それでも我輩はネコである。   作:far

31 / 76
GWが終わりますねえ。私はずっと通常モードでしたが。
何も無かったなあ……


第4話

 我輩は愉悦しているのである。

 驚き、おびえを見せながらも、こちらへの抵抗の意思を折らぬ敵。

 コイツ、本当に何者だと顔に書いてある味方たち。

 思い通りだ。今、この場のすべてが、我輩の思い描いたとおりである。

 我輩は、こぼれてしまう笑い声を軽く抑えながら、言った。

 

「ではあとはアブドゥルさん、お願いします」

 

 まともにバトルするのなんぞ、面倒くさいのだ。

 やりたいことはやったので、あとは丸投げである。

 なにをやったかって?

 

 ポルナレフを、ポルナレフ状態にしたのである。

 

 ジャン・ピエール・ポルナレフ。彼は花京院の救助というか、回収に来たらしい。

 しかし肉の芽の洗脳が浅いのか、騎士道精神を失っていない彼は、我輩たちに堂々と会いに来て、あろうことか決闘を申し込んできたのだ。

 ここでアブドゥルをけしかければ、原作再現であるな。そう思った時だ。

 

 ふと、ね。ふと。とある衝動に駆られてしまったのだ。

 

「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! おれは奴の前で階段を登っていたと思ったらいつのまにか降りていた

 な… 何を言っているのか わからねーと思うが、おれも何をされたのか わからなかった…

 頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…」

 

 この彼の代表的なセリフを、生で聞きたい。そういう衝動だ。

 ここに階段はないが、時止めは使える。ならばと、我輩はやってみることにしたのである。

 

 まずは名乗り出る。

 

「その決闘。空条承太郎のスタンド、ザ・ワールドDが受けるのである」

 

 Dは、異なるという意味のdifferentのD。命名はモハメド・アブドゥル。

 

「世界のカード! 正位置なら完成や統合。旅行を暗示し、逆位置ならば未完成や終わりがないということを暗示するっ! そのどちらでもない裏位置とでも言うべき異端! ゆえにこう名付けようっ!」

 

 何者とも異なった世界、ザ・ワールドD。で、あるそうな。

 リバースワールドとか、ザ・ワールドアナザーでも良かった気がするのであるが。まあ、ささいなこと。

 どうせこの世界だけのハナシであるし、長居するつもりはないのだ。

 早く帰らねば、現実世界の先生の体が持たぬ。その。あれだ。便意的な意味で。

 

 それはさておき、決闘のハナシに戻ろう。

 名乗り出た我輩に、潔しなどと的外れなことを言うポルナレフ。彼に、かかってきたまえと挑発する。

 

 そして時を止める。

 

 止めたら全力でポルナレフに向けて走る。スタンドとしての全力を出して走る。

 大急ぎで、ポルナレフを後ろ向きにして、また元の位置へと全力疾走。でんこうせっかを覚えていないことが悔やまれる。

 

 しかし、これ。このポルナレフを使った時止め遊び。

 DIOも原作でやっておったが、彼はどういうつもりであったのだろうか。

 我輩はポルナレフ状態が目当てであるが、ひょっとしたらDIOも似たような気持ちであったのやもしれぬ。このフランス人の反応は、面白いのだ。

 

 さて、元の位置はここだったか。

 戻ってきたので、ツバを飲み込み、呼吸を整える。今はスタンドであるゆえに呼吸はいらぬのだが、我輩も生き物。ついついやってしまうのだ。

 

 そして時は動き出す。

 

「おや? ポルナレフくん。どこへ行こうというのだね。我輩はこっちだ」

 

 な、なにぃ? と驚く彼に、まさか決闘を挑んでおきながら、逃げようと? と追い討ちをかけて、また時を止める。

 再び全力疾走。今度は、少し後ろに下げてから、元の位置へと帰還した。

 

「臆したな。後ずさっているぞ」

 

 視界の端に承太郎が、なにか言いたげな顔をしているのが目に入った。どうやら本体として、時の止まった世界に入門したらしい。原作よりも、大分順応が早い。

 これまでもちょくちょく時を止めては、マユを太くしたり、入浴中に手の中のシャンプーを洗顔料にすり替えたり、母親の頭に手を置いてみたりと、地味なイタズラを繰り返していた成果であるな。

 

 承太郎はさておき。ポルナレフが、ようやっとあのセリフに近いことを口にしてくれた。

 

「どういうことだ…? 俺は 今 前に踏み出そうとしたら いつの間にか後ろに下がっていた。わからねえ… なにがなんだかサッパリだ。

 頭がどうにかなりそうだ… 催眠術だとか超スピードだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…」

 

 よしっ! ポーズもバッチリ。我輩は満足である。

 我輩は、こぼれてしまう笑い声を軽く抑えながら、言った。

 

「ではあとはアブドゥルさん、お願いします」

 

 あ、そうそう。これだけは言っておかねば。

 ポルナレフくん。キミの探すカタキは、DIOの部下の一人だよ。お婆さんがDIOのスタンドの教師やってて、その息子さんだか、お孫さんであるな。名前は、確かJガイルであったかなあ。

 

 うむ。効いてる効いてる。ショックを受けているのがよくわかるぞ。よし。ポルナレフくん、いい感じ。

 あっ。ウソだ。じゃあ俺は何のために、とか言い出したぞ。ポルナレフくん、すっごくいい感じ。

 

 いまだ。敵は弱っているぞ。アブドゥルさん。やってしまいなさい。

 ほら、ためらってないで。あの人も肉の芽埋められてるから、一度倒して拘束しないと。

 さあ、ほら。ジョセフさんが波紋流すと、頭の中で肉の芽がパーンって破裂しても困るから。

 アブドゥル。君に決めたのである。

 さあ、がんばれ。

 

 

 




●ありのまま(略)
ジョジョの奇妙な冒険第3部より。ひょっとしたら第三部でもっともネット上で活用されたセリフ。DIOとの対面時に、彼はこうやって遊ばれた。いつでも倒せるというDIOの余裕と、ユーモアを感じる。

●ポルナレフくん、いい感じ。
自由人HEROより。柴田亜美先生のマンガ。さまざまな種族と、その王の治める世界での種族代表の英雄たちの話。技名を叫んでから殴る式バトルと、ギャグでできている。特に外伝はギャグしかない。
いじられキャラ、鳥人という種族の英雄、バードは花人の英雄サクラに一目ぼれして、百回プレゼントくれたら付き合ってあげると言われて百回実行。その結果「ボク男だよ」という返しをくらう。男に貢いだ挙句にフラれた俺の青春、というトラウマ持ち。
そんなバードの実家が金持ちと知り、サクラが恋人として家に入り込もうとするのを面白がって助ける友人たちの、だんだん目が死んでいくバードへの感想。
「鳥はあっちで白くなってるぞ」「よしッ!いい感じ」
「おッ!訳わからん事口走り始めたぞ」「すっごくいい感じバードくん」

◎でんこうせっか
ノーマルタイプのポケモン技。威力は低いが、先制で攻撃できる。
なおニャースはこれを覚えられない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。