ソフィア・斑鳩・ミスルギ、ことミスルギ皇国の皇后は、連れてこられた少年であるヴィーゼル・桜木の第一印象は、彼の
「荻野目さん、さっきぶりですね、え~っと・・荻野目さんの母上様です?」
っと言う言葉で、彼はあえて分かって居ながら、私にそう言い私を試されていると判断した、普通ならば委縮し挨拶する事すら出来ないであろう場面で、彼は臆することなく先手を打つ事で主導権を取りに来ていると
ここへ来て貰ったのは、我が娘がノーマである事を、隠し通す為の真剣勝負の場であり、モモカさんも平然としているように見えますが、私の背中越しにも緊張が伝わってきます、1つ間違えば誰かが死ぬという事を、彼女自身も理解しているからです
ノーマとは、突然変異で産まれて来る子供の事で、稀に女児の中から出て来る、我が娘がノーマであると分かると直ぐに夫と2人で相談をし隠す事に、私達の中で知っているのは、モモカさんと私と夫だけなのだ、ノーマと分かれば皇国は考えられないほどのダメージを負うばかりか、大切な娘を手放しすべてを失う
そんなリスクを負ってでも助けたかった、モモカさんのサポートの御蔭もあって、学園でも、どうにかやり過ごせていた矢先の連絡だった
《皇后殿下様、申し訳ありません、学院生徒の中に感づいたと思わしき者が現れました》
この連絡を受けて、私は卒倒しそうになるのを堪えて、状況を詳しく確認し、彼と直接会って話をする事を決めた、話を聞く限り彼はノーマと言うだけで完全否定するような部類の人ではなく、モモカさんの様な印象を受けたからだ
もしそうならばアンジュリーゼの味方になって貰う方法がある、完全否定しないと言う人間は以外にも少なく、分かった時点で親兄弟であろうが完全否定してしまうほうが多いのだから
改めて彼に自己紹介をして、彼になぜココへ呼ばれたのか尋ねると
「アンジュリーゼ様の前で、この世界について愚痴ったから?」
と、思っても居なかった返事が返って来た、まさか私達以外に世界の偽りに疑問を持ってる者が居るとは思わなかっただけに、正気を保つのがやっとだった、この世界に住む一般の人間で、しかも10歳にも満たない子供が、そんな事を感じるだろうか?
私は、あわてて彼の経歴を再度確認すると、数日前に起こった事件であるゲーム開発者である事が分かった、なんなのこの子は・・・それに学園には頻繁に欠席しているにも拘らず、テストは毎回オール満点、スポーツも万能らしく何でも器用にこなし、クラスでは男子生徒らをまとめあげてる感じもあるそうだ
まずゲーム開発って所からおかしいのだ、このマナの世界で何かを産み出すような人は、ごくごくまれ
全てが与えられた世界で、何かを産み出すのは、それほどまでに大変なのに、この子は半年足らずで作り上げ、学園のみならず社会にまで影響を与える様な代物を、たった1人で開発したと言う
これほどまでの天才ならば、あの態度も頷ける、そしてこの会談は只では済まない・・・
皇后殿下は、改めて気を敷き締めて会談に臨む
世界についての愚痴を言ったのは分かりますが、やはり詳しくは教えて貰えずはぐらかされ、彼にとって、世界はツマラナイという言葉だけで察してしまった、この子は私達側の人間だという事を、かくいう私もアンジュリーゼを出産してからは目が覚め、この世界に疑問を持つ者だ
彼の何が、そう感じさせたのかには興味がある、けど彼は決して話してはくれないだろう、そういう決意の目をしている、こちらを敬う様に発言しているのに、目は敬服も敬っても居ない、どうにかして切り抜けてやると言う意志を感じる目だ
しかし何時になっても核心部分には触れようとしない彼に、痺れを切らしてしまった事に、私は後悔する事になった
そう、彼の
「はぁ~荻野目さん、俺は忘れると言った、なぜ思い出させる上に、確定にしちゃうかな~皇后殿下の、この問いかけが答えになってしまうって何故思わないの?」
彼は、疑惑は持っていたが追及するつもりも、誰かに話すつもりもなかったのだ、それを言ったのに、モモカさんの次の発言で一気に私達の立場は危険な状況に、けどモモカさんにも理解できなくて当たり前よ、なんなの彼は、歴戦の政治家と話してるかのようにさえ思えて来る、けど目の前に居るのは10歳にも満たない子供
なのに
彼は自分の命を対価に脅しまでしちゃって、お手上げよ、あの自分が死んだら事実を世界へ配信するは絶対にやってるはずだ、それは、ここへ来た時から感じていた、彼はあえて今更口に出したのだ、モモカさんにも理解が出来る様に
そして彼に協力を要請すれば
上位のアクセス権限が欲しい、魔法改編する、もうめちゃくちゃな事を言いだした、こちらに手札が無くなった事をいい事に
魔法の改変は、彼の言うキーがあった所で、軽々しく出来る事ではない、出来るとすれば、調律者と呼ばれている、あの方だけだろう、私も夫から話を聞いた事が有るだけで、実際に会った事はない
彼の求めるキーが無いと分かれば、次に何を言われるかが恐ろしくなり、言葉が止まってしまう、もうこの件は私だけで判断できる事ではない、彼は察してくれた様子で、話を切り上げてくれた事が幸いした、彼は私の手には負えないのだから
彼が出て行くと、改めて自分が、かつて無いほどに震えている事に気が付くのだった
モモカさんに、固く今日の件を誰にも言わない様に伝えると、夫に連絡を取って、密談をする事に
会談の様子を夫に見せ、かいつまんで捕捉し理解してもらうと夫は
「ふむぅ~末恐ろしい子供の様だな、私とてソフィアと同じ反応となったであろうな」
そう言って優しく私を諭してくれます、夫もアンジュリーゼが産まれてからは、考え方が変わった1人
「どうされますか?」
「私が直接交渉すれば余計な警戒をされてしまうが、そうも言ってられないのは分かる、時間を空けて一度お忍びで会うしかないだろうな」
「・・・そうですわね」
「彼の様な者がアンジュリーゼの同級生になったのは、転機なのやもしれぬ、これほどの人物は早々おるまい、かならずアンジュリーゼの助けとなろう」
「そうですわね、そう信じるしかないですわ」
数日後、荻野目さんからメールで待ち合わせ場所から車両に乗って王宮へ来いとの連絡を受けて、泣きそうになりながら指定された場所から王宮へ向かった
待っていたのは、荻野目さん、皇后陛下、そして皇帝陛下だ、もう泣きだしていいですか?マヂ逃げたい、超帰りたい!
「下賤な者なので礼儀を知らぬ事を先にお詫びします、この度は私の様な者の為に両陛下には・・・どのようなご用向きなのでしょうか?」
もうどうやって挨拶すんの?わかんねーし!もうセリフ抜けたってーの!
「よいよい、其の方に来て貰ったのは正式な会談をしようと言う話ではないのだ、気楽にしたまえ、話と言うのはキーの事だ」
「・・・はい」
いらぬこというんじゃなかったーーっ!皇帝まで出てきちゃったよ俺どうなるの?死ぬの?やっぱ死ぬのおおお??!
「キーを其の方に直接渡すわけにはいかぬ、余の接続側からの閲覧であれば許可を出す、それで其の方は出来るのか?」
「キーの段階にもよりますが、勝算はあると思っています」
そしてさっそく皇帝陛下側から接続をして、知りたかった事を次々にめくっていく・・・
めくっていくと、出るわ出るわ、この世界の裏事情やらなんやらが、なるべく悟られない様に、高速で閲覧して記憶していく、こんな時も記憶する魔法が超便利!
(ちょwwwwノーマってドラゴンと戦ってるの?!なにそれ!超興味あるんだけど!)
(ちょwwwwなんだよ起動兵器まであるのかよ!、これってサイコミューもどきか?wwwwwうはwwwwすげええ!)
(ちがwww本題も調べないとwwwwwwwあっ!起動兵器に使われてる機能の中に魔法ぽいのあんぞ!!やっぱ出来るんじゃん!wwww)
(キーは起動兵器の設計図の中か、え~~~っと、ここがこうで、あ~なる、行けるなコレ、何処までの魔法を使うかにもよるけど、数種類ならあまり時間も要らないだろうなコレ)
(さてどうしますかね、何処までの魔法を皇帝陛下が使いたいのかにもよるけど・・)
十分に時間を使い、知りたい事を次々に記憶していく、余り長時間は失礼だろうと思い、一旦切り上げ
「陛下ありがとうございました、とりあえず出来るか出来ないかの判断はできましたので返答させて頂きますが、限定的にはなりますが可能ですね」
「誠か!!」
皇帝陛下は身を乗り出して、俺に食い掛る様に問い詰めて来る
「ええ、疑似的にノーマを人間に見せかけるのならば可能ですね、当然ですが完璧とまではいきませんけど、1つか2つの魔法を使える様には、なると思います」
「それは、どの程度の時間を必要とする?!」
「概算で申し訳ないのですが、あと2~3回の閲覧許可を頂けたとして・・・最速で3か月くらいになるかと思います」
「信じても良いのだな?」
「ええ、嘘であるのならば、私のシステムへの改変をした後にでも首を差し出しますよ」
この言葉に、両陛下は深く椅子に座ると、2人揃って大きなため息をついた
「なるべく早く頼むぞ、出来た暁には何を欲する?私にできる事ならば叶えてやる」
「そうですね、土地とパラメイルをください」
「ぱっパラメイルじゃと!!」
「先ほどの閲覧で見ましたがノーマが使ってるそうじゃないですか、すっごく興味があります、自分の手で触れて色々触ってみたいのです」
「余り物騒な事をしてくれるなよ?、それでよいのならば、近隣には無理であろうが用意しよう」
「ありがとうございます、ちなみにですが、パラメイルの設計図を拝見しましたけど、魔法使ってます、当然ですけど今回の件では、この技術を応用するのだけは理解してください」
「・・・其の方は、この短期間の間に一体どれだけの・・・いや言うまい、しかと頼んだぞ」
「はい!」
怒涛の展開を見せた会談の後、ヴィーゼルが帰った部屋で2人は
「よろしかったのですか殿下?」
「なにがだ?」
「パラメイルの事です、アレは一部の者を除いて秘匿されるべき事実ですのよ、彼の心境にどのような影響があるのか心配でなりません」
「純粋な興味であろうな、アレは私達とは、また違う人種なのだよ、本物の研究者と言うべきか、興味のある事にはとことん突き進む、周りなんか気にもせずな」
「余計に危険ではありませんか、そんな彼が何かを起こせば・・」
「危険なら出会った時点で十分に危険であった、それほどの人物だよ彼は、それに何が危険で何が危険でないかくらい分かって居よう、でなければ簡単に首を差し出したりはしないであろう、なによりも自分の身が重いと感じているのにも関わらず、こちらの事情を察しあえて口に出したのだ、早々できる事ではあるまい」
「・・・随分気に入ったのですね」
「うむ、それに万が一を考え、彼の思い描くパラメイルを作らせるのも悪い事ではあるまい」
「・・・そうですわね」
一方の俺はというと、ノリで自分の命を賭けてしまった事に帰りの車の中で後悔し、急いで設計図を作る
付与する魔法は、障壁と魔法破壊キャンセル、この2つだ、ノーマと確定する事において、結界や障壁などの魔法を突き破るのがノーマ、出来ないのが人間である
誤魔化したいのであれば、当然突き破ってはいけない、障壁は何かの拍子に身を守るのに必要だろう事を考えてだ、マナネットへのアクセスは技術的に無理って言うか、時間をかけて頑張れば出来るだろうけどメンドクサイ!
それを出来ればネックレスの中に入れておいて、音声キーで発動する様にすれば、分かる訳がない、魔法破壊キャンセルは常備型で大丈夫だろう
問題なのは、アンジュリーゼ様の音声をどうやって手に入れるかだろう・・・
なるべく多くの言葉が必要になる・・・・荻野目ちゃんに頼むか
障壁の魔法は、パラメイルにも搭載されているので、コピペ!
一応テストをして発動を確認、けど気になるのは、資料には障壁の魔法をパラメイルには搭載されてるのに、俺が見たノーマの戦闘記録に発動した形跡が見た限りなかった事だ、コレは一度ノーマでテストしない事にはどうにもならない
ノーマが使って発動しなかったら・・・・やっぱ首飛んじゃうかな?
魔法破壊キャンセルの方は以外にも簡単だったりする、テストも行い翌朝には完成した
(魔法破壊キャンセルだけでもギリギリ大丈夫だよね?・・・やっぱ不味いかな?)
それから学校でも作業を続けていく、もちろん皇帝陛下に入れる予定のプログラムだ、何時でも不正アクセスが出来る様に仕込む為のプログラムを必死で書いている、見つかったら確実に処刑されるよね?
けどね、んなこたーーばれなきゃいいって!皇帝陛下って意外に使いこなせてないって前分かったもん、バレなければいいのだ!
隙を見てメールで荻野目ちゃんに、アンジュリーゼ様の音声データーが出来る限り欲しいと頼むと
何に使うのか言われ、音声認識プログラムに必要だと言うと、あっさりおkを貰って後日渡して貰える事に
そして2回ほど王宮へ足を運んで、皇帝陛下のシステムに入り込むことに成功させ、完成したネックレスを渡す
「して、どの様に試すかになるのだが・・・」
「そうですね、本人が知らない様では失敗の時が不味いですよね?」
「うむ・・オートアンチマナキャンセラーは、身に着けさせれば、モモカ出来るかね?」
「はい、可能かと思います」
「分かった、オートアンチマナキャンセラーの動作確認が出来た後に、それとなくやらせてみるか」
「そうね、モモカさん大変だろうけど、お願いしますわね」
「畏まりました」
こうして動作確認のために、皇帝陛下より皇女殿下からのお守りとしてネックレスが送られる事になり、1ヶ月をかけてテストを行い動作不良が無いかを試した
そして2つの機能が問題なく作動しているのが分かり、改めて俺は、パラメイルと土地を貰い受ける事になったのだった