ターゲットの暗殺教室 改訂版   作:孤独なバカ

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殺意

6月梅雨に入り俺はただ空を眺めていた。

「……雨かぁ。」

元々今頃暗殺をしているはずなんだけど

「……」

俺はただのんびりと外を見回す。

外は雨が降っているので廊下で待機している

……さてもうそろそろか

俺が教室に入ると

「おはよ〜こうちゃん。」

「おはようございます。倉橋先輩。」

俺はいつも通りに挨拶すると

いつもよりなんか緊張しているクラスメイトに首をかしげる

「どうしたんですか?」

「あれ羽川くんは知らなかった?今日転校生がくるんだよ?」

「……初耳なんですが。」

死神の方を見るとあれって顔している

「伝えていませんでしたか?」

「……お前本当いい加減にしろよ。」

俺はため息を吐くと

殺意を放たず一直線に走り

「歯食いしばれ。」

拳を握り思いっきり殴りつける

すると重くてぬるっとした感触がする

「「「えっ?」」」

「痛いじゃないですか!!羽川くん!!」

「お前、開始前に俺が言ったこと忘れたのか?」

笑顔を見せると

「……すいませんでした!!!」

と土下座をする死神にため息を吐く

なんかここに来てからため息が多くなったな

「まぁ、それでどんな転校生なんだよ。」

「それがまだ来てないんだけどですよ。」

「……来てない?ってことは前みたいに機械じゃないのか?」

「そういえばさ、律。詳しくは聞いてないの?同じ転校生暗殺者として。」

原先輩がそんなこと言いだす。まあ俺も聞いておきたいし聞かせてもらおうか

「はい、少しだけ。初期命令では私と彼の同時投入の予定でした。私が遠距離射撃、彼が肉薄攻撃。連携して殺せんせーを追い詰めると。ですが、2つの理由でその命令はキャンセルされました。」

「へぇ、理由って?」

「1つ目は、彼の調整に時間がかかったから。もう1つは、私の性能では彼のサポートには力不足。私が彼より圧倒的に劣ってたから」

「ん?調整がかかった?」

「はい。そう聞いています。」

……すると一瞬心臓が跳ねる

「……」

「羽川くん?どうかしました。」

「……なるほど。そう言うことか。」

俺は呟き笑う。案外早かったな

すると怒り、憎み、負の感情が俺に襲いかかってくる。

殺せと言う憎悪の感情に覆われていく

堪えろ

殺意や感情を抑え込め

すると死神は何か俺の方をみる

「にゅや?羽川くんどうかしましたか?」

どうやら死神にはバレてはいないらしい

「なんでもねぇよ。んじゃ来るまでは待機ってことでいいのか?」

「その必要はないよ。」

すると変声期で声色が変えられていても俺にとって一番会いたくなかった奴があらわれる

マスク越しでも分かる俺に対して優越感と嫉妬を描いている相手

柳沢

すぐに分かる。ずっと会いたくて今にとったら会いたくない相手

……やばい

殺意が、溢れ出してくる

……もう誰が何を言っているのかさえも分からない

自分が何をしているのか、何を話しているのかも分からなかった

誰かが聞いてくる

どうしたいと

自分の中では復讐したい気持ちは未だ多くを占めている

俺は生きれる可能性は少ない

それなら今殺すのも悪くないと思う自分と

……あかりねぇと矢田先輩。そしていつも話してくれる先輩方。

そして死神のこと

俺は二つの気持ちで揺らいでいた。

 

「……」

いつも通りの休み時間。俺はいつも通りに話を聞きながら悩んでいた

いつも通りに見せて話の内容も分からない

ただ分かってるのは矢田先輩と倉橋先輩が時々心配そうに話しかけてくることだけ

元々クラスのことをよく見ている二人だから分かるのだろう

俺の異常について

あかりねぇも心配そうに俺の方を見ていた

でも何にも感じない

ただロボットに搭載されているプログラムのように話ている中で俺はどうしたいのか考えていた

そうした中で時間は過ぎていく

そして放課後

転校生らしき人と死神は机で作られたリングの中に立っていた。

それを先輩方から少し離れたところで見つめていて俺は完全に戦闘態勢をとっていた

「……」

さっきから何か説明しているが、俺はただ見ているだけ

……思えばこの判断が間違いだったんだろう

「……」

……俺はすぐに分かった

転校生が触手を持っていることに

「……なっ!!」

クラス全員が驚いている中でたった一人だけ、あかりねぇだけ気づいたようだった

「……こうちゃん?」

俺が放っている殺気に

視界に広がる転校生の触手が死神に襲いかかる

俺は今まで遠くで見ているか絶対に殺されないような暗殺しか見てこなかった

しかし今回は死神が殺されそうになっている

……俺が見つけたもので

すると柳沢は圧力光線を使ってフォローする

……本当変わってないなあいつは

遠くから見守っているだけで何も危険な真似はしない

「……」

俺は天を見上げ息を吐く

やっぱ無理そうだ

……人の研究勝手に使われたのも。佳奈とあぐりさんを殺されたのも今でも憎んでいる

その事実が俺の闇を動かすには十分だった

俺は手慣れた動きでポケットの中からいつもの錠剤を取り出す

俺は錠剤を口の中に加えようとした

「桃花ちゃん。こうちゃんにあの薬を飲ませないで!!」

すると倉橋先輩が大きな声でそう言う

……なんで知っているのか

そんな疑問を覚える前よりもはやく口の中に放り込んだ。

すると声も発することのできないような苦痛が俺を襲う

「……」

ヤバい熱い

熱いし痛いし気分は最悪

でも俺は思いっきり全速力で地を蹴る

それでも

…奴だけは絶対に殺す。

思いっきり転校生を蹴り飛ばすとすごい勢いで飛んでいく

「……羽川くん?」

「……悪いがお遊びは終わりにしてくれないか?……ウザったるい茶番は面倒なんだよ。」

俺は殺気を解放し全員をスタンさせる。するとクラス全員が全員座り込んでしまう

「……ごめんなさい。」

と言って俺は全速力で柳沢に接近し腹に思いっきり腹に前蹴りを食らわせる

「…はぁ、やっと会えた。ようやく会えた。やっと一人目。」

俺はただ殺意に満ちた顔だと思う。

「……やっと殺せる。」

「ダメです羽川くん。」

「少し黙ってくれないか?そうじゃないとてめぇも殺すぞ。」

殺気をずっと隠していた

だから殺気を受けていなかった先輩方にとっては気づいただろう

俺が隠し持っていた狂気を

ナイフを取り出し俺は笑う

「……ねぇ、今までどんな気持ちだったの?……ねぇ。」

「……」

柳沢が苦しそうにしているところを見て笑ってしまう。

「自分が奪った技術によって自分の立場を悪くしたって今どんな気持ち?地球を滅ぼす原因になって全てを失ったってどんな気持ちなの?」

「……えっ?」

誰かが呟くけど俺はナイフを握る

もちろん対先生用でも偽物でもない本物のナイフ

「……俺は最悪だったよ。親父はともかく妹や母さん。それと姉さんを殺されたんだ。……それに殺されそうになるしな。いや〜本当大変だったよ。親父に殺されかけるわ、殺し屋に襲われるし、鬱になるし最悪の6年間だったよ。」

俺はただ一歩ずつ前に進む

「別に殺しにくるのは当たり前だから怒ってないんだよ。ただ殺しにきたってことは殺される覚悟はできているんだよな。」

恐怖で包まれる教室全体に俺は笑う

……憎しみは力になる。この6年間ずっと感じていた。大抵俺が追い詰められた時は自爆テロや自暴自棄になってきたやつか……俺に暗殺失敗し仕事を失った奴だったから。

何度も悪夢を見てきた

それはうなされてきた

どうせ永くはない命

最後に復讐を

もう少し歩けば殺せる

そう思った時

誰か後ろに抱きとめられる

誰だと思った時

動きを止めてしまう

「……ダメだよ。こうちゃん。そんなやつ殺したらダメ。」

それは幼なじみであり……そして誰よりも憎んでいるはずのあかりねぇだった。

そしてその後ろには

「……チッ。」

俺はあかりねぇを抱きかかえ飛び退く。するとすぐに黒い触手が通り過ぎた

俺は飛んできた方を見ると暴走した転校生の姿があった。

「……俺は強くなったこの触手で。誰よりも。」

「……強くなんかねぇよ。その触手頼みなだけで弱いんだよてメェは。」

俺はきっぱりいうと余計にキレ始める。

あかりねぇのおかげで怒りはもう消えていた

「……はぁ。あかりねぇ離れろ。もう殺さないから。」

「……」

「…聞いてないし。」

とこの状態でやるしかないのかと思っていると

すると転校生の首元にダーツのような物が打ち込まれる

「すいませんね、殺せんせー。どうもこの子はまだ登校できる精神状態ではなかったようだ。転校初日でなんですが、しばらく休学させてもらいます」

どうやら、柳沢が止めたようだった。袖に麻酔銃が仕込まれており、それでイトナを撃った。んでそこの転校生を回収するのだろう。

「待ちなさい!担任としてその生徒はほっとけません。卒業するまで面倒を見ます。それにシロさん!あなたからも聞きたい事が山ほどある」

「やめとけ。相手はご丁寧に鉄板と対先生繊維でできた服を着込んでいる。……あんたじゃ触ることすらできないよ。」

「……羽川康太の言う通りだ。しかし戻ってきているとは聞いてたが。本当……ゴキブリみたいな生命力だね。」

「……そりゃどーも。そっちもいい加減技術泥棒はやめたのか?」

「……人聞き悪いなぁ。……それと姉妹そろって本当うざったるいね。」

どうやらあかりねぇのことを言っているらしい

それを捨て台詞に柳沢は去っていった


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