なぜかシーンが思い浮かんで、書き出したら一気に出来上がります
アリ編はエサになる未来しか見えないので、多分ここまで。のはず。
我輩は猫であった。
過去形である。
名前はまだなかった。
これもまた、過去形である。
今まで我輩は、いくつもの世界で。いくつもの人生を歩んできた。
中には。人生というのには、短すぎるものもあるが。
どれもこれも、短いわりには濃かったので。人生と言い切る勇気には、不自由せぬ。
それでだ。それぞれの世界で。我輩は別の姿を取ってきた。
基準は解らぬし、自分で選べた試しはないのであるが。
そして最初の。もしくは、二度目の。
ネコとしての人生では最初の。ヒトとしての人生では二度目の。
あのヒーローとヴィランのおる、僕のヒーローアカデミアの世界のみを別として。
我輩は。何らかの元ネタのある、猫系のキャラクターの姿となっておった。
この世界でも、そうであったらしい。
つい先ほどまでは。何のキャラクターであるかは、気付いておらなんだのであるが。
我輩は、マタムネである。
シャーマンキングなる漫画に登場した、ラスボスの前々世の飼い猫である。
いや。前々前世だったかもしれぬ。
ともあれ。死後に精霊化して、ラスボスの子孫の持ち霊として、ラスボスの前世に挑んで勝利した。前作主人公の仲間とでも言うべき存在である。
能力としては、バカでかい刀を具現化できる。そして刺す事で、霊的な存在を、克殺なる方法で除去する事ができるようだ。
まあ、平たく言うと除霊なのである。
でもそれってこの世界だと、除念って言わないか。
あとマタムネは、千年前のラスボスの力で具現化していて。力を使い切ったら消滅しておった。
我輩もそうではないという、保証はどこにもない。
だがしかし。その辺のことは、ひとまず置こう。
考えても、おそらく答えは出てこぬ。いつもの如く。行き当たりばったりで、何とかするしかあるまい。
さし当たっての問題は、だ。
そこに。我輩の死体があるじゃろ?
尻尾が二本ある以外は、何のことはない。普通の猫の死体であるのだが。
マフィアやら。ゾルディック家やら。クモの旅団やら。クラピカやら。
その他諸々の。居合わせた者たちの抗争に、巻き込まれてしまった結果である。
それで死んだと思えば、こうして幽霊のようになって。
和服を着込んで、キセルをくわえておって。
そのキセルに、力を注げば。柄だけで、成人男性の身長ほどはある巨大な刀が出てきたわけで。
それで、ようやっと。今世の己というものを知ったわけだ。
うん? それはそれとして、抗争が気になる?
というか、お前、死ぬのかって?
失敬な。我輩とて、死ぬ時はアッサリと死ぬのである。たぶん。
なぜか自信を持って、断言はできぬが。
それと、抗争であるが。
まず。舞台はヨークシンである。これは原作補正さんが、頑張った結果だと思われる。
ただ。頑張りすぎたのであるな。
まず大前提として。クラピカは復讐に生きておらなんだ。
だってクルタ族は、クルダ族として、天空闘技場でもはや名物となっておるし。
クルダ族串焼きや、クルダまんじゅうとか売ってるらしいぞ。
だからクラピカは。復讐する相手、クモを探してはおらなんだ。
はずであった。
旅団がどこからか。ヒソカが旅団には入ったフリだけしておる、偽りの仲間であると聞きつけて、彼を始末するまでは。
どこから聞きつけたのであろうかなあ。
我輩には、とんと覚えが無いのである。
と、いう事にしておこう。
しておいてください。お願いします。ほんの出来心だったのである。
完全犯罪だから。何人たりとも、我輩の仕業であるとは気付けないから。
だからセーフ…! 圧倒的セーフッ…! 犠牲者はヒソカだから、社会的にもたぶんセーフ…ッ!
はなしを、もどそう。
ヒソカが亡くなったのは。
快楽殺人の異常者がひとり、世間から消えた。そういう事であったのだが。
それだけでは、終わらなかった。
彼にも、友人がおったのだ。
クラピカである。
友人だった。という事にしておこう。
ユウジョウ!
そういう事である。いいね?
しかもだな。
ヒソカのヤツがなあ。最初から裏切るつもりであったのがバレて、粛清されたというのを、クラピカには隠し通して死におってなあ。
「キミのためだよ☆」
などと、テキトーなウソを吐いてから死におってなあ。
もうクラピカの中では、ヒソカの株の上昇が止まらないのである。
なにせ『大事な人』である自分のために、仲間であったはずの旅団を裏切ろうとして殺されてしまったのだ。
愛のために戦い、死ぬヒソカとか、どういう事なのであろうか。
別に我輩は、彼には直接はほとんど関わっておらぬのであるが。
まあ。それはそれとして、だ。
友人の敵討ちへと動いたクラピカであったが。そこへ助っ人が現れたのだ。
それが、ゾルディック家である。
キルアの兄のひとり、イルミ。彼も、ヒソカの友人、のようなもの、であったらしい。
格安での、クモの抹殺依頼を持ちかけてきたのだ。
なお。旅団は、ゾルディックの当主が割に合わない、というほど手強い相手である。
だというのに、格安になった理由であるが。
ヨークシンのオークションの出品物を、丸ごと盗もうとしているというタレコミが、マフィアにあったらしいのだ。
そして、なにやらそれを裏付けるような予言もあったらしいので。旅団相手への暗殺依頼が、ゾルディックへと出ていたのだそうな。
つまりは。ただの料金の二重取りであるな。
少し前まで、クラピカらはゾルディック家で、なんやかんやしておったらしいので。
仕事に巻き込んでも、殺さない。むしろ味方をしてやる。
そういう心遣いだったのかもしれないが。
しかしながら。マフィアにタレコんだのは、誰であろうか。
これは本当に、我輩に心当たりはないのだが。
そこらへんのことを、ポロッとレオリオあたりに話した覚えはあるが。彼にマフィアとのつながりなぞ、無かったはずであるしなあ。
はてさて。
町のあちらこちらから、銃やら爆発やら悲鳴やらが聞こえるし。まだ、抗争は続いておるようだ。
力は手に入れたが。積極的に使っていくのは、やはり性に合わぬし。
何より、寿命が縮むやもしれぬから、ナシである。
ふうむ。
とりあえず。
自分の遺体を自分で埋葬するという、稀有なる経験でもするとしようか。
面白くはなさそうだが。人生、何事も経験であると言うし。
だがここ、都市なのであるよなあ。
どこか、埋められるような場所は、近くにあるだろうか?
●ユウジョウ!
ニンジャスレイヤーより。外人が思い描く、勘違いしたニッポンを全力で再現するマンガに登場する、アイサツの一種。
アイサツは、ジッサイダイジ。