あのBBAめ!!説明必要とかなっ.....作者の意識はここで途絶えた。
「それでは会議を始めよう」
この場の総指揮を取る朧花は堂々とした面持ちで告げる。これから、始まると言った所で酒呑童子は手を上げる。
いきなり出鼻をくじかれた結果となり肩をガクッと落とすも、すぐに気を取り直し進行を再開する。
「それは、会議の前...今聞かねばならないことか?」
「そうやね」
「ならよし」
発言の許可を得た酒呑童子はゆっくりと、小さく細い人差し指をオーフィスに向ける。
「そこのオーフィスはんがいる時点でこの会議、不可能ちゃいます?」
「ふむ。分かっているが、約一名その理由を理解出来ていないようなので一応説明を頼めるか」
一人頭上に『?』を浮かべている戦闘バカこと巌は首をかしげている。
彼だけがその理由が分かっておらず、他の者達に視線を合わせると総じて同意見と言った印象を受ける。
この会議の本質上いくらバカで何も分からなくても分かるように解説せねばならないので、その理由を進行者たる彼は求めた。
「まず、オーフィスはんの実力はここにいる全員を合わせても届くものではないやろね。見れば大体実力は分かるはずなんやけど、オーフィスはんだけは無理や」
幾多の戦闘を繰り返した鬼が分からないと呆れながら語る。
前当主茨木童子。数多の陰陽師。それらの戦闘は全て勝利し、その経験から強さがわかる類まれなる眼を持っている。
この場にいる中で最弱なのはダイダラボッチの森である。
その弱さを例えるならば妖怪の中でも下級である小鬼にすら負けるであろうと言ったところ。
そこまで弱いのにこの会議に出席しているのは草木の神であった事が考慮されてのことだろうと考えている。
最強なのは言わずもがな八岐大蛇の巌だ。
かなりの実力者であり、身に纏うオーラ、抑えている闘気・覇気どれをとっても別格である。
他の五人もおおよそ実力を判別しており、自分の位置がだいたい分かっている。それほどまでに優れている眼なのだが、オーフィスに関しては何も分からないとお手上げ状態なのだ。
過去において一度もありえず、異常な現象だった。
怪訝な目でオーフィスを見つめる。
「この会議の根本は権力を八等分する事に意味があるんやろ?」
「たしかにその通りだ」
「ほならや、オーフィスはんがいる限り権力を分ける意味が無いんや」
「あぁなるほどな」
ここで、やっとおバカは正解に辿り着き両手を合わせて声を上げる。
権力を八等分したという事は何かを提案した際に、過半数より多い五人の賛成を貰わなければならない。
力の弱い河童はその技術力ゆえ発言でき、さらに弱いダイダラボッチはその由縁ゆえ発言できる。
弱者は戦力以外の方面からの力を持っているのだ。そんな中頭が一つも二つも飛び抜けているオーフィスの意見はもはや確定事項と言えてしまう。
従わなければ殺される。力の圧力。そんなのが起きれば全ての意味が無くなり、この会議自体崩壊してしまう。
そこを指摘した。配下の鬼の数も激減し始め、いい加減孤高を気取っている意味がなく藁にもすがる思いでこの会議に望んでいる。
返答によってはこの会議から降りるとは言わないが、殆ど同じような雰囲気を纏いながら進行者を見つめる。
「安心しろ。オーフィスはこの会議には参加しない。そうオーフィスはな」
言葉を綴り終えた途端オーフィスの右横の空間に、一本の縦線が走る。
その線は次第にうねり始め真ん中の線から裂け、縦の楕円状に開く。開いた部分はひたすらな闇ばかりで、その上赤い瞳がこちらを見つめてくる。
唐突に発生した異常事態に、オーフィスと朧花以外の全員が警戒態勢を取り立ち上がる。
「安心していい。こやつが、本会議の最後の参加者だ」
片手を前に出しとりあえず座れと合図を出す。
進行者の彼が言うのだからそうなのだろうと、少し警戒しながらも静かに着席する。
そして、その裂け目から綺麗なブロンドの髪をなびかせながら一人の女がゆっくりと現れる。
全身を紫のドレスで覆い至る所にフリフリがついていて、かなり若い人用なのだが明らかに着ている人物は三十代前半と言ったところだ。
本来ならアンバラスなそれも、彼女の身に纏う妖艶な空気によってギリプラマイプラの方に傾いている。
出てきた女は床に足を付け、ドレスの裾を持ち少したくしあげ頭を下げる。
「どうも、初めまして。
一連の動作全ては綺麗で美しく、年齢を感じさせないほど可憐だった。
スキマ妖怪。本来の種族ににそのような妖怪はそんざいしておらず、紫が最初で最後であろう。
オーフィスをお母様と呼ぶのは実にその通りだからである。
城の建築を手伝ったミニ龍は無機物にオーフィスの血を与え命をさずけた。
意思疎通はできないものの、下級妖怪より圧倒的に強い妖怪を作ることに成功した。
無機物に命を宿せたのならば、予め命がある生命に血を与えればどうなるのだろうか?そう考えたオーフィスは、何のためらいなく自身の肝臓を一つ取り出し血液を垂らした。
肝臓一つぐらいなくても大丈夫だろ。
そんな安直な考えではあったが、結果は見事に成功し肝臓を基点に骨肉皮が作られ、龍型ではなく人型の妖怪だった。
肌は日本人に近い淡い肌色。指は細くすらっと伸び、瞳は髪のブロンドに近い色合いで何処と無くオーフィスに似ている。
例えるならば髪色の違う成長したオーフィスと言った印象だ。
「なんやて」
突如現れ不気味な笑みを浮かべている彼女の実力は、自分と同等または朧花以下だ。
「一つ聞きたいんやけど、そやつは数百年前に産まれたでええんやな?」
「いいや、一昨日だ」
「ありえへん......」
瞳は動揺のせいで揺れ動いている。
妖怪とは産まれてから年数が経てば経つほど力は増していく。種族によって最初の身体能力は異なるが、それでも産まれてすぐは圧倒的に弱い。
酒呑童子は産まれて三百年以上が経ちこの場にいる妖怪の中でも、かなり長く生きている。
鬼は元来より身体能力は高いので、酒呑童子ほど生きればそれこそ『天災』などと言われてもいい実力を身につける。
なのにも関わらず一昨日産まれたばかりの紫の実力は異常に高い。高すぎる。
「私も最初は驚いた。だが、ひとえにこれはオーフィスの特異性によるところだ」
「無限の龍神か」
「そうだとも」
オーフィスが妖怪を産み出しているのは、錬金術と呼ばれる方法に近く、何かしらの触媒を捧げる事で産み出せる。
龍とは触媒にとても適しており、その上神でもあるのでその適性は異常なほど高い。
無機物を元にするよりも、自身の肉を元に血を捧げた事で人型の妖怪『紫』が産まれた。
「ほんと異常やな」
「我普通」
全く酷いな人を異常扱いなんて。
けど、良かった紫が間に合って。城の建設で遅れるとは聞いてたけどギリギリだったな。
どうにか間に合ってよかったと心の中で安堵する。