今回は結構独自解釈要素があります。ご注意ください。
「それで負けてきたと」
「すみません」
「何故謝るの? 結果はわかっていたはずよ。私も、貴方も。
当然だ。最初から妹紅に勝てるならばレミリアの手を借りる必要が無い。
反省点を挙げ、改善策を練る。昔からこういうのは得意だ。
まずはスペルカードの枚数だ。二枚ではお話にならない。最低五枚、余裕を持って十枚は必要だろう。スペルカード作成の参考にするために
そしてスペルカードを増やしたところでその分の霊力が必要なわけで……でも霊力が足りない。
「ああああどうすれば……」
「うふふ、お困りのようね。そんな貴方にいいこと教えてあげる」
「ありがとうございます」
「貴方は弾幕ごっこに必要な物が霊力だと思っているでしょう? 案外、そうでも無いのよ。……納得いかなそうね。まあ聞きなさい」
レミリアは人差し指をピンと立てて説明を始める。
「確かに、弾幕を生み出すには何かしらのエネルギーが必要よ。でもね、自分の霊力量は関係ないわ。貴方にはこれからパチェと戦ってもらう」
「へ?」
「彼女と戦えば気づきやすいと思うわ。ヒントは『オプション装備』ね」
パチェことパチュリーは既に準備が完了しているようで、ふわふわと宙に浮いてこちらの様子を伺っている。
「宜しくお願いします」
「貴方の能力、見せてもらうわ。スペルカードは2枚まで、残機は1」
パチュリーは魔導書を開いて何かを呟くと、彼女の三倍はある巨大な魔法陣が展開され、弾幕が生成される。四本の細いレーザーが収束と拡散を繰り返し、その隙間から火球が現れる。
レーザーの収束は限界がある。故に二本のレーザーに挟まれることはありえない。最小の角度を見極め、間からやってくる火球に被弾しないよう注意する。
──さて、こうしている間にも攻撃を仕掛けるんだ
刀を複数本創造して投擲するが、ヒラリと躱されてしまう。
──パチュリーは詠唱をしている。
「火符『アグニシャイン』!!」
魔法陣の色が赤く変化し、それに伴い弾幕も火球のみになった。疎らに放たれていた先刻までとは違い、統率された火の玉の群れが交差する弾幕。
交差する弾幕は頻繁に見かける。見ているだけでは簡単に避けられそうなものだが、その場に立ってみると難しいのだ。集中力を切らすと直ぐに被弾してしまう。
ところで、さっきレミリアが言っていたオプション装備とはどういうことだろうか。ぱっと思い付く例は車のカーナビ。購入する際に、どういったものを取り付けるのかを選べるもの。
『装備』らしいものは魔導書くらいだけど。魔導書を使うことで消費魔力量が減るのか、或いは──
──パチュリーは常に何かを呟いている
魔法陣が青くなった。アグニシャインは終わりを迎え、先程の通常弾幕に切り替わった。ただし、火の玉の代わりに水玉になっている。
「──閃いた。幻創『スターゲイザー』!」
斜め上から地に向かって放たれる無数の長い弾は、流星を彷彿させる。そして、足元から星型弾幕が迫ってくる仕様。星は渦を巻くように
星型弾幕は魔理沙と被るから避けていたけど、やはり綺麗だ。小型の創造物を扱うことにより、生成できる弾数を増やすことに成功し、弾幕の密度は弾幕ノ時雨の数倍になった。
「──ッ!」
──あれは……
パチュリーは僅かに焦りを見せた。スターゲイザーは例の『交差する弾幕』である。自分がやられたくない動きってのは相手にも効くものだ。
そして、俺は見逃さなかった。パチュリーが蹣跚けた瞬間、魔法陣は僅かに
パチュリーの詠唱と魔法陣は繋がっている可能性が高い。そして、魔法陣が薄くなった瞬間に放たれた弾は乱れている。
彼女は魔法使いだ。よって、彼女の魔法陣は俺のものとは違って
俺がスターバーストを使う時に創造する魔法陣は、魔法使いのソレとは少し異なる。あれは「レーザーを放てる魔法陣」を創造している。要はきっかけとなる物さえあれば形はどうでもいいのだ。よって、俺の魔法陣には大して意味が無い。
──パチュリーのオプション、わかったぞ
「……少しズレたけど、間に合ったわ──水符『プリンセスウンディネ』……」
二枚目のスペルカードが発動された。
激しい水柱と小さいが動きが速い弾、大きい代わりに遅い弾の三種類で構成されている。水柱に気を取られていると、容赦なく迫り来る水玉に当たるというもの。
手加減されていることもあって、避けるのは簡単。最後まで避けきることができたものの、こちらが被弾させることはできず、結果は引き分けとなった。
「どう? パチェのオプションは分かったかしら」
「魔導書か詠唱ですかね。魔導書に書かれているものを唱えると魔法陣が生成され弾幕が放たれる」
「その通りよ。私の場合、魔導書が
俺の予想は当たっていたらしい。
「レミリアさんの言うオプションとは使い魔のこと。使い魔がある事で消費魔力量が変わるんですか?」
「そう。更に、魔導書がある事で詠唱が短く済むの。術式も書かれている。そう言ったでしょ? 私はきっかけとなる魔力を注ぐだけでいいのよ」
「皆大抵使い魔を使っているわ。霊夢や魔理沙もそう。そうすることで別の事に集中できる」
霊夢と魔理沙が? ああ、そう言われてみればそれらしい物を使っていたかもしれない。霊夢は陰陽玉から弾を飛ばしてくることがあるのだ。魔理沙はというと、魔導書に魔法陣、マジックアイテムと色々使っている。
「俺も使い魔を手に入れたら霊力問題を解決できそうですね。ところで使い魔とはどうやって契約するんですか? その辺の物に『君に決めた』って言う訳じゃないですよね?」
「ああ、皆使い魔って呼ぶけど必ずしも契約がいる訳では無いわよ。だから私はオプションって言ったんだけどね」
「方法としてはいくつかあるわ。物によるからまずは使い魔にしたいものを探してきなさい。思い入れのあるものや、自分で作った物だと設定しやすいわ。この魔導書も私が書いたもの」
ふむ。使い魔というのだから、血の契約が必要なのかと思っていた。死んだり、契約違反を起こすと魂を持っていかれる的な。自分で作るというと創造の能力を活かせそうだ。渾身の霊力を込めて何かを創造すれば使い魔にできるかもしれない。
「少し考えてみますね」
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「ただいま」
「おう、おかえり」
神社に戻ると、霊華が修行していた。多分御札を投げる練習だ。あれを狙った場所に飛ばすのは難しいと思う。
それにしても、霊夢がやる気を出しているように見える。何かよからぬ事を考えてなきゃいいけど。
「今日の修行はどうだった?」
「うん。上手くいけば霊力問題を解決できそうなんだ。これから使い魔を作るつもりだよ」
「ああ、奴隷か。こっちの常識を持たない
霊夢と魔理沙は、俺がどのように問題を解決するのか見守っていたという。できれば早めに教えて欲しかった、そう言うと魔理沙は笑って答えた。
「偶には自分で悩まないと脳が腐るぜ?」
ごもっともである。
「それで、何を奴隷にするんだ? 犬? 妖精? 悪魔か? それとも、霊? ああ、人間という選択肢もあるな」
「うーん最後のはヤバいなぁ」
第一、自分のサポートを頼みたいのに人間を従えてどうするのだ。生き物を奴隷──使い魔にする気は無い。躾けるのが面倒だ。教えるのは好きだが上手に叱ることができない。最悪主従関係が逆になりそうだ。
何か手頃な物体はないだろうか。弾幕ごっこに使うとなると、弾が撃てて宙に浮く必要がある。無理だ。物体が勝手に動くわけないし、弾を撃てるのはおかしい。機械を作るしかないのか。或いは、魔法使いのように魔法をかけるとか。
──魔法をかける、か
それならいい方法があったな。
「おーい、聞いてるか?」
「へ? ああ、聞いてたとも。タケノコとキノコ、どっちが美味いかだっけ?」
「おまえは何を言っているんだ。……この前私のマスタースパークを跳ね返したアレは何なんだ?」
「アレは反射鏡。光を跳ね返せる鏡を創造したんだよ」
「後で実験したがその辺の鏡じゃ砕け散るだけだったぞ」
「反射鏡はただの鏡じゃないんだよ」
そもそも、鏡というものは可視光線を反射する性質を持つ道具。「反射鏡」と呼ぶのは好ましくない。「超強力熱光線反射物体」とでも呼んだ方が正しいかもしれない。
「熱光線反射物体、ねえ。熱光線と言えばアルキメデスを思い出すな」
「そうだね」
アルキメデスの熱光線。アルキメデスは古代ギリシャにおける天才科学者。城壁に沢山の鏡を設置し、敵船に向けて太陽光を一点集中させたという。船の黒い先端は燃え始め、火災を起こした。
「しかしとても信じられん。マスタースパークは熱光線なんか比にならない物だぞ」
「だから
「はー、創造の能力はそんな事ができるのか」
超強力熱光線反射板──反射鏡の仕組みが分かったところで次のステージに進もう。
──『物体を創造する程度の能力』の秘密について。
ありがとうございました。
次回は放浪録でも詳しく触れなかったことが判明しますよ。
恋愛タグが息をしていない……。おかしいですね。霊想録は恋愛モノのはずなんですが。そろそろ怒られそうだなぁ