それでも我輩はネコである。   作:far

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戦闘でネコが活躍するシーンなど、需要がないと悟ってボツにした結果がこれ(ヘルシング編完)だよ!


ジョジョの奇妙な冒険編 We are the world
第1話


 我輩はスタンドである。名前はまだ無い。

 どうしてこの世界におるのか、とんと見当がつかぬ。あの最終決戦で、服従呪文で全ての戦力をまとめ上げて、少佐にゆだねた所までは記憶している。

 そこでアーカードを全員の力をもってして、倒した、はずだ。これは、しっかとは覚えておらぬ。

 

 倒した。そう思ったとたん、我輩はあの世界から音も無く、弾かれてしまったのである。

 

 だがしかし。そうなったのならば、現実へと戻っていないとおかしいのである。

 だというのに、今、こうして我輩はスタンド生活を送っている。これはいかなることであろうか。

 誰か教えてくれる人は、どこかにいないものであろうか。

 

「ねだるな 勝ち取れ さすれば与えられん」

 

 誰と、もしくはなにとどう戦えばいいのかも、わからないのであるが。

 いや、戦う相手はいないでもないな。

 

 DIOである。

 

 そもそも。我輩が自分がスタンドだと判断できたのには、理由がある。

 スタンドというからには、本体がいるわけだ。

 その本体が、特徴的な改造学生服を着た、2m近い若い大男だったのだ。

 ゴゴゴ… という音を背負っていそうな、迫力のある男であった。

 

 というか。承太郎だった。

 

 あのロンドン最終決戦に、まがりなりにも参加しておった我輩が、ついビビって隠れてしまうほどの迫力であった。

 そして物陰に隠れて、まもなく。彼から離れて遠くに行けないことに、気がついた。

 次に、人々に我輩が見えていないようであることに気がつき。

 最後に。時が止められることに気がついた。

 

 あれ? これはもしや、スタープラチナではあるまいか?

 

 とうとうネコ科ではなくなったのか?

 そう思い、手足や胴体を確認してみたが、これがまた見たことが無いものであった。

 いや、あると言えばあるのだが。実際に、実物を見たことが無いというか。

 やや黄色がかった、白い毛に全身がおおわれていて、尻尾もある。

 手は完全にネコであるが、器用に動き、物も持てる。

 そして額になにやら、平べったい楕円状のものがくっついている。

 うむ。たぶん、おそらくのハナシではあるが。

 

 ニャースだこれ。

 

 まさかヴィランの大先輩の姿になろうとは。しかも、ジョジョの世界でスタンドとしてなってしまおうとは。

 我輩、夢にも思っていなかったのである。

 

 そうして我輩が困っておるのと同じように、承太郎も困っておった。

 突然、立って歩いて、自分にしか見えないしゃべるネコが現れたのだ。そりゃあ、困るであろう。

 とにかく、我輩は害をなすものではないこと。たぶんエジプトにいる吸血鬼を倒しにいかないと、困ったことが起きること。

 そして彼の祖父が、浮気して隠し子を作っていることを話してみた。

 

 なんか、引きこもった。

 

 原作では、自主的に警察署のオリの中に引きこもっていたのだが、普通に自宅の部屋に引きこもったぞ。

 しかも祖父を自分から呼んだらしい。

 ヘンなのに取り憑かれた。確かこういうのを退治する専門家やってたって言ったろ、助けろジジイ。と電話で言っておった。

 

 承太郎くん。そのぶっきら棒な態度は、今のうちに矯正しておくのをお勧めするのである。

 さもないと、将来離婚した上に、娘との仲がこじれてしまうのであるぞ?

 

「うるせーぞっ! お前っ! 余計なお世話だっ! 俺が結婚しようが離婚しようが、関係ねーだろっ!」

 

 しかも娘だぁ? と、胡散臭げにしながらも、少し興味がありそうであったので。テキトーにそれっぽいことを言ってみる。

 顔立ちは、キミによく似ていたな。目は少し丸く、鋭さが抑え目であったが、眉や口元などはそっくりであったよ。

 ただ、なあ。子というものは、親の変なところや似てほしくないところばかり、良く似るものらしくてなあ。

 父親であるキミとの関係がうまくいっていなかったのと、離婚などの影響で、わかりやすくグレてしまっておったなあ。

 それでとある神父と、殺し合いをするほどになってしまって、最後にはキミも巻き込まれることになってね。

 

 おおっと、日課の散歩の時間だ。少し出かけてくるよ。

 

 おい待て。もうちょっと詳しく聞かせろ。

 そう言って慌てる承太郎の声を無視して、壁をすり抜けて散歩に出る。

 どういうわけか、日々少しずつではあるが。本体である承太郎から遠くへと行けるようになっていっておるのだ。

 むろん、遠くへと行くほどスタンドパワー、とでも言うべきものは落ちているようだ。

 しかし四六時中、ずうっと彼と同じ部屋にいるのも、居心地が悪い。

 消えてしまえばよいのであろうが、消え方がわからない。

 

 ついでに言ってしまえば。現実へ帰れない。

 

 これはマズい。

 先生の体は、栄養補給を点滴に頼っているので、食事と水分は問題ない。

 しかし睡眠と排泄。これがマズいのだ。

 瞑想中も脳は活動している。睡眠による休息が必要なのだ。

 こちらは逆に限界を超えたら、寝落ちによる現実への復帰が期待できる。もしも死んだらマズいが、その時はその時である。

 

 しかし社会的な死はマズい。

 オールフォーワン、刑務所内でウ▲コもらすという情報が流れるのは、はなはだマズい。

 そんなことになったら、先生が核を日本に落としてでも、無かったことにしようとするだろう。

 そんなことに巻き込まれて、被害を受ける人々が出るのは、さすがに忍びない。

 これは出来うる限り速やかに、何とかせねば。

 

 え~っと。ミもフタも無く、第三部完に持っていく手段って、何かあったであるかなあ?

 

 

 




●「ねだるな 勝ち取れ さすれば与えられん」
交響詩篇エウレカセブンより。交響詩篇というだけあって、挿入歌やOP、EDテーマに力が入っていた。sakuraやCanvasが好きだった。
コーラルというサンゴっぽいものに侵食される世界の中、夢見る少年の前に、空から少女がロボットに乗って落ちてきて始まるストーリー。世界の命運とか色々な全てを振り切って、少女の下へと走れ少年。
そんな少年の、英雄になったが家には帰って来れなかった父親の残した言葉。少年はこの言葉を胸に走る。
待ってちゃダメだ、ねだってちゃダメだ、俺は今……勝ち取りに行くんだ!!!
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