それでも我輩はネコである。   作:far

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小ネタの短編です。


オマケ4 鬼滅のナニカ

 我輩は危機に陥っているのである。

 

 うむ。間違いなく、今までの様々な、やたらめったらと種類が多く。まこと、変化に富んだ我が人生で、最大のものである。

 少なくとも。今、経験したことがあまりない程には、苦しんでおる。

 

 仏蘭西百年戦争に、サーヴァントとして呼び出された、あの時の。

 知識を一方的に、ひと息に、配慮や加減というものなど無しに流し込まれた、あの時のような。

 絶え間なく、いついつまでも痛みが続き、終わりが見えぬ。そんな苦しみだ。

 

 だが、しかし。

 

 あの時は、瞑想の個性が使えた。

 痛みから逃げては捕まり、逃げては捕まり。そうやって終わりまでを、なんとかかんとかやりすごせておった。

 

 今は、使えぬ。使っては、まずい。はなはだまずい。

 

 

 目の前に、こちらを虫ケラほどにも思っておらなそうな、無惨さまがおるじゃろ?

 

 

 この人の前で、何か想定外の事をやってしまった場合。

 

 

「のび太のくせに生意気だ」

 

 

 こうなってしまう可能性がある。わりと高い可能性であると思う。

 それが良い事であるのか、悪い事であるのかは。まあ、関係なかろう。彼の気分の問題だからだ。

 彼の、数少ないお気に入りがやった事であるならば。まあ、機嫌が良くなる可能性が出てくるのであるが。

 それも、可能性が出るというだけであり。その場の気分とノリと勢いで、反応と処置が変わるのであろう。

 

 というわけで。

 この世界にやって来て早々に、無惨さまに見つかり。

 

「ふむ。変わった猫… 猫? だな。よもや妖怪……か? 初めて見たな」

 

 そんな具合に、興味を持たれてしまって。

 物は試し、とばかりに血を注がれて。

 なぜだか、ものすさまじい拒絶反応を示しておるのが、今である。

 

 ところで。

 なんか、視界の端っこにちっちゃい娘さんが見えるのであるが。

 二頭身半くらいの。水兵帽にセーラー服の娘さんなのであるが。

 軍艦な娘さんらを収集するアレで、見かけたっぽいのであるが。

 

 うむ。だいたいはわかっておったが。

 どうやら今回の我輩は、エラー猫であるらしい。

 

 ところで。

 

 アレは我輩の本体なのであろうか。それとも、単に痛みから見える幻覚か。

 どちらにせよ、助けて欲しいのであるが。

 

 あっ。逃げた。

 

 逃げる前に、すまんなと動作で示していたが。

 すまんと思うなら、逃げるなと思う。せめて助けを呼んでくれれば良いなあ、とは思うが。

 思うのだが。

 

 あんな生き物に、助けを求められて。よし、わかったと駆けつけてくれる人など、おらんだろう。

 そうも、思うのだ。

 そもそも、常人に見えるのか怪しいものであるし。

 というか、無惨さまにも見えていなかった気配もあるし。

 まあ。望みは薄いな。

 

 さて。

 

 いよいよもって、危うくなってきた。

 体が、意思によらずして、ぴくりぴくりとけいれんする。

 呼吸がうまくいかぬ。息を吸うのも、吐くのも、思うようにいかぬ。

 目の前がちかちかとする。白い光りが邪魔で、ものが良く見えぬ。

 今までの経験から、理性だけを切り離し。痛みやら何やらから、叶う限りは目をそらしてきたのであるが。

 その理性も、もはや霞がかかってきておる。

 

 無惨さまも、これはダメかと見切りをつけて、トドメを刺しに来そうであるし。

 どうすればいいのであるかなあ、これ。

 

 というか。何ができるというのであろうか。

 

 だって、エラー猫であるぞ。我輩、エラー猫であるぞ?

 単に。ゲームの進行中に、エラーが出た時に表示される。ただそれだけのものであるぞ?

 いったいぜんたい。そんなキャラクターで何をしろと……

 

 …………

 

 エラー猫。

 

 つまり。

 エラーが起こせる?

 

「いや、今のその拒絶反応がエラーじゃないの」

 

 こっちへは来ていないはずの、聖杯くんの声が聞こえた気がした。

 そして確かに、我輩もそんな気もしたが。

 今は、そっちへとかまけておる余裕などはない。

 全力で、祈り、願い、念じる。

 

 

 エラーを起こせ、無惨さまの血よー!!

 

 

 ……あっ。少し楽になった。

 よし、もっとだ。もっとエラーを起こすのだ。

 

 ふむ。そういえば。

 

 無惨さまの血は、相手を鬼に変えるが。鬼には血鬼術という特殊能力が生えてくるのであったな。

 それも念能力のように、個々に異なったやつが。

 

 

「そうか。そういう能力にすればいいんだ」

 

 

 未だなった事はない、もしかすれば、この先なるやもしれぬ。

 とある世界にいた、アリなのに猫という謎生物。彼だか彼女は、そう言った。

 

 ならば我輩も、そうしよう。

 

 日光浴可能で、無惨さまの呪いとかも無効になーれ。

 

 

 

 

 

 そして。この願いは、叶った。

 

 のであるが。

 

 その、なんだ。

 

 

 それを察した、無惨さまに。即座に取り込まれてしまってね…?

 

 

 うむ。無事、死亡。というやつであるな。

 ただ、無惨さまもその後、無事死亡したらしいがな。

 

 日光を克服して、人間に戻ったぞ! と喜んでおったら、うっかり寿命も人間並みになっていったそうで。

 それに気付いて。もう一度鬼になるのだ! と研究はしたらしいのであるが。

 

 青い彼岸花ひとつ、千年かけて品種改良する事も、栽培条件を探る事も、出来なかったあの人が出来るかというと、ね?

 むしろ、それらを思いつきすらしなかった可能性すらあるのだぞ。

 

 しかしさすがは無惨さま。毎度毎度思い付きで行動して、痛い目に遭って、まったく反省も成長もしていない。本当にさすがである。

 

 さて。

 

 座に帰って来て、死後の顛末も確認した事であるし。

 鉄砲玉どころか、相手に食わせる毒として放り込んでくれた上司(アラヤ)に、文句を言いに行くとしよう。

 やり方がわからぬので、退職は出来ぬが。

 労働条件や、労働環境の改善くらいは求めても良いと思うのだ。

 

 そうだ。エミヤさん(社畜)誘おう。

 いや、他にもあのクソ上司に文句がある英霊は、たんとおるはずだ。

 いっそ組合でも作ってやるのである。団結権の行使である。

 あとは団体交渉権を行使するのだ。場合によっては、団体行動権も行使するぞ。

 

 よーし。これは、面白… もとい、忙しくなるぞ。

 ゆくぞ聖杯くん。革命である。

 

 

 




●「のび太のくせに生意気だ」
ドラえもんより。ジャイアンの代表的な台詞のひとつだが、こういうの良くないよな、と子供心に思いつつも、口にしたり思ってしまったりする自分がいるよね。反省。

●アリなのに猫という謎生物
ハンターハンター、キメラアント編より、ネフェルピトー。女っぽいけど性別不肖。
シュレディンガープレイ、と言ってネタが通じる人はいるんだろうか。どっちでもいい。

●エラー猫
艦コレより。通信エラーの時に、君は彼女らと出会う。
鯖=サーバを食い荒らすネコを捕まえて、ドヤったり恥ずかしがる娘さんと、捕まえられたネコのセット。
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