オリ主介入系二次創作。
我輩たちは遠い目をしているのである。この世界、この目をする機会が多いように思えて、しかたがないのであるが。
だが、まあ。今回は悪いことではない。
カルデアが、やってきたのだ。
予想を上回って早い。聞けば、ジャンヌがまだ生きていたら、助けられるように。
そんな思いで、サーヴァント二騎が回復しただけで駆けつけてきたのだそうな。
その意気や良し。結果として、ジャンヌは助けられなかったが、我輩たちの攻勢には間に合った。
マスターも一人だけだ。オリ主などは混ざっておらぬし、外見も原作通り。
しかも男だ。ぐだ男だ。これでリヨ化を心配しないですむ、はずである。
ここまでは、良かったことである。
ここまでが、良かったことである。
なにが悪かったかと、そう言えばだ。
最初は、連れて来た二騎のサーヴァント、マシュとアストルフォの二人のうちで、アストルフォの方と距離が近かったことか。
ここで、若干イヤな予感がし始めた。
アストルフォは友好的であるしな。男女の差もあるし、そういうことであろう。
そう思うことで、イヤな予感を脇へと追いやっていると、ジル元帥とカルデアマスターが、なにやら見詰め合っていた。
と思えば、視線をいったん外し、相手のアストルフォへと向ける。
そして再び視線を戻すと、同時に手を伸ばして、固い握手を交わした。
「少し小さいけど、あんたもアストルフォが好きなんだな」
「少し育ってしまっていますが、あなたも彼が好きなのですね」
握手が解かれた。そしてにらみ合う二人。
「青年までは届いていない、この青少年のアストルフォこそが美しいだろ?」
「少年少女こそが、至高である。私はつい先日、そう悟りましてね」
「よし。徹底的に話し合おうか」
「望むところです」
そういう会話があったのだ。そりゃあ、遠い目にもなろうというものである。
ぐだ男が、元帥と同類であることが確定した。
「キマシタワー」
いや、使い方がおかしいから。そうじゃないから。
失礼。少しばかり動揺したらしい。
「私にも一本いただけますか?」
マシュだった。
えっ。どういうことであるか?
とりあえず、一本渡して、ライターの火を向ける。
なんか手馴れた感じで、くわえたタバコに火がついた。
実はタバコというものは、火をつける時に吸ってやらねば、火がつきにくい。吸ったことがある者でなければ、これは知らぬはず。
えっ。なに、君になにがあったのであるか?
つらいのなら、ハナシくらいは我輩が聞くぞ? 我輩に言いにくければ、アントワネットもいるであるし、一人で抱え込まない方が良いぞ?
ふーーっ、と大きくケムリを吐いたあと。ぽつりと礼を言って、マシュは語りだした。
まずは、彼女の生い立ちを。もちろんボカしながらではあるが、語ってくれた。
カルデアにデミサーヴァントとして生まれたこと。当時の所長やドクター・ロマン、レフ教授、ダヴィンチちゃんやスタッフのこと。
何も無かった日々。そしてそこから色々と知ってゆく、あざやかに色付いてゆく、されど穏やかな日々。
そこに現れたぐだ男。
急転直下する状況。始まると思ったのに、終わってしまう。そんな時に、手を握ってくれた人。
信じた人が ホモ でした。
いかん。一時的に目が優しくなっていたのに、一気にすさんだ目になってしまったぞ。
これは地雷を踏んだな。
チラリと他の面々のいた方を見たが、案の定、誰もそこにはいなかった。さすがである。
そしてマシュが口を開くと。そこから、流れるようにグチがあふれ出した。
そのあとの冬木でも、今思えばキャスターさんへの態度が少し、おかしかったんですよ。
それでも、先輩はきちんとマスターはできていましたし、私のことも助けてくれました。
あの人です! アストルフォさんが来てから、先輩はおかしくなっちゃったんです!
どうしてですか! 女の人よりも、男の人がいいんですか? 男の娘ってなんなんですか!
こういう時、相手を否定してはいけない。その勢いと感情の矛先が、こちらに向いてしまうから。
しかし肯定してもいけない。勢いが加速するか、じゃあなんでですかと、やはりこちらに矛先が向いてしまうから。
ではどうするのかって? なだめすかして、大人しくしてもらうのである。
荒れ狂う
そういう時に酒が有効であるとも、神話で語られている。ほら、ヤマタノオロチとか酒天童子とか。
え? あれは退治するハナシ? いやいや。似たようなものであろう。
さあ、マシュくん。タバコを覚えたのならば、次は酒だ。
水はあるかね? よし、ならばこのブランデーを、少し入れて飲んでみたまえ。少しだけだぞ?
「……おいしい」
ふむ。いけそうであるか。ならばもう少し足すといい。
そうして足していって、ちょうど良いところを見つけると良い。
酒の飲み方というのは、色々とある。自分のペースで、上手い飲み方を見つけることだ。
まだ恐る恐るというように、慎重に飲むマシュを観察する。
よし。気がそれたか。かなり落ち着いたな。
では少し思考の誘導をしておこう。
なあ、マシュくん。アストルフォが好きな先輩とは、仲良くできないかね?
くくく。所詮は、恋愛感情も自覚できておらぬコムスメよ。
このまま嫉妬で原作の流れがオカしくなる前に、友情方向へ舵を切らせてくれるわ。
がんばれよ、原作補正さん。
これが我輩の、援護射撃である。
●キマシタワー
元はキター!をお嬢様風に発言しただけのストロベリー・パニックの涼水玉青のセリフ。
女性同士のカラミや恋愛に反応してのセリフであったので、そういう場面への合いの手として使われる。
しかし作中で使われたのは、実は一回だけ。巨人の星の一徹パパのちゃぶ台返しと同じである。もっとも、一徹パパはOP内でもやっていたので仕方が無いが。