ターゲットの暗殺教室 改訂版   作:孤独なバカ

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アクシデント

大事な人

それはいつふとした時気づくこと

いつもそばにいてくれる人

俺には二人いる

一人目は幼馴染で明るくいつも明るくやることになると一直線で危なっかしい人

二人目はクラスメイトで優しく気遣うことができ弱さを見せない人

だから迷惑はかけたくなくて

距離を置こうとするのに近づいてくる

そしていつのまにか自分も心を開いてしまって

甘えてしまう

信用してしまっている

会うたびに嬉しくなって

別れる度胸が痛くなる

この気持ちは痛いほど知っている

でも叶わないから

叶ってはいけないから

ただ気づいていても隠し続ける

……隠し通せるとも思っていないのに

 

「……それでさ。」

と昼に入り俺たちは映画村に来ていた

チャンバラショーを見るがお土産屋を見るがちっとも気分が晴れない

「……」

それは矢田先輩も同じらしく、どこか話に集中できないらしい

クソ。どうすればよかったんだよ

俺は軽く舌打ちしてしまう

本当に不思議だ

少し前までは復讐でクラスメイトを使おうとしたのに

今では傷つけたことがこんなにも苦しいなんて

人の心

それを読み取るのは非常に難しい

人との交流なんかは特にだ

本でならどのように考えているのか文字で伝わってくるのに

感情なら読み解く事ができるのに

人の考えだけはよめない

…苦しい

胸が苦しい

そんな俺を気遣っているのか、それとも矢田先輩を傷つけたのを非難しているのか俺に話しかける人は誰もいない

ただそれだけが救いだった

そうして後をついていくとポケットに入れておいたスマホからバイブ音がする

俺はそれを取り出すと死神から通知が一件

 

 

茅野さんと神崎さんが攫われました

 

 

死神からの通知に血の気が引いてしまう

あかりねぇが攫われた?

そして昨日のことを思い出す

神崎先輩がしおりを失くしたのってもしかして

「……羽川?どうした?」

すると前原先輩の声が聞こえる

しかしそんなことはどうでもよかった

俺は息を吐く

その続きにはその攫われたと思しき住所が書かれている

「……すいません。ちょっとの間離れます。」

おそらくかなり冷淡な声だったのであろう。

それを気にせずポケットの中から薬を1錠取り出す

もうなりふり構ってなかった

その薬を一錠飲むと体がどんどん熱くなっていく

そうした中で俺はそのまま全力で飛ぶと屋根の上まで飛び乗る。

そしてその勢いのまま全力で目的地まで走る

……クソっ

いつも以上に体が悲鳴を上げているが気にしなかった

息が乱れ苦しいがたった一つの目的地へ走る

もし昨日のしおりが盗まれたのなら

計画的な犯行かよ

油断していたのが仇となった

俺は死神とは違い警戒している時しか敵意に気づかない

完全に油断している時には普段の人間と同じようにただ体が丈夫なだけの人間なのだ。

……間に合ってくれ

心から願う

そうしながら走ると目的の場所に着く

祇園近くの廃墟

……中から騒がしい声が聞こえる。その中には潮田先輩たちの声もある

そういえばしおりに書いてあったな。仲間が拉致された時の対処法。

……あの百科事典並みに分厚いしおりを持って来ているなんてまさかだと思ったけどこの場合ありがたい

裏口から入るには10人いるか。

俺は少しだけ息を吐く

ここからは一対十

……早く殺さずに潰す

俺はドアを開け見張りの人物に睡眠薬を吸わせるとその後にその近くにいた奴に飛び蹴りを食らわせながら隠し持っていたサイレンサー付きの即効性のある麻酔弾で潮田先輩たちの声がするドアに近い奴を両手打ちで二人に命中させる。これで四人。

声を上げられる前に後は速さで押すだけ

空気分解でき即効性のある睡眠薬を二人に同時に吸わせ近くでその二人に話していた奴を蹴りで蹂躙する。

その間5秒で7人が倒れる

息を止め睡眠薬入りの煙玉をなげそして突っ走り潮田先輩たちがいるドアを目指して走る。

そしてドアを素早く開きそこに縛られた二人の姿と大勢の不良の姿。そして潮田先輩たちの班がいた。

「……羽川?」

すると杉野先輩が俺の名前を呼ぶ

「おい。そこのお前、他の。」

そう言った途端にそいつ目指して俺は麻酔弾を取り出し放つ。

……外す訳ないよな。こんなイージーなもん

そして首元に着弾しそいつは崩れ落ちる

「……お前ら全員動くな。一歩でも動いたらそいつみたいに撃つぞ。」

怒気を含んだ声で言い放つ

「……羽川。一体何を。」

「麻酔弾ですよ。……まぁ、一時間程度しか効かない即効性の高い奴ですけど。」

素早くマガジンに弾を入れかえ俺はその不良どもを睨みつけ

そして素早く側に移動し顎をねらって蹴り上げる

そして脳が衝撃に耐えられなかったのかすぐに崩れ落ちた

「……まぁ。許す気はさらさらないけど。」

「お、おい。てめぇらやっちまえ。」

震え声で命令する主犯格の不良に

「黙れ。」

殺意を最大に解放する。すると周りの不良はひっと声をあげ座りこむやつや泡を吹く奴が多数だった。

そして次の瞬間殺意を一気に消し素早く後ろに回り込み銃口を突きつける

「……先輩たち二人をお願いします。」

俺はあかりねぇと神崎先輩を指をさす

すると頷きすぐに二人の方へ向かっていく。

「……少しでも動いたら撃つからな。」

「……お前もどうせ。肩書きで見下してんどろ?バカ高校だと見下して。」

すると不良がそんなことを言ってくる

そんなことを言われてつい笑ってしまう

「お前そう考えているからバカなんだろうが。いいか?どこの学校に行こうが、どういう暮らしをしようが肩書きなんて関係ねぇんだよ。その人がどう暮らしどのように生きるか。……どんだけ肩書きが良かろうがクズはいるし、肩書きがなくともいい奴なんて多くいる。……どんだけ失敗しても、一度間違えたならまた同じ失敗を繰り返さなければいいんだから。」

「……」

「いいか。最後に一つ言っておくが、お前のくだらない価値観に他人を巻き込むな。」

それと同時に引き金を引く。そして最後の一人も眠りについた。

「……ふぅ。」

俺は軽く息を吐く

すると体に疲れが一気に溜まり少しずつ痛み始める

いつもの症状がくるのが早い

……しかしこれが全部終わるまでは我慢しないとな

とりあえず、神崎先輩とあかりねぇを見ると二人とも無事だったらしく、とりあえずは一安心って感じか

すると

「遅くなってすいません。この場所は羽川くんと君達に任せて…他の場所からしらみ潰しに探してました。」

ちょうどいいところに死神がくる

「殺せんせー!!」

目線が全員死神の方へ集まった瞬間俺は静かに立ち上がり気配を消しながら外へ出るそして数kmを走り俺は静かな人気のない裏道へ出る

……やばいもう限界

「ゴホッ。」

俺は下を向き。熱い液体を吐き出す。

薬の副作用。さっき飲んだ薬は身体強化系の薬品だが副作用に全身の血流を上げることによって血管に負担をかけることになる

それが吐血に繋がり今に至るってわけだ

……そして何リットルもの血を吐き出したんだろうか

全て吐き出したころには服はもちろん、周り一面が自分の血で真っ赤に染め上がる

貧血がひどくなり立っていられるのも厳しい状態になる

しかし倒れているわけにはいかない

フラフラになりながらも立ち上がる

そしてペットボトルに入れていた水で口をゆすり吐き出す

するとその液体は真っ赤に染まりすぐ様同じように繰り返す。

そしてカバンの中を漁るとなんとか替えの一着を持っていたのでそれに着替える

はぁ。本当嫌になる

俺はよろめきながら裏道を歩く

ただ頭の中がクラクラして頭痛が痛む

視界がぼやけ前すら見るのが厳しくなる

全身が焼けるように熱く痛みが治まらない

……ちょっとまずいな

いやちょっとどころじゃない

俺は目の前を歩くが今どの地点を歩いているのかさえわからない。

……いつも言われてきたことだった

やりたいことがあると一直線になる

でも加減を知ろうとあぐりさんにいつも二人で説教されてきた

……やばい。落ちる

意識が失くなっていくのが分かる

そして前方へ倒れこむと

「羽川くん?おい。しっかりしろ!!」

そんな声がうっすら聞こえながら意識は落ちていった。


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