それでも我輩はネコである。   作:far

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第6話

 我輩はにゃん太である。で、あるからして。色々とやらかしたネコなる人物とは、係わり合いがないのであるな。

 つまり我輩は無罪である。オーケー?

 

「オーケイなわけないだロ。せめて口調くらいは変えなヨ」

 

 む。心外な。変えておるぞ。普段の我輩ならば、オーケーなどという横文字は、極力使わぬ。

 違う、そこじゃない? もっと根本的に変えろ?

 それはイヤであるな。我輩はあまり自分というものを曲げたくはないのである。

 

「ミクは自分を曲げないよ!」

「俺様は俺様だ。ただひたすらにオレサマだ!」

 

 ただのワガママ。下らぬこだわりではあるがね。

 誰にだって、そういうものはあるものであろう?

 

「じゃあ、何で今は偽名を名乗ったのサ」

 

 思ったよりも、事態が混沌としてしまったのでなあ。少しばかり、目をそらしておきたかったのだ。

 ほら。誰にだって、そういうものはあるものであろう?

 うむ。現実逃避だよ。わかるだろう?

 

 わからなくもないけどサ。そう言った彼女の名前はアルゴ。たびたび我輩に会いに来ては、会話で情報を仕入れようとする、情報屋さんである。

 黒猫団に具体的な警告をしたことで、我輩をアインクラッド内部の情報を渡してくれる、NPCかなにかだと思ったらしい。

 そして物は試しと、やって来たのが、この間のアレである。

 

 その結果。我輩のウワサに、ヤバイやつかもしれないという内容がくっついた。

 奇妙なプレイヤー。バグがいつまでも直されない。ダメージを完全にカットする上に壊れない盾。たまに意味深なことを言う。などのウワサに加えて、である。

 

 我輩の正体が茅場という説は、そこから飛躍したものである、らしい。

 らしい、というのは。さすがにウワサの流れを完全に追うことは、情報屋アルゴにもムリだったからだそうな。

 

 なお。あの時にアルゴに頼んだ、正式ヒロイン予定のアスナさんに流した情報。主人公キリト、死ぬはずだったが生き残ったヒロインサチと同棲始めました。というお知らせだが。

 少し、思ったのとは違うことが起きてしまった。

 と、言うのもだ。まだこの頃のアスナさんは、一刻も早く攻略を、という使命感。というよりは強迫観念に駆られていて、キリトとうまくいっていなかったはずであった。

 ところがだ。この情報を聞くなり、なにやら、どこかからヘンな電波でも受け取ったのか、突如「泥棒ネコー!」と叫びを上げて、サチに食って掛かりだしたのだ。

 二人の家の場所が、第二十二層の釣りが出来る、あのあたり。つまりは、原作でアスナさんが将来キリトと同棲する場所であったのが、マズかったのであろうか。

 それとも、原作補正さんが誤作動でも起こしたのであろうか。

 

 まあ、これはキリトの周りでラブコメ度が上がっただけとも言えるので、問題は無いと言えば無い。

 むしろ、このままヒロインの座をめぐる争いに、正妻さまが参加すらせずに消えて行く。そんな可能性が無くなった分だけ、良かったのではなかろうか。

 

 問題は、前回キリトに投げた、茅場はプレイヤーの誰かだという、あの情報である。

 

 うん。なんかね。

 疑心暗鬼が、広がっちゃってね。

 一部では、その、なんだ。なんと言ったら良いか。

 え~~。あ~~。うん。魔女狩り。

 そんなことが、起きてしまったらしいよ?

 

 キバオウという人が関わっているらしいが、狩った側か、狩られた側かもわからない。

 騒動が突発的にあちこちで起きて、事はもう、大混乱と言っていいらしい。

 事態を収束するべく、最前線の攻略組すらも、一時攻略の手を止めて動き始めたのだそうな。

 

 違うのだ。

 

 ここまで大事になるとは、思ってもいなかったのだ。

 ただキリトが頭の片隅にでも、この情報を置いておいてくれたら。原作と違う展開になっても、あの場面でひらめいてくれるはずだと、そう思って伝えただけなのだ。忠告のつもりであったのだ。そう。

 

 良かれと思ってぇ!

 

 こうなったらもう、茅場を売るくらいしか、解決策は思いつかぬが。

 その場合、ヤツは逃げ出すだけで、原作のように一騎打ちなど受けてはくれぬであろう。

 つまり。ゲームクリアには、百層まで行かねばならないことになる。

 そうならないためには、何をどうすれば良いのか――――――

 

 うむ。我輩には、思いつかぬな。

 で、あれば。誰かに聞いてみるしか、道は無い。

 

 アルゴくん、アルゴくん。すこぅし、相談があるのであるが。

 情報料として、茅場晶彦のプレイヤー名を教えるから、一緒に考えてはくれぬかね?

 

 

 




●「ミクは自分を曲げないよ!」
アイドルマスターシンデレラガールズより。猫耳アイドル前川みく。CD第二弾に選ばれた彼女の、ドラマパートでの発言。魚が嫌いでネズミが苦手など、ネコキャラ? と自分の売りを疑われた時に放ったセリフ。AA化がやたら早かった。アニメでもこのセリフは採用された模様。
なお「え……ひどくない?」のセリフも彼女のものである。

●「俺様は俺様だ。ただひたすらにオレサマだ!」
ブラックロッドシリーズ、ブライトライツ・ホーリーランドより。武装坊主ガン・ボーズ。巨大な杖を持つ捜査官。魔法+サイバーパンクな、シャドウランと似たコンセプトながらも、東洋色が強く、各地のアーコロジー以外に生き残った人はほぼいないという世紀末。そんな中、他人の命など屁とも思わぬ、暴虐を振るう魔人GGスレイマンのセリフ。ただひたすらにユニーク。
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