中間テストと期末テスト
俺は特別留学生ということで理事長室で受けることになっていた
「羽川くん準備はいいかい?」
「いつでも」
「じゃあ開始。」
俺は解き始める。結構難しそうだが俺にとってはかなり昔に解いたのを思い出すだけなので一回思い出せたら後はスラスラ解ける。英語はアメリカに身を潜めたり殺し屋と話したりするときに覚えたし数学、化学に限ったら自分の得意分野だ。そして解き始めてから20分ほどで全教科のテスト問題を解き終わる。
「……」
「大丈夫。全問正解だよ。」
理事長先生の言葉にホッとする。
ペンを置き息を吐く
「相変わらず君は素晴らしい。」
「そりゃどーも。」
テストに浅野理事長は丸をつけて行く
「でもこれはさすがにまずいでしょ。試験範囲と全く違うじゃねーか」
俺が解いていてすぐに気づいた
全くやってないところだと。
「よく見てください羽川くん。試験範囲は二日前に追加されただけですよ。ちゃんと本校舎の生徒には私が教えましたし。」
「……へぇ〜。」
「なんですか?」
「いや。案外教師としての腕を勝っているんだなって思って。」
俺は少しだけ笑う。
「俺だったら復習だからって前回のテストの応用問題をだしてあんたの案は次の期末まで待機していたな。」
「……」
「そうした方が確実に2回A組や本校舎組が勝てる。そして2学期のプレッシャーもかけられる。」
浅野理事長は凄腕の教師だ。なんでもできるが。直前の勝負に凝りすぎて次回のことを考えてない。
「……本当に君はすごい。私の足りないところはを全部持ってる。」
「そりゃどーも。」
「確かにそれでもよかったかもね。でも確実に勝てるとは言い切れない。」
「まぁ、そうだろうな。でも今回こんな問題にしたら次回が苦しくなるだけだ。それなら美味しい蜜を吸わせておいて最後に逆襲したほうが面白いだろ。」
浅野理事長はキョトンとする。
「それに今のやり方だったらいつかは破産する。強者が強者でいられるのが難しいってあんたならわかるんじゃねーの?」
「……」
「速さは完璧な教師も、殺し屋からどれだけ逃げられた実績のある生徒も弱点は必ず存在する。絶対完璧なんてないんだから。完璧に見せるしかない。どんだけ弱いことも隠し続けるしかない。あんたの弱さはそのことがわかってないんだ。理解してるつもりでも、理解できていない。」
「……私にここまで言った生徒は初めてですよ。」
「まぁ理事長に刃向かう生徒いや先生でもいないだろうな。でも」
「だからこそ面白い。」
浅野理事長に先に言われてしまう
「でしょう?」
「正解です。あなたと俺は敵同士だからこそ面白い。そして強くなれる。違いますか?」
「……味方通しでも面白いとは思いますけど。」
「そうかもな。でも今の関係も嫌いじゃないだろ。」
「そうですね。」
浅野理事長が笑う。
「まぁ。こういった会話が楽しいから時々遊びに来るんだよなぁ。」
「私も嫌いじゃないですが…だからこそ君にには生きてもらいたいんですよ。」
「まぁ善処する。」
「そこで素直にわかりましたって言わないところが羽川くんらしいですね。」
「そうだな。」
と俺と理事長は笑う
「まぁでもまた遊びにくるよ。暇だったら。」
「そうですね。こんどは最上級ステーキでも食べながら話しましょうか。」
「……まぁ、期待しとくよ。生きてればの話だけど。」
そうやってあくびをする
それ以降は何もせずただ自分たちのするべきことをやっていた
「……」
教室内が静寂に包まれている。
それもそのはず。
中間テストの結果は惨敗だったからだ。
俺はため息をつく。
やっぱり妨害が効いた。その一言。
「……見事にやられたね。」
「……」
「まぁ、元々あんたが入ってきてから理事長先生は気づいてた。このクラスが変わってきてることに。それに理事長先生の言うことだって正直正論だ。追い上げ必要なときだってあるし、試験範囲が変わることも事例があった。」
「羽川くん何が言いたいんですか?」
「……あんたはこの学校を、理事長を舐めてたんだ。甘く見すぎていた。違うか?」
「……」
反論も言い訳もしてこない。
「無言は肯定とみなすぞ。普通敵として同程度だと思っていたんじゃねーの?違う。スペックは確かにあんたの方が上だ。でも実績と経験は明らかにあっちの方が上だった。総合力であんたは負けてたんだ。」
先生として、まだ始めて数ヶ月
「お前はなんで理事長に勝てると思っていたんだ?あんたは教師という仕事を舐めすぎだよ。スピードさえあれば、触手さえあればこのシステムに勝てると思ったのか?」
「羽川!」
「事実だろ。事実でその結果がこれだよ。全ては結果が全てだ。どんだけ汚いことをしようが、卑怯なことをしようが全てはこの5枚の紙切れ。たった五時間で決まるんだ。それであんたは負けた。よかったな。これがテストで。自分のことじゃなくて。もし見限った相手が暗殺者だったら。あんた死んでるぞ。」
ギリギリと歯ぎしりの音が聞こえる。悔しいだろう。そうその悔しさを次に活かせばいいんだよ。
「……まぁ、説教はこれくらいにして逃げるのも立ち去るのもてめぇの勝手だけどよ。まだやることは残ってるからそれが終わってからにしてくれるか?」
「やることとは?」
「……頑張ったやつもいるから褒めてやれよ。赤羽先輩と茅野先輩の点数を見てみたら。」
「……はぁ。なんか羽川に全て計算されてるようで嫌だけど。」
赤羽先輩とあかりねぇがテストの答案を持ってくる。
赤羽業 合計点数 494点 学年5位
茅野カエデ 合計点数 493点 学年6位
「「「はぁ?」」」
「どう。ちゃんとあんな不利な中でもクリアしたやつはいるんだよ。」
「俺の成績に合わせてさあんたが余計な範囲まで教えたからだよ。」
「私もそんな感じかな?」
「まぁ、そんなところだ。まぁ俺も一応。」
とテスト用紙を出す
羽川康太 合計点数 500点 学年1位
「「「「はぁ?」」」」
「別にこんなテストなんて習っていれば余裕で解ける。ぶっちゃけいうとお前らでも8割は解けた可能性はあるぞ。一応こいつの授業で触れた範囲だったし。」
実際のところ解き方に触れてなかったのはたった二割だった。
「……まぁグチグチ言ったけど伝えたいことはそんだけ。後は勝手にやってろ。」
俺は手のひらをふらふらとふり教室を出る
いい加減気づけよ
俺たちの道具じゃねーだぞこいつらは
……はぁ。本当嫌になる
裏切ることが分かっているのに
もうこの教室が好きになっていることに
自分は最低であってもいい。
卑屈で最低だけど
理解してくれる人がいれば
それを認める人がいればそれでいいじゃないか
敗北は糧になる
失敗は成功の元
よくそういうじゃないか。
俺だって間違える。
でもあんたには見てくれる人はいるんだぞ。
間違ってたらそれを指摘する仲間がいる。
自分だけで抱え込むな
あんたもそうだろう。
俺とは違って
でも逃げたらダメなんだ。
見ろよ。死神。
このクラスが変わりつつある。
最初は暗かったのがどんどん明るくなっていく。
俺だって少しどころかかなり変わった。
でも、いつかは俺の過去にもあんたの過去を話さないといけない時がある。
その時
このクラスは一つでいられるのか?