我輩は猫である。と思う。
そうであるはずなのである。
だが、こうして。すその長い、大振りな改造学生服を着させられて。
ハチマキを頭に巻き。よくわからぬ文字の書かれた旗を持たされて。
ぶおんぶおんと、うるさい二輪車に乗せられて、運ばれておるとだ。
さすがに。自分というものについての、疑問がわいてくるというものではなかろうか。
我輩は、何をやっておるのだろう。
そう心の中で、しんみりとつぶやいてみたが。
なぜだか なめんなよ という単語が浮かんでくるだけであった。
「理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って 、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ」
いや。さすがに、わけがわからなさすぎるのである。
なにがどうしてこうなった。
いや、確かにこうなる引き金を引いてしまったのは、我輩であるけれども。
「ボクは悪くない」
そう、思うのだ。
我輩は、ただ。
しゃべる猫という、不可思議な生物を普通に受け入れてくれた。そんな気のいい村人たちに死んで欲しくはなかっただけなのだ。
緋の瞳という、極度に興奮した時に綺麗な色に染まる目の持ち主たちであり。
緋色になった時に殺せば、目はその色のまま固定されるので、狩られる対象である。
我輩は、彼らがそんな一族だと気付いてしまった。だから。
うろおぼえの原作知識で、念という謎技術を教えてみた。
その結果。なんか別の作品の技術を覚えてしまったけれども、強くなったから問題ない。はずである。
幻影旅団という、強い盗賊集団が襲ってくる。と告げてみた。
その結果。更なる強さを。と、若手の一人がとんでもない事をしでかした。
旅団のひとりに。その方が強力になる気がする。そんな理由で、自分の指の先端を全部切り落とした男がいる。
そして実際に、彼の技は強力になった。
この話を元にして。とんでもないモノを切り落としてしまったのだ。
なんというかね。うん。モノなんだ。
そう。アレだ。アレをね。切っちゃったんだってさ。
それを初めて聞いた時。
なぜか ゼパる という単語が頭をよぎり、そう口にしてしまった結果。
彼はセヴァールと呼ばれるようになった。いや、そんなところで変な補正はいらないのである。よその原作補正さん。でしゃばらないで。
なお彼の名前は、クラピカらしい。
こっちの原作補正さん。がんばって。こんな結果になったけど、がんばって。あとは任せたのである。
閑話休題。
で、なんであったっけ。
我輩が、二輪車で運ばれておる理由であったっけ。
幻影旅団と戦ったら、勝てるかはわからぬし。勝てたとしても、犠牲が出る。
ならば逃げよう。
そういう事になったのだ。
そして、それまでなぜかいなかったはずの、独特な髪形をした。どう見てもクルタ族でもクルダ族でもなさそうな男が、どこからともなく沢山の二輪車を持ち出したのだ。
村人たちは、その不可思議な現象を普通に受け止め。大移動を開始した。
キミら、懐深いな。
我輩は、事態の推移についてゆけず。固まってしまっておったらしいというのに。
我輩が気付いた時には。すでに荷造りして、行き先を決めて、走り出してしまっておった。
我輩もついでに荷造りされたらしく。妙な格好をさせられておったが。
なお。行き先は、天空闘技場であるらしい。
そんな人目が多いところで、大丈夫か?
そう思わぬでもないが。彼らなら、なんだかんだで、大丈夫な気もする。
むしろ。我輩が大丈夫ではない気がしてきた。
だって、ほら。我輩は、念をまだ覚えられてないし。
だが。まあ、なんだ。
クルタ族は、クルダ族に変わってしまって、ある意味絶滅しているわけであるし。
あとの展開は、原作補正さんに任せるのである。
頼んだぞ。原作補正さん。我輩は、あなたの事を信じているのだから――――
●クルダ
影技と書いて、シャドウスキルと読むマンガより。
肉体が頑丈な戦闘民族。手足をぶん回して、真空を発生させて殴る人々。
セヴァールは、その中でヨコヅナ的な人。
●なめんなよ
昭和の時代。ヤンキーな格好をした猫たちのキャラクターが存在した。らしい。