第1話
我輩は術の習得中である。火や水などの、サガ式の術法ではない。吸収の法という、危険度が高そうなアレである。
我らの仲間になるのならば、覚えておけ。とはノエルの言葉。
うむ。客将扱いではあるものの。我輩、悪役のボスの群れの仲間入りである。
最初は問答無用で、エサ扱いであったがなあ。
我輩のガワが引き続きネコカオスのままであったので、獣系のレアモンスター扱いされて、ダンターグに吸収されそうになったのであるな。
まあ、気持ちは分かる。
彼らのように、モンスターをその身に取り込んで強くなる能力を持っておって。そして見たことが無いモンスターが、目の前に現れたなら。
そりゃあ、吸収しようとするだろう。それが収集家というものである。
「誰だってそーする。僕もそーする」
実際にそんな声が聞こえた。
多勢に無勢。我輩も抵抗はしたのだが、一人ではかなわず。とうとう吸収されようとした時だ。
ああ。二度目の人生もこれで終わりであるか。まあ、楽しかったなあ。まだ生きたいなあ。
そんな諦めとともに、ダンターグの大きな身体に押し付けられ、取り込まれていったのであるが。
これがサッパリ、苦しくもなんとも無かった。
吸収されておるような、熔けていく感じも、意識が消える感覚もまったく無い。
むしろ、これ。こちらが侵食しておるような。
そう思ったところで、ひっぺがされて、地面に叩きつけられた。
そしてそこから尋問である。扱いがひどいと思わぬか?
聞かれたことは、多くは無い。お前はなんだ? 知っていることを話せ。この二つである。
全部、教えてやった。
我輩のことは、別の次元の生き物であるとだけ言っておいたが。これは正直、自分でもどう説明してよいのか、わからなかったからでもある。
まさか二次創作のオリ主です、で伝わるとは思えぬからなあ。
他の事は、覚えている限りをブチまけた。
仲間の古代人のために立ち上がったのに、最後にこの世界から引越しする時に、追放されたのを知っておること。
その古代人の引越し先の手がかりが、アマゾネスのいるジャングルの塔に、おそらくは存在すること。
あと遺跡が各地にあるので、そこになにかあるかも。
この世界に残った古代人もいて、どっかの山に村があるらしい。そいつらなら、行き先の座標を知っているかも。
この世界は、普通の人間が生きる世界になっている。彼らは、いまさら古代人だから従えと言っても、無視するだろう。
無理やり従えようとすれば、当然反抗する。我輩のように。
そして残った古代人が、それを利用するだろう。同化の法を、少しばかり変えて教えたり。他の技術をコッソリ教えて。
さて、我輩の知っておることは、こんなところであるが。
ワグナス! これを知って、どうするであるかね?
ところでキミ、男であったよね? なんでオッパイがあるのであるか? しかも、むき出しで。
ああ、吸収するモンスターを飛行系にしぼったので、ハーピーなどが多かったせいであるか。イヤな副作用であるな。
もしや、アレも無くしてしまっ―――
スイマセン。言い過ぎました。落ち着いてください、お願いします。
ヤバイ。地雷を踏んだか。
女のような顔であったのが、一瞬で男のようになったぞ。危ないところであった。
あ、はい。なんで知ってるかですね。
未来予知みたいなものであります。昔に、聞いたことがあったので。
いくつかの展開があったようですが、なにぶん昔のことなので、あまり覚えてはおらぬのですよ。
いや、本当に。
ただ、クジンシーがムダに人間の町や国を襲って、しかも七英雄だと名乗ってやってしまいまして。
七英雄は危険な存在だと、人間に認識されてしまって。そこから立ち上がってきた皇帝によって、七英雄が全滅する未来もあったようです。
ソウルスティール? 見切られてましたよ。
自分が死んだら、誰かに技や術などの力を託す。そんな同化の法ならぬ、継承法でもって、ソウルスティールを食らって死んだ経験を受け継ぎ、見切っていたようですね。
それで、ほら。ソウルスティール抜きのクジンシーって、ねえ?
このハナシには説得力があったのか、クジンシーは皆に「お前ロクなことをしないな」という目で見られておる。
普段の言動が知れるというものだ。
「仕方が無いだろう! 俺の吸収する対象は、そこらにはいないんだ! だからあんまり強化できないんだ!」
本人は強さのほうを言い訳しておったが。
ふむ。何でもかんでも吸収しておっては、さすがに身体が持たぬのか。
マンガだか、小説のほうで。戦い始める前の、本当のお前はどこにいってしまったのだ、とモンスターだかに言われていたらしいし。
七英雄は、ノエルとロックブーケ以外は身体がほぼモンスターと化している。
そうなるまでに、吸収をしてきたモンスターの数は、どれほどか。それがもたらす、意思や精神への影響は。
はたして。彼らは今も、英雄でいることができているだろうか。
情報は、渡した。このあとの彼らの行動で、その答えは出るだろう。
さて。我輩はどう動こうか―――
―――って、えっ? なんですありますか、ダンターグさん。
お前、今日から俺の舎弟な。って、えっ? なんで?
俺の一部を吸収したから? えっ、なにその理屈。
まずは吸収法を覚えるところからだな。って、待って。ちょ、待って。
ワグナス! あきらめた顔をするなワグナス! 我輩の危機であるぞ!?
●「誰だってそーする。俺もそーする」
ジョジョの奇妙な冒険第四部より。京兆アニキのセリフ。語感の関係か、ネット上ではしばしば「俺だってそーする」となっているが、これは間違って覚えているのか、それともコミックスの重版の過程で変わったのか。
●ワグナス!
ロマンシング・サガ2コミックス版より。ノエルのセリフ。七英雄の生前(?)の人間の姿でのやりとりが書かれた2ページが元ネタ。さんざんセリフを変えたコラが作られた。ワグナス!今日の夕飯なに?わかっておったろうにのう、ワグナス。イモのテンプラはごはんに合わない。