隣の席のキモオタが俺様キャラで困る。   作:忍者小僧

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1、隣の席はキモオタ?

私の名前は桐島京子。

なかなか悪くない名前っしょ?

ちなみにルックスもそんなに悪くない。

自分で言うのもなんだけど、おしゃれ次第で結構イけると思ってる。

ところがだ、小学校時代は地味だった。

いやほら、あれですよ。

そういうのに目覚めたのが5年生の時だったんだけどさ、時すでに遅しっていうか。

地味なお下げ眼鏡キャラってイメージがクラスで出来上がってたから。

今更変身しにくかったってわけ。

なもんだからそん時は本とか読んでひたすらコーデの脳内練習をして。

中学デビューを飾ったってわけですよ。

ふふん。

 

初登校日。

ばっちりと決めた優雅なウェーブヘアーをなびかせて颯爽と通学路を行く。

適度に気崩した制服。

怒られない程度にアクセをつけたバッグ。

もちろんメガネはコンタクトに変更。

完璧。

これでモテまくり決定ね!

私は目を閉じ夢想する。

登校初日、隣の席のイケメンと仲良くなっちゃうのだ!

甘々な展開とか始まっちゃったりして!

ぐふ、ぐふふふふ。

 

と思ってたんだけど……。

なんじゃこりゃ!

隣の席、訳のわかんないキモオタじゃんっ!

やばい!

やばすぎる!

登校初日だってのに、スマホに没頭してる。

でけースマホ。

アイ〇ォン8Plus?

ゲームするために買ったのかな?

画面には萌え萌えな感じの美少女が映ってる。

うわぁ、いかにもなやつだこれ。

おっ。

なんかバトルが始まった。

意味わかんない。

なんでそんな細い美少女が戦えるわけ?

もっとムキムキでなきゃおかしいっしょ。

そんなことを考えていると、男の子がこっちを向いた!

うわっ。

見た目もヤバい。

まず、髪の毛がモサモサ。

眉毛もげじげじーって感じで汚らしい。

鼻は丸っこい。

油が浮いててギラついてる。

唇はたらこ型で、皮が乾いてカサカサっ。

小太り体系だから、顎に破談ができちゃってる。

はぁ~。

私は額に手をやってため息をついた。

これから一年間、この子の隣かぁ。

私のイケメン攻略の夢が一歩遠のいたぜ……。

やれやれ、と肩をすくめつつ着席。

すると。

男の子はまだこっちを見つめている。

うげっ。

何なんだこいつ。

なんか用なの?

うわぁ、なんか瞳だけ妙につぶらだ。

ジィっとこっちを見つめてくる。

き、気持ち悪い。

 

「ど、どうしたの?」

 

私は仕方なく、問いかけた。

すると男の子が答えた。

 

「いや。似ているなと思って」

 

は?

似ている?

何と?

というか、こいつ。

顔に似合わず声カッコいいな。

響く感じの低音というか。

目閉じて声だけ聴いたら王子様みたいだ。

うえっ。

なんか妙に悔しいぞ。

 

「と、唐突ね。似ているっていったい何と?」

「これさ」

 

ずいっと手に持っていたスマホをこちらに突き出す。

そこには『ときめき魔導学園 りりかるまじっく』の文字。

き、キモい。

 

「一体それが何なのよ?」

「ほら、このキャラ。舞にゃんっていうんだ。俺の一番のお気に入り」

「は、はぁ……」

 

半信半疑に画面を見つめる。

そこには、いかにも男に媚を売ったような絵柄で描かれた、きらきらの美少女キャラが。

んん?

似てるかぁ?

まぁしいて言えば、髪形とか?

私はプイっと顔を背けて言った。

 

「ふんっ。別に似てないよ。こんなキラキラしてないし」

「そんなことないと思うぜ?」

「へ?」

 

スマホを机において、男の子が私をじっと見つめる。

 

「お前さ。すっげーキラキラしてる」

 

うぉっ。

なんなんだ、それ。

なんなんだ。

初対面でお前呼ばわり?

しかも妙にカッコいいこと言いやがった。

 

「う、嘘つくな。そんな冗談面白くないよ」

 

言いながら私は席に座る。

 

「俺は冗談、言わないよ。特に女の子にはね」

 

男の子が流し目で言った。

うげー。

 

「俺、尾崎裕也。これからよろしく」

 

私は、ちょっとたじろぎながら、一応答える。

 

「よ、よろしく」

「名前は?」

「え?」

「名前。教えてくれよ。いつまでも『お前』じゃ可哀そうだろ?」

 

なんじゃそりゃ。

 

「えと、桐島、京子だけど」

「そっか。いい名前だな。それじゃ改めてよろしく。京子」

 

呼び捨てかい!

にやりと笑いながら差し出してきた手を無視する。

っていうか、にやりと笑うと本当にキモい。

出っ歯なうえに歯垢がたまってるし。

私が求められた握手を無視すると、尾崎君は不敵な表情で言った。

 

「やれやれ、気の強い子だ」

 

むっかー。

なんか殴ってやりたくなったけど必死に我慢した。

やがて先生が入ってきた。

おっ。

若い女の先生だ。

髪が長くてふくよかで。

淡いピンクの柔らかそうなカーディガンはおって。

リアル萌えキャラって感じだな。

 

「はぁい。皆さん。注目ぅ」

 

小川のせせらぎみたいな声で先生が言う。

 

「今日は大切な中学生活の初日ですよぉ。何事も初心が肝心ですよぉ」

 

奇麗な女の先生だからだろうか。

男の子も含めて、教室が静かになり、みんなお行儀よく注目している。

 

「特に、男の子。ガサツだとモテないぞぉ~。女の子と一発もヤれない3年間になっちゃいますからねぇ」

 

あ。

駄目だ、この人も。

私は頭を抱えた。

隣の席のキモオタといい、この学校にはろくな奴がおらんのか!

私のモテモテライフはいったいどうなるんだ!

うががががが!

 

(続く)

 






なんか唐突に書いてしまいました。
いや、その。
友達がいつも「少女漫画みたいなラブコメが読みたい!」と言うもんだから。
続くのだろうか、これ。

気が向いたときにゆるゆると更新しようと思います。
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