それでも我輩はネコである。   作:far

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第7話

 我輩は解せぬのである。当初は上手く行っておったはずの、変装作戦が敗れたのだ。

 すでに塔と皇帝と吊られた男、月と力と女教皇に襲われている。

 

 塔のスタンド、タワー・オブ・グレイはほぼ原作どおり、飛行機内で襲ってきた。インドの移動中の時である。

 世界のあちこちで飛行機事故を起こしては、金品を漁る。そんな頭の悪い行為を繰り返す犯罪者なので、慣れた手口を使ったのであろう。

 飛行機会社の補償額やら、飛行機自体のお値段を考えると、コイツが手に入れた金額がいかほどのものであろうが、全く割に合わぬ。

 

 他人にどれだけ迷惑をかけても、自分の小さな利さえ有れば良い。そんな小悪党は許しておいてはいけないのだ。

 

 いけないのだ。

 我輩は迷惑をかけても、利益もちゃんと渡しておるはずだから、セーフである。

 

 なお。本体の情報を忘れたので、スタンドの方を捕まえる方向で処理したのは秘密である。

 時止めを一瞬だけ、こっそりと使って捕まえて、エメラルドスプラッシュしてもらったのだ。

 なおこっそりと使った理由は、特に無い。その方がカッコ良いからである。

 

 スピード自慢で、見せ付けるように残像を作って、こちらを攻撃してくる。

 そんな相手を、無造作にひょいっと捕まえられたら、カッコ良いと思わぬか?

 時を止める。この世界に居る間だけの、期間限定のチート能力である。使わねば損と言うものだ。

 

 とはいえ、犠牲者は出た。原作とは異なる時期の襲撃であったので、予測できなかったのだ。

 パイロットと、乗客数名が殺され、飛行機は当初の予定よりもはるかに短い距離の移動で、着陸することになった。

 着陸のさい、死んだパイロットの代わりに操縦桿を握るジョセフに、なぜか不安しかなかったのは我輩だけではない。

 

 そうしてやむなく、陸路を進むことになった我輩たちであるが、ここで追加情報が入った。

 スピードワゴン財団経由で依頼していた、殺し屋の方々が、無事死亡したらしいのだ。

 

 悪魔のスタンド、エボニー・デビルの本体の人は、有名な殺し屋らしいのでDIOの暗殺を依頼してもらったのだ。ワンチャンいけるか、と思ったが。案の定ダメであったらしい。

 節制の人も見つかったので、ついでに協力するよう依頼したのであるが。協力しても、ダメであったようだ。

 まあ。放っておけば、敵に回っていたのだ。手間が省けたと考えれば、悪くは無い。

 いや。やられる前に、ダービー兄弟と、アレッシー? という人と、審判のスタンドを倒してくれたそうなので、むしろ予想外に良い結果である。荀イク先生ありがとう。

 

「二虎競食の計というものがございます」

 

 Y山先生の三国志は、実にわかりやすかったなあ。

 物足りないという人もいるが。入門編にはあれくらいで良いと思うのである。

 

 また、塔の襲撃や、タロット以外のスタンドの存在についてジョセフらに聞かれたのであるが。

 

「オレにだって……わからないことぐらい……ある」

 

 首を左下にそむけて、深刻そうにそう答えたところ。ものの見事に、だまされてくれた。

 実際は、忘れていただけである。正直、スタンドとか、数が多すぎて覚えていないのであるよ。

 原作だけでも多いというのに、ゲームやら小説版やら、果ては二次創作やらでエラいことになっておるのだぞ。

 第三部だけでも、エジプトの神様系のスタンドが何体いたかすら、覚えておらぬ。読んだのが、何十年か前になろうというのだ。それをここまで覚えておるだけでも、ほめてもらっていいと思うのだ。

 

 実はヒロアカ世界にもジョジョのマンガはあったのだが、内容が同じようであったので、読んでおらぬのだよなあ。ああ。なぜ我輩はあの時、読んでおかなかったのか。

 食べ物関係の個性がぶつかり合うバトルマンガ、主人公がどう見てもラスボスの食戟の()()()なぞ読んでいる場合では無かったのである。

 

 

 ああ、そういえば。吊られた男と皇帝は、原作通りであった、のではないかと思う。

 正直、別行動中であったので、我輩は関与しておらぬのだ。出会ったならば、皇帝のスタンドの本体、ホル・ホースはスカウトしたかったのであるが。残念である。

 縁があれば、またそういう機会もあるであろう。

 

 豪華かつ精緻な、どこかサクラダ・ファミリアを連想させるヒンドゥの古い寺院や、赤い砂岩で作られた角ばった城。白い大理石で作られた、丸みを帯びた屋根を持つムガール建築の宮殿のような墓廟。

 ナンやタンドリーチキン。ドーサやサモサ。それらをラッシーやチャイで流し込みつつ、観光地も巡った。

 急ぎの旅ではあるが、これも襲撃を避けるための偽装工作であるからね。仕方ないのである。

 それにスタンドは精神のエネルギーでもある。適度にリフレッシュせねば、弱ってしまう。という大義名分もある。

 だから、多少はいいよね。とみんなには吹き込んであった。ジョセフとアブドゥルの大人組も、承太郎と花京院の学生組も、楽しんでいるようなので問題は無かろう。

 

 そう、油断していたところでの、吊られた男の襲撃であった。そして吊られた男のスタンドが姿を見せるや否や、ポルナレフが、暴走からの単独行動を取ってしまった。

 走ってどこかえ消えてしまった彼を、我輩たちは手分けして探して。そして我輩の見ていない所で、原作通りの展開で無事に倒したらしい。原作補正さん、仕事したな。

 

 彼への配慮が、足りなかったかも知れぬ。

 Jガイルが見つからぬまま旅が終わっても。「スピードワゴン財団に協力してもらって探してもらうようにするから」そう一言、言って置けば、今回のことは無かった。

 みんなで囲んで、棒で殴れたのだ。うむ。たまには素直に謝るとしよう。ポルナレフ、すまなかった。

 

 

 楽勝ではない戦闘を乗り越えると、絆が深まるのか。目に見えて壁が無くなったポルナレフと花京院を横目に、我輩たちは船出した。

 インド西岸のボンベイへ。1995年にムンバイへと名前は変わるが、現在はまだボンベイである。

 インドでもっとも栄えた都市であり、古くからの港町でもある。ここから船で、アフリカ大陸へと旅立つのだ。

 

 原作では、ここからかどうかは覚えておらぬが、確か潜水艦に乗って移動しておった気がする。例によって、沈んでおったが。

 それに海の上といえば、あのオランウータン。船のスタンド。あれもそろそろ来そうな気がする。

 

 よし。ここはまた、スピードワゴン財団に頼ろう。インドといえば、傭兵も有名だったはず。民間軍事会社を雇ってもらおう。

 もっとも有名かつ強いらしい、グルカ兵はインドではなくて、ネパールにいるらしいが。まあ、ささいな違いだ。

 雇ってもらう間の、二日ほどはゆっくりしよう。どこも人が多くて、気疲れしたのである。

 

 

 そんな軽い気持ちで雇ってもらった傭兵さんたちの、ロケットランチャーやグレネードランチャーで沈んでいく船が、そこにおるじゃろ?

 

 スタンドは基本、スタンドでしか倒せない。しかし、例外はある。というか、スタンドは例外だらけな気がする。

 サーフィスのような、実体寄りのスタンドであったり。今回のような、実物にかぶせるような形で実体化している(ストレンクス)のようなスタンドであったりすると。普通に、物理攻撃が効いてしまうようなのだ。

 

 不審な船であったので、通信で呼びかけ、声をかけ。反応が無かったので攻撃したところ、スタンドと判明。

 あとは傭兵さんたちの、射撃の的であった。

 そして沈む船から、オランウータンと男女二名が脱出したのを捕獲。全員がスタンド使いであったが、本体をぐるりと銃で囲まれては、どうにもならなかったようだ。

 現にスタンドを再発動させ、こちらの船を乗っ取ろうとしたオランウータンは即座に射殺されている。

 その容赦の無さに引いた我輩たちであったが、男女二名もそれで反抗する愚かさを悟ったらしい。彼らはとても、おとなしくなった。

 このままおとなしくしていたら、スピードワゴン財団に対スタンド要員として就職できるのではなかろうか。

 

 いやあ。今回は、つくづく思ったのである。

 おかねの ちからって すげー!

 

 

 




●無事死亡
ネットスラングであるが、元はわからない。何もおかしなことも事故も起きずに、順当な結果として死亡した、というニュアンスで、自虐的に使われることが多い。
例:この連休中に連日ガチャをまわすも、無事死亡。

●Y山先生
三国志や水滸伝など、中国系の話をマンガにした先駆者の方。この人なしに、後のアレコレの三国志ものなどはなかった、かもしれない。

●「オレにだって……わからないことぐらい……ある」
MMRマガジンミステリー調査班より。1999年七の月。恐怖の大王が落ちてくる。ノストラダムスの大予言と言われた、世紀末の終末思想をネタにしたマンガ。あまりに強引な解釈で、どんなものであれ人類滅亡へと結びつける理論展開は、もはやギャグであった。文字を並べ替えたあとに、この部分はノイズとして無視するとかは朝飯前。
そんな解釈をするリーダー、キバヤシですらサジを投げた時のセリフ。
どんな時に言ったんだっけなあ……

●おかねの ちからって すげー!
元ネタはポケットモンスターシリーズの かがくの ちからって すげー! である。
ゲームの開始地点の町にいる男が、こう叫ぶ。複数のシリーズにいるようだが、同一人物かは不明である。
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