩を強いられる。

 正直は美徳である。しかし正直者はバカを見るのだ。

 

 このまま流行が続くか、廃れるかもまだわからぬことであるし。

 ここはひとつ。様子を見るのである。

 

 




●きのこたけのこ戦争
きのこの山とたけのこの里。同じメーカーの、形が違うだけのものであるのに、どちらを好きかで争いが起こる、罪深きお菓子。
ネタとしてシャレで言い争っているだけなので、本気にしてはいけない。しかしシャレであるがゆえに、本気で言い争わねばいけない。いいね?

●オサレ
オシャレとは微妙に違う、独特の感性を表現した言葉。BLEACHの久保先生の詩などの作品に漂うソレ。

●手を組み替えて
NARUTOより。手の形で十二支などを示す印を組み、次々と組み替えて忍術を発動するのだ。

●手首で~
カメハメ波である。

●逆手に構えた~
アバンストラッシュである。カサでこれをやった事のある男は、きっと多数派。

●「俺は悪くねぇー!」
テイルズオブジアビスより。主人公がダマされて、大量殺人を犯してしまった直後のセリフ。確かにダマされた上に、ダマしたのが幼少時からの師匠。止めるべきだった、止められたヤツらもいたが、このセリフは実に格好が悪い。しかも連呼してしまったので、ほとんどの味方に一時見限られる結果に。
その味方も、まともな人はほぼいないのであるが。ゲームの別名が「俺は悪くねぇRPG」なのは伊達ではない。
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