ヒーローと黒猫のウィズ   作:ロック・ハーベリオン

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第9話:黄昏メアレス

黒猫side

 

USJでの騒動が終わった次の日、騒動の後処理の関係で雄英高校は臨時休校となった

ニュースでは襲撃の件が報道されていて、やはり危険な事件だったことを実感させられる

そんな中俺は朝早くに自分の怪我を治し、イレイザーの治療をするために雄英に来ていた

 

「包帯だらけだな、相澤先生」

 

「ミイラみたいにゃ…」

 

「うるせぇ。ばあさんが大袈裟なだけだ。明日には復帰する」

 

「その怪我でか…」

 

「そのためにお前がここに来たんだろ。早く頼む」

 

「はいはい、『咲き誇り思い繋ぐ花』」

 

個性把握テストの時に出久に使った回復のSSをイレイザーに放つ

 

「これで怪我は大丈夫だろ。ただ、後遺症はどうしようもない。まあ、普通に治すよりは後遺症がないと思うがな」

 

「すまん、助かった」

 

そしてイレイザーを治療して雄英を出ようとしたら、切島がどうせ休校で暇だし、みんなで集まって昨日の話をしようと電話で提案してきた

おそらく、ブレイクメアのことが聞きたいんだろうな

 

「どうするにゃ?」

 

「行くさ。あいつらは関わってしまったからな。話しておかないといけない」

 

「そうかにゃ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は八百万の家でやるとのことで、俺が向かうとクラス全員がメンバーが集まっていた

驚いたことに爆豪までいた

 

そして俺らは八百万の家の前についたのだが、

 

「でっけー、これほんとに家かよ」

 

「まさに御屋敷って感じで素敵ね」

 

その大きさに圧倒される瀬呂と素直な感想を述べている蛙吹、みんな二人の意見に納得していた

そうこうしていると門が開いて中から私服姿の八百万が出てきた

 

「みなさん!ようこそいらっしゃいましたわ!さあ上がってくださいな!」

 

八百万さんがテンション高めで案内してくれる

普段だとなかなか見れない姿だな

 

「こうしてお友だちを自宅に招待するなんて初めてでして……。でも夢でしたの!」

 

歩きながら八百万が語る

ぴょんぴょんと少し跳ねながら歩く姿はなんとも可愛らしい

たしかに彼女のストイックな性格は他を寄せ付けないところがあるかもしれない

しかし、自己主張の塊みたいな俺らのクラスメイトにはそんなことはお構い無しだったようで、いまではすっかり友達も増えたってわけだな

 

そうして俺らは使用人の数や通された部屋の広さ、出されたお茶と茶菓子の味など様々なことに驚きながらも、昨日のことを振り返って話をしていた

思い思いに昨日の戦闘のことを語っていくクラスメイト

全員がほんとに大変だったらしい

合流できなかった人の話を聞けてよかったな

 

そして話題はあの話にとうとう移った

 

「ねぇ、まーくん。そろそろ教えてください。まーくんが戦っていたやつのことを…」

 

「…お前らも聞きたいか?」

 

渡我に言われて、周りを見るが全員がうなづいていた

 

「いいか、今から話す内容は世間一般には出てない極秘事項だ。警察もヒーローも一部のやつしか知らない。他のやつに話してはいけないことだ。それでも知りたいんだな?」

 

さらに忠告をするが、全員が俺を黙って見ていた

 

「はあ、いいだろう。話してやるよ。まず、大前提に俺の個性の話をしよう」

 

「黒猫の個性?」

 

俺は頷き、カードを1枚取り出した

 

「俺の個性は『魔法』。カードに魔力を込めて、色々な魔法を使う個性。なら、カードはなんなのか。これはな、異界の精霊と契約の証だ」

 

「異界の精霊?」

 

「そうだ。異界、異世界にいる存在の力がこいつには込められている」

 

「…それがあいつとなんの関係がある」

 

「そう、慌てるなよ、轟。いいか、異界と契約している俺は時に異界の事件に巻き込まれることがある。そうだ、俺は異世界に行ったことがある」

 

「「「はぁ!!??」」」

 

「まあ、驚くのも無理がない。普通に考えてありえないからな。その異界のひとつに『夢と現実の狭間の世界』が存在する。そしてその世界には夢を持たないやつしか戦えない化け物がいる」

 

「ちょっと待って、魔借。まさか、」

 

「そのまさかさ、出久。あいつがその化け物、『ロストメア』だ。別世界からの化け物だ」

 

「でも、おかしいでしょ!いくら魔借が異世界に行けるからってこっちの世界にその、ロストメアが来るなんて」

 

「それは俺もよくわかってない。推測はできるがな」

 

「推測ですか?」

 

「ああ、それを言うにはあの異界の話をしないといけないな。話そう。俺が巻き込まれ、体験した、あの異界での出来事、【黄昏メアレス】の話全てを…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この始まりは約6年前

8歳のころ、俺は存在しているのに魔法が使えないカードをみていた

 

「なんで使えないんだろな、これ」

 

「さあにゃ?契約できていないんじゃないかにゃ?」

 

「ならなんで、カードがあるのよ?」

 

「知らないにゃ…」

 

そうやってウィズと話をしている時に、そのカードが急に光出した

 

「はあ!?」「にゃにゃにゃ!?」

 

光に包まれた俺とウィズが立っていた場所は見たことも無い都市の通りだった

 

「…何がどうなってんだ?」

 

「き、キミ!体が!」

 

「あ?うん?あれ?大きくなってね?」

 

そして俺の体は今くらい、高校生くらいの大きさになっていた

服もそれに合わせて大きくなっていた

そのことも気にしながら、俺とウィズは周りを見渡した

高い建物に煙突が並び、煙を吐き出している

現代でもとても見えない様相だった

 

「異界、か?」

 

「おそらくそうにゃ。あのカードのせいかにゃ?」

 

そんなことを話していると、突然、背後で絹をさくような悲鳴が響き、周囲の人々が一斉に慌てふためいた

振り向くと、黒い異形の化け物が馬車を跳ね飛ばしながら街路を駆け抜けて来た

 

「キミ!」

 

俺はカードを取り出し、魔力を込めた

 

「ちょ、そこの人!危ない!逃げて!」

 

「いや、待って、ルリアゲハ。あれは、魔力!?」

 

誰かが声をかけてきたが、気にしてる余裕はない

 

「『デトネーションヴォルテックス』!」

 

インフェルナグのSS、巨大な雷の魔法を放ち、化け物に命中させた

咄嗟に放ったため、威力が充分に発揮できず、化け物を仕留めることが出来なかった

そして、化け物は悲鳴をあげ、方向転換し、逃げていった

 

「ちっ、逃がした…」(それにしても、あの化け物どこかで見たことがあるような気が…)

 

カードをしまいながら、そんなことを考えていると、

 

「あ、ありがとうございます、『メアレス』の方」

 

逃げていた市民の人がお礼を言ってきた

 

「いえ、そんな大層なことじゃ「あなたのような『メアレス』は知らない。今の…魔法ね?」

 

急に声をかけられた

 

「にゃ?」

 

ウィズと共に声がした方を向くと、そこには険しい表情をした少女が変わった衣装の女性とともに、歩み寄ってきた

 

「魔法と言われれば、魔法だが…」(こいつらもどこかで見た覚えが…)

 

少女の確信に満ちた問いに答えた

すると、彼女はすっと目を細め、さらに問うた

 

「なら聞くわ。どうしてあなた、魔法が使えるの?」

 

「…はあ?」

 

俺の曖昧な返しに彼女はさらに問い詰める

 

「答えて。あなた、何故魔法が使えるの?『メアレス』…、それとも『ロストメア』?」

 

「落ち着きなさいな、リフィル。世の中広いんだし、あなた以外の魔道士がいるってこともあるでしょ?」

 

リフィルと呼ばれた少女は、じろり、と、その鋭い視線を傍らの女性に向けた

 

「…勝手に人の素性をしゃべらないで、ルリアゲハ」

 

「しゃべるといえば、その猫ちゃん、さっきしゃべってたわよね?キミ、って」

 

「う」「おい、ウィズ」

 

「とまあ、色々と気になる2人だけど、急がないとロストメアに逃げられちゃうわよ」

 

「…そうね」

 

リフィルの瞳が俺を捉えた

 

「…なんだよ」

 

「ついてきなさい。話はそのあとで聞く」

 

「…命令かよ」

 

「いいの、リフィル?ロストメアとの戦いに巻き込んじゃうわよ」

 

「すでにあれと戦っていがら、けろりとしている」

 

「そういえば、そうね。なら、問題ないか」

 

「おい、こら。勝手に話を進めるな」

 

「なら、どうするの?」

 

「キミ、状況を把握するのにもついていったほうがいいと思うけどにゃ」

 

「あら、そっちの猫ちゃんは利口ね」

 

「はぁ、仕方が無いか。こちらとしても色々と聞きたいことがあるしな」

 

「その前に、せめて、あの化け物が何者かくらいは先に教えておいて欲しいにゃ」

 

ウィズがそう言い、リフィルがすらすらと答える

 

「あれは『ロストメア』。かつて、誰かが抱いて捨てた、『見果てぬ夢』の、その化身」

 

「夢、だと?」(ちょっと待て、心当たりがあるぞ)

 

「そ、夢。夜に見る方じゃなくて、叶える方のね」

 

「誰もが夢を叶えられる訳じゃない。諦めて、捨て去ることもある。それが、ああなる。見果てぬ夢が、ロストメアに」

 

ロストメア…見果てぬ夢…

まさか、

 

「奴らは、夢と現実の狭間にあるこの都市を通って、現実に出ようとする。ロストメアが現実に出るということは、その見果てぬ夢が実現することを意味する」

 

「夢が自分で自分を叶えるなんて無茶が通ると、周囲にどんな影響が出るかわからないのよね。下手したら、夢と現実の境が無くなって、何もかも混沌に呑まれてしまいかねないの」

 

「なら、あんた達はそれを防ぐために戦っていると?」

 

「そう。私達だけが、ロストメアと戦える。『メアレス』--『夢見ざる者』だけが」

 

メアレス…夢見ざる者…

そうか、ここは『黄昏メアレス』の世界か!

なんで、忘れてたんだよ!

普段から秘技糸とか使ってるのに!

つーか、ここでは使わないほうがいいな

目の前に、本来の使い手のリフィルがいるし…

あー、くそ!

何年も前だから、もう黄昏メアレスのストーリーの記憶がない!

このあとの展開どうなったけ?

 

「そろそろ、いいかしら。最低限の情報は渡したけど?」

 

「あ、ああ」

 

「なら、行きましょうか、お二人さん。ロストメア退治にね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『憑依召喚(インストール)、【ザハール】!』」

 

俺たちは、逃げるロストメアを追って、家屋の屋根を飛び石代わりにして跳躍していく

俺は足りない身体能力を補うために、ザハールを憑依召喚(インストール)する

するとオレの体に、蒼色の鎧が身に付く

 

「邪魔だ!」

 

時折、ロストメアに似た小さな化け物、『悪夢の欠片』が行く手を阻むが、俺たちの相手にはならなかった

 

「悪夢の欠片くらいならどうとでもなるのね、魔法使いさん!それにしても、その姿、夢魔装(ダイトメア)にそっくりね。それも魔法?」

 

屋根の上を並走しながら微笑むルリアゲハに、俺は答えた

 

「そうだ、これは俺が使う魔法の一つだ。それよりも『悪夢の欠片』ってんだ?」

 

「さっきから出てきている奴らのこと。ロストメアの分身とでも思って」

 

「つまりは前座よ。欠片をいくら倒しても、本体を叩かなければ意味がない!」

 

リフィルの言葉を受け、前方に逃げるロストメアを見る

 

「ロストメアは必ず、この都市の中心にある門を目指す」

 

「あのでかいのかにゃ」

 

壮麗な意匠の門が、遠くに見える

この都市のどんな建物よりも大きく重厚で、圧倒的な存在感を放つ、石造りの門だった

 

「あの門が現実との出入り口。あそこを通ることで、見果てぬ夢は現実と化す!」

 

「昼と夜、現実と夢の混じり合う黄昏時だけね!つまり、今飛び込まれると不味いわけ!」

 

「なるほどな!」

 

「無論、許す気はない!落とせッ、ルリアゲハ!」

 

「ちょうどそうする1秒前よ!」

 

答えた瞬間、ルリアゲハの右手がかすんだ

響く銃声、弾ける銃火…

撃った、と遅れて気づくほどの早打ちだった

そして、ちょうどロストメアが屋根を踏み台にした瞬間、その背面に銃弾が直撃

体制を大きく崩させ、屋根へと叩き落とした

 

「『繋げ、秘儀糸(ドゥクトゥルス)』!」

 

続けて、叫ぶリフィルの足元に魔法陣が生じた

そこから数条の光り輝く糸が現れ、指に巻き付く

リフィルがそれを掴んで引くと、魔法陣から、骸骨めいた人形が、ずず、と引きづり出された

 

「なんにゃ!?あれは!?」

 

ウィズは思わず、ぞっとなった

現れた人形から、凄まじい濃密な魔力の鼓動を感じたからである

 

「『修羅なる下天の暴雷よ、千々の槍以て振り荒べ』!」

 

リフィルが素早く糸を操るのに呼応し、人形の指が複雑怪奇な印を結ぶ

すると、人形の眼前に無数の小さな魔印が浮かび、その全てが迅雷の槍となって迸った

 

「あれがリフィルの魔法の詠唱か!」

 

放たれた無数の雷の槍はロストメアを完璧に捉えた

 

『ガァァァァァ!!』

 

千々の雷火に撃たれたロストメアが悶え、苦しんでいる間に、俺たちは距離を詰めた

もはや逃げられぬと悟ったか、ロストメアはこちらを向いて起き上がり、低い唸りを発した

 

「そうよ、ロストメア。私たちを破らずして、お前が門を潜る未来はない」

 

聞くもおぞましい咆哮を放つロストメアに対して、リフィルは眉一つ動かすことなく、糸を構えた

俺もカードを取り出して構えた

 

「そんな叫びに意味はない。夢見ざるメアレスは、夢を潰すことを躊躇わない!見果てぬ夢なら、らしく潰れろ!」

 

そういい、リフィルは更に魔法を放つ

俺もそれに連携し、通常の魔法を放っていく

 

『ガァァァ!!!』

 

それをギリギリで回避しながら接近してくるロストメア

しかし、それは悪手だ

 

「オラッ!!」

 

龍の鎧、身体能力を得ている今の俺に対し、接近すれば殴り飛ばされるのは通りである

俺の蹴りをまともに受け、屋根に叩きつけられながら、飛ばされるロストメア

その隙を逃すメアレスはこの場にいない

 

「数打ちゃ当たるの理屈で攻める!」

 

腰だめに構えた銃に左手を添えるルリアゲハ

直後、その銃口から火の五月雨を噴いた

狙いは定まらぬが、回避も難しい、怒涛の連射

2発が敵に直撃し、起き上がろうとしていたロストメアの動きを食い止めた

ほんの少しの遅滞

俺たちが魔法を放つには、充分な一瞬だった

 

「『アークティック・ジェレイション』!」

 

「『馳せ来れ、咆哮遥けき地雷』!」

 

俺は氷と闇の10連撃を、リフィルは地を走る雷を放ち、ロストメアを撃ち抜いた

 

『ゴァァァァァォォォォォ』

 

ロストメアは長く尾を引く痛ましい悲鳴を上げながら、ぐずぐずと崩壊していく

 

「終わったか…。魔法解除(リセット)

 

俺は魔法を解除し、鎧をとく

 

「手こずらせてくれた分、実入りは良さそうね」

 

崩れゆくロストメアから淡い光がこぼれ、リフィルの魔法陣に吸い込まれていく

 

「あれは魔力にゃ。ロストメアは魔力を秘めているにゃ…?」

 

ウィズが首を傾げていると、ルリアゲハが称賛の声を送ってきた

 

「一丁上がり。なかなかやるじゃない、猫ちゃん連れの魔法使い。それに、本当に平気なのね」

 

「どういう意味だ?」

 

眉をひそめる俺に、リフィルがじろりと視線を向けた

 

「夢を持つものはロストメアとは戦えない。夢を潰すことに、心が耐えられないから」

 

「不思議に思うだろうけど、そうなのよ。奴らの声は、夢見る人間の敵意を削いでしまうの」

 

「夢を見ない者だけが、躊躇い無く夢を潰せる。あなたもそうなの?魔法使い」

 

「お生憎、夢はある人間でね。なりたいものがあるものでな」

 

そう言うと、リフィルは眉をひそめた

 

「夢を持っていながらロストメアで戦えた…ということ?そんなはずは…。…いや、ああも魔法を使いこなす時点で、ありえないなんて言っても仕方が無いか」

 

「まあ、それが俺の個性だしな」

 

「個性?」

 

「それよりも、君も魔法を使っていたけどにゃ?」

 

そう、ウィズが言うと、リフィルは自身が出した人形をみる

 

「私が魔法を使えるわけじゃない。使えるのは、この人形の方」

 

どこか悄然として告げてから、リフィルは、ひたり、と俺を見据えた

 

「人が魔力を失い、魔道が廃れ、長い時が経った。ここはそんな世界よ、魔法使い」

 

 

 

 

 




やっと、黒猫視点でのメアレスを書くことができました!
何話かに分けて1~4、全てを書こうと思っています
頑張りますので、よろしくお願いします!
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