ヒーローと黒猫のウィズ   作:ロック・ハーベリオン

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個性把握テストと言いながら前半は全く違う件













第2話:個性把握テスト

~三人称視点~

 

「『ブラストウィール』!!」

 

1人の男が光の矢を放つ

それは怪物に突き刺さり、怪物は消滅した

 

「くそっ、数が多い!」

 

時刻は黄昏

異形の怪物は街の中央にある門を目指す

 

「『ゲイルウィール』!!」

 

異形の怪物の名は『ロストメア』

誰か夢見てそして捨てられた見果てぬ夢の化身

彼らが目指すは現実の世界

この都市、夢と現実の狭間にある都市『ロクス・ソルス』にある門を目指すのだ

 

「『クラッシュウィール』!!」

 

ロストメアが現実に出たら現実の法則が歪む

それを阻止するために彼らはいる

『メアレス』、夢見ざる者達が

 

「ぐっ!?」

 

彼もその1人

魔匠輪(ウィールライト)』レッジ

彼が相対してるのは『多くの友達を作る夢』というロストメア

その特性はロストメアが作り出す分身、『悪夢の欠片』の大量生成

ロストメア自身も悪夢の欠片もそこまで力がないやつではあったがいかんせん数が多く、苦戦していた

 

「『修羅なる下天なりし暴雷よ、千々の槍以て振り荒べ』!!」

 

「っ!」

 

詠唱が聞こえた瞬間、レッジは後退した

そして先程いた場所に複数の雷撃が飛んできた

 

「魔借か!」

 

レッジの傍にウィズを肩に乗せた魔借が来た

 

「苦戦してそうだったからな。手を出させてもらった」

 

「いや、助かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~魔借視点~

 

数分前、俺は門を潜り、『ロクス・ソルス』に来ていた

この門は本来黄昏の時間帯に現実とこの都市を繋ぐための門だが、前にあった『オルタメア』による事件以降、門に干渉できるようになり、叡智の扉と門を繋ぐことで行き来できるようになったのだ

 

「来て早々悪いが手伝ってくれるかね?」

 

「アフリト翁…。何かあったのかにゃ?」

 

アフリト翁

メアレス達に報奨金を払ったりしているメアレスの統治者的存在

その正体は夢を喰う妖精の化身

 

「実は、少し厄介なロストメアが出おっての。手伝って貰いたい」

 

「はあ、またか。わかった。んで、何処にいけばいい?」

 

魔匠輪(ウィールライト)の方に向かってくれ。ロストメアの能力は悪夢の欠片を大量に生成する力だ」

 

「了解」

 

そういう会話をした後、『ディテクトウィール』を使ってレッジの方に向かった

 

「キミ、あそこにゃ!」

 

「聞いてはいたが数がほんとに多いな。『繋げ秘儀糸(ドゥクトゥルス)』。『修羅なる下天の暴雷よ、千々の槍以て振り荒べ』!!」

 

レッジに迫っていた悪夢の欠片に向かって複数の雷撃を放つ

それは悪夢の欠片を打ち砕いた

 

「魔借か!」

 

「苦戦してそうだったからな。手を出させてもらった」

 

「いや、助かった」

 

「んにしても、数が多すぎだろ。本体は?」

 

徹剣(エッジワース)裂剣(ティアライザー)が向かった」

 

「あの二人なら問題にゃいとは思うけどさっさとこっちを片付けて手伝いに行くにゃ」

 

「了解!」

 

「言われなくてもわかってる!」

 

そう言い合い、俺は刀と銃を召喚し、レッジは弓を構える

 

「全弾持ってけ!!」「『ブラストウィール』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは『巡る幸い亭』

メアレス行き付けの定食屋である

黄昏時が過ぎ、既にロストメアを退治し終えたメアレス達が集まり、騒いている

 

「はい!野菜たっぷりカレー、お待ちどう♪」

 

「ああ、ありがとう、リピュア。…変なことしてないよな?」

 

「変なことじゃないよー。愛と勇気と希望の魔法だよ」

 

「…大丈夫かにゃ?」

 

「…シチュージンみたいにならないことを祈ろう」

 

俺は『妖精』リピュアが持ってきたカレーを少し警戒しながら食べ始めた

 

「結局、本体はゼラードが仕留めたのか」

 

夢魔装(ダイトメア)』ラギトがそう言った

 

「ああ、数いるだけで大した強さではなかったからな。突っ込んで斬った」

 

「その数が多くて時間がかかってしまいましたけどね…」

 

それに答えたのは『徹剣(エッジワース)』ゼラードと『裂剣(ティアライザー)』コピシュだった

 

「お疲れーっす!」「ふう」

 

「らっしゃーせー」「らっしゃーせー!!」

 

入ってきたのは『戦小鳥(ウォーブリンガー)』ミリィとレッジだった

その2人に挨拶をしたのはこの店の従業員である『黄昏(サンセット)』リフィルとリピュアだ

 

「にゃ?レッジ、遅かったにゃね」

 

ウィズはレッジの方に歩いていく

 

「ああ、多くのメアレスが魔力の補充に来ていたからな。時間がかかった」

 

「私はそれを手伝っていました!」

 

そう言い、ミリィとレッジは席に座る

 

「お疲れ様です、レッジさん」

 

「ああ。裂剣(ティアライザー)、今日はお前が仕留めたんだったな」

 

「正確には俺とコピシュだ」

 

そう言いあいながらメアレス達の会話は進んでいく

 

「それにしてもルリアゲハさんとリフィルさんがいないと大変ですね」

 

そう、ミリィが呟く

堕ち星(ガンダウナー)』ルリアゲハは故郷の国へ帰り、リフィルは…

 

「まさか、黄昏(サンセット)が夢を持つとはな」

 

「彼女は自分から夢を見たことがなかった。そこから夢を見ることは必然だったのであろうよ」

 

「うぉ、アフリト翁、急に出てくるなよ」

 

「どちらにしろ、トップクラスのメアレスが2人もこの都市からいなくなったにゃ。その影響はでかいにゃ」

 

「ウィズさんの言う通りですね。それにしても…」

 

「あー、あれは仕方ないにゃ」

 

「魔借さんは鈍感ですからねー」

 

そう言いながらメアレス達の視線の先は少し離れたとこに座っている魔借とそのそばに立ち、魔借と話をしているリフィルの姿があった

 

「だが、黄昏(サンセット)が何も言わないのも頷ける」

 

「どういうことですか、ラギトさん?」

 

ミリィがラギトに質問する

 

「俺たちと魔法使いは住む世界が違う。文字通りな。それが弊害となっているんだ。…『彼の隣に立つ』。簡単に叶いそうで叶わない夢だな」

 

「…だからといって黄昏(サンセット)は未だ夢を捨ててない」

 

そんなレッジの呟きにアフリト翁が答える

 

「それが更に難儀な事になっているのさ。叶いそうで叶わない夢。諦めきれないのさ、彼女は。お陰でメアレスとしては活動出来なくなっているがね」

 

「はぁー、めんどくせぇ。単純に黄昏(サンセット)の野郎が魔法使いの世界に行けばいいだけだろ」

 

「…お父さん」

 

「まじで理解してないんですか…」

 

「呆れたにゃ」

 

「ちょ、そんな視線を向けるな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんか向こうが騒がしいな」

 

「気にしなくていいでしょ。はいコレ」

 

「あ、頼んでないぞ?」

 

「サービスよ」

 

「…」

 

「何よ?」

 

「いや、リフィルがサービスするなんて珍しいな、と」

 

「…私のこと、どう思っているのよ…」

 

そんな会話をしていたのはメアレス達から少し離れた場所にいたリフィルと魔借だった

魔借はすでにカレーを食べ終え、リフィルからもらったアイスを食べようとしていた

 

「今日はなんで来たの?」

 

「あ?」

 

「あなたが理由なく来る事なんて滅多にないから」

 

「ああ、そういうことな。…絡園を調べに来た」

 

「絡園を?」

 

絡園…

それは嘗て園人が管理していた夢の世界

魂だけが行ける場所であり、膨大な魔力がある場所でもある

そして、その正体は『夢を叶える夢』のロストメア

全てのロストメアの生みの親

 

「でもどうして?」

 

「…先日、俺の世界にロストメアが出た」

 

「えっ?でも、門を」

 

「ああ、門を潜ったという報告は聞いていない。だけど、ロストメアが現れたのは事実だ」

 

黄昏にしか開かない門

しかし、いつしか不安定になったせいか、それとも魔借が門を経由してこの世界に来ているせいか、時折門を潜ったロストメアが現実ではなく異界、魔借の世界に現れたことがあった

それが初めて起こったのは約2年前のこと

現実ではなく異界に行ったロストメアは厄介だった

現実に出る場合は現実の法則が歪むが、魔借の世界に行った場合は通常のロストメアが人擬態級になるほどまでの力の上昇を見せたのだ

そして魔借の世界で大暴れ

すぐにヒーロー達が駆けつけたが、攻撃ができなかった

夢を持っていたからである

それはオールマイトでも例外ではなかった

その場で唯一攻撃ができたのは魔借と魔借に召喚されたラギトだけだった

その後、警察に連れられた魔借は事情を話した

あまりにも突拍子もない話が、事実であったため、このことは上層部、そして一部のヒーローにしか伝えられなかった

また、対応できるのが魔借のみであったため政府は魔借に特別ヒーロー免許を発行した

しばらくはロストメアの被害はなかったが、ある時急に現れたのだ

魔借は後でアフリト翁に確認を取ったが門を潜られた形跡はなかったと言われた

門を潜らずに現実、または異界に出る方法はいくつか考えられるが…

 

「だから絡園なのね」

 

「ああ。もし絡園の魔法陣が誤作動を起こしているだけならいいが、もしこれが誰かの手によるものだとしたら…」

 

「ちょっと待って、もしかして」

 

「ああ、園人が関連している可能性が高い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実技総合評価出ました」

 

ここは雄英の会議室

そこに複数の教師が集まり、試験結果を見て話し合っていた

 

「この爆豪っつったか?救助ポイント0で二位とはなぁ」

 

「対照的に敵ポイント0で八位。あれに挑んだのは過去にもいたけど…ぶっ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」

 

「YEAH!って叫んじゃったしな!」

 

教師各々が各々の評価を下す中で、トガの話題が出た

 

「この子は敵ポイント37、救助ポイント35か」

 

「個性は変身?他人の血を取ることでそいつになる個性か。ヴィラン側にいなくて良かったな」

 

「確かに。ヴィラン側にいたら厄介過ぎる個性よね。それでもヒーロー科に来てるんだからいいじゃない?」

 

「それもそうか。筆記は…、あれ?結構ギリギリ?」

 

「実技がいいから合格かな?」

 

そしてついに魔借の話に入る

 

「それと第一位、敵ポイント51に救助ポイント50、合計101ポイント。100超えたのっていつ以来だ?」

 

「つーか、なんか見たことある個性だな…」

 

「…あ、特免じゃないか!?この子!?」 

 

「「「あ!?」」」

 

「そりゃあ個性の使い方が上手いわけだ。既にヒーローとして活動してるんだから」

 

「筆記はほぼ満点。文句なしの合格だな」

 

「流石、魔法使い。略してさすまほ」

 

「「「略すな!」」」

 

「ったく、わいわいと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔借、お主に手紙じゃぞ」

 

雄英試験から一週間後、ロクス・ソルスに行った三日後の昼に俺は自分の家でじいちゃんに封筒を渡された

絡園ではリフィルと導く夢のロストメア、『ロードメア』、それから精霊として召喚したこちらの味方だった園人、『ネブロ』に手伝ってもらい、色々と調べたが何も見つからなかった

ロードメアには時間がある時に引き続き調べたもらうことにしてもらい、俺は自分の世界に戻ってきたのだ

 

「…雄英からの合否通知か」

 

じいちゃんに渡されたのは雄英からの合否通知だった

 

「早く開けてみるにゃ」

 

ウィズに急かさせ、中を開けると、丸い機械が入っていた

 

『私が投影された!!』

 

「へァ!?」「にゃ!?」

 

びっくりして変な声が出てしまった

そこに現れたのはNO.1ヒーロー、『オールマイト』

何かと交流はあるが、こうして出てくるとは思ってもいなかった

いや、俺が忘れていたと言った方がいいのかもしれない

 

『私が投影されて驚いたのではないかな、黒猫少年?実は今年から私は雄英の教師を務めることになったんだ!』

 

それは覚えていた

自分の後継者を育てるため

そのためにオールマイトは雄英に来た

 

『さて、黒猫少年、試験結果だが…筆記はほぼ満点、実技も敵ポイント51と好成績だ!素晴らしい!』

 

「流石、魔借にゃ♪これで合格だにゃ♪」

 

「まだ映像の続きがあるぞ」

 

「にゃ?」

 

『だがしかし、試験で見ていたのは敵ポイントだけじゃない!救助活動ポイントというものがある!しかも、審査制!!我々雄英が見ていたもう一つの基礎能力!!君の場合、受験者の少年少女を助け、そして……0ポイント敵を倒し、被害を抑えて大勢の受験者を守った。よって救助ポイント50、合計101ポイントだ!!文句なしの第一位での合格だ!!黒猫少年…君は既にプロと何ら変わりない活動をしている。故に、今の君に必要なのは共に切磋琢磨し、助け合う仲間だ!!共に学ぼう!!……雄英(ここ)が君のヒーローアカデミアだ!』

 

「一位かよ…」

 

「流石魔借にゃ。略してさすまかにゃ」

 

「略すな」

 

やれやれ、一位か

何かと面倒事が回ってきそうだな

 

 

 

 

この後、渡我がうちに来て、ギリギリだが合格したと言ってきた

そして、俺と渡我の家合同で俺達の合格パーティーが開かれた

そして、月日は流れ、遂に、

 

 

 

「ウィズ、行くぞー」

 

「にゃ!」

 

雄英の制服を身につけた俺はいつも通りウィズを肩に乗せ、玄関を出ようとした

 

「魔借」

 

「ん?なんだ、じいちゃん?」

 

「頑張ってこい!」

 

「…ああ、行ってくる」

 

じいちゃんに激励され、玄関を開けると

 

「まーくん、一緒に行きましょう♪」

 

「…」

 

「にゃはは、トガは高校になっても変わりないにゃ」

 

はあ、やれやれだぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-緑谷side-

 

僕は無個性だった

僕はいじめられ続けた

僕は、ヒーローなんかになれないと言われ続けた

そんな中、彼は、僕の1番の友人は言ってくれた

 

『出久はきっとヒーローになれるよ。なんとなくだけどな。でも、お前が諦めなければ、その夢を捨てなければ、きっとなれる。誰もを助けられるヒーローに…』

 

正直、信じられなかった

彼はすごい個性を持っていたからそんなことが言えるんだと妬んだこともあった

でも、僕は結局諦めなかった

…諦めきれなかった

そんな時に言われたんだ

僕が1番憧れていたヒーローに

 

『君はヒーローになれる』

 

NO.1ヒーロー、オールマイト

僕はそんなヒーローの後継者になった

そして、身の丈に合わない個性を引き継ぎ、僕は雄英に合格した

今ならわかる

彼の言っていたことが…

諦めなくて良かったと言える

彼の言葉が支えになった時もある

そんな彼の名前は…

 

「よう、出久。お前なら雄英(ここ)に来ると思っていたぞ」

 

「魔借!」

 

彼の名前は黒猫魔借

隣町に住む僕の1番の親友だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はウィズを肩に乗せたまま、渡我とクラス分けの紙が貼ってある雄英の入口に向かっていた

 

「魔借、あれ、イズクじゃないかにゃ?」

 

ウィズにそう言われ、見た先にはクラス分けを見ているこの世界の主人公、緑谷出久がいた

彼との出会いは小学生のことまで遡る

隣町にウィズと出かけた時、渡我と同じように出久がいじめられていた

しかも、個性によって

俺はそれを見逃せず、いじめっ子を撃退

それ以来、連絡を取り合っている

時折、遊びに行ったりもしたがな

因みにいじめっ子の中に爆豪はいなかった

ともかく、視線の先にいた出久に俺は声をかけた

 

「よう、出久。お前なら雄英(ここ)に来ると思っていたぞ」

 

「魔借!君も雄英に合格したんだ!」

 

「おう。暫く連絡してなかったからな。お互いの状況を把握しあってなかったからな」

 

「まーくん、私、蚊帳の外ですか?」

 

俺と出久で話している中に渡我が割り込んできた

 

「はいはい。出久、こいつは渡我被身子。俺の幼馴染だ。んで、渡我、前に行ったろ。俺の友人の緑谷出久だ」

 

「渡我被身子でーす!よろしく、イズクくん!」

 

「ここここここちらこそ!みみみ緑谷出久です!」

 

「イズク、緊張しすぎにゃ」

 

まじそれな

ともかく緑谷と渡我が話している中、俺はクラス分けを見る

 

「お、俺たち全員、A組じゃん」

 

「え、本当!?まーくんと一緒のクラス!?」

 

「魔借と一緒かー。うん、一緒に頑張ろう!」

 

「いや、お前ら…。ウィズを撫でながら言っても格好つかないぞ」

 

「こうでもしないと女子と話せない!」

「ウィズちゃんがかわいいのがいけないんです!」

 

「はいはい、ほら行くぞ」

 

ウィズを2人から回収して俺は2人と共に教室に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校ヒーロー科

それは僅か2クラスしかない

俺は1-Aと書かれている掛札のかかった扉を開けた

 

「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよ!てめーどこ中だよ端役が!」

 

「ボ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ。」

 

「聡明~? あぁ、めちゃくそエリートなとこじゃねえか。ブッ殺し甲斐がいがありそうだなぁ、ア"ァ?」

 

「ぶっ殺し甲斐?! 君ひどいな?!本当にヒーロー志望?!」

 

「…」「ほうほう」「かっちゃん…」「にゃ…」

 

…ひでぇな

なんかこっから一気にUターンして全力疾走で帰りたくなってきた

つーか出久、今かっちゃんっていった?

てことはあれが爆豪か…

 

「かっちゃんの性格、高校に上がったら多少にマシになるかなって思ったけど、全然そんなことはなかったな…」ボソッ

 

「イズクくん、あの人は昔からそうなんですか?」ボソボソ

 

「僕の知ってるかぎりそうだよ、トガさん」ボソボソ

 

「かんっぜんに不良にゃ」ボソ

 

「後、トガちゃんでいいです」ボソボソ

 

後ろで話している内容を聞く

あれじゃヴィランとそう変わんねぇだろ

ばかじゃね、と思いながらと首を横に振った

そして、教室を改めて見る

 

「あ、」

 

そして知り合いを1人見つけた

 

「よぉ、八百万」

 

「ま、魔借さん!?」

 

八百万(やおよろず)(もも)

一年半前ロストメアに襲われていたのを助けたのが俺と彼女の出会いだ

 

「あなたも雄英に?」

 

「ここにいるんだからわかりきったことだろ」

「ふふっ、そうですね。私の中ではあなたはヒーローとしていますから」

 

「俺、一応まだ15だよ。高校ぐらい行くさ」

 

そんな雑談をしてると

 

「お友達ごっこしたいなら他所でやれ」

 

『『『ッ?!!!』』』

 

クラス全員が急に聞こえた声にびっくりして廊下の方を見る

するとそこには寝袋に収まっている小汚いおっさんがいた

 

「ここは」

 

そしてウィダーを懐から取り出すと

 

「ヒーロー科だぞ」ジュッ!

 

一気に吸い込んだ

いや、なにこれ?

つーか、見たことあるな

誰だっけ?

そしておっさんはするりと寝袋から出ると教室に入ってきた

僕たちはサササッと道を開ける

ちなみに寝袋は引きずっている

あたりに緊張が走る

そして教壇の上に立つと再び口を開いた

 

「ハイ、静かになるまで8秒かかりましたね。時間は有限。君達は合理性に欠けるね」

 

なんか嫌味を言われた気がするが、ここにいる全員、気持ちはたぶん一緒だったはずだ

 

(((誰だ…コイツ)))

 

いや、だってそうだろ?

いつの間にか廊下にいてしかも寝袋に収まっていた

そして飲料材を一気に吸い込んでの登場だぜ?

怪しさ百点満点でしょう?

わかる?

 

 

 

「担任の、相澤消太だ。よろしくね」

 

(((担任かよ…!!)))

 

相澤…

あ、思い出した!

抹消ヒーロー、イレイザーヘッドじゃん!

何回かヒーロー活動中にあったことあるわ

俺が思っていると寝袋から何かを取り出した

それは雄英高校の体操服だった

 

「早速だが、コレ着てグラウンドに出ろ。今から 迅速(じんそく)に、な」

 

え?入学式とかガイダンスは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『個性把握テストォ⁉︎』』』

 

「あぁ」

 

「え?! 入学式はどうなるんですか?!ガイダンスは?!」

 

「そんなものないよ。ヒーローになるなら、そんな悠長な行事に出る時間なんてないしね」

 

「え、でも・・・」

 

「これ以上は合理性に欠けるから切るぞ。雄英は"自由"な校風が売り文句だ。そしてそれは"先生側"もまた然り。つまりはそういうことだよ」

 

さ、流石イレイザー

ほかの先生方と違うことを平然とやってのける

そこにしびれもしないし、憧れもしない

 

「時間は有限だ、とっとと始めるぞ。おい、爆豪」

 

「はい」

 

「お前中学の時ハンドボール投げ何Mメートルだった?」

 

「67」

 

「それは個性なしだな。じゃあ今個性を使って投げてみろ」

 

そう言われると爆豪はソフトボールを持ち、投げると同時に個性を使用する

 

「死ねぇ!!!!」FABOOOOOM!!!!!

 

(((死ね?)))

 

ヒーロー志望としてその掛け声はどうなんだとは思ったが出久の話から聞く限りどうせ直す気ないだろうからスルーしておくことにした

こんなとこにまで意見したらこっちが持たないからな

 

「まず、自分の【最大限】を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

 

【705.2M】

 

 

すると皆が沸いた

 

「なんだこれ! すげー面白そうじゃん!!」

 

「705mってマジかー」

 

「個性思いっきり使えるんだ! さすがヒーロー科!」

 

周りが騒いでる間、俺は原作内容を書きとったノートの内容を思い出していた

 

(そうか、これが)

 

「・・・面白そう、か。なるほど。では、君たちはヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

 

『『『えっ!?』』』

 

「よし、決めた。トータル成績で最下位の者は見込み無しと判断して【除籍処分】としよう」

 

『『『ハァアアアアアアアアアアアアアアアア?!!!!』』』

 

(除籍処分ありの個性把握テスト…)

 

 

 

「この国は理不尽にまみれてる。そういう理不尽を、覆していくのがヒーローだ。放課後、マックかケンタッキーで談笑したかったならお生憎。これから三年間、雄英俺達は全力で苦難を君たちに与え続ける。

 

 

ようこそ【雄英高校ヒーロー科】へ。

 

 

Plus Ultraさ。全力で、乗り越えて来い」

 

イレイザーのことだ

やると言ったら必ずやるぞ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一種目:50m走

 

飯田が3秒04という好タイムを出していた

個性がエンジンだからな

速さはお手の物か

 

「次、黒猫と口田」

 

「うぃす」「…!」

 

ウィズは測定の邪魔にならないようにイレイザーの隣にいる

さてと、やりますか

 

「『叡智の扉(ゲート)接続(コネクト)魔力供給(セット)』。『憑依召喚(インストール)』!『夢魔装(ダイトメア)』!『武装召喚(サモン・ウェポンズ)』!『魔匠輪(ウィールライト)』!『ゲイルウィール』、『繋げ、秘儀糸(ドゥクトゥルス)』!『鉄血鋼身(クルオル・フェッレウス)』!」

 

(魔借、結構本気でやる気にゃ)

 

ラキドの高い身体能力に速度を上げるゲイルウィール、そして身体強化(フィジカル・リーンフォーメント)の魔法

今出せる全力で走る!

 

「じゃ、行くぞ。よーい、スタート!」

 

ゴウっと音がした!

強烈な風が吹く

そして俺は50Mを走り抜けた

 

【2秒23】

 

「はやっ!」

 

「飯田の記録、超えたぞ!」

 

「すごーい!はやーい!」

 

「もっと距離が長ければ、僕も…!」

 

まさかの飯田抜き

ここまでとは俺も思わなかった

 

 

 

 

 

「次、渡我と常闇」

 

渡我か

どうするんだ?

 

「トガならさっきイイダから血を1滴貰っていたにゃ」

 

「なら、エンジンを使うつもりか。この距離なら1滴でも十分だしな」

 

「そうにゃ」

 

(((猫が喋ってる…!?)))

 

あ?

なんか周りの視線が…

 

「よーい、スタート」

 

お、始まった

あー、渡我のやつ、なれない個性だから扱い切れてないな

それでも速いが

 

【3秒96】

 

流石に飯田程の記録は出ないか

 

「むー、もっと早くできたのにー」

 

「1発勝負だ。諦めろ」

 

 

 

二種目目:握力

 

「540キロってアンタゴリラ!?タコか!」

 

「タコってエロいよね……」

 

向こうでは確か、障子だったか?そいつがいい記録を出していた

 

握力かー、どうしよう?

 

このまま(ラギト)でいいか」

 

バキバキバキッ

 

「あ」

 

「にゃにやってるにゃ…」

 

やべ、壊しちまった

 

「イレ、ゴホン、先生、すんません。握力計、壊してしまいました。この場合記録は?」

 

「…測定不可能(無限)で」

 

oh......まじか

 

(((1000まで測れる握力計を壊すって…)))

 

 

 

第三種目:立ち幅跳び

 

これは跳び、というより飛びだな

 

「『武装召喚(サモン・ウェポンズ)』『ソフィ・ハーネット』」

 

召喚したのは箒

『空飛ぶ大魔道』ソフィ・ハーネットの持つ箒だ

俺は箒に跨り、飛んだ

 

「魔法使い…」「完全に魔法使いだな」

 

いや、実際魔法使いだから

ともかく俺は相澤先生に止められるまで飛び続けた

お陰で記録は測定不可能(無限)

因みに渡我は俺の個性で、翼を生やして飛んでいた

あれ、ミカエラの翼だったな

 

 

 

第四種目:反復横跳び

 

ラギトの身体能力でゴリ押ししたので割愛

結果は193回

 

 

 

五種目目:ボール投げ

 

「なあ、聞いていいか?」

 

「ん?なんだ?」

 

順番待ちしていたら話しかけられた

ええっと、誰だっけ?

 

「どちらさま?」

 

「あ、すまん!自己紹介もしてなかったな!俺は切島鋭児郎!個性は硬化だ!」

 

「俺は黒猫魔借。個性は魔法だ。勿論、できないこともあるがな」

 

「魔法…。なあ、お前って『黒猫の魔法使い』か?」

 

「そうだけど」

 

「そうかー…。ええっ!?まじかよ!?」

 

『黒猫の魔法使い』

俺がヒーローとして活動している中で呼ばれている名前だ

ヒーロー名は特に考えていなくてな

ウィズ連れて活動していたらいつの間にかこう呼ばれていた

 

「まさかの同級生かよ!?あれ、でも魔借ってすでにヒーロー免許持ってるんじゃ?」

 

「少し事情があってな。一般のヒーロー免許は持ってないんだよ。だからここに来た」

 

「そうなのか。よし、お互い、頑張ろうぜ!魔借!」

 

「ああ」

 

そして、

 

測定不可能(無限)が出たぞ!」

 

麗日だっけか?

あの個性なら確かにそうなるわな

さて、次は緑谷か

見せてくれよ、主人公…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-緑谷side-

 

まずい…!

皆…一つは大記録を出してるのに…!

もうあとがない…

でも、まだ個性の調節は…

 

「やるしかない…」

 

(そろそろか…) 

 

ボール投げ…

ここでやるしかない

そして僕は腕に個性を使おうととして

 

「えっ?」

 

【46m】

 

発動しなかった

 

「な…今確かに使おうって」

 

「個性を消した」

 

「個性を消した…!あのゴーグル…。そうか!」

 

相澤先生の個性は『視ただけで人の個性を抹消する個性』 

そんな個性のヒーローは一人しかいない…!

 

「抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!!」

 

「見たとこ…個性を制御できないんだろ?また『行動不能』になって誰かに助けてもらうつもりだったか?」

 

「そっ、そんなつもりじゃ…」

 

そんなことを言うと相澤先生の首周りにある布で引っ張られる

 

「どういうつもりでも周りはそうせざるをえなくなるって話だ」

 

っ、確かにそうだ

だけど…

 

「昔、暑苦しいヒーローが大災害から1人で千人以上を救い出すという伝説を創った」

 

!?オールマイトのことだ…

 

「同じ蛮勇でも、お前のは一人を助けて木偶の坊になるだけ。緑谷出久、お前の(個性)じゃヒーローにはなれないよ」

 

そう言い切り、相澤先生は視線を外した

 

「個性は戻した。ボール投げは2回だ。とっとと済ませな」

 

相澤先生の言う通りだ

どうする!?

どうすればいい!?

 

『いいか、出久。物事には適材適所ってものがあるんだ。時と場合を見て自分のできることを全力でやる。そのために常に考えないとな。自分が全力で何ができるかを』

 

…昔、魔借が言っていたことが思い浮かんだ

考えろ!

今の自分にできる全力を…!

 

「力の調節はまだできない…。この一投で可能性にかけるのか?オールマイトも言っていたのに?一朝一夕にはいかないって…」ブツブツブツ

 

それなら…!

 

そして、僕はボールを投げようとする

 

「見込み、ゼロ…」

 

先生の言う通りだ

 

「まだ…」ボソッ

 

「!?」

 

これまでの通りじゃヒーローになんてなれやしない!

 

「まだだ…!!」ボソッ

 

僕は人より何倍も頑張らないと…ダメなんだ!

 

「最大限で…最小限に…」ブツブツ

 

だから全力で!

今の僕にできる全力を!

 

「今…!」SMASH!!

 

そしてボールは飛んでいた

 

【705.3m】

 

(力任せの一振りじゃなく、指先にのみ力を集中させたのか…!)

 

「あの痛み、程じゃない!!先生…!まだ…動けます!」

 

「こいつ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-魔借side-

 

「先生…!」

 

なるほどな、調節ができずに反動で体が壊れる個性

だから、最小限の負担で最大限の力を…か

 

「ははっ」

 

なんだよ、出久!

 

「まだ…動けます!」 

 

かっこいいじゃないか!!

 

「イズクくんの指、治さないんですか?」

 

「出久には悪いが、今ここで治すのはダメだ。出久だけ優遇されることになるからな」

 

「まあ、仕方がないにゃ」

 

まあ、それはそれとして

 

「どーいうわけだ!こら!ワケを言え!デクてめぇ!」

 

「『囚われよ、不朽の雀羅に囚われよ』」

 

出久に向かって飛び出し、個性を使おうとした爆豪に拘束魔法を使う

光の糸で拘束されると同時に布が巻き付き、爆豪の個性が消える

 

「ぐっ…。んだ、これ!?」

 

「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ捕獲武器だ。ったく、何度も個性を使わすなよ…。俺はドライアイなんだ…!」

 

(((個性すごいのにもったいない!)))

 

「ついでに俺の拘束魔法だ。人に個性を振るうだけで傷害罪、犯罪だぞ。高校生にもなるんだからそこんとこわきまえろ」

 

「時間がもったいない。次、黒猫」

 

「うぃす」

 

俺は爆豪にかけた魔法を解除してボールを手に取る

さて、

 

「『武装召喚(サモン・ウェポンズ)』『江戸川コナン』」

 

俺はコナンのキック力増強シューズを召喚する

黒ウィズはいくつかのものとコラボしていたことがある

そのひとつが『名探偵コナン』なのだ

コナンの道具の1つ、キック力増強シューズの威力を最大に設定する

 

「いっけー!!」

 

そして、地面に置いたボールを思いっきり蹴った

 

【4259m】

 

…ひとついいか?

これ、発明した阿笠博士、すご!?

 

「いい記録…」「すごいな…」

 

よし、2回目行くか

と言っても

 

「『我が召喚に応えよ』!」

 

飛行できるやつ呼び出すだけだかな

 

「『召喚(サモン)!超越の金剛龍【インフェルナグ】!』」

 

そして、カードを中心にした魔法陣から現れたのは

 

『GAOOOON!!!』

 

「「「ええええええええええええ!!!??」」」

 

「「「どどどどど、ドラゴン!?」」」

 

白き雷のドラゴン

超越の金剛龍『インフェルナグ』

 

「インフェルナグ、ボールを遠くまで持って行ってくれ!」

 

「Gluu」コックン

 

頷きを確認した俺はインフィルナグにボールを投げた

それを大きな手で掴んだインフェルナグは翼を広げ、大空へと飛び立った

そして、数秒で見えなくなった

 

「黒猫、もういい。あの龍、戻せ」

 

「戻せというのはここにですか?」

 

「…龍自体をだ」

 

「うぃす」

 

俺はイレイザーにそう言われ、召喚(サモン)を解除した

すると空から1枚のカードが俺の元に帰ってきた

もちろんインフェルナグのカードである

 

「で、先生、結果は?」

 

「…測定不可能(無限)でいい」

 

あらら、またか

まあいいか

 

「まーくん!!」

 

「っ、何だよ渡我。大きな声で騒ぐな」

 

「騒ぎたくもなるよ!何あれ!?ドラゴンって!?ドラゴンって!!??もっと他に優しめのあったでしょ!!」

 

「インパクトを求めました。後悔も反省もありませんまる」

 

「反省してよ!周り見てみてよ!!」

 

そう言われ、俺はクラスメイトを見ると

 

「ドラゴンって…」「もうダメだ、おしまいだ…」「あばばばばばば」「ここが終焉か…」

 

軽く地獄絵図だな

流石に巨大なドラゴン(インフェルナグ)はまずかったか…

 

「キミ、やりすぎにゃ」

 

「…はい、すんません」

 

 

 

第六種目:持久走

 

ただ走るのは疲れるため、俺はあるものを召喚した

 

「『武装召喚(サモン・ウェポンズ)』『江戸川コナン』」

 

コナンの使っているターボエンジン付きスケボーである

スケボーによりながら、バイクを創造した八百万と並走しながら走りきった

 

第七種目:長座体前屈

 

測定器に秘儀糸を巻き付けて限界まで伸ばした

結果は【50.7m】

それ以上伸ばそうとしたら秘儀糸の先の方が霧散した

魔力が伝わりきらなくなったからみたいだ

 

 

第八種目:上体起こし

 

これもラギトの身体能力でゴリ押した

【235回】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃパパッと結果発表」

全種目が終わり、話をし出すイレイザー

トータル最下位が除籍処分

トータルは単純に各種目の評点を合計した数

まぁ最下位は出久だろうが…

さて、

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

『『『えっ!?』』』

 

「君らの最大限を引き出す…合理的虚偽」ハッ

 

『『『は―――――!!!??』』』

 

やれやれ、除籍処分にするのは見込みのないやつだけ

ただ単にこの中に見込みゼロがいなかった

それだけだな

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない…ちょっと考えればわかりますわ……」

 

いや八百万…

イレイザーはやると言ったら必ずやるやつだぞ

半端な夢を追わせるのは残酷っていうのがイレイザーの考えで、彼なりの優しさ、だからな

 

 

 

 

さて、順位は―――

 

 

 

1位 黒猫 魔借

 

2位 八百万 百

 

3位 轟 焦凍

 

4位 爆豪 勝己

 

5位 飯田 天哉

 

6位 常闇 踏陰

 

7位 渡我 被身子

 

8位 障子 目蔵

 

9位 尾白 猿夫

 

10位 切島 鋭児郎

 

11位 芦戸 三奈

 

12位 麗日 お茶子

 

13位 口田 甲司

 

14位 砂藤 力道

 

15位 蛙吹 梅雨

 

16位 青山 優雅

 

17位 瀬呂 範太

 

18位 上鳴 電気

 

19位 耳郎 響香

 

20位 葉隠 透

 

21位 峰田 実

 

22位 緑谷 出久   

 

 

 

案の定1位だった

狙っていたからいいけど

ともかく、これで入学早々に波乱の個性把握テストが終わった

なので、

 

「出久、手、見せろ。治してやる」

 

「あ、うん」

 

「『咲き誇り思い繋ぐ花』」

 

ツクヨ・オトエヒナのSSを出久に使う

強力な回復魔法により、出久の怪我が治っていった

 

「ありがとう、魔借」

 

「気にすんな。ただ」

 

「うん?」

 

「早めに個性、制御できるようになれ。毎回毎回、治してやれる訳じゃないぞ」

 

「うん…」

 

そして、教室に戻り、カリキュラムなどの書類に目を通す

明日からもっと過酷な試練があるのだろうか…

そんなことを思いながら初日が終了した

 

 

 

-下校時間-

 

俺は渡我に用事があると言って先に帰らせた

『ディテクトウィール』でその人がいる方向に向かって歩き出した

 

「キミ、いたにゃ」

 

「オールマイト!」

 

オレが探していたのはオールマイト

NO.1ヒーロー、平和の象徴と言われた男

 

「ん?黒猫少年?」

 

「久しぶりだな、オールマイト」

 

「HAHAHAHA、そうだね!本当に久しぶりだ。ウィズくんも。君は雄英に来るとは思っていたが、このタイミングで会うとは思っていなかったよ」

 

「あんたが雄英に後継者探しに来ることがなければ会うことはなかっただろうな」

 

「…そうだね」

 

俺は雄英にオールマイトがいる理由を知っている

本人から聞いたのだ

最もその時は俺に後継者にならないか、と聞いてきたがな

勿論、断った

今ですら大変なのに平和の象徴の後継者なんて手に負えなくなるからな

だが、俺はそれよりも深く知っている

 

「いや、少し違うか」

 

「うん?」

 

「後継者の育成のために雄英(ここ)にいるだろ、あんた。出久のために」

 

「なっ!?」「にゃにゃにゃ!?」

 

「なんで君が知っている!?」

 

「あんた、出久から聞いていないのか?俺と出久の関係」

 

「聞いているさ。親しい友人だとね」

 

「そうだ。なら俺が出久が無個性だったことを知っていてもおかしくないだろ」

 

「っ!?」

 

「はっ、そういうことかにゃ!イズクは無個性なのに超パワーの個性が出てきた。おかしいと思っていたにゃ!ストレスか何かで個性の発現が遅れたのかと思っていたけど、オールマイトの個性に似すぎてるにゃ。それにオールマイトの個性は」

 

ウィズが気づいた

そう、そしてその答えは

 

「『ワン・フォー・オール』。力を引き継ぎ、引き継がせる個性」

 

「…私のことをよく知っていて、尚且つ緑谷少年もよく知っている君だからわかったことか…」

 

「ああ。まあ、出久を後継者にしたことは俺は何も言わんよ。俺のかんするとこじゃないからな。…ナイトアイはうるさそうだがな」

 

「…それを言わないでくれ」ズーン

 

「そこまで落ち込むなよ。だがな、ひとつ言いたいことがある」

 

そう、これを言うために俺はオールマイトを探していたのだ

 

「なんだい?」

 

「出久になるべく早く全てを打ち明けろよ。俺、そしてあんたの事情も含めて」

 

「っ、だが、しかし!?」

 

「なにも今すぐって言ってるんじゃない。時期が来たらいずれ話さないといけないだろうからな。ただし時期を間違えるなよ。全てのことがすんだ後では遅いんだからな」

 

「しかし、いいのか?キミの事情まで話してしまって」

 

「そうにゃ」

 

「遅かれ早かれ俺と関わる以上仕方ないだろ。どう考えも巻き込まれるはずだ。特に出久はあんたの後継者なんだからな。事を知らんあいつは、あいつらとは戦うことはできない。やつら(ロストメア)とはな」

 

「…」

 

「オールマイト。これは黒猫魔借としてでなくヒーロー『黒猫の魔法使い』としての忠告だ。後悔してからだと遅いぞ。行くぞ、ウィズ」

 

そして、俺はウィズを連れて帰路についた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…君の言いたいことはわかる。十分に理解もしている…。しかし、私は彼に、緑谷少年に重荷を背負わせたくないんだ。君のことも含めて。それを背負うのは私だけでいい。私の代で終わらせるべきことなんだ。この因縁は。この因果は。例え…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が死んだとしても


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