我輩の身長は、今回も低いのである。ゆえに、女性サーヴァントが非常に目の毒となるのだ。
見上げると、ほら。なんだ。危険と言うか、なんと言うか。
マシュの下半身などは、もう実に危険きわまるものなのだ。デンジャラスである。
アントワネットも危険だが、まだスカートをはいているので、若干まともなのだ。将来的には脱ぐかもしれぬが、現時点ではちゃんとはいている。
彼女たちでこれなら、アレとかソレとかその他諸々のサーヴァントたちは、どうなってしまうのであろうか。
見てみたいような、恐ろしいような。そんな気持ちである。
腰を落として攻撃を受け止めたり、盾を振り下ろしておシリを突き出したり。
そんなこんななマシュの姿を見守りながら、そんなことを考えていた。
戦闘相手は、マルタ、カーミラ、アタランテの女性サーヴァントと、シャルル・アンリ・サンソンとデオンくんちゃんの男性サーヴァント。
オルレアンへと向かう我輩たちの前に、わざわざ真正面から立ちはだかってきたのだ。
しかも、目的も教えてくれた。ファフニールである。
あれの復活を邪ンヌが目指しているらしい。今回の襲撃は、それまでの時間稼ぎなのだそうな。
教えてくれたのはマルタと、獣耳の人ことアタランテさん。
どちらも民衆を虐殺するのが、イヤなのだそうな。当然、それをやらせる邪ンヌのことも気に入らないので、出来うる限りあらがっているらしい。
その割には、だ。どちらも戦いを楽しみにしているのが、見て取れるのであるが。
「オラ、ワクワクしてきたぞ」
「戦うと元気になるなぁ!」
うむ。そんな雰囲気であるな。
我輩がハナシを聞いている間に、男性サーヴァントの方も、因縁があったらしいアントワネットらとハナシが済んだようだ。
よかろう。では、戦うとしようか。
我輩ではなく、我輩の使い魔がなぁ!
とは言えだ。なにが出るかは、本家のネロ・カオスと同じく、その時次第である。これが、自分でも分からぬのだよなあ。
移動用や、戦闘用など、用途くらいは絞れるのだが。
まあ。ガチャみたいなものであるな。FGOゆえに、つきものである。
今回出てきたのは、サメであった。
陸で出てきてどうする。そう思ったが、人間っぽい、たくましい足が二本付いておる。代わりに尾と下半身が無くなっておるが、身体全体のつりあいは取れているようだ。
そして我輩が命じるまでも無く、敵めがけて走っていった。
あちらも少し驚いていたが、すぐさま対応してくる。ひとまずは、マルタの舎弟の竜、タラスクに相手をさせるらしい。
よかろう。ポケモンバトルには覚えがあるぞ。来るが良い。戦ってやろう。
デオンとシャルルは、そのままアントワネットと戦うようだ。モーツァルトがそのフォローを、アストルフォとマシュ、ぐだ男も加勢する。
ぐだ男があちらに行った理由が、デオンくんちゃん目当てではないことを祈る。
イベントバトルっぽいので、このまま放っておいても、きっとなんとかなる気がする。しばし放置である。
というわけである。元帥には、こちらを支援してもらおう。
リリィたちに、アタランテは手を出しにくいと思うしな。
ジークフリートを前衛に。リリィたちで強化と、敵の弱体化を。元帥本人に遊撃を。
我輩? 我輩は、もう一体使い魔が出せるまで、もうちょっと待って欲しいのである。
サメ(?)はタラスク相手に、見事な足払いを決めてひっくり返したものの、そのあと口から出した触手での拘束に失敗。徐々に不利な状態へと持っていかれながらも、なんとか踏みとどまっている。
ジークフリートはマルタに殴られている。ダメージは少なそうだが、一方的に殴られ続けている。
なにあれ怖い。
味方のカーミラとアタランテもドン引きしている様子なのであるが、あれでいいのであろうか。
胸の谷間が丸見えな衣装で暴れておるので、ばいんばいんと暴れておるのだが、あれでいいのであろうか。こう、聖女的に。
案外、ジークフリートが殴られ続けている理由は、目の前のそれに気が取られているせいであったりするのやも知れぬ。
うむ。あれならば仕方が無い。
カーミラは女性特攻の宝具を持っており、それを使おうとしたのであるが、
と、いうのもだ。
こちらの面々で、女性がジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィしかいなかったのであるな。
彼女を狙ってしまうと、キレてしまうジャンヌ好きがいたわけで。
まあ、元帥はジャンヌがいなくなることにトラウマを覚えていそうであるし、仕方が無い反応と言える。
このまま倒せてしまえそうなので、彼に任せるのである。
アタランテは、そもそも積極的に戦っておらぬ。
こちら側を観察しているようだが、時折矢を飛ばしてくるくらいで、今のところ目立った動きは無い。
それでも十分に脅威ではあるのだが。おのれ、アーチャーのくせに弓矢を使うとは卑怯なり。
なお我輩の二体目の使い魔は、いつぞやのブタであったが、彼女にすぐさま狩られてしまった。
魔獣か神獣のイノシシすら狩る狩人にとって、ブタなんぞはエモノでしかなかったらしい。
だが時間は稼げた。
アントワネットらの決着が付き、こちらへと戦力が割り振られたのだ。
そこに無差別で襲いかかる、耐え難い奇声―――エリちゃんの歌。
どこからか現れ、マシュに襲いかかる叫び声―――ランスロット。
二つの声の不協和音に苦しみながらも、宝具を仮想展開。守りを固めるマシュが、黒い騎士の攻撃を受け止めた。
「戦いなんて下らないわ! アタシの歌を聴きなさーい!」
そんなトークをはさみながらも、歌うのをやめないエリザベート。その顔には輝かんばかりの、笑顔が浮かんでいる。
いい笑顔であるな。怒りしか覚えないが。
「音楽を―――ナメるなぁっ! カルデアのマスター! 令呪をヨコセェェー!!」
だがしかし。生粋の音楽家には、怒りを通り越して殺意を覚えさせるほどであったらしい。
悪魔のような顔をして、モーツァルトがそう叫んだ。
そして空気を読んだぐだ男によって、令呪は使われてしまい。その場に、レクイエムが流れ出した。
「これは死神のための、そして私のためのレクイエム。しかし今は、お前のための
エリちゃんが苦しんでいるが、まあ、彼女は種類豊富にこのあと色々出てくることである。あれが最後のエリちゃんではない以上、第二第三のエリちゃんを仲間にすれば良いだろう。
一応、マルタやカーミラ、アタランテ。ランスロットにも効果は及んでいるようだ。
見るからに苦しげな表情で、動きも悪くなっている。
好機を逃さず、ジークフリートと元帥が攻勢に出て、マルタとカーミラを討ち取った。
宝具は対象外なのか、タラスクは元気でサメを倒してしまっていたのだが。マルタが消えると、同じくその姿は消えていった。
マシュもランスロットを盾で殴っている。
一つ殴っては、気持ちのよさそうな顔をして。二つ殴っては、その気持ちよさにケゲンな顔をして。
この人を殴るとスッキリするのはなんでだろう? そんな顔をしながら、それでも殴る手は止まらない。
そのなんとも言いがたい光景に、誰も手が出せないでいる。
あれはもう、しばらく放っておくしかないだろう。
だいぶんストレスもたまっておったし。アレで発散してくれるのであれば、それはそれで、きっと良いことである。
アタランテは、我輩の三番目と四番目の使い魔が討ち取った。
ブタの次に出てきた、短距離を瞬間移動するかのような動きを見せる、トラのような生き物が注意を引きつけた。
その間に半透明なクラゲのような身体で、人型の宇宙人とでも言うべきナニカが取り付き、動きを封じた。
そしてトラがトドメを刺す。狩人が、獣に敗れる。皮肉な結果ではあったな。
彼女には、見逃してもらった借りがあった。ありはしたが。
彼女をこちらへ寝返らせるには、普通の聖杯戦争ならばともかく、このグランドオーダーでは不可能であった。
ゆえに、こうするしかなかった。残念である。
そうこうするうちに、マシュもランスロットを倒せたようだ。
なあ、聖杯くん?
「なんだい、ネコカオスくん」
ここで六騎。我輩が倒したジルを含めれば、七騎そろったな。
「うん。そろったね。これでボクの願いが―――」
いや。願いが叶えられるのは、我輩だ。
キミは願望器だからね。キミ自身よりも、使うものの願いが優先される。そういうものであろう?
「そんな、待って! あっちの聖杯を改造して、ボクの恋人を作ろうという完璧な計画がー!!」
うむ。正直、キミの同類が増えても、みんな困るだけだと思うんだ。
だから、こうするのが、きっと世のため人のためである。
それが我輩の、ヴィランとしての信条であるし。
さあ、聖杯くんよ。我輩の願いを叶えたまえ。我輩を、元の世界へ戻したまえ―――!
●「オラ、ワクワクしてきたぞ」
ドラゴンボールより。強い相手と戦うと楽しいという、戦闘民族サイヤ人の業。それをオブラートに包んだ言葉である。
●「戦うと元気になるなぁ!」
∀ガンダムより。絶好調、もとい「月光蝶である!」を始め「オ・ノーレ!」「我が世の春が来たー!」「インド王を渡してやる!」「このターンXすごいよ!さすが∀のお兄さん!!」「地球人になァ、∀の復元など、出来るわきゃねぇだろぉぉぉっ!!」「マニュアル通りにやっていますって言うのは阿呆の言うことだぁ!」「戦場でなぁ、恋人や女房の名前を呼ぶ時というのはなぁ、瀕死の兵隊が甘ったれて言う台詞なんだよォ!」など、数々の名セリフを放ったギム・ギンガナムのセリフ。子安ヴォイスが濃い目のいい味出してます。
本編で、復活フラグが立ったまま封印中。