それでも我輩はネコである。   作:far

46 / 76
ゆまる氏の 泥の錬金術師 あとがきで次の更新はかなり遅いんじゃないかとあったけど、そろそろ更新しないかな。
オリ主介入系二次創作。


第8話

 我輩たちは遠い目をしているのである。この世界、この目をする機会が多いように思えて、しかたがないのであるが。

 だが、まあ。今回は悪いことではない。

 

 カルデアが、やってきたのだ。

 

 予想を上回って早い。聞けば、ジャンヌがまだ生きていたら、助けられるように。

 そんな思いで、サーヴァント二騎が回復しただけで駆けつけてきたのだそうな。

 

 その意気や良し。結果として、ジャンヌは助けられなかったが、我輩たちの攻勢には間に合った。

 マスターも一人だけだ。オリ主などは混ざっておらぬし、外見も原作通り。

 しかも男だ。ぐだ男だ。これでリヨ化を心配しないですむ、はずである。

 

 ここまでは、良かったことである。

 ここまでが、良かったことである。

 

 なにが悪かったかと、そう言えばだ。

 最初は、連れて来た二騎のサーヴァント、マシュとアストルフォの二人のうちで、アストルフォの方と距離が近かったことか。

 ここで、若干イヤな予感がし始めた。

 

 アストルフォは友好的であるしな。男女の差もあるし、そういうことであろう。

 そう思うことで、イヤな予感を脇へと追いやっていると、ジル元帥とカルデアマスターが、なにやら見詰め合っていた。

 と思えば、視線をいったん外し、相手のアストルフォへと向ける。

 そして再び視線を戻すと、同時に手を伸ばして、固い握手を交わした。

 

「少し小さいけど、あんたもアストルフォが好きなんだな」

「少し育ってしまっていますが、あなたも彼が好きなのですね」

 

 握手が解かれた。そしてにらみ合う二人。

 

「青年までは届いていない、この青少年のアストルフォこそが美しいだろ?」

「少年少女こそが、至高である。私はつい先日、そう悟りましてね」

「よし。徹底的に話し合おうか」

「望むところです」

 

 そういう会話があったのだ。そりゃあ、遠い目にもなろうというものである。

 ぐだ男が、元帥と同類であることが確定した。

 

「キマシタワー」

 

 いや、使い方がおかしいから。そうじゃないから。

 失礼。少しばかり動揺したらしい。

 精神安定剤(タバコ)を取り出し、火をつける。すると横から、意外な人物の声がかかった。

 

「私にも一本いただけますか?」

 

 マシュだった。

 

 えっ。どういうことであるか?

 とりあえず、一本渡して、ライターの火を向ける。

 なんか手馴れた感じで、くわえたタバコに火がついた。

 実はタバコというものは、火をつける時に吸ってやらねば、火がつきにくい。吸ったことがある者でなければ、これは知らぬはず。

 

 えっ。なに、君になにがあったのであるか?

 つらいのなら、ハナシくらいは我輩が聞くぞ? 我輩に言いにくければ、アントワネットもいるであるし、一人で抱え込まない方が良いぞ?

 

 ふーーっ、と大きくケムリを吐いたあと。ぽつりと礼を言って、マシュは語りだした。

 まずは、彼女の生い立ちを。もちろんボカしながらではあるが、語ってくれた。

 カルデアにデミサーヴァントとして生まれたこと。当時の所長やドクター・ロマン、レフ教授、ダヴィンチちゃんやスタッフのこと。

 何も無かった日々。そしてそこから色々と知ってゆく、あざやかに色付いてゆく、されど穏やかな日々。

 そこに現れたぐだ男。

 急転直下する状況。始まると思ったのに、終わってしまう。そんな時に、手を握ってくれた人。

 

 信じた人が ホモ でした。

 

 

 いかん。一時的に目が優しくなっていたのに、一気にすさんだ目になってしまったぞ。

 これは地雷を踏んだな。

 チラリと他の面々のいた方を見たが、案の定、誰もそこにはいなかった。さすがである。

 

 そしてマシュが口を開くと。そこから、流れるようにグチがあふれ出した。

 

 そのあとの冬木でも、今思えばキャスターさんへの態度が少し、おかしかったんですよ。

 それでも、先輩はきちんとマスターはできていましたし、私のことも助けてくれました。

 あの人です! アストルフォさんが来てから、先輩はおかしくなっちゃったんです!

 どうしてですか! 女の人よりも、男の人がいいんですか? 男の娘ってなんなんですか!

 

 

 こういう時、相手を否定してはいけない。その勢いと感情の矛先が、こちらに向いてしまうから。

 しかし肯定してもいけない。勢いが加速するか、じゃあなんでですかと、やはりこちらに矛先が向いてしまうから。

 ではどうするのかって? なだめすかして、大人しくしてもらうのである。

 荒れ狂う御霊(みたま)は、そうやって祭り上げて神社や(やしろ)に封じるものだと、神道でも言っている。

 そういう時に酒が有効であるとも、神話で語られている。ほら、ヤマタノオロチとか酒天童子とか。

 え? あれは退治するハナシ? いやいや。似たようなものであろう。

 

 さあ、マシュくん。タバコを覚えたのならば、次は酒だ。

 水はあるかね? よし、ならばこのブランデーを、少し入れて飲んでみたまえ。少しだけだぞ?

 

「……おいしい」

 

 ふむ。いけそうであるか。ならばもう少し足すといい。

 そうして足していって、ちょうど良いところを見つけると良い。

 酒の飲み方というのは、色々とある。自分のペースで、上手い飲み方を見つけることだ。

 

 まだ恐る恐るというように、慎重に飲むマシュを観察する。

 よし。気がそれたか。かなり落ち着いたな。

 では少し思考の誘導をしておこう。

 

 なあ、マシュくん。アストルフォが好きな先輩とは、仲良くできないかね?

 

 くくく。所詮は、恋愛感情も自覚できておらぬコムスメよ。

 このまま嫉妬で原作の流れがオカしくなる前に、友情方向へ舵を切らせてくれるわ。

 がんばれよ、原作補正さん。

 これが我輩の、援護射撃である。

 

 

 




●キマシタワー
元はキター!をお嬢様風に発言しただけのストロベリー・パニックの涼水玉青のセリフ。
女性同士のカラミや恋愛に反応してのセリフであったので、そういう場面への合いの手として使われる。
しかし作中で使われたのは、実は一回だけ。巨人の星の一徹パパのちゃぶ台返しと同じである。もっとも、一徹パパはOP内でもやっていたので仕方が無いが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。