我輩は任せたのである。虹村父こと、万作さんに逃げられてしまったのだ。
それをスピードワゴン財団に任せて、組織の力で人海戦術と麻酔銃などで捕獲してもらったのだ。
もののついでで、たまたま見かけた殺人鬼も撃ってもらい、あの場所に放置済みである。
後方に目覚まし時計を仕掛けておいたので、寝過ごすこともないだろう。良いことをした。
さて。捕まえた万作さんの、肉の芽を除去する実験であるが。
その要のクレイジー・ダイヤモンドの本体の東方仗助。彼の年齢が五歳であったことが、ここに来て議論を呼んだ。
はたして、こんな子供を巻き込んでよいものか。
ジョセフのジジイが、父親面して反対に回っているのが、一同そろって妙にイラッと来た。
だがそれはそれ。そんなことで意見を変える面々ではない。
承太郎が基本反対だが、最終的には本人の意思に任せろという、消極的反対派。
アブドゥルが、今回は治療であるし、そこだけ参加してもらおうという賛成派。
我輩は、どうせスタンド使いなんだし、遅かれ早かれ戦いの人生しか待ってないから、どちらでも良いのでは? という中立である。
結論。旅には連れて行かないが、今回の花京院、ポルナレフ、万作さんの治療には手を貸してもらおう。そういうことになった。
どの道、あの熱を出して車で病院へ向かう途中、雪にタイヤを取られて立ち往生。そこを通りがかった不良が、自分の制服をタイヤの下に敷いて、後ろから車を押して助けてくれたという、例のエピソード。
あれを経験済みで、スタンドには目覚めているのだ。
スタンドに対する取り扱いの説明もせねばならぬし、ついでといってはなんだが、頼んでみることになったのだ。
なお、我輩があれこれ余計なことまで知っておるのは、すでにあきらめられている。
まったく隠さなかったので、どうやらそういう生き物であるらしいと、そう納得してくれたようなのだ。
承太郎はいち早く、適応したように思う。
アブドゥルは、少し時間がかかった。
タロットを見せてもらって、それを手がかりに記憶を掘り起こし、こういうスタンドがいて使い手は確かこんなヤツで、とペラペラしゃべってみせたところ。
なぜそんなことが分かるんだ、と激高されてしまったのだ。
えっ。占い師なのに、わからないのであるか? と真顔で聞き返したら「あぁ~んまりだぁあ~」と突然激しく泣き出したが。
あれは彼の持ち芸ではなかった気がするのであるが。
ともあれ。それ以降は、彼も気にする様子はなくなった。
それを見ていたジョセフも、我輩に情報の出所を詮索することはしなくなった。要領のいいジジイである。
ジョセフに対するアタリが強いと思われるかも知れぬが、彼はシタタカなクソジジイである。ヘタに敬老精神なぞを持って相対すると、こちらが一方的に損をしてしまうので、仕方がないのだ。
しかもそうやって利用されまい、ダマされまいと構えていても。それはそれで、カモにする手段を抱えているから、ゆめ、油断は出来ぬのだが。
さて。ハナシを実験。いや、治験であるか? まあ、肉の芽の除去に戻そう。
結論から言えば、成功した。
時止めからのどろぼうで我輩が抜き取り、ジョセフが波紋で始末。念のために仗助が治癒という流れだ。
いたいのいたいのとんでけー。と治す仗助に、みんなが和んだ。
意識を取り戻した彼らと少し話したところ。花京院も、ポルナレフも、手を貸してくれるそうだ。ポルナレフは、なぜか少し複雑そうであったが。
ただ万作さんは、困ったことにDIOに恩があると言い張っているのだな。
自分の経営する会社が倒産の危機にあった時。どこからともなく聞きつけて現れたDIOが手を差し伸べてくれたらしい。
そしてDIOの組織の一員として、組織運営に手を貸したり、空条家を監視したりしていたらしい。
監視に向いたスタンドを持っているので、それを使ってのことだそうな。報酬も過分なほどもらっていて、裏切るつもりはないそうな。
そんな万作さんの幼いお子さんが、そこにおるじゃろ?
違うのだ。ハナシを聞いてくれ。
彼らも、スタンド使いか、その素質持ちなのだ。
仗助に説明するついでに、教えてあげようと思っただけなのだ。
それに仗助の友人になってくれたらいいかな、と思っただけで、他の思惑はなにもないのだ。
うむ。あまり説得力はないな。
この卑怯者め、と言わんばかりの目で万作さんが我輩たちをニラんでおるのだが。
ジョセフさんや。ここは任せたのである。
さあ。がんばれ。
●あぁ~んまりだぁあ~~
ジョジョの奇妙な冒険第二部より。エシディシという濃い人の持ち芸。泣くことはストレス解消にいいらしいが、彼はわざと激しく泣くことでメンタルリセットをかけるのだ。