それでも我輩はネコである。   作:far

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なんか最終回っぽい締めになった


我輩はネコである ダイの大冒険編

 我輩は驚愕しているのである。

 全身の毛という毛が、頭の先から尾の先まで。ヒゲに、尻尾までもがピン、と立ってしまっておる。

 目は大きく開かれて、これ以上開けたら、目がポロリ… と、こぼれてしまいそうなほどだ。

 

 ダイの大冒険

 

 そう呼ばれた物語の世界。

 その世界の、あまりの変化に。我輩は身を震わせて、犯人である上司(アラヤ)に問うた。

 

 なぜ、こんな事を。と。

 

 

「よ…」

 

 

 よ?

 

 

「良かれと…… 思って……!」

 

 

 

 そうか。

 これが、この気持ちが。

 今まで我輩が、この台詞を口にしたのを聞いた、相手の気持ちであるか。

 

 理解したくは、無かったであるなあ。

 なにこの、やるせない想い。

 

 

 

 事の始まりは、我輩の抗議であったそうな。

 

 もう食材か薬のように、相手に食わせるために送りつけるのは止めよ。

 さもなくば、適当に剪定世界を旅して回るぞ。聖杯くんと、英霊、守護者の有志たちと一緒に。

 いいのか? 何かよくわからないものを拾ったり、剪定世界ではなかった事にしたり、集合無意識である上司にまで、何か影響を及ぼしたりするぞ。

 我輩たちは本気である。

 

 というか。もう、旅行の準備は皆、出来ておる。

 

 後は旅立つだけだ。

 ただ。しかしだ。

 旅先での行動の、指針やら。方針やら。心がけなどというものは、だ。

 この後の、お前さんの答えにかかっておる。そう、心得よ。

 

 もう我輩を、生け贄には、しない。餌にも、しない。

 それで、良いであるかな?

 

 と、まあ。そう、宣言したわけである。

 

 

 そういうわけで。我輩を毒だか薬だかわからぬが、相手に食わせて取り込ませる、という手段を上司は封じられたわけだ。

 

 だが、相手はクソ上司の評判を、欲しいがままにする存在。

 また、いらん事を考えて、実行してしまったのだ。

 

 

 特定の相手に食わせられないならと、世界全体に要素として混ぜおった。

 

 

 ちょっと何言ってるかわからない。

 

 

 頭の中で、お笑いの人がそう言ったが。

 我輩も、わからなかった。

 

 よくよく、聞いてみたならばだ。

 我輩という概念を、世界の基幹から少し外れた場所に、組み合わせるような形で紛れ込ませた。とのことであるが。

 やはり、よくはわからない。

 

 だが、その結果どうなったかは、一目瞭然。悲しいほどに、理解できてしまった。

 

 

 

 まずは。大魔王バーン。

 彼が、地上の爆破計画を、大幅に修正していた。

 

 中世ほどか、それ以下の科学知識しかないはずの世界で。

 彼は重力の存在を知っていた。そして磁力の存在も知っており。

 

 遠くへ行くにしたがって、磁力のように重力もその影響は少なくなるのでは?

 

 そう気付いたのだ。

 炎とて、遠ざかれば影響は低くなる。この考察は妥当である、と彼は断定した。

 すると、もうひとつの事にも気が付く。

 

 爆破され。遥か上空へと、打ち上げられた土砂は。

 そのまま、空のかなたへと飛んで行けば、まあ、問題は無いが。

 途中で重力と、飛んで行く力がつりあってしまって、止まった場合。

 ずっと、地上へも落ちてこずに、その場にとどまり。太陽をさえぎる蓋となってしまうのではないか?

 

 更に、彼は気付いた。

 

 というか。

 地上で、黒の核の連鎖爆発を起こして、地上そのものを砕いたら。

 上空ではなく、地下へ。つまりは、魔界へと向けて、地表が砕けて落ちてゆくのではないか?

 

 

「……よし」

 

 

 彼は、人知れずに、それだけを口にして。計画を大幅に変更する事にした。

 

 景気良く全部を吹き飛ばすなどせずに、場所を選んで大穴を開けて、太陽光を取り入れるとしよう。

 海水が落ちてきても、まずい。死の大地あたりと、あと数箇所を選べばよかろう。

 途中で光が弱まらぬよう、穴の壁面を鏡のようにするのもよいかも知れぬ。

 さて。その辺の計算は。

 ふむ、面倒だな。ミストとザボエラあたりに、やらせるか。

 

 

 そんな具合に。

 大魔王というには、何やら計算高いというか。姑息というか。

 そんな、厄介な生き物に、彼は変わってしまっていた。

 

 他にも。

 

 アバンが、各地で勇者の家庭教師などせず、普通に故郷に帰って王様をやっておる。

 そして各国からも兵士などの留学を受け入れ、アバン流の普及に励んでいるようだ。

 確かに、その方が効率は良さそうではある。だがしかし。

 

 ドサ回りが面倒だし、王様やってた方が、何かと苦労は少ないですからね。

 

 そんな事が、動機であったりするようだ。

 いいのかそれで。

 いや。我輩としては、とても理解が出来るのであるけども。

 フローラ様が行き遅れないという点でも、良い事ではあるけれども。

 勇者として、それでいいのか。

 

 そのせいで、ポップが実家で腐っておるし。

 マァムは、母親に鍛えられてはおるが、レベルが低そうだし。

 ヒュンケルは、いつかアバンを殺そうと付いて行ったら、まさかの王様になられてしまって、殺し方に困っておるし。

 

 アバンの使徒たち皆が、大迷惑をしておるのだが。

 

 特にヒュンケルなぞ、一番弟子で実力も高いという事で、うっかり騎士として出世してしまい。

 さらにうっかり、恋人なぞも出来てしまって。

 その上、仲の良い同僚や街の人らなども、出来てしまい。

 

 複雑な事情で、親の仇であり師匠でもある王のもと、騎士として働き。

 男女双方の同僚たちや、街の人たちの中で暮らし。

 上司として尊敬できる、王を愛している美しい女王に仕える。

 

 まるでエロゲがギャルゲのような、そんな生活を送っておるのだ。

 友情エンド要員兼、ライバル兼一部オチ要因の北の勇者も、リンガイアから留学に来ているし、特別講師としてかつてのアバンの仲間たちもゲストキャラとして登場する。

 ヒロインも、現在の恋人であるパプニカの賢者の他に町娘や占い師、妹弟子に他国の王女、と豊富だぞ。ひょっとしたらならば、隠しキャラもいるやもしれぬ。

 

 日々、無数の選択肢を選んで、上下する好感度の中で。彼はトゥルーエンドを選べるのであろうか。

 きっと、アバンを斬ってしまったらバッドエンドだぞ。頑張れ、ヒュンケル。

 

 

 ただ、ダイは幸せそうではある。

 デルムリン島での彼が不幸であったとは、思わぬが。

 両親がそろっており、田舎でスローライフを送っている今の彼も、また不幸には見えないのだ。

 

 なお、場所は何かの因果か、原作補正さんが頑張ったのか、ランカークス(ポップのところ)である。

 バランさんはここで、木こりとして生計を立てている。たまに出るモンスターは肉か毛皮か、薪として喜ばれているようだ。

 

 どうせ死んでも、マザードラゴンに魂は回収されて生まれ変わるだけだしな。

 原作のバランは、そんな感じで処刑されての死を受け入れていたと思うのだが。

 どうも、ここのバランはそれを良しとせず。

 捕まえに来た兵士を、全員叩きのめして。そのまま城まで進撃して。

 立ちふさがる全てを叩きのめして。最後は王まで叩きのめして。

 

 それを次の日に、もう一度繰り返した。

 

 更にその次の日も、もう一回やった。王が船で逃げても、トベルーラで追いかけて叩きのめした。

 

 さすがにそこまでされては、姫を連れて駆け落ちするが、追うなよ。というバランの言葉に逆らえなかったらしい。

 おそらくは、そのまま新たな王としてアルキードに君臨も出来ただろうが。

 そんな面倒は、ごめんであったようだ。

 

 

 

 他にも、一般人にまで影響が出ておるようだ。

 城の兵士とか、役人とか。公務員というか、宮仕えをする者が、目に見えて減っておるらしい。

 あと平均睡眠時間が、増えておったり。モンスターすらも、あまり人を襲わなくなったり。

 少子化問題が、深刻化したりしておるらしい。

 我輩、結婚もした事ないし、子供もおらぬからね。そこは、仕方が無いのである。

 

 

 

 うむ。

 

 あまりの変化に、驚いておったが。

 よくよく考えてみれば、これはこれで、有りなのではなかろうか?

 平和であるし。

 

 そう、上司に聞いてみたところ。

 

 このままでは、剪定事象になってしまうのだそうだ。

 ダイの大冒険の世界なのに、冒険しなかったら、世界の存在意義が無くなってしまうのだそうで。

 このままでは、世界ごと無かった事になってしまうのだ、と。

 

 いや。でもそれ、あなたのせいですよね?

 

 容赦なく、そう指摘すると。上司は偉そうに、こう言った。

 

 

「何とかして」

 

 

 ああん?

 別に我輩は、お前に願いをかなえてもらったわけでも、給料を貰っているわけでもないのだが。

 上司と言ってはおるが。実のところ、英霊として所属しておるのか怪しいので。上司と部下ですらない可能性もあるのだが。

 

 よし。これは剪定世界旅行、第二段の開催であるな。

 手始めに、この世界から行くとしよう。

 何とかしろ、と言ったな? 良かろう。何とかしてやろう。何とでもしてやろうではないか。

 

 要は、冒険をさせれば良いのだな? この世界を引っ掻き回してやるのである。

 ついでに、ドラクエ世界道具。煎じて塗るだか飲むだけで、傷が即座に治る薬草の種とか。世界を超える力が有る、かもしれないキメラの翼とか。

 あるいはモンスターの、スライムとか。そのはぐれてるヤツとか。きめんどうしとか。リザードマンとか。

 持ち出して、そこらの世界へと適当にバラまいてやるのである。

 

 事を起こせ、というのであろう?

 よし、わかった。どこまででも、やらかしてやるのである。

 ダイ少年に「お前を倒して 地上もいただく」とか言わせてやるのである。

 クロコダインに「くっ… 殺せ」とか言わせてやるのである。

 

 任せろ。大丈夫だ。

 なんせ、ほら。

 

 我輩は、ネコであるからして。

 

 

 




●ちょっと何言ってるかわからない
サンドウィッチマンというお笑いコンビの片割れの、定番の台詞。
汎用性は高いぞ。

●お前を倒して 地上もいただく
ダイの大暴言より かつての2chのAA。元台詞はお前を倒して 地上を去る。だった。

バーンに、余を倒せるような化け物とか、普通の人間はドン引きだから。ボッチになるから。悪い事言わんから、おっちゃんに付いて来ぃや(意訳)
と言われたダイの答え。人に平穏を、地に平和を。自分がその邪魔になるなら、自分はその中に居なくていい。という覚悟。
が、元ネタの方だけど、それをみごとに台無しにする改変であったw

●くっ殺せというクロコダイン
クッコロダインである。
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