我輩は試行錯誤しているのである。完全には言葉が通じるとは言えぬ相手。それも、明らかに敵なはずの男と協力してのことだ。
人は分かり合える。実に、素晴らしいことである。
目指すところが、どうやったら婦警のオッパイはもっともエロく揺れるのか? という命題の解ではなかったら、もっとすばらしかったと思うが。
まあ。これが人間の限界である。
いや。
戦争中に、それも休戦中でもなしに、敵と仲良くなれている。これは、限界を超えているのではなかろうか。
我輩とベルナドット隊長は、人の限界を超えて友情を結んだのだ。
婦警のオッパイで。
だとするならば、やはりオッパイは偉大である。素敵だ。やはりオッパイというものは 素晴らしい。
「ビバ オッパイ!」
我輩の杖の精霊が、そう叫ぶ中。議論は白熱した。
日本語と英語での会話が、なぜか成立する。何が言いたいのかが、わかる。
なんであろうか、この無駄に深い絆みたいなものは。
まあ。便利だから、よしとするのであるが。
そして「自転車に乗って、段差を乗り越えた前後のたっゆんっ」「はずむようにゆっくり走っている時のゆぅっさゆぅっさ」「キツめの上着を脱いだ瞬間のばばんっ」などを実地検証する中で、我輩たちはようやく気付いた。
あれ? 今、こんなことしてる場合だったっけ?
ヤバイ。楽しすぎて、戦争を忘れてたのである。
隊長を見れば、彼の顔にも我輩と同じ考えが書いてある。
途中から婦警の目が死んで、文句も言わなくなったので、気付くのが遅れた。結構な時間がたってしまっているぞ。
え~っと…… じゃ、お先に!
「
すまぬ。この転移、おそらく一人用なのだ。
そうして飛んだ先。適当なビルの屋上からアーカードのいるあたりを見下ろせば。
「みんな…泣いては…いけ…ま…せん… 寝る…前に…おい…のりを…」
ひとつの戦いが。一人の男の戦いが、戦いの人生が終わるところであった。
転生者として、キリスト教の教義から外れている我輩ではあるが、祈らせてもらうとしよう。AMEN.
戦場を、しばしの沈黙が満たした。
原作では、神父の灰をタバコの灰のように踏みにじるという。まさに神をも恐れぬマネをした執事が、空気を見事に壊した。
このままでは、闘争の空気ではないこのままでは、時間がない執事には都合が悪かったからであろう。
しかしそんなことは我輩には関係がない。執事はまだ待機である。
だがこの空気のまま、イスカリオテの生き残りの方々が帰り始めてしまっても困る。
彼らにはもう少し、バケモノ退治に付き合ってもらわねば。
そして少佐もどうやら、そのつもりであったらしい。
黙祷の空気が薄れ、消えていくのと入れ替わりに。足音をたてて、配下を引き連れて、ゆっくりと登場してきた。
さあ、次なる幕が開く。
人外の戦いを見て、呆然としていた米軍も。アンデルセン神父を失い、戦意の衰えたイスカリオテも。
宿敵を失い、やや意気の欠けた吸血鬼も。やっと出番が来て、盛り上がる最後の大隊と執事も。
誰を敵として、誰を味方にするのか。あるいは全てを敵にするか。
「見ろよ! こぉんなゴチャマン見たことねぇぜ!」
ヒロアカ世界では、基本は一対一での戦いで、集団戦というものはあまりなかった。せいぜいがチーム戦くらいだ。
ホグワーツでも似たようなもので、アインクラッドはボス戦はそれらしかったが、あれも多数対一の戦いであった。
初めてだ。集団同士の、人と人の戦いを見るのは。
殺すのが基本で、当たり前の戦争を見るのは。初めてだ。
執事がアーカードに鋼線を飛ばす。少佐が撃てと命じる。大尉が走る。
そんなロンドン襲撃の主犯らに向け、米軍が撃つ。イスカリオテらは、ある者はアーカードを、ある者は最後の大隊をと、独自の判断で動き出した。
さて。出番だ。暗躍するとしようか。
我輩は杖を構え、ひとまずイスカリオテらを掌中に収めるべく、名も知らぬ神父の背後へと飛んだ。
●「見ろよ! こぉんなゴチャマン見たことねぇぜ!」
ブラックラグーンより。ゴチャマン=ケンカであるらしい。チャカと呼ばれていた、チンピラのセリフ。レヴィ、というよりも外人女の拳銃使いと戦ってみたいという、ただそれだけの理由で、所属してた組の幹部を殺して、組長代理をしていた組長の娘をさらうなどする、ある意味最後の大隊向きの男だった。