ある少女のヒーローアカデミア   作:千紫万紅

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その少女、友達が敵方の家の子につき

 小学1年生の頃に私自身の個性で、チョベリバな事件が起きちゃったのだけどその後の6年間は母親に鍛えてもらったわ。

 ほんと、母のもとに生まれたこと自体がマンモスラッピーだったわ!

 

 でもね、お母さんの訓練はとってもハードだったんだよ!

 毎日毎日早朝は足に重りをつけた状態で走りこんで、それが終わったら12時まで座学をして、13時からは戦闘訓練なんだよ!

 

 「ほんじゃぁ裏多、走りこみ行ってきぃや」 

 「それくらい余裕のよっちゃん!行ってきまーす!」

 

 私は勢いよく家を飛び出しいつものコースを走りに行く。

 毎日同じことを繰り返すことに苦痛を感じる人もいると聞いたことがあるけど、私自身は毎日自分が強くなり研ぎ澄まされていく感覚を楽しむのが好きだ。

 戦闘訓練はお母さんとしている。

 お母さんは本当に強い。

 戦闘技術も個性も強いのに何でこんな田舎町で過ごしているのかよく分からない。

 たまに家の黒電話で誰かと話をしているのを見たことがあるんだけど、誰と話しているのかは全く教えてくれない。

 もちろん通話履歴を調べようと思っても、黒電話だから履歴なんてものがそもそもない。

 

 「お母さん~いい加減誰と話してるのか教えてよ~!じゃないと悪戯するよ!」

 「飴ちゃんあげるからまた今度なぁ」

 「わーい!」

 

 私は大好物の飴を受け取り口にパクリと咥える。

 飴に夢中になっている間に、お母さんはさっさと部屋に戻ってしまった。

 

 「あぁ!また逃げられた!」

 

 こんな感じでいつも詳しいことを聞こうとすると飴を渡され、食べているうちに逃げられる。

 私は甘党というわけではないのだけど、何故か飴だけは大好物なの。

 理由を詳しく話そうとすると長くなっちゃうから色々端折るけど、確かお母さんにもらった黄金糖で好きになったんだよ。

 

 「裏多(リタ)、今日から中学校でしょ?時間大丈夫なの?」

 「治再姉、私でも時間はきっちり見てるから大丈夫だよ!」

 

 そう言って私は廊下にあるアナログ時計を指さす。

 すると、治再姉は「あちゃー」と言った。

 

 「その時計、電池切れで昨日の夜から動いてないよ。今は確か...午前7時55分だね。入学式は8時からだろう?急いだほうがいいと思うよ」

 

 治再姉は白衣のポケットから取り出した懐中時計を見ながらそう言った。

 私は真っ青になり、軽くお母さんに挨拶をして走りながら家を飛び出した。

 

 「チョベリバ!!行ってきまーす!」 

 「あらら、やっぱり気づいていなかったんだ。あ、壬生って苗字の子が同級生だったら仲良くしちゃだめだからねー?夜刀神家と壬生家は仲悪いから。それにしても、急いでいるんならワープ系の個性持ったメイドに送ってもらえばいいのに。変なところで天然なところがあるんだよねぇ裏多は。まるで別人みたいに...あ、お母さん誘って将棋しよ」

 

 そう言って治再は、母の所に歩いて行った。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 

 

 現在8時58分、私は何とか時間ぎりぎりで校門を通過し急いで中学校の体育館に向かった。

 私の通うことになる中学校は「無銘中学」という名前で、ほかの中学とは一風変わった名前の中学である。

 おおよその校内のことは、学校案内で知っているので私は迷わず体育館に到着することができた。

 

 「そんなに急がなくても大丈夫ですよ。校長がだいぶ時間にルーズなんで10分くらいなら遅刻にはなりませんよ。裏多さんは右側の席ですね」

  

 そう言って受付の男性は、私の座る席を教えてくれた。

 というか、校長が時間にルーズなのは色々とヤバめでしょ

 

 私は校長をサラっとディスる受付を通り過ぎ体育館に入ると、広々とした体育館に椅子が2つポツンと置かれているのが真っ先に目に入った。

 私の座る席の隣には既に人が座っている。

 小学校は私以外生徒がいなかったので、友達を作ることは今回が初めて。

 どんな子なのか私は内心とてもドキドキしている。

 

 「こんにちは、あなたも新入生なの?私、夜刀神裏多っていうの。よろしくね」  

 「あら、まさか敵方の方から名乗ってくださるとはね」 

 

 敵方って何のことなんだろ?そういえば治再姉が家を出るときに何か叫んでいたわね。

 確か壬生家とは仲良くするなって言っていたような言ってないような~...。

 私個人には関係ないけどね!

  

 「家のことなんて私には関係ないからね」

 「私とあなたの家には長きにわたる因縁があるんですのよ?!それを関係ないなどと」

 「それは昔のことでしょう?少なくとも私たちには関係あると思う?私にとっては意味はピーマンね」

 「ピ、ピーマン...?」

 

 少女は何を言っているのかわかっていない様子だった。

 意味がピーマンというのは、中身がスカスカで意味がないという死語である。

 

 「昔は昔、今は今。家は家、私は私。それはそれ、これはこれ」

 「ぷっ、あははは。面白いわねあなた。私は壬生火煉(みぶかれん)っていうの。よろしくですわ」

 

 こうして私と火煉は家は敵同士といえど友達となった。

 両家の親は因縁をどう思っているのかは知らないけど、私たちが友達になれたのだから仲直りできるはずだと私は思った。

 

 その後は恙無く(つつがなく)入学式は終わり、待望の教室発表だが2人しか生徒がいないため自然と同じ教室になった。

 これからの3年間がとても楽しみで仕方がないね。

 

 しかしこの次の日、私と火煉は事件に遭遇してしまった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 夜刀神家居間にて 

 

 

 「そういえばお母さん」

 「ん?なんや治再」

 

 2人は茶を啜りながら将棋をしている。

 これは2人が暇になると結構な頻度で行われており、その間に雑談をして時間を潰しているのである。

 昔は2日3日に1回程度だったが、母親も一応プロヒーローなのだが田舎では事件なんてまず起きないため雑務を終えると暇になる。

 姉も同様で、家の隣に小さな診療所を開いているが昼間に患者なんてまず来ない。

 そのせいで、多くの漫画やアニメに手を出し暇をつぶしている。

 最近では「ジョジョの〇妙な冒険」を裏多に布教したがために、漫画をすべて借りられるという暇を加速させる出来事が発生している。

 

 「裏多のことなんだけど」

 「あの子がどないしたん?」

 「もしかしたら裏多、何かの拍子に本来の性格出てきたら不味いことになるかもしれないんだけど」

 「詳しく聞かせてくれん?」

 

 母と姉の会話と将棋は60分続き、勝利したのは母であった。 

 

 「なるべく気を付けていかんとねぇ」

 「全く厄介なものですよ」

 

  

 

 

 

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