主人公オーフィス一人にサブ主人公二人が決まりました。
そのおかげかせいか百話超えそうです。あの二人め!!
「お前がやったのか?彼らを...シエルを!」
「そうじゃよ清明。そこで干からびた奴らは、ワシの子供に食わせてやったわ」
「道満んんんんん!!」
干からびた彼らに地に伏せている少女。彼らを見て人間を人間とも思っていない元人間に怒りの形相を向ける。
握りしめる拳からは指の隙間から血が滴る。爪が肉に食い込み血が流れているのだ。
そんな彼の視界を遮るためにつなぎ目まみれの怪物が入り込む。
ケケケケ。口が無いのに空気が振動し怪物の方から音が聞こえる。
「邪気よ無に還れ─急急如律令ッッ!!」
血が滴る人差し指と中指で挟んだ【呪符】は真っ白な光を纏い、光の線が怪物に向けて空間を彩る。
光が怪物に当たると光が怪物の全身を包み込み、清明は指を捻り下へ向けて切り裂く。
魔を祓う一撃。
怪物ならば聞くはずの攻撃は怪物には効かない。
包み込んでいた光は欠片として霧散し顔はないが何食わぬ顔でいる。
「呪術体制は無論つけておるわ」
「だとっしても!」
「我がやる」
清明の攻撃を傍観していたオーフィスは前に一歩出る。その存在感は一つの山の如し。
オーフィスの中の彼はごく一般の人間だったのだ。そんな彼が怒らない訳もなく、表情に出していないが放たれる
「ダメです。その怪物は」
「知ってる...ううん、違う。視えてるから大丈夫」
血に倒れているさとりがよく目を凝らすとオーフィスの頭の真横に一つの球体が浮かんでいるのが見えた。
─そんなアレはまさか!
見間違えるはずがない。それは自分の存在が存在する所以なのだから。
第三の目【サードアイ】と呼ばれる物体である。覚妖怪の生き残りさとりとこいしのみが所有しているはずのそれは、オーフィスの横に当たり前のように存在している。
違いと言えばカラーリングが漆黒の黒なことだろうか。
ちなみに、オーフィスのそれは心を読むことは出来ず、筋肉の動きや魔力や気の流れから動きを予想しているに過ぎない。
それでも的中率は九九%なので問題ない。その事を知らないさとりが驚いていると次に巌が驚きの声を上げる。
「なっんでだよ」
「龍人化」
まんま巌の使った技と同じで鱗が浮かび上がっている。爪は長く伸び何ものを切り裂く鋭利さとなる。
同じ龍が元であるオーフィスなら使ってもおかしくない技だが、巌は一度たりとも教えていない。
オーフィスに戦闘を挑んだ時しか見せておらず、ましてやこの技を他の奴に見せたり教えたりしていないので覚えるのなんて不可能なはずだった。
擬似心を読む【サードアイ】に龍の力を発揮する【龍人化】
二つの技はオーフィスの実力を数倍以上に底上げしている。
「その技はワシは知らんぞぉ!まさかそんな物を隠していたなんてな!」
そんな事を露も知らない道満は歓喜の声を出す。
龍人化した事により放出魔力は格段に上昇し、身体から漏れ出た魔力により天候が悪化していく。
太陽の光は黒い雲に隠され、雷が轟く。
「避けないなら余裕」
爪を立て怪物をなぞる。ダメージが入る威力ではない。怪物ですら頭を傾げている。
ダメージが無いならと大きく右腕を振り上げ─上空でバラバラに裂けた。
裂けたと言っても適当ではない。つなぎ目に沿って切断されたのだ。
拘束から解除された皮膚や骨らは元の妖怪の姿へ戻ってから地面に落ちていく。種族は多種多様で、絶滅したと言われた妖怪も居る。
「やっぱり。強制的にパーツにしてた」
「まさかバラされるとはわなぁ...それでこそ無限の龍人だ。私の次の身体に相応しい」
幼児は前髪をかきあげそこにあるべきではないそれを見せる。
こめかみから一直線に反対のこめかみに向け青白い線が伸び、眉間の辺りで円をつくるため屈折している。
円の中心には【憑】の一文字が線と同じ色で浮かび上がっている。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
─うげっ、何アレ...タトゥーともまた違うし、安倍晴明がいるぐらいだから陰陽術かな?にしても憑とは安直な
【憑】とは憑依の事を指しているのだろうなと、あまりにも安直な事に呆れている。
「じゃがもう少しそやつと遊ぶがよい」
『KEYYYYYYYYYYYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAAA!!』
片腕を喪った怪物は雄叫びとも取れる奇声を上げながら、オーフィスに突貫する。
消失した腕の先から赤ではない緑色の血液?が流れ出ているがそんな事お構い無しに。
─キモいぞ!さっさとバラすか...三枚おろしのイメージで
獲物が自分から突っ込んでくるのは楽でいい、無駄な手間が省けたと感謝しながら迎撃の体制に入る。
先程は一本の指だけでバラしたが、今度は親指・人差し指・中指を龍の腕に似せた形を取り、頭上高くから振り下ろす。
腕はムチのようにしなり、地面に指が刺さるころには真空刃として斬撃が飛んでいる。
怪物に当たった斬撃はつなぎ目に沿いながら身体をバラしていき、一秒もかからずに元の妖怪へと戻す。
「隙を見せたな」
倒した直後が一番油断する。それは人間の標準であり、無論オーフィスも該当する。
倒し安心した直後に道満は指先を噛みちぎり、血液でオーフィスの額に一線刻む。
道満の額にあるように色は青白く変貌し模様もまんま一緒になる。
「この身は同じなりや。我が兄妹よ─急急如律令」
指を立て念じる。すると、円の中に【憑】の文字が浮かび上がる。
「これで貴様の身体はワシの...なんだと!」
「何かした?」
接近した道満の腹部にオーフィスの拳が突き刺さる。
道満の陰陽術は何故か防いだようで、特に身体に以上はない。
─何したいのか分からないけど、まぁいいや。さっさと倒しちゃおう。
全力いっぽ手前の拳に空中でバク転を決めた道満を見据えながら拳を握る。