投稿をやめてから4ヶ月経っている事に気づき、流石に焦ったので投稿します。
ただ、未だ就活中なので、またしばらく間を開ける事になります。
さてさて、全国の霊華ファンの皆様、お待たせしました。今回は彼女と再会します。
楽しんでいってください。
吸血鬼姉妹と戦った日から、また少し時が経ち、春もすぐ目の前だ。
──何とか春を迎えることができた。
そんなことを思いつつ、里の甘味処で団子を頬張る。
食事のために人里に来た俺は、珍しく寄り道をしている。この団子屋は、霊華とよく来ていた店だ。そんな場所でノスタルジックに浸ることで、今では顔も声も思い出せない女の子の存在を
霊華のことはもう殆ど思い出せないのだ。案外、一緒にいる時間は短かった。
だが、俺があの子に抱いた気持ちと、彼女との思い出は忘れていない。体質故、妖怪に狙われやすい彼女を守ると誓ったこと。竹妖怪を前に何もできず、強くなりたいと思ったこと。レミリア達の協力を得て成長したこと、それらは頭の中の記録として存在している。
竹林異変が起きたときは、彼女と力を合わせ、共に修羅場をくぐった。お互いが無事に生きて帰れたことに喜んだっけな。更なる力を付けるため、白玉楼で剣術の修行をした。住み込みの修行だったが、定期的に霊華と会っていた。泊まりに来てくれた時はなんやかんやあって一緒に寝た。そして、デートにも行った。幸せだったなぁ……。
団子を飲み込んだ俺は、満開の桜を眺めながらお茶を啜る。そして、溜息をつきながらポツリと言葉を零す。
「元気にしてるかな……」
瞬間、俺の身体に緊張が走った。唐突な事にパニックになりそうだったが、
───────────────
霊華は今日も祐哉を探していた。人里、紅魔館、白玉楼はもちろん、人里の近くにある命蓮寺や竹林の永遠亭、魔理沙が住む魔法の森等、思い付く場所は捜索したが、見つからなかった。
捜索していない場所といえば、地底や妖怪の山の中なのだが、そこを捜索するのは霊夢によって禁止されていた。危険が伴うからである。
祐哉がいなくなってから数ヶ月。普通なら捜索を諦めるだろう。実際、霊夢や魔理沙は既に捜索をやめていた。こういうと二人が薄情者に思えるかもしれないが、祐哉が右も左も分からない頃からサポートをしていた彼女達からすれば、彼の失踪は一つの親離れのようなものであった。だから、「祐哉なら大丈夫だろう」と考えている。
だが、霊華は違った。彼女は彼に会って一言、謝罪をしたいのだ。そして、もう一度皆で楽しい時間を過ごしたいと思っている。
彼女を突き動かすものは、自責の念と恋心だ。
「妖怪の気配がこんなに。……霊夢も言ってたけど、最近妖怪が多い気がするな」
最近の霊華は、地名の無い原っぱや小さな森の中を探索している。魔法の森と違って、身体に悪影響を及ぼす瘴気の類は無いのだが、危険であるのは変わらない。獣道を探索すれば熊や猪がいることもあった。だが、幸い霊華は多くの動物と意思疎通ができるので、襲われる事は少なかった。中には意思疎通が取れない相手もいたが、そういうときは霊華が空に逃げる事で戦闘を避けていた。
空を飛ぶことができない普通の動物相手にはこの対処法で間に合っていた。
しかし──
「見つかった!」
先程から妖怪の気配があったので警戒していたが、不幸にも遭遇してしまった。1体や2体ならエンカウントを避けられただろうが、彼女がいる森には数十体の妖怪がいた。
実は、森に足を踏み入れる前から感知していた。しかし、祐哉捜索の手掛かりが無くなってきた彼女は、危険を承知で森に入ったのだ。
「もういや!」
霊華は体質故に、妖怪に狙われた経験が多い方だ。だがそんな彼女も、流石に数十体の妖怪に追われたことはなかった。原作に登場した妖怪は1体も居らず、その見た目は霊華からすれば非現実的なものばかりだった。大きな目玉が一つしかない者、100cm程の大きさの蛾、魚の骨のような身体を持った化け物、ぞっとするような多足動物等、様々な見た目だ。普通の人は悲鳴を上げてしまうだろう。彼女の場合は余計に辛い。彼女は、動物の声が聞こえるため追ってくる魑魅魍魎の声も理解することができる。妖怪から聞こえる声の大半は、彼女をどのように料理しようかという内容だった。直ぐに捕食しようとする者も入れば、密着することで養分を吸い取る、嬲ることで恐怖のスパイスを加えてから食す等、妖怪によって捕食の仕方は様々だ。
妖怪は空を飛べるので、空を飛んで逃げても意味がない。
霊華には知る由もないが、彼女を追いかけている数十体の妖怪は群れているわけではない。たまたまそこに居合わせ、獲物を見つけただけなのだ。獲物を取り合っていると言えばわかりやすいだろう。これは異常事態である。
「来ないで!」
霊華は、周りの
──あの大群が相手だと長くもたない
霊華が貼った結界は物理的な壁のようなもので、強い衝撃を受ければ壊れてしまう。妖怪は霊華を逃がすまいと結界内で暴れている。このままでは結界が壊れるのは時間の問題である。
「あ……」
案の定、結界は数秒で破られてしまった。当然ながら、妖怪を撒くことはできていない。
因みに、霊華は既に夢想封印を習得済みである。故に、その気になれば退治できるのだが、殺傷や退治を嫌う彼女の思考には、『戦う』という選択肢が無かった。
祐哉が聞けば頭を抱えるだろうが、彼女は、殺すくらいなら殺された方がいいと考えるタイプの人間である。
結界を破壊した妖怪はもうすぐ彼女に追い付く。
霊華は恐怖故に足が竦んでしまった。
博麗霊華の死は確定した。
──だがそれは、この男が居なければの話だ。
霊華の運命を変える人間が、稲妻のような閃光と共に現れた。男は、虚空に刀を出現させると妖怪の大群へと飛ばした。
彼は、黒の着物と灰色の袴を身に付けていた。特に飾りもなく、シンプルな服装は侍を彷彿とさせる。青年は、腰には二本の刀を帯び、その格好に恥じない気迫を放っていた。
「生きていてくれてよかった。俺が来たからにはもう大丈夫だ。後は任せて」
霊華の目には、彼の後ろ姿がヒーローのように見えた。
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必要最低限の情報が頭に入り込んできた。
──霊華が
これだけで俺のやるべきことは分かった。
──間に合って良かった。支配の能力による強制召喚……想定より消耗が小さくて助かった。どうやら時を操るよりはマシらしい。
後ろには、足が竦んで立てずにいる女の子がいる。俺は、彼女を庇うように立ち、妖怪に話しかけた。
「よぉ、弱いものいじめは感心しないな」
「──ギィィ……」
「人語も話せぬ雑魚か。だが理解はできるだろう。──3秒やる。このまま退くか、滅ぼされるか。どちらか有益な方を選べ」
カウントダウンしている間に、ブランケットを創り出して彼女の頭に被せる。
「──時間切れだ。『
数十体は居ただろう魑魅魍魎は、体内から刃物を生やすと悶え苦しみ始めた。空を飛んでいた巨大な蛾は地に伏し、硬い身体を持つ虫のような妖怪の身体は千切れた。獰猛な風貌の獣は叫びながら鮮血の飛沫をあげる。飛び散った血液は、木々と地面を赤黒く染めた。
──本当に、気分が悪い。
この技は、相手の体内に刀を創造することで身体の内側から破裂させるもの。その光景は、使用者の俺でさえ、使ったことを後悔するものである。
だが、
──この子は、殺しも退治も望まない子だったよな。こんな光景は絶対に見せられない。
「はぁ……」
俺は、足元でへたりこんでいる女の子を抱え、移動する。
先程の場所から少し離れ、血の匂いもしなくなったところで女の子を降ろす。深呼吸をしてからブランケットをとる。
「神谷くん? 神谷くんですよね!?」
「さあ、どうだろうね。……多分
「あの、どうしてここに? さっきの妖怪は?」
「……俺が
「また、助けてもらっちゃいましたね……」
あのブランケットは例の如く特別仕様である。『嗅覚遮断』『感知妨害』『防音』の機能を付与していた。よって、彼女は俺が『殺戮ノ時雨』を使ったことも、妖怪の叫び声も、飛び散った血飛沫も、見ることも感じることもなかったはずだ。
「ありがとうございます。……どうしよう。神谷くんには言いたいことがいっぱいあって……言葉が纏まらないよ」
俺はそんな彼女を見て、懐かしさを抱いた。
──やっぱり可愛いな。青い巫女服もよく似合っているし、表情がコロコロ変わるところとか好きだな。感情が豊かなんだろう。
「……博麗さん、悪いけど俺は君とは話せない。これ以上、一緒に居られない」
これ以上近くに居ると、アイツに何されるか分からない。
彼女の前から立ち去ろう。
「ぁ……」
彼女の弱々しい声が聞こえた。俺は、心を殺してそれを無視する。
「……待って! お願い、これだけは言わせてください!」
彼女は俺を呼び止めた。俺は立ち止まって、振り返らずに言葉を待つ。
──俺は何を言われるんだ? ……怖い、聞きたくない!
彼女に嫌われていると思っている時間があまりにも長すぎたんだろう。俺は、彼女と居るのが怖くなってしまったようだ。
彼女のことが好きだけど怖いという、恐らく俺以外の人には理解できない複雑な気持ちだ。
気付けば、俺は手を固く握り締めていた。
「……あのとき、酷いことを言ってごめんなさい。私……どうして神谷くんを信じられなかったんだろう……本当にごめんなさい」
「……そういうものだよ。仕方がない。きっと俺も同じことをした。俺達は妖怪が居ない世界から来たんだから、
思いの外スラスラと言葉が出てきた。
「だから、仕方ない。……
俺が霊華を孤独にさせる側じゃなくてよかった。
紫に狙われるのが、霊華じゃなくてよかった。
霊華が独りにならなくてよかった。
「お互い、酷い目に遭ったね」
霊華に背を向けているので、彼女がどんな表情をしているのか分からない。もしかしたらまた泣いているのかもしれない。そうだとしたら、傍で慰めてあげられないことが悔やまれる。
「……ごめんなさい」
「いいって。怒ってないよ」
──ショックだったけど、とは言わない方がいいよな
やっぱり霊華は泣いているようだ。ほんと、俺の分まで泣いてくれてるのかと思うくらいよく泣く子だ。
「神谷くん。私のことが嫌いだと思うけど、博麗神社に戻ってきて欲しいです。ちゃんとお詫びをさせてください。それと、霊夢とか魔理沙とか、あうんちゃんやコロも待ってますから、会ってあげてください」
「……博麗さん、これだけは誤解しないで欲しい。とっても大事なことなんだ。俺は別に、博麗さんが嫌いだから帰らないわけじゃないんだよ」
「じゃあ、どうして? 自分探しの旅なんて嘘! 神谷くんの霊力が前と違いすぎます! どんな生活を送ればこんな
──ああ、もう!
俺は、縮地を使って彼女の元へ行き、強く抱き締める。
もうどうにでもなれ! 紫、どうせ見ているんだろうが霊華に指一本でも触れてみろ。第二の能力を使ってでも対応させてもらう!
「え……?」
「
「どうして……」
俺は、自分が口にする言葉に細心の注意を払う。『詳しいことは言えない』と言うのも危険な気がする。そのフレーズは、何らかの機密情報が絡むということを示唆するものだ。そこから直接八雲紫の企みまで到達することはできないだろうが、霊華の裏には霊夢と魔理沙がいる。異変解決の経験を発揮して真相に気付くかもしれない。そうなればアイツの目的は邪魔される。
──俺は、紫の企みがバレるような単語を口にしてはならない。もし口にすれば、口止めのために霊華が攫われるかもしれない。
どうする? 『察してくれ』というのも似たようなものだ。かといって、自分探しの旅というのは無理がある。霊華が霊力の質を感じられる事を忘れていた。確か昔は「あったかい感じがして安心する」と言われた。そこから「冷たく寂しい」になってしまったのだ。自分探しの旅なんて言ったら、否が応でも神社に連れ戻そうとするだろう。
「……ちょっと、やりたいことがあってね。でもこれは俺1人でやらなきゃ意味がない、修行みたいなものかな。だから、誰にも頼れない。これ以上君と一緒にいたら、今までの努力が無駄になってしまう」
「どうしてそんなになってまで修行するの……?」
痛い質問をするじゃないか。なんて言えばいいんだよ?
「……どうしても勝ちたい奴が居るんだよ。
「……分かりました。絶対……戻ってきてね?」
俺は、黙って笑ってみせる。そして、使い魔を創造して命令を与える。
「ところで、その簪よく似合ってるね」
「ありがとうございます。神谷くんがくれたんですよね。コロが教えてくれましたよ」
──しまった! そういえばコロに口止めしてなかったな。まあ、バレても問題はないけど、変な渡し方をしたからなんだか恥ずかしい。
「……本当は、
「そうだったんですね。この簪を身に付けていると、神谷くんと一緒にいるような気持ちになるんです」
簪には、『全てを支配する程度の能力』を使った術をかけてある。その際に膨大な霊力を使ったので、霊華はそれを感じ取っているのだろう。
術についてだが、霊華が抱く強い恐怖心がトリガーとなって発動することになっている。効果は、俺の居場所を支配することによって霊華の側までテレポートさせることだ。
「そっか。気に入ってもらえたようで良かった」
「毎日付けてますよ。本当にありがとう」
女の子に贈り物をするのは初めてだったので大分迷ったが、本当によく似合っている。これを選んでよかった。
「さて、この使い魔に護衛を任せるから大丈夫だと思うけど、気をつけて帰ってね」
「ありがとう。……待ってるね?」
「うん、待ってて欲しい。そしたら頑張れるから」
霊華は名残惜しそうに手を振ると、俺の使い魔を連れて歩いていった。
「さて」
──念の為他の使い魔を創造しておくか。
十数体の使い魔を創造して霊華の周りを監視させる。
これは、他の妖怪に襲われた時の対策だ。それともうひとつ、紫へのメッセージである。
──
紫が霊華の帰り道を襲う可能性を考えた行動である。霊華が付けている
「あとは、俺自身の身の安全を──」
自分の身も守らなくてはならない。そう思った矢先、何かが後ろに着地した。
「──ちっ! 随分と早いな。いや、やっぱり見てやがったなストーカー女!!」
「にゃん?」
「あ?」
背後に降りてきた奴は八雲紫ではなく、猫だった。いや、ただの猫ではない。化け猫だ。それも、上等な飼い主を持つ
「……これは驚いた。昨今は少子化による人手不足が問題とされているが、まさか八雲一家も人手不足だとはな。自分の
「神谷祐哉。お前に恨みは無いがここで倒させてもらう!」
化け猫の
「──おお怖い。あまりにも怖いんで、語尾に『にゃん』とか付けたらどう? 可愛くなると思うんだが」
俺は、橙の突進を刀で受け止める。
「可愛い必要なんてないのよっ!」
橙は、周囲を素早く駆け回り、俺を翻弄しながら突進してくる。
「ちっ、ちょこまかと!」
攻撃力はとても低い。紫やスカーレット姉妹の弾幕の方が怖いし威力もあった。それと比べたらどうということはない。
けど……
──早すぎて追い付けないな。
俺は魔法陣を展開して細いレーザーを沢山放つ。
「速くて当たらないなら、動きづらくしてやればいいよな?」
「お、弾幕ごっこする? いいよ。ただし、加減はするなと言われてるから、全力で行くね。──鬼神『飛翔毘沙門天』!!」
橙は、俺の周りをグルグルと駆け回ると、弾幕を放ってきた。橙が駆けた軌道上に現れる弾は、バラバラに散っていくことで弾幕を構成する。
「スカスカな弾幕だなぁ。本当に俺を殺す気があるのか?」
橙は誰かの指示で俺の元に来た様子だ。なら、指示した者は八雲藍だろう。藍は、紫の指示で橙をおくったのだろうか?
果たして紫は、橙に俺を殺せると思ったのだろうか。紫程の妖怪なら、人の強さを測り間違えることはないはず。それなら何のために?
──橙を送ったのは藍……。藍が俺の戦力を測るためだとすれば納得できるか?
もしそうなら、紫は式神に情報を与えていないことになる。不自然な気もするが、いくら考えても妖怪の思考を理解できないのかもしれない。段々考えるのが馬鹿馬鹿しく思えてきた。
「まあいいや。──星符『スターバースト』!!」
「にゃん!」
橙はレーザーに飲まれ、服がボロボロになった状態で地面に落下した。白目を剥いているので俺の勝ちだろう。
橙推しの人には申し訳ないが、あまりにも隙だらけすぎるので早々に決着を付けさせてもらった。
だって、次の出番を待ってる人がいるんだもの。
突然、目の前から針が飛んできた。俺は難なく刀で払い、お返しとばかりに刀を数本投げつける。投げつけた先にいる人物は
「使い魔に戦わせ、自分は分析する。ま、常套手段だな。まさか、ペットを虐められて怒っているとか言わないですよね?」
「……今回は私が向かわせたのだから、怒ることはしないわ」
「あれ、思ったより温厚な人?」
俺に針を投げてきたのは、八雲
藍は、基本的に礼儀正しく、こちらから襲わない限りは攻撃してこない。今襲ってきたのは、紫に命令されたからだろう。
──ぱっと思い出せる情報はこの程度かな。
彼女は、古代道教の法師が着ているような服を着ており、腕を交互の袖に隠した格好をしている。
藍は、大きな尻尾を揺らしながら歩いてくる。
「私から仕掛けたのに怒ってしまっては、逆恨みになるでしょう」
「てっきり、逆恨みをしてくるものかと思っていたのでやりづらいです」
むしろ逆恨みされた方が良かった。
「さて、今から私と戦ってもらうわ」
「……嫌だと言ったら?」
「紫様に報告し、指示を仰ぐ」
「どんな指示が予想される?」
「恐らく、貴方にとって不易な物になる。博麗神社、白玉楼……といえば分かるかな」
──やっぱりな。アイツはそういう奴だもんな。
「分かった。貴女と戦う理由はそれで十分だ。使いやすそうなコンピュータだったので大事にしたいところだが、所詮は他人の物。襲ってくるというのなら迎え撃つのみだ」
「では、弾幕ごっこをしましょう」
「いつも思うんだが、アレは絶対ごっこ遊びの域を超えてるよな。何度も死にかけてるよ」
「……スペルカードは3枚。先に被弾した方が負け。私が勝てば、貴方を妖怪の山に連行するように命じられているわ」
「……怖いこと言いますね。じゃあ、俺が勝ったらその心地よさそうな尻尾を触らせてもらっていいですか?」
「いいだろう」
よし。モフるぞ。藍は敵だが、憎いわけじゃない。故に俺はあの柔らかそうな尻尾に触れたいのだ。
「勝負と言うからには、全力でやらせてもらいますよ。それと、戦う相手にはいつも言っている事なんですが──」
妖怪の山に捨てられるのは流石に怖い。この戦い、必ず勝つ。
「──全力で力を使わせてもらいます。卑怯とは言わないでくださいね?」
「構わないよ。本気を出したところで、貴方は私には勝てないから」
「それじゃあ早速」
俺と藍は同時に動き出した。
ありがとうございました。よかったら感想ください。
さて、やっと霊華の目的が果たせましたね。
次回は紫の式神である、八雲藍との戦いです。漸く、第4章もクライマックス手前といったところです。
霊想録は、第0話を含めれば今回で100話に到達しました。
物語もますます盛り上がっていきますので、ぜひご期待ください!