Re:ゼロから帰ってきた異世界人〜Parallel・The・Walking・Dead~   作:伊吹恋

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友達から頼まれたクロスオーバー作品になります。
グロテスクな表現もありますのでお気をつけ下さい。

時期はアニメリゼロ終了直後です。


本編
プロローグ「終わりの始まり」


男が戦う理由なんてちっぽけなもんだ。そのちっぽけな理由に命をかけれるというのはある意味狂気の沙汰ではない。ある者は金のため、ある者は栄光の為、ある者は、愛する者の為、色々だ。

死に戻り、ナツキ・スバルはある日異世界に召喚された。そこで多くの者と出会い、多くのものを愛し、多くの死を迎えた。時には立ち止まり、下を向き続け、絶望した。だがそんな絶望を彼は彼を愛している者達が支え、乗り切ってきた。彼は抗うことをやめなかった。どれだけ絶望を受けようが、彼は抗い続けた。運命に。

 

だが、それも終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

日本の東京。日本国内で1番の都市。そこにはナツキ・スバルが生まれたとこであり、育った家があり、育ててくれた両親があり、共に育った兄弟がいた。

 

「何だよ、これ...」

 

ナツキ・スバルが目を開け見た光景は以前スバルが済んでいた故郷だった。そしてそこはスバルが異世界に行く前の街。だが、そこはこの世になるものとは思えないものだった。崩れた家、血で汚れたアスファルト、腐って白骨化した人が入っている車の中、その肉が腐った見た目通りの腐臭がスバルの鼻を突く。同時にわき上がる強烈な吐き気を止めることも出来ず、口から胃の中にある液体を吐き出し、アスファルトにぶちまけた。

 

「う゛・・・う゛ぇ・・・」

 

まるでこの世にはスバルしかいないかのように周りは静かだった。

胃の中にあるものをぶちまけ、口を拭い立ち上がるスバル。

 

「そうだ、み、みんなは...!」

 

異様な光景で周りが見えていなかったが、さっきまでスバルはエミリア達と一緒に居た。だが、周りを見渡すがそこには誰もいなかった。さっきまでスバルは白鯨を討伐した地でエミリア達の再会に喜んでいた。魔女教徒を倒し、どうにも出来ない運命からようやく抜け出した後だった。自分以外は何も無い。孤独だけが彼を包み込んだ。

 

「そうだ・・・!ここが日本なら、俺んちが・・・!!」

 

今居るところがスバルが異世界に召喚された場所と同じなら、スバルの家はそう遠くない。スバルは異様な光景を目にしながら走り出す。曲がり角を曲がり、生まれてからいつも通った自宅の道を進んでいく。

 

「・・・!!」

 

だが、そこにあったのは、ボロボロになった我が家だった。玄関は開いており、中はひどい有様だった。散らかされた衣服や家具、割れた窓ガラス、その全てがまるで別世界に飛ばされたような感じがスバルを襲った。

 

「な、何なんだよ・・・これ・・・!父さん・・・!母さん・・・!兄貴・・・!」

 

弱々しく声を出すがそこには何も返ってこなかった。ただただ静寂だけがスバルを包むのだ。

スバルは散らかったリビングにあるボロボロになったソファに腰掛ける。悪い夢を見ている様に顔を両手で覆う。頭を何度か手で叩いてみるがこれは夢では無く現実だった。そして孤独の末耐えきれずに目から涙がこぼれ落ちる。

 

「何で・・・何で戻って来ちまったんだ・・・!エミリア・・・!レム・・・!みんな・・・!!」

 

ただ誰も居ない家の中でスバルは一人涙を流し続けた。

 

 

 

時を同じくして

 

1人の青年が大きなリュックを背負い、腰にはマチェットを腰に差し、大きな銃を手に持っていた。青年は長い髪を後にして前髪をオールバックにしている。目はまるで犯罪者のような目付きの悪さをしている。

青年はボロボロの車のボンネットを開ける。だが中身は何も無かった。ご丁寧にエンジンまで全部を取られていた。青年は「チッ」と小さく舌打ちをし乱暴にボンネットを閉める。中身は何も無いことを知ると青年は再び歩み始める。

 

「どこも同じような感じだな...」

 

リュックから水の入ったペットボトルを手に取り中に入っている水を口に含む。

 

バタリ...

何かが倒れる音がした。その音を聞き青年は反射的に銃を構える。音が聞こえたのは人が二人ほど入れる小さな道だった。青年はそのまま銃を構えたままその道を見続ける。だが、いつまでたってもその道から何かが出る気配も無ければその倒れる音以外に何も聞こえなくなった。

ここで何も見ないことにして先に進むのもいいだろう。だが危険だと分かっていてもその音が何なのか好奇心が出てくるのは人間としての本能なのか、世界が変わろうとそれは変わりないらしい。青年は壁に身を置きカバーしながら道を覗き見る。周りは陽が当たるような道じゃない上に天気はどんより曇りがかった空になっているためか先が見えない。

 

「はぁー...すぅぅぅっ」

 

深呼吸をしてカバーを外し銃に付いているライトを付け辺りを確認する。

 

「...ん?」

 

ふと彼は足元にある物をライトで照らした。暗く良く見えていなかったらしく、そこには青い短めの髪をしたメイド服の少女がいた。

青年はすぐに銃を背負い直し、その少女を抱き起こす。

 

「おい、おいしっかりしろ!」

 

「ぅぅ...」

 

小さくだが声を出した少女に青年は安堵した。だがそれと同時に青年にある疑問が湧いた。

 

「この子、どこから来たんだ?」

 

こんな辺鄙な何にもない場所で一人で何をしていたのか…それは今の青年には分からなかった。そしてこの少女の格好がまた青年の疑心を呼び出す。見た目もそうだがこんなところに何故メイドなぞが居るのか、そもそもこのメイドはどこから来たのか分からなかった。

と言っても、ここでこの少女を置いていくのも気が引ける。後味が悪いと言うやつだ。青年は少女が起きるまで休める所を探すためリュックを前に背負い直し少女を背中で背負い歩み始める。

 

「スバル...くん」

 

「なにっ?」

 

寝言なのか、少女の口から出てきた名前。それは青年にとって大きな、重大なことだった。だがそれ以降も少女はその一言以外に口を開くこともなく、寝息を立てながら眠っていた。

 

「昴...お前は何処にいるんだ?」

 

雲で濁ったような色をした空を仰ぎ見ながら青年は少女を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

スバルは家から出て空を仰ぎ見ながら誰もいない、自分だけしかいないような世界に絶望し続けていた。だが不思議なこともあった。

これだけ世界が変わっているにも関わらず、家の中の衣服は殆ど持っていかれてる。そしてもうひとつ不思議なこともあった。それは家にある家族の写真やアルバムがなくなっていた。強盗があったとしても、強盗がアルバムを持っていくか?いや、そんなはずはない。単に金目の物目当てならアルバムなんてなんの意味もないのだから、スバルは思った。

 

「(どこかで家族は生きている...)」

 

そんな淡い希望に縋りながら立ち上がるスバル。だがもうひとつの不安要素がある。それはこの世界に戻ってきた時に見た車の中にあった死体だった。死んでから結構たっているであろう。あの死体は頭蓋が浮き出る程だ白骨化が進んでいた。しかも死体はあちらこちらにあるにも関わらず、死体の数はこの街の人口と一致しないし数が少なすぎる。

スバルが異世界に来た時期は1ヶ月半程だ。だがこの変わりようは何なのか、一体何が起きたのかが分からなかった。

 

「くっそ!なんでこうなっちまったんだ・・・」

 

ぺた・・・ぺた・・・。

ふと耳をすましてみると何かがこちらに近づく音がした。

 

「何だ?」

 

ぺた・・・ぺた・・・。

その音は次第に大きくなっている。まるで素足で道路を歩いているような音が・・・。

 

「生きてる人か!?」

 

スバルはすぐにその場から音のする方向に向かって駆け出す。

 

「(生きてる人が居ればこの街の現状が分かるハズだ!)」

 

さっきまでの孤独感から解放される喜びによりスバルは全速力で駆け出す。生きているなら家族の居場所も分かるはずだ。心の重圧から解放を望んだスバル。

 

 

 

 

だが、その希望は無残にも崩されてしまう。

 

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

 

そこに居たのは------

 

 

 

 

 

 

腹から臓物をぶら下げ、肉が腐り落ちそうな身体をした人間(化け物)だった。

 

その人間(化け物)はスバルに気づくと肉が腐り墜ちた唇が無く、黒ずんだ鋭い歯を見せながら獣のように呻いていた。

 

「そ、そんな・・・!」

 

恐怖により、スバルは足がすくんだ。やっと会えると思えた生きた人間がこの世とも思えないものに成っていたのだ。そして先ほどスバルが目にしたもの、鼻が覚えた臭いが鼻をさした。

 

腐臭。肉が腐り、今にも吐きそうな激臭。スバルは理解した。

 

 

この人、腐ってもなお動いている。死んでいるのだと。

 

 

「(逃げないと!逃げないと!逃げないと!逃げないと!)」

 

さもなくば・・・

 

 

喰われる。

 

 

思考が危険モードに入りやっと足が動くようになる。後ろを向いて来た道を戻ろう。そう思い身体を後ろに向かせた。

 

 

だが、

 

「え・・・・・・」

 

後ろを向くとそこには別の腐った死体が立っていた。同じように歯をむき出しにして。

 

 

「うわあああぁぁぁ!!」

 

驚いたあまりにスバルは足下を崩し尻餅をつく。そして目の前の化け物はそんな倒れたスバルに食らいつこうと手を伸ばす。

 

「(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!)」

 

死の恐怖が目の前にやって来ている。

 

「(来るな来るな来るな来るな来るな来るな!!助けてくれ!!)」

 

「ぬおおぉぉぉあ!!」

 

ザシュッ!!

 

スバルの顔に何か液体のような物が付く。だが、それはスバルの物では無かった。何故なら身体に痛みが走らなかったのだから。

 

次の瞬間、ベチャリと何か液体が付いた物が墜ちる音が耳に入った。スバルは目を開く。

 

そこに居たのは、血の付いたマチェットを持ったオールバックの男だった。その男のことをスバルは良く知っていた。というか忘れられるハズが無かった。そのオールバックの髪も、自分と同じよう目つきにも、自分と殆ど同じ顔も。

 

「あ、に、き・・・?」

 

「お前・・・昴か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昴!お前無事だったのか!?というかお前その姿・・・!」

 

青年は弟であるスバルの元に駆け寄り様子を見る。スバルは驚きのあまりなのか、それとも恐怖がまだ残っているのか、涙を流し続けた。

 

「兄貴!(ミツル)兄ちゃん!!」

 

スバルはやっと生きている人間に会えた。しかもその人物は自分の肉親。スバルの壊れかけそうな心をミツルと言われる青年が守った。

スバルは大粒の涙を流しながらミツルの足にしがみつく。そしてスバルはもう一つの事に気がつく。

 

「レム・・・!」

 

ミツルが背負っている短めの青い髪をしたメイド服の少女だった。

 

「レム!レム!!」

 

「大丈夫だ昴!噛まれてねえし気絶してるだけだ」

 

「そうか・・・よかった・・・」

 

「安全な所、と言いたいところだが、先に邪魔者を始末する・・・この子を見てやれ・・・」

 

ミツルは背に背負っていたレムをスバルに託し、リュックを地面に置いた。そしてマチェットを構え直し立ち上がる。

 

「兄貴・・・?何を・・・」

 

「殺すんだよ・・・この醜い化け物を・・・」

 

獲物を求める獣のボロボロの服を掴み、地面に倒しそのまま足で押さえ地面に付かせる。

マチェットを逆手に持ち、そのマチェットを頭に向かって突き刺した。化け物の腕は力がなくなっていき地面に付く。それは化け物が死んだという合図であった。

 

血しぶきが顔に付く。そしてその手に持っているマチェットを抜き、もう一度刺す。顔を、服を、手を血に染め、何度も何度も何度も何度も何度も何度も刃を死体に突き刺した。

 

まるで憂さ晴らしをするように、子供が何も考えず蟻を踏みつけるように無表情で何度も刺す。

 

「兄貴・・・?」

 

死体の頭をぐちゃぐちゃにし終わるとミツルは血まみれの姿のまま二人の元に戻る。

 

「・・・さあ、安全な所に行くぞ。この街は・・・いやこの国は、なにぶん危険でしか無いからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバルたちは家に戻りあまり荒らされていない部屋のベットをいくらか整頓させその上にレムを寝かせていた。

 

それから1時間後レムは目を覚ました。

 

「・・・スバル君?」

 

「レム!よかった・・・」

 

スバルは安堵して胸をなで下ろした。そしてレムの視線はその横に居る青年に向く。

 

「・・・スバル君が・・・二人?」

 

「あぁ・・・この人は俺の兄貴だ。俺達二人を救ってくれたんだ」

 

「スバル君の、お兄様ですか?」

 

ミツルは血の付いた顔をタオルで拭き取り、レムの前にたつ。

 

「初めまして。昴の兄の菜月満だ。よろしく」

 

「こ、こちらこそ!よろしくお願いしますお義兄さん」

 

「レムさん?ニュアンスが何か違う気がするんですけど!?」

 

などとスバルはレムにツッコミをしているが話が先に進みそうに無いのでミツルはゴホンと咳払いをする。

 

「早速で悪いが君たちの事は我が愚弟から聴いた」

 

「兄貴!?久しぶりに会ったのに何か辛辣過ぎない!?」

 

「こんな奴のどこに惚れたのかよく分からんが、それでも君はスバルを救い、慕い続けた。兄として礼を言う。ありがとう」

 

ミツルはレムに一礼をする。

 

「い、いえいえ!救われたのはレムの方です。今のレムがいるのはスバル君のおかげです」

 

レムは起き上がりミツルと同じように一礼する。

それを見たミツルは次にスバルを睨む。

 

「.....」

 

「な、何だよ兄貴」

 

「いや、お前の優柔不断さに呆れただけだ」

 

「ど、どういう意味だよそれ!」

 

「さあな、自分で考えてみろ...レムちゃん。良かったらこの愚弟の嫁に来ないか?」

 

「兄貴!?」

 

「ありがたいお言葉です。だけどスバル君には既に心に決めたお人がいますので、それでもレムはスバル君が好きです。だからレムは2番目です」

 

「...英雄色を好むと言うが、俺らの世界からしたらただの節操無しにしか聞こえねえな...」

 

「やっぱり何か俺に対して辛辣ゥ!」

 

レムが目を覚ましたという事もあり、ミツルたちは話をする為に1階のリビングにあるソファに座る。ミツルは対面にあるソファに座っているスバル達に水の入ったペットボトルを差し出す。スバルたちはそれを手にして飲む。途中レムがペットボトルの開け方がわからなかったらしく、スバルが丁寧に開け方を教えていた。その姿はミツルから見たら初々しいカップルのようにしか見えなかった。

 

「さて、君たちの事は昴から聞いた。異世界.....と言っても帰ってきたスバルやレムちゃんからしたらここも異世界のようなものか」

 

ミツルは懐から1本タバコを出し口にくわえる。

 

「結論から言わせてもらうと、世界は、崩壊した。」

 

これは始まりに過ぎない。異世界から帰ってきた異世界人(スバル)はこの地獄のような世界に生き残るべく、抗い続ける。それは長く、とてつもない道のり。絶望しかないこの世界でスバルは何を見つけ、何を得るのか、それは神のみぞ知る話だ。

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