──このメンバーで戦っても勝てないのか?
「……クソ、諦めてたまるかよ!! ここで俺達が負けたら、幻想郷が終わる!! そんなことはさせない!!」
「──よく言った!! それでこそ私の親友だぜ!!」
何処からか、声がした。
いつも明るくて、誰よりもパワフルな親友の声。
「随分とデカくて痛そうな雨だが、私の魔
直後、文字通り目の前が真っ白になった。続いて耳を劈くような音が襲ってくる。
──これがファイナルマスタースパーク。初めて見た。
それはマスタースパークやダブルスパークよりも大きく、力強い。
地上から放たれた超極太レーザーは、レミーと神群槍を全て呑み込み、更に空を包む分厚い蒼霧へ突き抜けていく。
彼女がレーザーを止めた。
暫くして、強い光で見えなくなった視界が戻る。空を見れば、分厚い霧に穴が空いていた。そこからは陽光が入ってくる。槍の雨は勿論、レミーの姿はない。
鳥肌が立った。
──これが、魔理沙の本気……。やっぱ凄いなぁ
「魔理沙、やっぱり来たわね」
「おう、霊夢。今までの異変の中でも上位にあたる規模だ。私が来ないわけないだろ?」
「……助かったわ魔理沙。相変わらず凄い火力ね」
「咲夜も、怪我はなさそうだな。そんで──」
地上からやってきた魔理沙は霊夢と咲夜と話す。その後、俺を見てきた。
「よっ、お前も頑張ってるな!」
「魔理沙……お前、カッコよすぎるだろ! さっきのマスタースパーク、感動したよ!!」
「ん、そうか? へへっ、そっか!」
魔理沙は少し照れくさそうに、だが嬉しそうに笑った。
魔理沙を見ると勇気が湧いてくる。
「……っと、どうやら復活したみたいだな。どんな再生力だよ……」
空に空いた穴が再び霧で埋め尽くされていく。それによって陽光は遮られてしまう。完全に陽光が遮断された後、復活したレミーが現れる。
「魔理沙、手短に説明するわ。奴は運命を書き換える能力を持っている。で、主に自己蘇生に使ってくるわ。今ので一回死んでいるはずだからこれで4回。あと3回倒せば完全に退治できる」
「運命操作か。レミリアと姿が似ているのは偶然じゃなさそうだな。
──魔理沙も加わって4人。レミリアは多分これ以上参加してこないだろう。さっき霊夢に「邪魔」って言われてたから。
気の毒だけど、さっき俺が死にかけたのはレミリアがグングニルを投げたからとも言えるのでフォローはできない。
「……そこの魔女はさっき葬ったと思ったが?」
「お前の攻撃が私に当たる直前、
──ん? 魔理沙はレミーと戦ってたのか? ところどころ服がボロボロなのはそういう事か。
「お話中悪いんだけどさぁ──」
霊夢が動いた。
と思った瞬間、消えた。そして、レミーが苦悶の声をあげた。
「──さっさとやられてくれない?」
何事だと思ってそちらを見れば、いつの間にかレミーの頭上に移動していた霊夢に大幣で殴られていた。そして、間髪入れず御札の雨を降らして地上に落とす。
咲夜も驚いているようだから、彼女が運んだのではなさそうだ。
となれば霊夢がワープしたのか。
「これで5回ね。そろそろ眠くなってきたから、早く帰りたいわ」
──霊夢お前、こんな強敵相手によくそんなこと言えるな。自機組にとってレミーは取るに足らない存在なのだろうか?
「こ……の……!! この下等種共がぁぁぁああああああ!!! 1度ならず2度までも! この我をここまで追い詰めるとはッ!!!!」
「アンタ、言う程強くないじゃない。思えば祐哉に5回殺されたんでしょ? 美鈴が援護していたんだろうけど、本当に強いやつは1回も死なないのよ」
「なんだと!!」
霊夢に煽られたレミーは怒り狂ったように霊夢を襲う。だが、霊夢は軽々と避けてみせる。単調な攻撃では霊夢に当たらないと理解したのか、レミーは連続して拳を繰り出す。
その攻防は見ているだけで息が詰まる。
──前回と同じなら、自己蘇生を使えるのは残り1回。その後もう一度殺せば再生できずに死ぬはずだ。
「咲夜さん、魔理沙。霊夢はああ言ってるけど、油断しないで欲しい。俺が戦った時は5回殺した後に本気を出してきた」
「アイツの強さはこの程度じゃないってことか?」
「ああ。具体的には、接近戦になれば動きが早すぎて目で追えなくなった。俺はともかく、武術家の美鈴さんが一瞬で負けたんだ。絶対に油断するなよ。死ぬぞ」
奴を舐めてはいけないと霊夢にも伝えたいが距離的に声が届かない。それに、あの凄まじい攻防の中に割って入ることはできない。
「動いたぞ!」
魔理沙が叫んだ。
互いに有効打を繰り出せない状況に痺れを切らしたレミーは一瞬で霊夢から距離を取り、呪文を詠唱した。
それに合わせるように黒い靄が現れた。その靄は徐々に門の形を作っていく。
「アレは……」
咲夜が呟いた。
「アレが何か分かるんですか?」
「ええ。この感じ、お嬢様が悪魔を召喚するときと似ているわ。なるほど、さっき暴れていた悪魔共はアイツが召喚していたのね」
やはりそうだったか。そして悪魔召喚が目の前で行われているなら止めなくてはならない。
「先刻の戦いで分かったことは量より質を重視すべきということ。──これでどうだ?」
レミーに作り上げた魔界の門から十体の悪魔が出てきた。数は少ないが、その内二体はレベル4で他がレベル3だ。
「2人は砲台持ちの相手を」
咲夜と魔理沙が頷いてそれぞれ技を繰り出す。
「──レベル4は厄介だ。何かされる前に潰させてもらう!!」
──
俺は狙いを2体のレベル4に定め、彼らの体内に無数の妖斬剣を創造する。
「──祓い尽くせ、妖斬剣」
最大解放の妖斬剣。その輝きに呑まれた2体のレベル4は叫び声を上げながら蒸発した。
「よし、悪魔は全滅したな。レミーは……」
悪魔という下僕をまたしても失ったレミーは、標的を変えて咲夜に飛び掛っていた。しかし時止めができる彼女には当たらない。攻撃を避けられたレミーは舌打ちをして魔理沙を狙う。
「グガッ!」
魔理沙のマスタースパークに呑まれるレミー。
「おのれぇぇぇ……!!」
全身を焦がされたレミーは一瞬で再生した後、俺に飛びかかる。
「──手当り次第かよ!」
俺は抜刀術でカウンターを仕掛ける。
「遅い」
「ぐぁっ!!」
しかし、俺の攻撃は躱されてしまう。そのまま繰り出された鋭い蹴りによって吹き飛ばされる。
──なんつー威力だ! このままじゃ相当遠くまで飛ばされるぞ
そう思っていると、突然現れた咲夜に助けられる。
彼女に礼を言いながらレミーの行方を確認すれば、再び霊夢に飛びかかっているところだった。
「──『夢想天生』」
霊夢が呟いた後、レミーの鋭い貫手が彼女を貫くかと思われたが、実際は霊夢に命中することなくすり抜ける形で終わった。
「これは!?」
己の身体がすり抜けたレミーは不可解という表情をしている。
「アイツの相手は霊夢に任せましょう。それより、怪我はない?」
レミーの蹴りが直撃した足を見ると、血が流れていた。
──道理で痛いはずだ
流血に気がついた咲夜はしゃがんで手当てを始める。
「骨は折れていないけど、傷がかなり深い。布を巻いただけでは止血できないわね」
「じゃあこの布を巻いてもらえますか。これは特別性です」
巻いただけで止血できる布を創造した俺は、咲夜にお願いして巻いてもらう。
「動ける?」
「痛ッ──!」
試しに一歩踏み出してみたが、それだけで激痛が走った。これではとても──
「痛み止めを作ればなんとか……」
「……いや、お前はもう休め」
俺たちの様子を見ていた魔理沙が、ここでリタイアするように言ってくる。それを聞いた咲夜も頷いている。
「……俺はまだやれるよ」
即効性の痛み止めを患部に直接創造し、実際に歩いてみせることでなんともないとアピールしようとするが、思うように歩けずに蹌踉てしまう。
「お前は攻撃を紙一重で避けたんだろ? なら、攻撃が掠ったってことだ。私もさっきアイツに蹴られたからわかる。アレはただの蹴りじゃない。傷口を見たらまるで刃物でスッパリと斬られたみたいだった」
「なるほど。筋肉が切れたのね。腱にダメージがなければいいけど……。とにかく、止血して痛みをなくしても動けないのはそのせいね」
つまり、俺は剣で斬り込む際、満足に踏み込むことができないのか。
剣士にとってそれは致命的だ。斬撃の威力は半減してしまう。
「大丈夫。数ある戦闘手段のうち一つが使えなくなっただけだ。創造がある限り、俺はまだ戦える」
「……確かに、貴方の力は必要ね」
「……だな。恐らく4人全員が力を合わせないと勝てないぜ、アレは。だが無理はするなよ」
「分かってる。これ以上負傷しないように互いに気をつけよう」
───────────────
祐哉達三人が傷の手当てをしている中、霊夢は1人でレミーと戦っていた。
レミーにとっては一対一で戦うチャンスであり、今のうちに彼女を葬りたいところである。しかし、どういうわけか彼女の攻撃は霊夢に当たらなかった。確かにそこに存在しているのに、触れられない。それだけならいいが、彼女からは無数の札が放たれてくる。一直線に並んだそれは直ぐに
──攻撃を避けること自体は難しくない。
レミーはそう考えていた。『夢想天生』を初めて見た者がこのような感想を抱くことは稀だが、超速度の飛行が可能で、動体視力に優れた彼女にとっては紛れもない事実だった。
弾幕は難しくない。しかし、問題は別にあった。
「この攻撃は一体いつまで続くのだ?」
複雑に飛来する札を難なく躱しながら呟く。
「もう随分と同じ技を使っている。何故札が尽きない? あの下等種の力は無限か? ……いいや、そんなはずはない。我とて力は有限なのだ。そんなことはあってはならない」
ならば、何故?
レミーは知らない。
霊夢の『夢想天生』は、本人が目を瞑るだけで使えるということを。故に、彼女が疲れを感じることはない。
こちらの攻撃は当たらず、敵から一方的に攻撃される理不尽さに、レミーは気分を害す。
「よかろう。貴様に触れられぬというのなら──」
作戦があるのか、不敵な笑みを浮かべたレミーは札弾幕の隙間を掻い潜って霊夢に肉薄した。そして、右手に蒼槍を生成すると、彼女目掛けて薙ぎ払った。
結果は見えている。何をしようが、ありとあらゆるものから浮いている霊夢には当たらない。
──はずだった。
「──!?」
グングニルが彼女の身体をすり抜けることはなく、そのまま地上まで落とされた。
「──
───────────────
「なっ!? 霊夢!!」
「咲夜、霊夢を!」
「任せて」
霊夢がグングニルを喰らった。不味い。
俺達は地上から2人の戦闘を見ていたため、迅速に対応できた。
咲夜が時間を止めて霊夢を救出する。その間に俺と魔理沙でレミーを引き付ける。
「──『イベントホライズン』!!」
「──創造」
魔理沙は高密度の星弾幕を、俺は無数の妖斬剣を創造することでレミーを足止めする。
「悪い、魔理沙。こっち頼んでいいか」
「どうするつもりだ!?」
「霊夢の傷の具合を見る。万が一の場合、霊夢を助けられるのは俺しかいないから」
「分かった。頼んだぜ」
俺は空を飛んで霊夢の元へ駆けつける。
「大丈夫か! 霊夢!」
「気を失っているみたい。それに、腕が折れているわね」
「──っ!」
気を失い、身体の力が抜けた霊夢は、地面に寝かされていた。
腕は素人が見ても分かるほどに骨折しており、ありえない方向へ曲がっていた。
──ふざけやがって……!
「──祓い尽くせ!! 妖斬剣!! 悪しき吸血鬼を殺せ!!」
怒りに任せた発言は、レミーを足止めしている刀に届いた。それらは
遠くの方で悲鳴が聞こえる。
──いい気味だ。これは親友を傷つけた報い。存分に苦しめ。
戦う以上、負傷や死は当然。それはわかっているが、実際に仲間がやられて冷静でいられるかは別だ。
「取り乱さないで。怒っても事態が良くなることはないわ」
気付けば、拳が痛くなるくらいに強く握りしめていた。咲夜の声で、狭まっていた視野が取り戻される。
「大丈夫だよ、霊夢。直ぐに直してあげるからね」
俺は、霊夢の前に座って彼女の手を握る。
そして、目を瞑って深呼吸をする。
「咲夜さん、すみませんが暫く俺達を守ってください」
「任せて」
──願うは、霊夢の完治。
──彼女の身体の非常を正常へ……
──幻想郷の未来のため、彼女を必要とする者のため……
──また、彼女自身のため
──そして、これは俺の我儘だけど……!
──霊夢には元気でいて欲しい。
──笑っていてほしい。
──霊夢を含めた
──だから、俺はこの子を助ける
──絶対に……!!
もう一度、大きく息を吸う。
──『全てを支配する程度の能力』発動!! 霊夢の身体を完治させろ!!
ありがとうございました。
よかったら感想ください( ´・ω・`)
また使いましたね、能力。さてさて……
※追記
レポート作成にめちゃくちゃ手間取ってるので投稿遅れます。
東方霊想録の作品中で最も熱い戦いだと思う話を教えてください。
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VS妹紅(#27-29)
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VS鈴仙(#33)
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VS十千刺々(#38-40)
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VSレミリア(#46)
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VS風見幽香(#71)
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VS EXルーミア(#86-87)
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VS分裂野郎(通称)(#89)
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VS叶夢(#90-91)
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VS魂魄妖梨(#93)
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VS茨木華扇(#96)
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VSフランドール&レミリア(#98)
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VS八雲藍(#100)
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VS八雲紫(#101-102)
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VS紅美鈴(#106)
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VSレミー(#107)