転生したら無限スタートでした。リメイク   作:暁紅

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皆様お久しぶりです。

数ヶ月空きましたが時間をどうにか作って完成できました。

もう言い訳はいいわけなんて言いません。申し訳なかったと思っています。

本日九時に後編を公開致しますので、ご了承ください。
ではどうぞ。






旅立ちの夜前編

二人の拳は何度も何度もぶつかり合う。その結果植物は一瞬で枯れ果て、数百年植物が育たなくなる死の土地と化した。

 

死の呪力が無限の魔力を帯びて拡散されたせいだ。

 

「きしししししししししし!」

「チッ─」

 

その原因である二人の反応は相反している。

 

今までに感じたことの無い強大な力とやり会える事の喜びを道満は笑顔で表す。

 

オーフィスは魔力の制御に思った以上に手間取っている。【龍人化】した事により、今までより格段に膨れた魔力を制御するのは至難の業だ。

 

ただ無心に力を振るえば確実に道満は倒せる。だが、その後に残るのは数百年どころか永久に植物が育たない本物の死の土地になってしまう。

 

──あぁ、うざっ!めんどくさいなぁぁぁ!!

 

全力を出してるようで制限してる今は無性にイライラが積もり、時々全力の攻撃を放ちそうになる。理性と言う鎖で何とかしているがそれも持ちそうにない。

 

となると、期待するのは時間稼ぎをしてと言ってきた清明なのだが、横目で見ると背後をうろちょろするばかりで何も役に立たない。

 

「それそれそれ!さぁ、地獄を見よ!」

 

無遠慮に右腕から弾ける黒炎はオーフィスに接近するも、拳一つで難なく払われる。黒炎の森の侵食度合いはまた上がった。

 

一度防がれたなら二度目三度目を放つ。諺に数撃てば当たるとあるが道満の一撃一撃は質量も十分である。

 

上級妖怪など掠っただけで溶ける。それほどの威力を数打つのは異常を通り越して化け物である。

 

黒炎弾全てを弾き終え、辺りに広がった黒炎を眺めつつ敵を睨む。

 

「おかしい。人間がこんな力得られない...何をした?」

「まぁそう言うじゃろうな。一人間が無限と制限付きながらも対等─こりゃおかしいわな!きししししししし!」

 

返答はわざとなのかおちゃらけ、まともな答えが返ってくるとはとても思えない。

 

「しかして答えよォォ!ワシはなずっと貴様の身体を欲していたのだ。だからこそはるか昔、ワシの記憶にすら残っていない昔から他者を喰らってきたのじゃよォぉ」

 

芦屋道満。その出生は謎に包まれている。いつどこで産まれ何をしてきたのか。

 

近年突如として現れた道満は清明と死闘を繰り広げたりと明らかに常軌を逸している。その理由こそが他者の魂を喰らい続けてきたことに所以する。

 

魂にはある程度の(キャパシティ)がある。それが大きいのが清明であって、一般人にも僅かながらにある。

 

それを道満は他人の魂をはるか昔から捕食し続け限定的な無限とも渡り合える力を得たのだ。

 

しかし、他者の魂を喰らうなど禁忌中の禁忌─そんな事をするのは人外や化け物だけと相場が決まっている。

 

その事実にオーフィスは哀れみの目を向け

 

「ゲス」

 

と、簡潔に一言を投げかけた。

 

「そうかそうか、確かにそうだろうな。じゃがそれをお前が語るのか?産まれながらの無限が弱者を語るのか!!」

「我は無限...けど、それは力だけ。他の絆や思いは一番弱い」

 

道満は両腕を前へ突き出す。

 

すると、体内より莫大な呪力が両腕を覆い黒と赤い炎を両腕に灯す。赤と黒は混ざり合いそこに生まれるのは原点にして生物最大の弱点。

 

 

生物は闇を生まれた時から恐怖し畏怖した。だからこそ人間は闇を払う火を作り、獣は闇を見抜く眼を得た。

 

生物である限り絶対と言っていいほど本能に刻まれた原初の恐怖はオーフィスにすら反応を与える。

 

禍々しいオーラを受け額からは汗が数滴流れ落ちる。

 

「気づいているなぁ?これを受ければ流石の貴様も無傷とはいかんぞぉ!!」

 

圧縮に圧縮された闇の球体はとても小さい。親指の爪程度の大きさだが、放つ圧力(オーラ)は惑星の消滅の時に発生する虚無(ブラックホール)にすら等しい。

 

それを道満は高速すら取るに足らない第三宇宙速度で撃つ。

 

「あっぁ゛─」

 

視界では追えない。

勘すら意味が無い。

経験が機能しない。

 

惑星の重力すら意味をなさないその速度はオーフィスの胸を貫いた現象だけを知覚させた。

 

闇に貫かれた場所からは血が一切垂れない。されど何かが抜けていくそんな感じがした。

 

「あぁぁぁぁぁあ!来るぞぉ来るぞぉ無限の力がァァァァ─いや無限に近い有限とでも言った方がいいのか?」

 

その通りだった。

オーフィスの力は無限だが、それは本当に無限なのか?そんな事を考えたことはしばしばあった。

 

結論としては無限に近い有限だとした。

 

理由としては明確な物はないが、本当に無限であるならばその存在が破綻していてもおかしくない。

 

無限の魔力。もし暴走すればそれは誰にも止めることは出来ない。そんな存在をこの世界を作った神が許すのか?という点である。

 

闇が貫いた箇所から何かが漏れ道満の力が膨れている。となると何が起きているのかはすぐにわかる。

 

「我の魂を喰った」

「その通りだともぉ...しかし、人間では受け止めきれんか」

 

確かにいくつもの生命を取り込み容量を大きくした器であっても、取り込んだのは無限の欠片。

 

少量であっても簡単に容量は崩壊し魔力を呪力へ変換する機構が暴走し始める。

 

少年の口目からは血が流れ、右腕は内側から爆発したように肉が弾け飛ぶ。

 

人間の(キャパシティ)では不可能である。ならばこそ無限を耐えうるその肉体が欲しい。余計に欲しくなってしまう。

 

「きししししししし、さぁワシのために弱体化するがいい!貴様がワシを防げなくなるほど吸収すればのっとることなど容易じゃわ!ワシのしょ─」

「東は芽吹き、西は風吹、南は荒う、北は生誕する。東西南北全てに通ず、この世の理なり」

「まさか!時間稼ぎか」

「その通り...やっと準備が終わったみたい」

 

強大なオーフィスの存在に隠れるようにして清明は準備を進めていた。

 

戦闘開始時清明が所持していた【呪符】は僅か二十枚。道満と戦うには少なすぎる。なので、二人が戦闘を繰り広げている間に自分は死んだ同士から【呪符】を集めて回っていた。

 

成果は合計三百枚と上々であった。

 

オーフィスと道満の戦闘はそれこそ拮抗していたがあまりにも格上。道満と一対一でやったとして勝てるわけが無いと言うほどに。

 

だから、戦闘に参戦するのは諦め道満に対する最強の一撃を放つ事に決めた。

 

陰陽師に伝わる奥義【夢想封印】

 

上級の陰陽師が五人集まってやっとこさ放てる陰陽術であるが、清明は一人で発動が可能でありそこから道満に特化させたものがある。

 

絶技【人魔封印】

人間をやめ魔へと堕ちた道満にこそ真価を発揮する専用の陰陽術である。

 

欠点があるとすれば詠唱が長く発動まで時間がかかる事だが、そこはオーフィスが時間稼ぎをしてくれたおかげで何とかなった。

 

「舞、舞、舞、魔の終わりの鐘は響く。終わり終わらせるのは人間なりや─」

 

全三百枚の【呪符】を空へ放り投げる。

 

呪力に反応し五つの槍へと姿を変形させ清明の上で漂う。

 

この世全ての悪を祓う強力な聖の力を込められた光に道満の全身は一瞬硬直し─刹那槍はその場から消える。

 

「【人魔封印】」

 

放たれるのではなく現れる一撃。

 

回避は不可能であり五つの槍は強制的に道満の肉体を貫く。

 

五つの内四つは四肢を貫き残った一つは心臓を貫く。だが、痛みや苦痛は一切ない。貫いたはずなのだが肉体に欠損は無い。

 

しかしすぐに身体の異変が判明する。

 

「呪力が使えんだとぉ」

「そうこの技を受ければ全技を封じる。それが例え神や悪魔や人外であろうと」

「こしゃくなぁぁ!コンナモノォォォォ」

 

呪力を使えない道満の肉体は幼児の物。たとえ使えたとして逃れられるととても思わないが、その身体では明らかに不可能である。

 

その上身体が動かない行動不能状態である。そうなればただのサンドバックにしかならない。

 

「これで終わり」

 

道満が生き残るのは次々に肉体を移っていくからだであり、呪力を封印した今は転移は出来ない。なので肉片一つ残さなければ復活するはずがない。

 

右腕を腰の近くで溜め込み爆発的に魔力を集合させていく。

 

「これで終わったと思うなよオーフィス!ワシは序章にしか過ぎん!貴様の身体を狙う者は数多くいる。他者と絆を結び、あまつさえ愛などと言うものにうつつを抜かし続ければ貴様は負けるよぉ!貴様はァ孤独を目指していればよかったのだよォォォ!!」

「そうでも構わない。我はお前を倒せればいいから」

 

後にその山の光景を下から見た人間達はこう語った『龍が天に昇った』

 

放たれた魔力は地面に降り注ぐ事はなく、空へ宇宙へとひたすらに伸びていく。無限の地獄に囚われた道満の肉体は塵一つ残さず消えていく。

 

その日初めてオーフィスは人を殺した。

 

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