東方霊想録   作:祐霊

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こんにちは。祐・霊です。
祐霊は失踪した。そう思ってないですか? ちまちま書いているうちに進まなくなっています(進行形)


番外編〜聡明な使い魔と金平糖〜
#20「創造! 恐怖の暴走物体!」


 ──それは、荒ぶっていた。

 

「魔理沙……」

「ん?」

「なんかこれおかしい」

 

 朝食を済ませた俺は早速彫像の創造に取り掛かった。不思議なことに、彫像のイメージは簡単にできた。能力自体は頭の中で設計図を作り、念じることで発動する。

 

 使い魔化するためには、創造する際に「人工知能」と「弾幕制御能力」、「浮遊能力」を付与する。完成品が動く様子を思い描き、与える力を考えるだけで勝手にプログラムしてくれる、チート性能だ。間違いなく俺の力ではないだろう。

 

 彫像は完璧に創造できたように見えた。試しに起動してみると、ソイツは妙な動きをした。

 

「え? 狙い通りじゃないのか。いやあ、壊滅的なセンスだなと思っていたところだよ」

「こんな『4分の1秒おきに1メートルテレポートする使い魔』があってたまるか!」

「なんか、この世のものとは思えない動きね。不気味だわ。試しに弾幕張ってみたらどう?」

 

 霊夢は荒ぶる使い魔を見て若干呆れている様子。ちくせう見てろよ。今にもアッと言わせてやる。

 

 ──弾幕を放て

 

「どわぁ!?」

「ヒエェ!」

「うわぁ……」

「──!」

 

 弾幕制御は問題なく動作した。では何故俺たちがこんな反応をしたのか。それは、彫像がテレポートしながら弾を放ったからである。

 

 想像してみて欲しい。彫像は1秒間に凡そ4回テレポートしている。一度のテレポートで移動する距離は1メートル。移動するベクトル──即ち角度はランダムである。近づけば撲殺必至のそれが、滅茶苦茶に弾を放つのだ。勘弁してもらいたい。

 

「『ヒエェ!』じゃないわよ! 何してんの!」

「ご、ごめんなさい……。皆怪我してない?」

「なんとか……。飛んだ暴れ馬だな」

「なんかもうキショイよね」

 

 一番近くにいたのは俺と魔理沙。そうは言っても、()()からは十分な距離を取っていたので、なんとか回避できた。霊夢と霊華は遠くから見ている。

 

 これ、本当に弾幕制御がうまくいってるのか怪しいぞ? 

 

 ──動くな。弾幕を放て

 

 動く点Pは再び弾を放ち始めた。どうやら俺の命令は彫像に届かなくなってしまったようだ。

 

「もう消えろ!」

「あー、なんかその、別の方法を検討したほうがいいんじゃないか?」

 

 手が付けられなくなってしまったので、スターバーストで破壊する。付与する力が足りないのかもしれない。創造の力が勝手にやってくれるものだと思っていたが、任せきることはできないようだ。扱いが難しい。

 

 ————————————————————

 

「神谷さん、戻ってきて……」

ブツブツブツブツブツブツブツブツ

 

 神谷さんは何かを呟きながら彫像を創造し続けている。さっきの出来事から一時間ほど経った。魔理沙は家に帰り、霊夢も部屋に戻っている。彼がまだ続けると言うので、見学することにした。あれから何度か試行錯誤したものの、成果といえる成果はないままだ。「何でだ……」と肩を落とした神谷さんはブツブツと唱え始め、今に至る。

 

 ──凄い、もうすぐ境内が埋まっちゃう

 

 間違いなく100個は超えているだろう。もしかしたら300個くらいかも? 

 

「あの、軍隊でも作るつもりですか?」

「軍隊か。それだ! この動く点P(彫像の悪魔)を敵に投げつけてやれば……。ククク……」

「それって反則じゃ……」

 

 弾幕ごっこというのは、スペルカードルールに則って行われる。その中にあるのは不可能弾幕の禁止。この彫像が起動したらまた荒ぶるのだろう。そんなもの避けられるはずがない。

 

「やるとしたら()()を弄るよ。512。これが今創造できる限界みたいだ」

「そんなに作れるんですか!?」

「まともに弾幕ごっこをするなら一勝負で五桁分の球が必要だと思う。それを考えると大したことないよ」

 

 そうは言っても、皆の弾は普通の光弾やお札といった小さなものだ。これだけ立派なものを作るにはそれなりの霊力を消費するはず。皆が五桁分の個数作る霊力量を持っているわけではないだろう。普通の光弾と創造物を同時に使ったらどうだろうか。霊力消費量の少ない光弾で弾幕を構成して、所々に創造物を含ませる。これがスマートだと思う。

 

 ──言った方がいいかな。でも口を出すのも悪いかもしれない……

 

「神谷さんが創造できる限界数って幾つですか?」

「一番多いのが針で、最近だと1200くらいかな。霊力は9割使う」

 

 うーん、五桁作るには霊力が今の10倍必要。やっぱりこの方法がいいんじゃないかな。

 

 ————————————————————

 

 このまま闇雲に行動しても拉致があかないと思い、紅魔館で文献に当たることにした。例の彫像はどこかで見覚えがあるのだ。実在するもののはず。

 

「あった。これだ」

「んー? それはサモトラケのニケね。それがどうかしたの?」

「昨晩、お告げのような夢を見たんです。これを使い魔にしろと」

「へえ、貴方は彫刻が好きなの?」

「いえ、全く興味ありません。だからこそ不思議なんです。馴染みのないものが夢に出てくるなんて滅多にないですからね」

「だからお告げと解釈した。なるほどね。それで、やってみたの?」

 

 俺はレミリアに先ほどの出来事を話した。レミリアは面白そうに笑う。そして、こういうのだ。「私も見てみたい」と。若干トラウマだから気が向かないのだけど、仕方ない。

 

 図書館の広場に移動し、彫像を創造する。

 

 ──起動しろ

 

「ヴヴヴン……」

「ほう、これは……」

 

 気のせいか彫像が音を発したような……。気のせいだと信じたい。レミリアは()()()()を見て面白そうな表情を浮かべる。

 

 ──おや?

 

 さっきと比べると、テレポートの頻度が低くなっている。凡そ1秒に2回か。彫像の()()は弄っていない。早くも学習したというのか? 人工知能、即ちAIが正しく機能しているようだ。しばらく起動を続ければまともに動くのではないだろうか。これは期待が持てるぞ。念の為、「絶対服従」を付与しておこう。俺がこいつを扱えなくなったら何をしでかすか分かったものではない。

 

「ねえ、貴方の能力は物に力を与えられるのよね。数に限界とかないのかしら」

「やってみましょうか」

 

 一旦彫像を消し、思いつく限りの機能を付与する。「絶対服従」「人工知能」「自律稼働」「浮遊能力」「弾幕制御機能」「高速学習能力」。一先ず六つで試してみよう。

 

 ──起動。弾幕を放て。

 

「|Γ…ヴヴヴllo!」

 

 彫像は浮遊すると、弾を放ち始めた。相変わらずテレポートするが、神社で試した時と比べれば大したことはない。

 

lΑποκτήστε πληροφορίες για την τρέχουσα θέση.

 

 

──ん?

 

 

『──lαπωνία. Η ρύθμιση γλώσσας σε lαπωνικά.──こんにちは』

「うわあああ!! 喋っえっえっ? 喋った。これ、うわあああ!」

「落ち着きなさい。貴方が作ったんでしょう?」

「なんでそんなに冷静なんすか! 怖くないんですか!?」

「うふふ、面白いわ」

 

 俺は怖くて仕方がない。どうして急に言葉を発するようになったのか。そんな機能をつけた覚えはないぞ。

 

『私にプログラムされている機能は以下の三つ。「浮遊能力」「弾幕制御機能」「高速学習能力」です。──修正。浮遊能力及び弾幕制御機能は全て高速学習能力の範囲内です。二つの機能を削除し、空きメモリを他の機能に充てることを提案します。──了承。取得提案。自然エネルギーの利用。これにより動力源の獲得ができます。──指摘。自然エネルギーのみでは不十分です。これを踏まえた提案。生命体からエネルギーを吸収する』

「へぇ、賢いのね」

 

 いつの間にかパチュリーが見に来ていた。確かに賢い。つい数時間前までバグを起こしていたものとは思えない。彫像は言った。機能が三つプログラムされていると。俺は六個付与したつもりだった。分かったことは、俺が付与できる機能は三つまで。四つ以上付与しようとすると最も古い機能から削除されていく。つまり。

 

「一番付けたかった『絶対服従』が削除されているのか」

『「吸収機能」と「解析機能」を取得。解析機能(アナライズ)、起動。分類:霊力。総量5000。評価:Eー。分類:妖力。総量100000。評価:S。分類:魔力。総量:48500。評価:B』

 

 なんだか彫像が物騒なことを言っている気がする。何かしでかす前に止めないと。

 

「俺はお前を作った者だ。従ってくれ」

『私の分類:XXX。総量5000。評価:Eー。総評Eーを優先します。弾幕制御機能──起動』

「うっ!?」

 

 彫像が撃った弾幕が俺の左腕に直撃した。俺の声は届かないようだ。やっぱり『絶対服従』を付与するべきなんだ。

 

「こいつ……」

『対象の左腕に命中。右腕を潰します』

「クソ、使い魔の癖に調子乗んなよ。スクラップにしてやる! 創造『 弾幕ノ時雨・刀(レインバレット)』!」

『──10回の被弾を確認。弾幕の解析。修正。アップデートします』

 

 最初は簡単に被弾していたが、次第に動きが良くなり、全く当たらなくなってしまった。これが人工知能か。能力を解除しても消せない。こいつはとっくに俺の手から離れている。もう破壊するしかない。

 

「スターバースト!」

 

 極太の光線に飲み込まれた彫像は、跡形も無く砕け散った。彫像があのまま暴れ続けたらどうなっていただろうか。高速学習機能を持っているアレを放置すれば、誰も手をつけられなくなってしまうかもしれない。未然に防ぐ事ができて良かった。

 

 

 

──と思っていた。

 

 

 

『──リザレクション』

 

 土煙の中から声がした。この機械音声は間違いなく彫像のもの。

 

『レーザーによる攻撃。円陣の展開から2.99075秒後に発射。1,079,252,848.8km/h──光速と認識します』

「なんで……」

「何らかの方法で復活したようね。それより面白いのは正確な計測力。幻想郷の技術を遥かに凌駕しているわ」

 

 どういう理屈か復活した彫像は、先程のスターバーストを分析している。俺はスーパーコンピュータを創造してしまったのかもしれない。創造の能力について色々と考え直したいところだが、そんなことをしている暇はない。

 

完全修復機能(リザレクション)の残り使用可能回数は2回です』

「河童に見せたら興奮しそうね。しかしこれは素人の私から見ても面白い。祐哉、外の技術は皆こんな感じなの?」

「まさか。人工知能──AIの時代はまだ少し先の話です。このくらいの計算は外の世界のコンピュータもできますが、非科学的なことをやってのける辺り数世紀先の技術ですよ」

 

 レミリアの問いに答える。この彫像は科学と幻想の混合物だろう。弾幕を放つなんてのは質量保存の法則に反している。霊力という対価を払っているが、それは質量保存とは異なる。

 

 ──まあ、幻想郷に外の科学が通用するとは限らないし、気にしても仕方ないけど

 

 完全修復機能はあと2回使える。つまり、3回壊さないとアレを止められないということ。嫌な予感がするな。弾幕ノ時雨は完全に攻略されてしまい、当てることが難しいだろう。スターバーストもそうだ。分析されてしまっては避けられる可能性が高い。とはいえ光速なので、強引に当てることは可能なはず。タイミングが大事という事だ。

 

『霊力量5000未満を優先して吸収します。──座標転換(テレポート)

 

 彫像が消えた。不味い。あの口振りでは既に紅魔館から出ているだろう。霊力5000未満(俺より弱い者)はどこにいるのだろうか。妖精でももっと強そうだが。

 

「アレはどういう訳か力を求めていたわね。吸収することで成長し、動力源にする。そして同じ強さの祐哉に負けた事で、もっと弱い者から力を得ようとしていると」

「アレを放置したら騒ぎになるでしょうね。早々に破壊する必要があるわ」

「……俺、一旦帰ります。嫌な予感がするんです。もしアレがここに来たら直ぐに破壊してください。迷惑かけてすみません」

「……? そう、分かったわ。気をつけて」

 

 俺は紅魔館を後にする。行先は博麗神社。この件を霊夢に伝えるためではない。()()()5()0()0()0()()()()()()()()()()()()()

 

──今度こそあの子を守ってみせる!




ありがとうございました。

ニケの翻訳
「現在位置の取得──日本。言語設定を日本語へ切り替えます。こんにちは」

本当に続き書くのが大変です。
なんで書けなくなったのか、明日までに考えときます。そしたら何かが見えてくると思います。ほな、また会いましょう。
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