Re:ゼロから帰ってきた異世界人〜Parallel・The・Walking・Dead~ 作:伊吹恋
暗い穴倉の中を進むというのはリスクが大きい。感染者の姿が視認しにくく、明かりをともさないといけない。今特殊部隊の皆が持っていたのは発煙筒。赤い光が小さく辺りを照らしてくれるが、それでもないよりもましだろうという程度のものだ。しかも発煙筒は光る時間がある。モタモタしていれば発煙筒がなくなり暗闇で喰い殺されるか、仲間に撃たれるか…。
ミツルたちは銃を構えながら発煙筒を手に取り小さな明かりを頼りに先に進んでいた。
全員は緊張しているのだろう。額に汗をためた状態で歩み続けていた。
暗闇の中で慎重に歩く中、あるものが全員の目に入る。
暗闇から出てきたのは腐りかけの血まみれの足。徐々にその姿は現し、腐りかけの顔から黒ずんだ歯を見せる感染者の姿。
「…俺がやる」
ミツルが声を出し、前に出ると拳銃をホルスターに仕舞いこみ腰に付けているマチェットを抜いて感染者の頭にマチェットを振り下ろした。
マチェットは感染者の頭を貫き同時に感染者の声を止める。足で感染者の身体を蹴り飛ばしマチェットを抜くと刀身には黒い血だけを残した。
感染者の駆除を終えると再び全員歩み始める。先陣を切るアキラはミツルと同じ歩幅を合わせ口を開く。
「こうなる前は何をしてたんだ?」
ミツルはアキラに向かって質問を投げかける。アキラは横眼を使いミツルを見てからすぐに前を向いて口を開く。
「…大学生だった。医学生だ…」
「…医者になりたかったのか?」
「まあ、な…世界がこんなになって、夢も、希望も何もかも無くなった」
「俺もそうだったよ。世界がこんな感じになってから、殺し、殺し、殺し…殺され…弟と再会する前まではそんなことばかりだったよ」
「なりたかった夢とかないのか?」
「…」
懐から取り出したタバコの箱を取り出し一本咥える。そしてそのタバコの箱からもう一本タバコを出してアキラに差し出す。アキラも差し出されたタバコを受け取り口に咥えた。
ライターを取り出して火を出そうと指をボタンにかざす。
「…教師になりたかった…学校の先生だ…」
シュボッと火を起こしてその火にタバコを当て、煙を口に吸いこむ。ミツルはそのまま火を起こしたライターをアキラに向け、アキラのタバコに火をつけた。
「もしこんな世界になってなかったら、夢は叶ってたのかもな」
「さあな。俺は元の世界がどうとか、もしこうならって話すことを辞めたよ…俺達が生きてるのはこの世界だ」
口から煙を吐き出し再びタバコを口に咥える。
「俺にもくれ」
梶原の言葉が後ろから聞こえミツルは後ろにタバコの箱を投げる。
「どうも」
しばらく歩くとミツルたちは壁に当たった。道は一本道でこれだけしかない。目の前には岩のみ。
ミツルも歩いている際に辺りを見渡したが回り道できる場所も分かれ道もなかった。となると考えるとしたら…
「騙したのか!?」
ミツルはすぐに後ろに下がり拳銃を手にして銃口をアキラたちに向ける。それを見てすぐにレムも武器を持って構えるが、すぐに二人の声が上がる。
「待て待て待て!!」
「待ってくれ兄貴、レム!」
アキラたちの部隊隊員たちもすぐにミツルの行動にいち早く気づき銃口をミツルたちに向けるが、アキラは一人だけ銃を構えず部隊員たちに腕を振り振りながら動きを静止させスバルも同じようにミツルの前に出て声を上げる。
「信じてくれ!俺たちは敵じゃないんだ。むしろ、君らのような生存者を積極的に受け入れる気でいる!」
「どうだかな。生存者たちを受け入れるのならお前らにメリットがなさすぎる!物資にも限りがあるこの世の中でどうやって生存者を受け入れを信じる人間がいる!?それを信じる保証がどこにある!?」
「待ってくれ兄貴!確かになんの保証もないけど、彼らはエミリアの名前を出しているんだ!それだけでも俺たちには彼らについていく価値はあるはずだろ!?」
「それも考えもんだ。レムちゃんのお姉さんがつかまってるんだ。拷問されて情報漏洩した恐れもある。そのエミリアちゃんという名前を使って俺たちを引っ張り出そうって考えかもしれんだろ!」
「それはない!ラムに限ってそれはありえない!」
「何故そう言い切れる!!」
「俺がラムを信じてるからだ!」
スバルはミツルに近寄り持っていた拳銃に勢いよく手を伸ばし掴む。スバルのまっすぐな目を見つめ、ミツルは額に汗が伝う。少し数秒の時間が経ち、互いに膠着状態。ミツルは「クソッ」と舌打ちをしながら言うと拳銃をホルスターに仕舞いこむ。
「わかったよ」
ズカズカとアキラの元に近寄るミツルは脅すように言葉を口に出していく。
「だが覚えてろ。これがウソだったらお前を確実に殺す!何があろうと今日殺せなかったとしてもいつか必ずどこかでお前を殺す!覚えてろ」
「ああ、それで構わない…」
ミツルが銃をしまったことにより他の部隊員も緊張の糸が切れた様に銃を下ろし始める。
「…で、これからどうするんだ?」
「安心してくれ。抜け道はちゃんとあるんだ」
アキラたちは薄暗い中で何かを手さぐりに探し出す。そしてアキラが何かを手に取り、それを勢いよく引っ張った。土の中から出てきたのは鎖で繋いでいる何か。それが引っ張り出されると土の中から何かが開き始める。
「隠し扉ですか?」
「そう、ここに我が家が繋がってるんだ」
「…我が家?」
「地上に住処を作るとなると奴らの視界に入らなければならねえからな。だから、俺たちはあるところに拠点を作ったんだ」
開かれた地下へ続く道。だが、そこはこの薄暗い所とは違っていた。中を見ると光、外灯がミツルたちを照らし出した。
外灯の照らされる地下道を進み数十分。ミツルたちの目の前には見たことのない光景が広がっていた。それは人だ。生きている人間たち。武器を腰にぶら下げてはいるが、皆友好的印象を受けさせる人間たち。その中には子供たちが元気よく駆け回り遊んでいる姿も見られた。
「これは…」
ミツルをはじめとしてスバルとレムも驚いている。ここまでの数日間は地獄のような生活をしていたが、この世界で初めて活気のあるコミュニティを目の当たりにした。彼らは地下道に乗り捨てられたであろう地下鉄駅に住処を作り、蝋燭の火などで光を灯している。まさに家があり、文明がまだそこにあった。
「……核戦争が勃発しても人間が生き残れるわけだ…」
正に現実は小説よりも奇なりという言葉が似あう現状だ。ここの今の現状はロシアの小説『メトロ』のようであった。
「ようこそ、我が家『メトロ』に」
両手を広げ笑顔で歓迎してくれるアキラに対し、ミツルは手を差し出した。
「…さっきはすまなかった…どうも疑り深い性格になってしまってな…」
「お互い様だろ。こんな世界だ。用心に越したことはないからな」
アキラはミツルの手を取り、互いに握手を交わす。
レムとスバルもその光景を目にし、やっと安心できた。
3人はコミュニティを見て回ることになり、現在アキラに付いている。
「生存者の数はどれくらいだ?」
「ざっと100ちょいってところだな。兵士の数は40人ばかりで、あとは全員労働者。子供にも仕事を振り分けてる」
「子供にもですか?ですが、中には年端かもない子供もいますが何をさせているのですか?」
「簡単さ。遊ぶ様にって言ってる。子供は学ばせそして遊ばせる。そうすればメトロ活気があると証明させて住民を安心させてるんだ」
「学ばせるって事は、学校の様なものもあるのか?」
「ああ、学校では子供たちに勉学と生き残るための行動や色々なことを教えてる」
「相当デカいコミュニティだが、良く維持出来てるな」
「大きな勢力には厳しい掟も課せる。物資き関しても誰でも好きに取っていい訳じゃない。労働者の働きにより報酬を割り振りしてるんだ。よく言うだろ『働かざる者食うべからず』って」
「武器や食料はどんな感じなんだ?」
「武器に関しては不足はしてないな。ウチのスタッフには化学が得意な奴がいて、銃弾を作ってるし、銃器は古いものからちょいと新しいものは持ってる。食料に関しても同じだ。ここは日本で最初に感染が拡大した街。豊富な置き土産に大きな建物には大量の感染者と食料があって備蓄量にも困ってないし、家畜の豚や羊を取って食料にしてる」
アキラはミツル達の方を向いてミツルのAKを見る。
傷だらけな上に少し汚れが付いている。銃を見たあと直ぐにミツルを見る。
「あんたらの銃もメンテに出した方がいいぞ。この世の中信頼出来るのは自分達の仲間と銃だけだが、時に銃は弾詰まりを起こして裏切ることがある。メンテナンスをして可愛がれば、銃は期待に答えてくれる」
「AKはそんな期待裏切らない。この銃は泥に付けても、土に埋まって掘り出してでも撃てる代物だ。ソ連の傑作銃なんだから…と言いたいところだが、忠告を受けることにする。これ以上アンタの信頼を裏切りたくないし疑いたくない。スバル、お前の銃をメンテナンスしてやるから預けろ。俺が掃除する」
「わかった」
スバルはミツルに拳銃を渡した。
「俺はメンテナンスしておくから、お前らはその…エミリアちゃんに会いに行け。用があるなら俺は武器庫にいるからそこで落ち合おう」
「わかったよ兄貴」
武器庫の前まで来たミツルはスバルとレムの二人と別れ武器庫の扉を開けた。扉を開けると地下に続く階段が続いていた。
武器を手にその階段を降りると中は武器の山があった。更に小さな箱まで山の様に積んでいた。
「ほお…これは…」
正に資材の恵み。銃弾の山だ。アキラの言っていた化学を得意とする専門家が作ったものであろう。ちゃんと銃弾には雷管もついているし、鉛弾も先端についている。完全なフルメタルジャケット弾だ
「どうだい、ウチの武器庫は」
カウンターのような台の下から一人の中肉中背のスキンヘッド頭の男が現れる。男の手には整備したであろう綺麗なショットガンが握られていた。
ミツルは壁に飾られているMP5を手で触りながら口を開いた。
「どれもいい代物だ。しかも整備が行き届いてる」
触っていたMP5を手に取り見てみるとフレームも何もかもがまるで新品の様に輝いている。MP5を壁に置き直し、次は拳銃を手に取る。スライドを引っ張り銃弾が入っていないことを確認して引き金を引くとカチッと撃鉄が叩かれる小さな音が耳に入る。
さらにスライドを何度か手で引っ張ったり戻してみたりと繰り返しガタ付きが無いかを確認する。
「いい銃だ」
「そうだろうとも。俺が一式手入れしてんだから」
「ここにある…銃を全部?」
「ああ、若いもんは使い方を知ってるが整備がなっちゃいねえ。銃ってのは車と同じだ。整備しないとどこかが壊れたりオイル交換してあげねえとエンジンが壊れるのと同じだ…だが、アンタも相当銃には詳しいみたいだな。お前さんの持ってるAKを見ればわかる」
「これか…これはもう3年くらい使ってる銃だ。物資不足でメンテナンスも最低限しかできてねえけどな」
「そうか、なら、俺が見てやろう。他の銃もあるようなら手入れしてやるぞ」
「ありがとう。でも自分でやりたい。愛着ある武器は自分で手入れしてこそだ」
「そうか、わかった。なら道具を貸してやるから使ってくれ」
男は台の下にある道具入れを出してそれをミツルに差し出す。ミツルはその道具入れを受け取った。
「俺はナツキ・ミツルだ。アンタは?」
「ダニエル。みんなからはおやっさんって呼ばれてるよ」
「OK、じゃあ遠慮なく道具を借りるよ。おやっさん」
テープ名【眠れぬ夜】
カチッ
『□月×日 晴れ 冬の寒さもなくなり、温かくなってきた。感染者の行動がまた活発になってきた。これは推測でしかないが、奴らは冬になると行動が鈍重に感じる。逆に春や夏になると動きは活発化してきている気もする。…日に日に奴らの数も増えていってる気がしてならない。世界中に生存者は各地に散らばっているが、それを確認する手立てがない。今では愛する者は死に、その者を手にかけなくてはならない時代になった。
…ハァ…暗い話ばかりだが、今ではこれが当たり前だ。夜になれば奴らのうめき声で眠れない。朝になっても警戒は解けない。昼は物資を探し回りながら各地を徘徊。まるで感染者たちみたいにしなくちゃならん。
こうしてテープに録音しているのも、偶然レコーダーを見つけて、一人で眠れない夜を過ごさなきゃいけないからだ…体力を温存するのが一番いいが、外で徘徊してる奴らをどうにかしない限りそれはできないだろうな…。
ちくしょう…腕が痛むぜ…何だこの腕の切り傷…昼間に感染者と取っ組み合いになっちまったから、その時草か何かで切ったか…身体も熱くなってきたし…少し休むか…風邪を引いて死んだなんて洒落にならねえや……』
……………………カシャン!……………………
―—————————————ハァァァァ……ガウ――――――――――――――
カチッ
テープが終了する音と共にスバルは耳に付けているイヤホンを外し手に持っているレコーダーを仕舞った。
「(噛まれても感染…感染者に引っ掻かれても感染すんのかよ…)」
「大丈夫ですかスバル君?」
横にいるレムが心配そうにスバルに問いかけると、スバルはすぐに答える。
「おう。俺は元気だけが取り柄だからな」
などと元気を装っているが、内心ではそうではない。
「(こんなオワタ式の中、兄貴は5年間も…このレコーダーを持ってた人も相当気を休めてないのに…なのに兄貴は…)」
感染者の攻撃を少しでも傷として受けてしまった時点で感染は確実。そんな中を5年間という長い年月生活していたとなるとその気苦労は計り知れないことだ。それが一人となるとなおさらだ。だがミツルはその長い時間を生活していた。
スバルはこの数日そんな気苦労を気にせずに寝ていた自分を悔いた。それは兄ミツルが警備をしていたのもある。兄がいれば全てが安心だと思い込んだ。だが今のレコーダーを聞いた瞬間、その思いは変わった。
甘えていたんだ。
「(俺がもっと気を引き締めていれば、兄貴も重荷を背負うことはないのかな?)」
本人がいない以上これ以上考えていても仕方ない。スバルは目の前にいる少女に口を開き、声をかける。
「しかし、無事でよかったよ。エミリアたん」
スバルとレムの目の前にいるのは銀髪で少し尖った耳が特徴的な少女。異世界の住人であるエミリアだった。
エミリアはスバルの言葉に少し笑みを浮かべる。
「私も、スバルとレムにまた会えるなんて思ってなかった。でも、会えて嬉しい」
心の底からそう思っている笑顔を二人に見せるエミリアにスバルは顔を少し赤くしながら右手で頬をポリポリと掻きながら顔をそむけた。
「それにしても驚いた。ここがスバルの元の世界なんて…」
「いや、元の世界というか…なんというか…ここは確かに俺の元の世界なんだけど…こんな感じじゃなかったんだ」
「うん。それはアキラって人から聞いてるよ。賑わいがあって、活気がある街だって言ってた。変わったのは5年前からってことも聞いてる」
「できることなら、エミリアたんやレムを元の世界に帰したいけど、ゴメン…その方法もまだ見つかってない」
頭を下げるスバルにエミリアはスバルの手に手を置いた。
「そんなこと今は良いよ。それよりも、ラムを助けてから考えようよ」
暖かなエミリアの手を握り返すスバル。そしてその目に光がよみがえった。
「そうだな。まずはラムだ!一刻も早く取り返してやるぜ!」
椅子から勢いよく立ち上がり腕を天井に向けてあげた。
「そうですね。元の世界に帰るにしても姉さまを置いていくわけにはいきません!」
「だな、さっそく兄貴と作戦会議だ…そうだ!エミリアたんに紹介したい人がいるんだ!」
「紹介したい人?」
「おう!俺の兄貴だ!」
スバルがエミリアたちと合流を果たしたその頃、ミツルは椅子に座り、机に置いている銃をメンテナンスしていた。自分の銃は全て終わらせたみたいで既に組み立てられている。今はスバルに持たせている拳銃をバラバラにして汚れを取り、油を刺している。
「…」
淡々と掃除をしていき、銃に付いた汚れを取り除いた布を机に置き分解した部品をカチカチと音を立てながら元の状態に組み立てた。
「驚いたな。簡単に銃の分解清掃しちまうなんて。自衛隊にでも入ってたのか?」
ミツルはマガジンを入れる前に銃のスライドにガタ付きが無いか最終確認をして終えるとマガジンを銃に入れてスライドを引いて銃身に銃弾を送り込み安全装置を付けた。
「いや。自然と身に付いた」
「それにしても手際がいいな」
「今は銃は自分の身を守るために必要なものだからな。そりゃあ必死になって覚えたさ」
ミツルは先程清掃したスバルの拳銃を手にして武器庫の奥に進んでいく。奥に何があるのかと言うと、撃ち尽くされた銃弾の薬莢と壁に当たった様な銃弾跡がある。
距離的に25m程の遠距離に感染者に似たてた案山子が立てられており、頭には鉄のバケツが被せられている。
ミツルは拳銃を両手に持ち安全装置を外し構える。
サイトでしっかり狙いを付けて引き金に指をかけた。
ダァン!ダァン!ダァン!
三発分の拳銃の空薬莢は銃身からスライド出されると足元に落ち地面に当たりカランと音が立つ。
銃身から放たれた凶弾は全てバケツに命中しバケツには穴が三つ開いていた。
「まあ、こんなものか」
拳銃に装填している弾倉を抜き取りスライドを後ろに引っ張って銃身に込められている銃弾を抜き取り、テーブルに拳銃と弾倉を置く。
「やっと見つけたぜ。兄貴!」
武器庫の入り口から入ってきたのはスバルとレムとエミリアの三人だった。ミツルは拳銃の弾をすぐに振る装填させて弾倉を入れてスバルに渡す。
「メンテナンスは済ませた。いい機会だからここで射撃練習しておけ」
銃を受け取ったスバルはすぐにホルスターに仕舞い、煙草を口に咥えたところでミツルは机において置いた銃を背負うとミツルの目の前に銀髪の少女がやってくる。
「は、はじめまして…でいいんだよね?」
「は?」
ミツルは煙草を指でつまみながら疑問を少女に問いかける。
「ご、ごめんなさい!スバルに似てるからはじめましてって言うか…なんというか…」
「あ~…」
ミツルは少しかがんだ状態になりエミリアの顔を見る。
「キミがエミリアちゃんか」
「は、はい!」
「そうかそうか、弟から色々聞いてる。弟が迷惑かけたみたいで、世話とかしてくれたんだろ?ありがとう」
頭を下げたミツルにエミリアは胸の前に手を持ってきて横に振りだす。
「わ、私の方がスバルにいっぱいいっぱいお世話になったかも!だから、お礼を言われることなんて…」
「だが世話になったのは事実だ。だからお礼を言うのは、人間として当然のことだ。お礼と言っちゃあなんだが、何かあれば俺を頼ってほしいな。ま、先にスバルに頼ってもらった方がいいかもな。」
「あ、兄貴!」
顔を赤くしながら大声を上げるスバルにミツルは口を大きくしながら笑い、煙草に火をつけだすミツル。
そこに葉巻を吸っているダニエルがやってくる。
「おい、ここは禁煙だぞ」
「…」