それでも我輩はネコである。   作:far

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オマケを外伝として移動してから、まだ一週間ほどなんだなあ、と気付く。


第10話

 我輩は予定表を作成中である。しなければならぬ仕事を書き出して、予定を組もうと考えたのだ。

 まあ。仕事を消化するのは、だいたい我輩ではないのだが。

 

 というのも、だ。ここのところ、どうも不具合がひどくなって来たのだ。

 カップ麺が流行りだした頃から、少しづつ。この世界へ来るための瞑想の時間が、長くなってきている。

 最初は気のせいかとも思ったのだが、もはやその差は明確なものだ。どうもこの世界が原作からズレるほどに、その不具合は大きくなっている気がする。

 瞑想中の時間経過などは、正確には知ることができぬ。開始前と、終了時の体内時計による勘だよりだが。それでも実感するほどに、もはやズレは大きい。

 分霊箱が壊れるたびに、原作の事件が減るたびに。それは大きくなっていく。

 

 一番大きく変化があったのは、我輩が魔法を覚えた時であったのは、どうしてだろうか。

 

 とにかく、まあ。そういうわけである。

 このままでは、いつかこの世界に来れなくなってしまいそうなので。マスターのために、今後の予定を書き残しておこうと、そう思ったのだ。

 使用する言語は日本語になるが。まあ、マスターならばどうにでもするであろう。

 

 

 まずは九つの項目に分けて、書き出してみる。

 

 

 一。賢者の石。

 

 石そのものは、もはや触らぬほうが良い。

 

 そういえばハグリッドが、ドラゴンを育てておったなあ。普通に法律違反であるので、マスターに一応言っておくか。

 

 ユニコーンだかペカサスだかを襲って、その血を防衛術の教授が飲んでいたはず。

 これは透明マントでも使って、後ろからバジリスクの牙で、取り憑いている名無しさんごと。むしろ名無しさんをこそ、サクッとヤれれば、問題は解決するな。

 あるいは、何らかの方法で、捕まえておくという手もある。分霊箱を全て始末したのちに、あらためて処理を考えれば良いのだ。

 いずれにせよ、実行するのは我輩ではない。マスターにお任せである。

 

 二。秘密の部屋。

 

 ほぼ解決している。問題は日記帳くらいであるが、今はマルフォイ家の屋敷は閉鎖されている。

 分霊箱でもある、日記帳の存在。あれをマスターにチクれば、それでたぶん、なんとでもなるだろう。

 

 え? ドビー? 知らない子ですね。

 この世界のハリーは、彼にかばわれなくとも死なない気がするので、きっと大丈夫であろうさ。

 

 ロックハート先生は小説家として、ベストセラーを生み続けてほしい。いくつか日本語版が出ておったので、読んでみたのだが。さすがはハーマイオニーも絶賛の出来である。これがまあ、面白いのだ。

 

 一作につき、一人犠牲者が出るという問題があるが。

 

 それでも佐藤なんとか先生やら、ヤマグチ何某先生やら、臼井ホニャララ先生、栗本なんちゃら先生、T塚神、池波ST郎先生、ドラのFの方の先生。

 彼らの作品の続きが、どこかで記憶喪失の犠牲者が一人出るが、読めるとしたら、だ。

 諸君は、どうするかね?

 

 三。アズカバンの囚人

 

 ネズミのピーターは、まだ逮捕されていない。シリウス・ブラックの無罪を認めてもらうための根回しを、マスターが魔法省を中心に工作中だ。

 その方法が、映画泥棒方式で撮ったシャーロック・ホームズのドラマをバラまくという手段なのは、どうかと思うが。

 魔法だけではなく、知恵と知識もまた、魔法使いには大事。そう訴え、指紋や血液反応などをはじめとする、科学的捜査方法の魔法界への導入を促しているらしい。

 

 魔法界は、三権が分立していない。

 法律を作る政府。行政手続きや運営をする役所。裁判所。これらの人事まで含めて全てが同じ、魔法省の所属だ。

 多くの魔法使いが変化を嫌うこともあり、その辺は昔から変わっていないらしい。中世かそれ以前の、封建制の頃の政治体制に似ている。

 そこへマグルのやり方をマネろ、そう正直に持っていっても、門前払い。

 そう考えてみれば、娯楽から入って理解を得てから、はなしをしよう。そう考えたに違いない、マスターの手法は悪くは無い。

 時間はかかりそうだが、このあたりのことは、本来二年はあとのこと。一年くらいかけて、じっくりやっても問題は無かろう。

 

 四。炎のゴブレット。

 

 あまり思い当たらぬな。

 強いてあげれば、クラウチ・ジュニアを、今のうちにヤっとくことであろうか。

 確かアズカバンを脱獄して実家に帰ったものの、発覚を恐れた父親に服従呪文をかけられて、軟禁状態であったはず。

 原作では、少しずつその服従呪文から逃れて、父親をヤっていたが。まだそこまでの自由はあるまい。

 密告でも入れれば、マルフォイ家のように家宅捜索されて見つかるかも知れぬな。

 まあ。これもマスターにチクれば終わりである。

 よし、ものはついでだ。あの不愉快な記者も、無許可のアニメーガスだとチクっておくとしよう。

 

 いや、他にもあったな。名無しさんの肉体の復活に、確か父親の骨だか何かが必要だったはず。

 いそのー。今のうちにニセモノと取り替えておこうぜー。

 もちろん、本物は始末するとも。灰になるまで火葬して、海にバラまいて供養するのである。

 一時は葬儀屋をしておったこともあるのだ。ここは任せろ、マスター。

 たぶん、それが最後のご奉公である。

 

 五。不死鳥の騎士団。

 

 特に無し。

 いや、本当に思い当たらぬのだが。

 無理やりにでもひねり出すならば、アズカバンは死喰人の集団脱獄と、吸魂鬼がハリーを襲ったこと。

 この二つから、アズカバンには名無しさんの手が伸びてるのでは? という推測くらいか。

 これもマスター案件であるな。

 

 六。謎のプリンス。

 

 自分でプリンスと名乗ってしまった、黒歴史ノートが発見されてしまったスネイプ先生の心中やいかに。

 そりゃあ、それらを読み漁ったと思われるハリーに、容赦なく攻撃するというものである。

 

 分霊箱関連は、だいたいもうマスターに報告済みだ。

 特に無し、である。

 

 七。死の秘宝。

 

 すでに、何もすることが無いな。

 

 八。呪いの子。

 

 逆転時計を多用した作品なので、時系列が複雑で、よくわからない。

 情報として内容を知っていただけだし、うろ覚えであるということもある。

 ただとにかく、セドリックは死ななければ、闇落ちする人材であるということは覚えている。

 

 九。ハリー・ポッター。

 

 彼の中に、名無しさんが意図せず作った分霊箱がある。それも始末しなければならないのだが、彼を殺すのはしのびない。

 名無しさんが人を殺しまくるので、尊い犠牲扱いはできないでもないと思うが。一度ホグワーツに入学させてしまった以上、教育者としてマスターにもその手段は選べまい。

 彼の目を通して、名無しさんが覗き見ができるらしいので、そこも注意である。

 マスターがなぜか秘密主義を発揮して、その事実をハリー本人には伝えていなかったが。そこは、教えてさしあげろ。

 

 原作では、復活した名無しさんの死の呪文をハリーが受けて、分霊箱だけが壊れていた。

 あそこでなぜハリーが助かったのかは、諸説ある。

 ご都合主義にも見えたが、一応理屈は通る説も複数あった。

 正直、わからぬ。

 

 名無しさんに、自分の魂を回収させることもできるらしい。

 しかし、そのためには心からの反省が必要なので、名無しさんには不可能なのだそうな。

 

 ならば、呪文で洗脳すればいいのでは?

 

 洗脳ひとつで、国を裏から少し乗っ取っていた我輩は訝しんだ。

 

 名無しさんの件が片付けば、あとはハリー・ポッターは自由だ。

 原作では戦いの経験と、その結果受け継いだものから闇払いの職業を選んでいた。

 しかしどう考えても、クィディッチの選手になったほうが、彼は幸せで、人気者で、金持ちになれたという世知辛い事実がある。

 命がけで戦う公務員よりも、メジャーなプロスポーツのスター選手の方が、年収も知名度も、圧倒的に上なのだ。

 

 あるいは。あの新式決闘を魔法界に広めて、プロ化してその理事に納まってもいい。アニメを持ち込んだ張本人の彼なら、上手く立ち回ればそれも可能だ。

 勉強して、何らかの教授としてホグワーツに残るのもいいだろう。防衛術の教授などオススメである。

 

 彼はすでに主要人物ではあっても、主人公ではない気もするが。

 それでも彼の人生は、輝いていてほしい。

 かつてあの、児童文学というには厚い本をめくった、その一人としてそう願う。

 

 彼のこれからの人生に、祝福あれ。

 

 念のためについでに祈るが。別にニッポン風味でなくていいですからね。いいでありますからね!

 

 

 さて。大事なことなので、二度祈ったことであるし。これで大丈夫であろう。

 この予定表を、マスターに提出するとしようか。

 書き終えた瞬間から、何となく。ほんのかすかに。我輩を、現実へと引き戻そうとする力を感じる。

 終わりは近い。しかしこの世界が楽しいので、出来うる限りはあらがおう。

 

 次はニッポンではなくアメコミを広げて、コウモリ男や超男を流行らせる予定なのだ。

 ニッポンにしても。かつて魔法界で流行りかけたが、当時の魔法省の圧力でツブされたスーパーロボット系を流行らせると、マスターががんばっている。

 戦隊ものも、パワーレンジャーというオリジナルが作られるほど、アメリカで流行ったことだし。ホグワーツでも行けないか、実験する予定だ。

 ライダーの系譜は、まだ流れていないはずなのだが、変身ベルトにしか見えない魔法アイテムがなぜか存在する。これは是非改造せねば。

 いまいち付いて来れていない女子たちのために、ベル○イユのバラやひみつの○っ○ちゃんなど少女マンガ系も流通させる計画もある。

 赤ず○んチャ○ャが、なぜか若い頃のマクゴナガル教授だというデマと一緒に、すでに流行りかけているので、イケるはずだ。

 スネイプ教授も、録画用の魔法道具を新しく一から設計して、量産しようと企んでいる。魔法省の文化汚染を進めて、融通がきくように適度に壊すつもりらしい。

 

 いかん。これはまだまだ遊び足りぬ。

 ノンビリしている場合ではない。久々に本気を出そう。

 あとはもう。全力で駆け抜けるのみ――――――

 

 

 

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