東方霊想録   作:祐霊

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どうも祐霊です。

今回は霊夢ルート、魔理沙ルートです。


#36「呆気なさすぎた異変解決」

 

「チクチクチク……お前が噂に聞く巫女タケ?」

「そうよ。素敵な巫女があんたに会いに来たの。用件は分かっているでしょ?」

 

 ──迷いの竹林

 

 今回の異変の主犯には心当たりがあった。祐哉と霊華が竹林で襲われたという竹妖怪だ。曰く竹林の本体だとか。

 

 筍が生えるはずのない所に生えるということは、誰かが生やすきっかけを作ったということ。それだけなら方法はいくらでもあるだろう。純粋に筍を育て始めたのかもしれないし、新手の妖怪の仕業かもしれない。それか永琳が変な薬を作ったとか。

 

 でも私の勘が言っている。今回の異変の主犯はコイツだと。

 

「あんたでしょ。人里に筍を生やしたの。目的は知らないけど今すぐ取り除きなさい。さもないと退治するわよ」

「チクチクチク。まだ退治される訳には行かないタケ。計画はまだ発展段階。もう少し。もう少しで機は熟す」

「あー? 何言ってるの?」

「巫女に用はないタケ。適当にあしらうタケよ」

「分かった。殴られた後に取り除きなさい」

 

 ──霊符『夢想妙珠』

 

 戦闘開始直後、私は最初で最後のスペルカードを切る。

 

 数個の大きな光弾は全弾竹妖怪に命中し、爆風が起こる。砂煙が晴れると竹妖怪の姿はなかった。

 

「手応えあり。気配もない。うーん、ちゃんと倒せたのかな?」

 

 あまりにも呆気ない。この程度で倒される妖怪があの規模の異変を起こせるとは思えないわ。

 

 ──この感じはまだ終わってないわね。恐らくあいつの狙いは……

 

 

 

 

 ───────────────

 

「邪魔するぜ」

「あら魔理沙。傷を見せてみなさい」

「怪我はしてないな」

「それならなんの用かしら」

「惚けたって無駄だ。私は分かってるんだからな。この異変を起こしたのはお前達だな。そして元凶は()()。お前だ!」

 

 私の見立てでは今回の異変の主犯は永琳。手段は薬だ。筍が生える切っ掛けをやったあと、成長促進剤でも撒いたんだろう。目的はさっぱり思いつかないが宇宙人のやることなんて理解できるはずもない。

 

「はあ、元気なら帰って。それとも怪我してから帰る?」

「お、やる気だな?」

「いいえ。私達は今回の異変に関わっていないわ」

「なら一体誰が──ん?」

 

 永琳と話していると、部屋の扉が開かれた。入ってきたのは兎の耳が特徴の鈴仙だ。あいつの狂気の目で……いや、無いな。

 

「師匠。患者さんです」

「通して。ああそれと……魔理沙の相手をしてやって貰える? 貴方も出ていってちょうだい」

 

 私は鈴仙と永琳に強引に追い出されてしまう。念の為異変の事を鈴仙に話してみるが、話ぶりからしてこいつではない。

 

「そういえば、てゐが言っていたわ。『竹林が変』だって」

「ほう。それは話を聞きに行く必要があるな」

 

 ───────────────

 

「やっと見つけた!」

「おめでとう。里の噂によると、私に出会えたら幸運になれるらしいわ」

「本人が“らしい”って言ってる時点で信憑性皆無だな」

 

 半刻程竹林を探し回ってやっと見つけることができた。とはいえこんなにすぐ見つけられるのだから里の噂は出鱈目だろう。私は早速異変のことを話す。それを聞いたてゐはニヤリと笑う。

 

「どうだろう。偶には様子を見守る側に立ってみたら?」

「何でだ?」

「無駄だからだよ」

「日本語を話してくれないか? まるで分からん」

「別にいいけどね。じゃあヒント。妖怪万年竹って知っているかしら。知らないのなら調べてみるといいわ」

 

 ───────────────

 

 紅い館に来た。知り合いの魔法使いに話して彼女の使い魔(奴隷)から史料を拝借する。

 

「これは外の世界の本か」

 

 その本による万年竹の情報はこうだ。

 

 一万年生きた竹が妖怪化し、人間が竹藪に入ってくると術をかけて迷わせる。

 

 情報が少ないが充分だ。おかげで思い出したぜ。どうして忘れていたんだろうな。異変の主犯は──

 

 ───────────────

 

「お前が異変を起こしたんだな。()()()()! 犯人さえ分かればこちらの物。見たところ霊夢はまだ辿り着いていないようだな」

「またお前タケか。今なら見逃してやるから、さっさと帰るタケ」

「おかしな話だな。お前は竹を切った者が誰であれ食おうとする奴だ」

「普段はそうタケ。だが今回の拙竹は暇じゃない。だから帰れと言っているタケ」

「そういう訳には行かない。私はお前を退治しに来たんだからな。この前のようにすぐ終わらせてやる」

「……余り力を使いたくないタケ、仕方ない。──縛符『十千の織り成す狭隘』」

 

 竹妖怪、十千刺々が無数の竹を飛ばしてくる。私は急いで箒に跨って躱す。このスペルカード、避けるのはとても簡単だ。だがどうやら、奴の狙いは私を被弾させることではないらしいな。

 

 四方八方から飛んでくる竹。これは私の周りを囲むことによって動きを制限する物。結構嫌なタイプだ。

 

 ──何をするつもりか知らないが隙ありだ。

 

 私は刺々のスペルカードを無視してミニ八卦炉を構える。竹が当たることは無い。この技は初見の相手のみに通用する。どんな技か分かってしまった今、十千の織り成す狭隘(このスペルカード)は無に等しい。

 

「これで終わりだぜ。──恋符『マスタースパーク』!!」

「ギァァアァアアアアアア!!」

 

 暫くしてマスタースパークを止めると、既に刺々の気配が無くなっていた。

 

「どうもおかしい。呆気なさ過ぎないか?」

 

 ──この感じ、まだ終わってないな。恐らくあいつは本気を出していない。

 

「……目的は、()()()()だろうな。それなら確かに私たちが行っても無駄だ」

 

 




ありがとうございました。

次は祐哉&霊華ルートです。

それにしても刺々弱いっすねえ〜

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