それでも我輩はネコである。   作:far

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PCを新調したぞ! と思ったら、それも気に入らなかったので返品デス。
ファンが軽い異音を発するが、叩くと直る。そしてまた少しすると異音という旧PCを、また2~3日使用せねば……
手放すつもりで、色々削った後なので不便しつつ投下。


第5話

 我輩は拍手を送っている。思わず、そうせざるを得なかったのだ。ブラボー。

 

「諸君。私は戦争が好きだ。諸君。私は戦争が好きだ。諸君。私は戦争が、大好きだ」

 

 あの有名なセリフから始まる、少佐の名演説を生で聞いたのだ。

 あの熱い盛り上がりを前にしたならば。その場に居合わせてしまったならば。

 誰であれ、きっと拍手せざるを得まい。クリーク!(戦争!) の叫びもやってみれば、楽しかった。

 

 演説はドイツ語だったので、意味はわからなかったが。内容はだいたい知っていたので問題ない。

 

 うん?

 お前、アメリカにいるんじゃなかったのかって?

 この世界ではもはや、我輩はどこにでもいて、どこにもいない。

 認識さえできれば、どこであろうと、その場にすでに存在する。

 

 ゆえに、せっかくアメリカに来たのだからと、あなたの一番お気に入りのハンバーガーショップはどこですかと大統領スタッフの方々に聞いてみた。

 

"Where is your favorite hamburger shop?"

 

 これがどういうわけか。三分の大論争と、五分の拳によるハナシアイのゴングになってしまった。アメリカの国論は、ああやって作られているのだろうか。議論を戦わせるって、絶対にああいうことではないと思うのであるが。

 

 そんな短くも激しいハナシアイを経て決定された、GREAT・STATE・BURGERとKATSU・BURGERで食事も済ませてきた。

 グレートステーツの方はミルクシェイクとダブルバーガーの+ベーコン。カツの方は看板のトンカツバーガー(なぜかトーキョーやニンジャと名付けられていた)はもちろん、カツに味噌とハチミツと豆腐という異端の組み合わせのMisoHoneyTofeが美味しかったので、もろもろをテイクアウトしてきた。

 少佐へのワイロである。

 あの人は機械仕掛けだというのに、なぜ食事ができるのであろうか。

 

 まあ、そんなことはいいとしてだ。

 あのまま、アメリカにいて結果を待っても良かっただろう。しかし、ふと思ってしまったのだ。

 

 婦警のオッパイが見たい、と。

 

 オッパイはステッキーですよね。と、ヤンとルークの兄弟も言っている。

 

 幸い、ロンドンは前の世界でではあるが、行ったことがある。昼の授業中のホグワーツをこっそりと抜け出し、ロンドンへ繰り出して観光としゃれこんだのだ。

 思いつきで、何の連絡もなしに出かけたせいか。あとでマスター・ダンブルドアに、すごい怒られたのである。

 

 アメリカに来る時は、来たことが無かったので大変であった。

 方向だけ決めて何となく転移するのと、見える範囲で地平線や水平線まで転移するのを繰り返し、ホワイトハウスまで小一時間もかかってしまったのだ。

 ホワイトハウスに飛ぼうとしたら、なぜか国会議事堂に出たし。

 ゾンビに対して発砲する警官に、野党の政治家らしき人物が文句をつけて止めようとしておった。

 錯乱したということにして、拘束して部下に連れて行かせた隊長さん(と思われる人)はいい仕事をしたであるな。

 

 先進国に対する攻撃にしては、やたらとゾンビの数が少なく、吸血鬼もいなかったようであるが。

 あれはニッポンだから、手加減されたのであろうか。それとも、少し混乱させるだけで、何も出来なくなるだろうと見切られたのか。

 我輩は、両方な気がする。

 

 今思えば、自由の女神にでも飛んで、そこからワシントンを目指した方が早かった気もする。

 まあ。後知恵であるな。

 

 行ったことも無い場所に、間違いなく自分が居ると思い込むことは、意外なほどに難しいのだ。

 初心者に、そこまで求められても、その、なんだ。困る。

 

 だが行ったことがあったり、映像であれ、何度も見た場所であれば一瞬だ。

 そうして飛んだロンドンは、まだ平和であった。

 

 あれえ? てっきりもう、火の海であると思ったのであるが。

 そう思って、少佐のところへ飛ぶと、ちょうど演説を始めようかというところであったのだ。

 これは是非とも参加せねば、そして撮らねば。そんな奇妙な使命感が湧き起こった。

 

 撮った映像を持って、一度大統領のところへ。字幕をつけて、全米で流すようにと命令する。

 ちなみに全米に流す理由は、特に無い。

 全米が泣いた。という言葉はよく聞くので。全米が怒った。という映像もあってよいのではなかろうか。そう思っただけである。

 

All-America. Translation and broadcast. OK?(全米。翻訳と放送。OK?)

 

 オッケィといい発音の返事が来たので、大丈夫であろう。急いで、少佐のところへ戻る。

 

「お疲れ様です。こちらの仕事は、終わりました。これは、お土産のシアトルで人気のバーガーであります」

 

 オイ。この人、毒見もせずにカブりついたぞ。

 思わず横の人を見るが、あきらめたように首を小さく横に振る。

 言葉など通じずとも、他人と通じることが出来るという経験をしたが、まったくうれしくない。

 

 さて。報告は済んだ。仕込みも終わった。ほんの少しだが、観光もした。

 と、なれば。あとは自由に過ごすだけである。

 

 では少佐。ご武運を。

 我輩は、我輩なりに。やることができましたので。

 

 そうか。協力に感謝する。彼はそう言って、ヘタな敬礼をした。

 軍服ではなくて、スーツ姿ということもあるが、どうしようもなく軍人らしくない人だ。まったくサマになっていない。

 まあ。今の姿が、ネコミミボーイスカウトの我輩に言えた義理ではないが。

 短い間ですが、お世話になりました。こちらも敬礼を返す。

 

 お互いに真面目な顔で、敬礼しあっておったのだが。やがて耐え切れずに、どちらからともなく吹き出した。

 似合わない。

 お互いが、お互いの言語でそう言った。少佐も、同じ意味の言葉を口にした。なぜか、それが理解できた。

 

 あとでちょっとしたサプライズがあるので、お楽しみに。

 

 それだけ言って、その場から我輩は消えた。

 少し疲れたので、現実へと戻ったのだ。

 

 実は全米で少佐の演説が流された後。なぜか戻れるようになっていた。

 

 しかし刑務所の中が、安心して休める場所であるというのは、いいのであろうか。いや、危険でも困るのだが。

 

 さて。少し眠ろうか。刑務官の人、我輩の命令だ。三時間したら起こしてくれ。

 たまたま洗脳した人が担当の時間で、助かったのである。目覚まし時計も無い、というのはこういう時に困る。

 横にもなれないが、それもいい加減になれた。瞑想とはまた異なる感じで、意識を手放す。

 では諸君。おやすみなさい。

 

 




●諸君。私は戦争が好きだ。
マンガ版では知っている、という人も是非アニメ版も視聴して欲しい、狂気の出来。
ゆうつべでもニコでも、その場面だけ切り取ったものが多分ある。
色々応用が利くので、改変も多々ある。彼が聖杯をブン取って聖杯戦争主催者になる、パラレルが多く作られたやる夫スレでの改変は、共通OPで繰り返し使われたというのに色あせずにカッコ良かった。

●シアトルのバーガー屋
二つとも実在する。だが私はアメリカへ行ったことがないので、知っている人がおられましたら、味の感想を教えてください。
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