平和の象徴とは存在するだけで犯罪の抑止力となる
「嫌な予感がしてね…。校長の長い、いや、ありがたいお話を振り切りやって来たよ。来る途中で飯田少年とすれ違って…、何が起きているかあらまし聞いた。もう大丈夫だ」
平和の象徴だからこそ、常に胸を張り、常にかっこよく、常に恐れず、常に人々を安心させなくてはならない
だからこそ
「私が来た!」
「「「オーーーールマイトーーーー!!!」」」
「...待ってたよ、ヒーロー。社会のゴミめ」
「あれが…!生で見るの初めてだぜ…!迫力すげぇ…」
「バカヤロウ、尻ごみすんなよ。アレを殺って俺たちが…」
そんなことを敵が言っているうちに、オールマイトは階段を一瞬で降り、それと同時に階段のすぐそばにいたヤツらを瞬殺した
殺してはいないが、あの一瞬で無力化したのだ
(…相澤くん、すまない…。腕に…顔も…!)
オールマイトは敵の方向へ向き直る
そこには緑谷と蛙吹、峰田、死柄木、そして脳無がいた
死柄木は蛙吹の顔に手を置きかけ、緑谷の腕は脳無に掴まれていた
オールマイトの拳に力が入る
そしてオールマイトは敵を睨みつける
その眼光はまるで子を傷付けられ激怒した獅子のようだった
そして気付いた時には緑谷と蛙吹と峰田の回収し、相澤先生のところまで移動していた
「え!?え!?あれ!?速ぇ…!?」
「皆!入口へ!相澤くんを頼んだ。意識がない!早く!」
(オールマイト…!)
緑谷は心配そうにオールマイトのことを見た
彼は知っているのだ、オールマイトの秘密を…。
「ああああ....。だめだ...、ごめんなさい......。お父さん.........」
死柄木は臆病そうに身体を震わせながら床に落ちた手の形をした装飾品を拾う
先程までの様子が嘘のような言動を取っている為とても不気味だ
「さすがに速いや。......けれど思った程じゃない。やはり本当だったのかな...」
手の装飾品を顔に装着する直前にこちらを向いていることがわかる
死柄木は口の端を吊り上げ、不気味な笑みを浮かべる
それはまるでオールマイトをあざ笑うかのようだった
「弱ってるって話.........」
死柄木がそう呟くと呼応するかのように脳無が死柄木の前に立つ
「オールマイト!だめですあの脳みそ敵‼︎ワン…っ!僕の腕が折れない程度の力だけど、ビクともしなかった!きっとあいつ…」
「緑谷少年‼︎大丈夫!」
心配する緑谷にオールマイトは安心させるようにする
これ以上生徒を傷付けない為にも
そしてオールマイトは死柄木に向かって走り出し、両腕を胸の前でクロスさせる
「
「脳無」
「
オールマイトのクロスチョップは死柄木ではなく、庇った脳無に命中した
だが、脳無に攻撃が効いている様子は無かった
そして脳無はオールマイトを捕まえようと両腕を振りかぶる
「マジで全っ然…効いていないな!!」
オールマイトは脳無の攻撃を避けながら的確に拳を命中させる胴体、頭あらゆる箇所に攻撃を加えても効いている様子は無い
「効かないのは"ショック吸収"だからさ。脳無にダメージを与えたいなら、ゆっくり肉をえぐったり、切ったりするのが効果的だね......。やらせてくれるかどうかは別として」
「わざわざサンキュー、そういうことなら!!やりやすい!」
オールマイトは物理攻撃が無意味なら別の方法でダメージを与える為、脳無の背後に周りこみバックドロップを仕掛けた
そして、オールマイトと脳無が戦っている場所で爆発が起きた
だが、あくまでコレはオールマイトのバックドロップによって起きた爆発だ
これがオールマイトがどれだけ実力を持っているかわかる
1-A生徒達はオールマイトが来てくれたことにより、絶望から一転希望に満ち溢れていた
「すげぇ!ヤツらオールマイトを舐めすぎだぜ!!」
「あ!デクくんだ‼︎」
だが、緑谷出久は知っているのだ
(知っているんだ。通学中は毎日リアルタイムのヒーローニュースを見ているんだ。USJにオールマイトがいないって話の時に13号先生がひっそりと立てた3本指はきっと活動限界のことだ。きっと使いすぎたとかの話だ)
「やれええ!金的を狙ええーーっ!」
「私たちの考え過ぎだったかしら…。凄いわ…」
彼だけが知っているオールマイトの
「ッ〜〜〜〜〜〜!そういう感じか…!!」
オールマイトは脳無をコンクリートの地面に突き立て、動きを封じようとしたが、ワープゲートの個性をもつ黒霧が援護し、脳無の上半身がオールマイトの真下から出現し、オールマイトの脇腹に指を深く突き刺していた
脳無はオールマイトとほぼ同等のパワーを持ち、簡単に拘束を解くことができない
「コンクリに深くつき立てて、動きを封じる気だったか?それじゃ、封じれないぜ?脳無はおまえ並みのパワーになってるんだから。いいね、黒霧。期せずしてチャンス到来だ」
「君ら初犯でコレは…!…っ覚悟しろよ!!」(なんというパワー!そこは弱いんだやめてくれ!)
更に黒霧が自慢気に話を続ける
「私の中に血や臓物が溢れるので嫌なのですが…、あなた程の者なら喜んで受け入れる。目にも止まらぬ速度のあなたを拘束するのが脳無の役目、そしてあなたの身体が半端に留まった状態でゲートを閉じ、引きちぎるのが私の役目」
それを聞いた瞬間、緑谷は行動を始めた
「蛙ス…っ…ユちゃん!」
「頑張ってくれるのね、なぁに緑谷ちゃん」
「相澤先生担ぐの代わって…!!」
「うん…けど何で…?」
それは緑谷だからこその行動…
考えるよりも先に体が動いたゆえの行動…
(教えてもらいたいことが 、まだ! 山程あるんだ!!)
「 オールマイトォ‼︎ 」
緑谷の目の前にワープゲートが出現するまるで見計らっていたかのように、そして黒霧はあざ笑う
「浅はか」と
そして、彼は笑う
「 どっけ‼︎ 邪魔だ‼︎ デク!!! 」
BOOOOOM!!
ヒーローらしからぬ素敵(凶)な笑顔で
笑顔?を浮かべながら爆豪勝己は黒霧を抑えつける
そして、脳無の半身が凍りつく
「てめぇらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた」
そこには2つの個性の力を持つ相変わらずクールな性格をした轟が脳無の半身を凍らせたのだ
そして、
「『慈悲のまにまに、天よ泣け!【
巨大な雷が死柄木に襲いかかる
しかし、距離があったため、死柄木に回避されられた
そこを切島が殴りかかるが死柄木は最低限の動きで回避した
「くっそ!いいとこねぇ!」
「スカしてんじゃねぇぞモヤモブが!!」
「平和の象徴はてめぇらが如きに殺られねぇよ」
「警戒して俺を飛ばした割には恐ろしくギリギリだな、
助けに来てくれた4人
否、ヒーローの卵が3人とほぼヒーローが1人来てくれたことにより緑谷は感激する
「かっちゃん…みんな…!」
オールマイトを助ける為、敵に借りを返す為、友の為とそれぞれの思惑は違うが、ここに強力な個性持ちが集まったのだ
「2人共!運ぶのを手伝うぞ!」
「お、尾白!お前も来てくれたのか…!」
「ナイスなタイミングね、助かるわ」
尾白も黒猫に着いて来ており、途中で合流した爆豪たちと来たのだ
性格にちょっと難があるメンバーであると同時に、このクラスでこれ以上に頼もしいメンバーはいない
尾白は自分の個性と戦闘スタイルの関係上、戦闘に参加しても自身は足手まといになってしまうと判断し、自分に出来ることを
怪我人の避難を手伝うことを優先することにしたのだ
そんな中でオールマイトは氷結によって動きが鈍くなった脳無の拘束から逃れる
「このウッカリヤローめ!モヤ状のワープゲートになれる箇所は限られている。そのモヤゲートで実体部分を覆っていたんだろ!全身モヤの物理無効人生なら『危ない』っつー発送は出ねぇもんなぁ!!」
「ぬぅっ…」
「おっと、動くな!怪しい動きをしたと俺が判断したらすぐに爆破する!!」
「ヒーローらしからぬ言動…」
切島が先ほどの発言にツッコミを入れるが、爆豪には無視される
というか、完全に黒霧しか見ていなかった
「攻略された上に全員ほぼ無傷...。すごいなぁ、最近の子供は...。恥ずかしくなってくるぜ.....!脳無、爆発小僧をやっつけろ、出入り口の確保だ」
すると、先程まで停止していた脳無が動き出す
凍りついた半身がバキバキと音を立てながら崩れていく
そして、脳無の右半身は粉々に砕けた
「体が割れているのに…、動いてる…!?」
「 皆下がれ!!なんだ!?ショック吸収の個性じゃないのか!?」
そして、脳無の右半身に骨格、筋肉、皮膚と次々に再生されていった
「別にそれだけとは言ってないだろう。こいつにはもう一つの個性【超再生】が備わっている。脳無は
刹那、風が巻き起こった
周りにある木々はその風により激しく揺れ、そこには爆豪がいた場所に殴った体勢をした脳無がいた
しかし、そこには爆豪の姿はなく、
「『
大盾を持った黒猫がいた
「危ねぇな。【ラギド】じゃなかったらぶっ飛んでたぞ…」
オールマイトも反応していたが、黒猫も同じように反応していたのだ
爆豪を秘儀糸で動かし、盾で脳無の拳を受け止めたのだ
ダメージはゼロだが、盾は思いっきり凹んでいた
そして、黒猫が爆豪を庇っていなかったらどうなるかその場の全員が理解する
死柄木は若干不機嫌そうだが、勝ち誇ったかのように堂々とオールマイトに向けて喋りだす
「俺はなオールマイト、怒っているんだ。同じ暴力がヒーローと敵でカテゴライズされ善し悪しが決まる世の中に、何が平和の象徴!!所詮、抑圧のための暴力装置だ、お前は。暴力は暴力しか生まないのだとお前を殺すことで世に知らしめるのさ!」
死柄木はもっともな事を言い出す
ここで心に隙が生まれてしまうとこの言葉に付け込まれ、敵の美学に酔いしれてしまうだろう
感動的な台詞だ。
だが、無意味だ
「めちゃくちゃだな。そう言う思想犯の眼は静かに燃ゆるもの、自分が楽しみたいだけだろ、嘘つきめ」
「バレるの早…」
ただあるのは自分がゲーム感覚で楽しみたいだけの愉悦感だけである
そして、敵のふざけた言葉に刺激された"6人"が戦闘体勢に入る
「3対6だ」
「モヤの弱点はかっちゃんが暴いた!」
「とんでもねぇ奴らだが、俺らでオールマイトのサポートをすりゃ…撃退出来る‼︎」
しかし、
「ダメだ!君たち逃げなさい!」
それはオールマイトの意地だった
ヒーローとしての、平和の象徴としての…
子供を巻き込まないための…
「……さっきのは俺がサポート入らなきゃやばかったでしょう」
「オールマイト、それに時間だってないはずじゃ…」
「それはそれだ、轟少年!ありがとな!しかし大丈夫!!プロの本気を見ていなさい!」
死柄木はチャンスだと思った
オールマイト程ではないが子供たちも厄介な存在になる
特に最近名を馳せている黒猫の魔法使いは…
だから、ここで殺す…
「脳無、黒霧やれ。俺は子供をあしらう。さて.........クリアして帰ろう!」
(確かに時間はもうほとんどない…!力の衰えは思ったよりも早い!しかし、やらねばなるまい!なぜなら私は…)
「黒猫少年、もしもの時は「わかってる!だから、オールマイト!!」
「おい来てる、やるっきゃねぇ!」
「『雷陣刻、っ!?」
その瞬間、そこにいた全員が圧倒的な意志に怯んだ
そして、オールマイトと脳無の拳がぶつかり合った瞬間、強力な突風が生まれる
お互いの拳の衝撃でこの突風が作り出されているのだ
「"ショック吸収"って...さっき自分で言ってたじゃんか」
そして、オールマイトと脳無のラッシュが始まる
この場にいる黒猫以外の全員には2人の拳は捉えることができない
そして衝撃による風も荒くなる
しかし、オールマイトのラッシュのスピード、手数が徐々に脳無のラッシュを上回っていく
「"無効"ではなく"吸収"ならば!!限度があるんじゃないか!?私対策!?私の100%を耐えるなら!!さらに上からねじ伏せよう!!」
「流石というか、なんというか…」
黒猫は若干呆れていたが、他の彼らはオールマイトが血を吐きながら拳を振るうのに戦慄していた
(血を吐きながら…!全力で…!ただめっやたらに撃ち込んでいるんじゃない!1発1発が全部!100%以上の…!)
オールマイトのラッシュにより、脳無の体勢が崩れる
そしてすかさずタックル、アッパー、浮かんだ瞬間腕を掴み地面に叩きつける
「ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの!
そして、彼は右手を上に突き出し自身の全パワーを集中させるようにして目の前にいる
「さらに向こうへ!
Plus Ultra!!! 」
脳無はUSJの天井を突き破り、雲を抜け、ついには見えなくなってしまった
「…漫画かよ。ショック吸収を無い事にしちまった。究極の脳筋だぜ」
「デタラメな力だ・・・再生も間に合わねぇ程のラッシュってことか・・・。」
「敵が星みたいに飛んでいったな…」
爆豪と轟は実感した
これがトップ、これがプロの世界、そしてこれがオールマイトの力なのだと
「やはり、衰えた。全盛期なら5発も撃てば充分だったろうに、300発以上も撃ってしまった…」
(前から思っていたけどチートじゃねぇか…)
黒猫は心の中で全盛期のオールマイトにツッコミをいれる
「さてと敵、お互い早めに決着つけたいね」
「衰えた?嘘だろ…完全に気圧されたよ。よくも俺の脳無を…!チートが…!全っ然弱ってないじゃないか!あいつ…、俺に嘘を教えたのか!?」
(あいつ?協力者がいるのか?)
オールマイトは死柄木が呟いた言葉を聞き逃さなかった
しかし、
「どうした?来ないのかな!?クリアとかなんとか言っていたが…出来るものならしてみろよ」
「うぅうぉおおぉおおぉおおぉお…!!」
「さすがオールマイト、俺たちの出る幕じゃねぇみたいだな」
「緑谷!ここは退いた方がいいぜもう、却って人質にされたらヤベェし…」
(……違う!あれは…虚勢だ…!)
オールマイトの周りに煙のようなものが出てきている
緑谷だからこそ分かるそれは、
(土煙にまぎれてるけど…変身する時の蒸気みたいなものが出ている!!)
オールマイトの
(もう動けんぞ…。脳無とやらが強過ぎた!ぶっちゃけもう一歩でも動けば力むのも維持できん!トゥルーフォームに戻ってしまう!)
「さぁ、どうした!?」(あと少し…!迷え!あと少しでも時間を稼ぐことができれば…!)
「脳無さえいれば!奴なら!何も感じず立ち向かえるのに…!」
「死柄木弔…、撤退しましょう。確かにオールマイトは脳無に受けたダメージが確実に現れている。しかし、まだ黒猫の魔法使いがいます。正直な話分が悪いです。それに、」
黒霧の言葉は途中で遮られた
それは足元に銃弾が飛んできたからである
「来たか!!」
「ごめんよ皆。遅くなったね。すぐ動ける者をかき集めて来た」
「1ーA、クラス委員長、飯田天哉!!ただいま戻りました!!!」
「あーあ、来ちゃったな…。ゲームオーバーだ。帰って出直すか、黒霧」
そんなことを言っている間に死柄木を銃弾が襲う
「ぐっ!!」「死柄木弔!!!」
「この距離で捕獲可能なやつは、」
黒霧が死柄木を包み込みワープしようとするが
「これは(引っ張られる…!)」
「僕だ…!!」
13号のブラックホールで引っ張られていた
しかし、
「今回は失敗だったけど…今度は殺すぞ。平和の象徴、オールマイト」
敵は撤退して行った
しかし、
「置き土産です」
撤退と同時に黒霧がある1人の人間を出した
「目覚めなさい、全てを破壊する夢よ」
「っ!?まさか!?」
黒猫はすぐに分かった
だからこそ、やばいと思った
「ヒャハハハハハ!!ハカイ、ハカイだ、全てを破壊する!!!!」
それは叶えられることも無く、ただの捨てられた夢だった