それでも我輩はネコである。   作:far

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第10話

 我輩は久々の休暇中である。なんとか、ヒロアカ世界へと帰ってくることができたのであるな。

 きっかけとなったのは、やはりというか、あの矢であった。

 

 予想通りであった。そして、予想外でもあった。

 

 もう少しくわしく言えば、だ。

 矢を使えば、戻れるかも知れぬという予想のもとに、矢を装備してみた。

 こう、額の小判をペリッと外して、その代わりにはめ込んだのだ。

 

 うむ。実はアレ、外せるのだな。

 

 うまくすれば、レクイエム化して新たなる能力が。そう、期待したのであるが。ここで予想外の結果が出た。

 

 我輩に、スタンドが出たのである。

 

 しかも。これがどう見ても、スター・プラチナなのである。

 

「わけがわからないよ」

 

 久々にあの白いナマモノが、大根を持って踊る妖精たちに囲まれながら、脳内でそうつぶやいた。

 

 

 

 ここで、ハナシを少し戻す。

 エチオピアのホテルで朝を迎え。一晩寝て、精神力も回復した一行で、朝食を取っている時のことだ。

 このままエジプトを目指す組と、日本への帰還組にわかれよう。そうジョセフが言い出したのだ。

 帰還組と言っても、承太郎と花京院のみのハナシである。

 要は、戦いが大方終わったので、学生は学校へ行け、ということであるらしい。

 

 この時。我輩はすでに矢を狙っておった。DIOを倒しても戻れぬ以上は、帰るために次の手を打たねばならぬ。

 スタンドを発現させ、進化させる矢は、そのための最有力の心当たりであったからだ。

 

 そして矢は、エンヤ婆がいくつか持っていた。原作では、確かエジプトでポルナレフがそれを見つけていたはず。

 で、あるならば。我輩もエジプトへ行きたいので、本体の承太郎もエジプトへと行って欲しい。

 ここから先は大人に任せておけ、というジョセフらの言葉に、承太郎も反発を覚えている。

 我輩たちの気持ちは一つであった。

 

 だがしかし。旅費を出すのは、自分たちではないという弱点を突かれては、どうしようもなかった。

 おのれ。やはり金の力というのは、偉大であるな。

 

 そして日本へと戻ったわけであるが。戻る途中、順調に飛ぶ飛行機の中で、我輩は思い出した。

 

 あれ? 億泰の兄は、どこから矢を手に入れたのであったっけ?

 もしかして、杜王町の虹村家に、矢がある?

 

 我輩は承太郎に頼み込み、再び杜王町へと向かうことに成功した。

 どう頼んだかって? 正直に話したとも。

 そこにパワーアップアイテムがあると思うので、回収に行かせてくれ、とね。

 承太郎は、ため息を一つついて承諾してくれた。オフクロの見舞いに行ったあとにな、と条件は付けたが。

 

 ところで、虹村家の人々であるが。現在、父親も兄弟もスピードワゴン財団にお世話になっておるのだな。

 将来、承太郎が滞在するやも知れぬホテル。あそこに長期宿泊中だ。

 我々がDIOを倒すまでは、保護観察で。その後は父親が復讐に走らないかの監視である。

 

 そういうわけで、都合よく無人になっておる、虹村家を探索すること小一時間。

 スタンドの身体を生かして、色々とすり抜けてみた。

 まずは玄関をすり抜けて、鍵を外して扉を開き。部屋に入っては、鍵付きの引き出しを開け。金庫を見つけては、開けずに中身を探り。

 そうして、とうとう矢を発見することとなった。

 

 そして、さっそくその場で装備した結果がアレだよ!

 

 自分にどんな力が? とワクワクした気分が全部すっ飛んでしまった。

 

 しかもこのスター・プラチナ。動かせないのであるが。

 その場でパンチを打たせようとしても、ピクリともしないのであるが。

 

 そうして困っておったら、承太郎が動かしだしたのだが。

 

 フン。妙にシックリくるぜ。とか言っておるのであるが。

 

 いや、まあ。そりゃあ、確かに。

 スタープラチナと言えば、承太郎のスタンドであるというのは、ジョジョの世界では常識ではあるけれども。

 曲がりなりにも、ここまでずっと彼のスタンドを勤めてきたのは我輩なのであるぞ。

 

「あれー? ポッと出のスタンドが本体を取っていいの? ザ・ワールドDぞ? 我、ザ・ワールドDぞ?」

 

 気付けば、そんなよくわからぬノリでスター・プラチナにからんでいた。

 

「落ち着け」

 スパーン!

 

 そんな我輩に、承太郎がスター・プラチナを使ってツッコミを入れた。

 軽く頭をハタいたのだ。

 そしてその衝撃で、矢が取れた。

 

「あっ」

 

 ヤバイ。引き離される。そう、直感した。

 我輩が矢を装備したら、スター・プラチナが出た。で、あるならば外せばスター・プラチナが消えるのが普通だ。

 だが我輩は普通ではない。通常の手段でここにいない。

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 矢を拾おうとしたが、それも間に合わぬとわかる。わかってしまう。

 時間が無い。せめて承太郎に一言だけ――――――残す時間すらも無い。ならば。

 

 

 時よ止まれ!

 

 

 時は。

 止まらなかった。

 

 承太郎のスタンドではなくなってしまった我輩には、その力はなかったのか。

 それとも、別の理由なのか。それはわからない。

 

 確かなのは、また未練を残した世界が一つ、我輩の記憶に増えた。それだけである。

 終わりというのは、時にあっけなく訪れてしまい、それでも取り返しが付かない。

 そんなことも、忘れていたようだ。

 

 あの世界から消えた。そう思ったら、しばしの何もできぬ、ぬるりとした空間をただ通るだけの。そんな何とも言えぬ、気持ち悪い時間を経て、現実へと戻れていた。

 だが、一欠けらほどの喜びすらも感じない。

 DIOの死に引き続き、またしても精神が落ち込んでしまった。

 

 ああ。こういう時は、寝るに限る。

 今回はどれだけ、この世界を離れていたのかやら、この世界でなにか動きがなかったかなど。調べることも、あるにはある。

 だが、明日でも良いだろう。今は、なにをするにも、おっくうだ。

 

「ありがとう ごめんなさい」

 

 もう会えなくなった人に送る言葉は、これくらいしか思いつかぬし、これでいいのだと思う。

 あの一瞬。承太郎へと伝えようとした言葉は、また別であったようにも思うのだが。

 とっさの事であったので、思い出せぬ。

 

 はぁ……

 

 ああ、まったく。

 ままならぬものであるなあ。

 

 

 




●わけがわからないよ
魔法少女まどか☆マギカより。魔法少女のマスコットって、実はいいように小さな女の子をダマして利用してないか? というウガッた見方を設定段階から取り込んだらこうなる、というアニメ。 
ジョジョ第五部の代表的なセリフの一つ「吐き気を催す邪悪とはっ! なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ……!! 自分の利益だけのために利用する事だ…」
自分の利益のためだけではないが、ほぼ当てはまる邪悪なマスコット、きゅうべえのセリフ。キミたちを利用したが、何か問題が? という態度でこうトボける畜生である。

●我、○○ぞ?
「ボケて」という、写メに言葉を付けて遊ぶサイトのヒット作。両手を腰に、笑顔だが横目で誰かを見ている嵐の二ノ宮の下に「あれ~?新人俳優ごときが俺にそんな口きいていいのかなー?嵐ぞ?我、嵐ぞ?」というコメントが。
我、兵長ぞ? というリヴァイや、ふなっしーぞ? や我、英雄王ぞ? など数々のパロディが作られた。

●「ありがとう ごめんなさい」
蒼天航路より。数ある三国志マンガの一つだが、どいつもこいつもキャラが強烈である。特に曹操と劉備は印象深い。でもあの孔明はイヤだw
劉表に世話になっていたが、彼が亡くなり、曹操が攻めてくるので逃げ出すことにした時。その前に劉表の墓を抱きしめて、真顔で劉備が言ったセリフ。
なおその後、全力で走って逃げ出す。
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