自分で思った以上にSAOが打ち切り臭かったので、続きを投下。
しかしSAOではないという。
第1話
我輩は幽霊である。肉体が無いのは、あの塔の時と変わらぬ。
肉体は無いが、存在する。それが幽霊である。
といっても、死んだわけではない。幽体離脱なるものが出来るようになったわけでもない。
あの世界とはまた別の、異世界への一時転移である。
我輩はあれ以来というもの。アインクラッド世界のその後が気になり、祈るような気持ちで瞑想する日々であった。
そんなある日のこと。ふいに、壁を乗り越えたような。そんな感触がして。
気が付けば。大きな岩の上にそびえ立つ、白い石で出来た西洋風の、どこか見覚えのある古い城。その門の前におったのだ。
あたりは暗く。夜であるようだった。城からは明かりが漏れており、ひとまず中へ入ってみようと、一歩踏み出そうとした。
地面の感触が、無かった。
いや、落とし穴やガケがあったわけではない。
ただ単に。我輩が空中に浮いておったというだけのことだ。
しかも、我輩にはヒザから下が存在せず、その上も透けておった。
思わず手で叩いて、足が存在することを確かめたが、その手もまた透けておることに気付き、我輩は恐慌に陥った。
「おおおぅぁ、あわわわわわわわわ」
うむ。意味がある言葉は、出てこなかったな。
人間。不意に追い詰められて混乱すると、そんなものである。
この時、大根を両手に持って踊る小人が見えたような気もするが、きっと気のせいだ。
そしてそんな我輩の前で、門が急に開いて、ヒゲもじゃの巨人が出てきた。そして彼は我輩に話しかけてきたのだ。
「
イカン。英語だ。
そう思った我輩は、とっさに世界共通語で返した。
「ニャー」
猫の言葉は、みんな好き好きに解釈してくれると思うので、結果として共通語になるのではなかろうか。
少なくとも、この時は通じた。
「
ヒゲの巨人はそう言うと、我輩を城の中へと連れて行ってくれた。
よし。このくらいの英語なら、まだ覚えているのである。高卒認定試験ありがとう。
とはいえ、会話が複雑で理解が追いつかなかったり、話す速さに付いていけなかったりしそうなので。しゃべれぬ振りは続けるのであるが。
なにせ、ここがどこのどんな世界かは、読めたであるからなあ。
というか。この巨人を、我輩は知っている。見覚えがある。記憶に残っておる。
彼は、ハグリッドである。ホグワーツの森番で、森に人食い蜘蛛を放って、繁殖させた男。禁じられた森を、さらに禁じられた場所にした危険人物。
森番とは、いったい何だろう。
哲学的な思考に陥りかけた我輩を、早く来いとばかりに、ハグリットが首根っこを引っつかもうとした。
意外とその手つきは優しかったが、我輩は幽霊である。その手は我輩を突き抜けてしまった。
ふむ。感触があると言えばある。ないと言えばない。これはまた、不思議な感覚であるな。
「にゃ~?」
どこ行くの? そんな感触、意味合いで問いかけてみると、きちんと返事が返ってきた。ダンブルドア校長のところらしい。
あのホモのところか。確か、男に惚れて付いていこうとしたら、弟に止められて争いになって。そこで事故が起きて、妹が巻き込まれて死んだのだったか?
映画でしか知らぬ上に、うろ覚えで、ヘンな覚え方をしている恐れはある。しかし、これは大体合っているという自信もあるな。
彼は計算高いが、善良でもあるという記憶もある。まあ、悪いことにはなるまい。逃げ出すのは、いつだって出来る。
魔法の世界。ホグワーツ。まずは、このファンタジーを味わうとしよう。
●あわわわわわわ
恋姫夢想より。慌てた時には、あわわかはわわである。臥龍、鳳雛の二大軍師のうち、史実で早死にする方のセリフ。三国志の武将などを全員女性化した、その発想はあったが、誰がそこまでやれと言った。というゲームから。なお元はエロゲである。
●大根を両手に持って踊る小人
魔法陣グルグルより。場が混乱していると「ダイコンランです」と、大根を両手に持って背景で踊る、ただそれだけの妖精。
なお一発変換で出てくる魔方陣は、全部のマスに数字を入れ、縦、横、斜め、どの列の数字の合計であれ同じという別物のことなので、気を付けるんだ。