アルカディア・プロジェクト   作:ムササ

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難産だった上に会話文が少ねえ……殆ど説明だし読みにくかったらすみません。

しかも今回展開上、ちょっと食人に関する話題が出ます。嫌いだったら飛ばして下さい。


#12 アルカディアのあれこれ

 名も無き村を見て回る。昨日はずっと宴会であんまり村の中を見る事ができなかったからな。結構綺麗だし、家畜の牛っぽい奴とか羊っぽい奴とかもいるな。子どもも大人も早起きして畑とか自分の仕事に取り掛かってるし、凄くイメージ通りの農村って感じだ。

 

「ああ、ロータスさん。おはようございます」

 

「おはようございます、村長さん。昨日はどうも」

 

 前から白髪やシワが目立つものの、しっかりとした足取りで歩くご老人が挨拶と共に現れた。この村の村長の様な立ち位置の人でありレベッカの祖父でもある。

 

「村長はやめてください。ここは体裁としては村としていますが国にも認められていないただの集落です」

 

「村では無いのですか?しかも国に認められていないとは?」

 

 クエストでは『限界村落の村娘』で『限界村落を立て直せ』だった筈だ。村落となっている以上村だと思っていたしマップ上でも「名も無き村」となっているから間違いないと思っていたのだが。

 

「貴方は『プレイヤー』の探求者(クアエシトール)でしたね。このストルタス(人間国)では国が管理している都市と村からは税金を徴収し、その代わりに庇護をしています。しかしその税金を払えない者やそもそも人間では無い者(・・・・・・・)はその庇護を受ける事は出来ません」

 

「という事は……」

 

「はい。ここはそういった者たちが寄せ集まって出来た集落なのです」

 

 成る程。通りで昨日の宴会では人間以外の種族のクォーレがいた訳だ。トト姉達が驚いていたので聞いてみたらストルタスには人間以外の種族が殆どいないのだという。

 そもそもこのアルカディアにはそれぞれの種族が住んでいる場所が明確に分かれているらしい。

 アルカディア・プロジェクトには小さな島を除き、一つの大陸しか未だ確認されていない。オルコス大陸と呼ばれるユーラシア大陸と殆ど同じ面積の大陸の中に5つの国が存在するのだがそれぞれの国における人口比が極端に偏って居るのは全世界民の共通認識である。

 

 大陸中央部に位置し、現在最大勢力を誇る

 [ストルタス(人間の国)

 大陸東部に位置し、豊かな自然の中で暮らす

 [プグナーテ(獣人の国)

 大陸西部に位置し、圧倒的な知識を持つ

 [アロガネア(エルフの国)

 大陸南部に位置し、世界最高の技術力を持つ

 [テナースク(ドワーフの国)

 大陸北部に位置し、世界最大の軍隊を抱える

 [クルーデリオ(魔族の国)

 

 この五つの他に国は無く、プレイヤーはこの中から一つの国を選びその土地に応じた種族としてアルカディアへと降り立つこととなる。

 すなわち、プレイヤーも含めてその国にいる人類というのはその国を治めている君主の種族が限りなく絶対種であるということになる。すなわち、国から弾かれた者や訳あって他国へと移住した者は肩身の狭い思いをする事になるのは明白である。

 そうした者たちが寄せ集まって出来たのがこの村という事なのだろう。

 

「あなたは……いえ。すみません、失礼な質問でした」

 

「私が何故、この村に居るのかですか?」

 

「……はい。答え辛かったら答えて下さらなくて良いのですが」

 

 そこへ来るとこの村の村長が人間であると言うのは些か不思議な話である。ここは人間に拒まれた者たちの村。その長が人間であるということは不都合では無いのだろうか。

 もしかしたら目の前の白髪の生えた老人は人間ではなく、ほかの人類種なのだろうか?

 

「別に私は人間ですし、別に何か犯罪を犯して国から追放されたわけでも有りません」

 

「では、何故?」

 

「私ではなく、私の妻が国から追われる立場だったのです。いえ、正確に言えば王家にでしょうか。妻は犯罪を犯した訳でも無ければ、人間以外の種族でも無かった。私の妻に何一つ国を追われる要素など無かったのです!」

 

 目の前で声を荒げる老人は今、何を思って居るのだろう。

 少なくとも俺は村長の妻という人は見た事が無い。おそらくはもう亡くなってしまったのだろう。

 

「……失礼。興奮してしまいました」

 

「いえ、お構いなく。大切な人を失う痛みはいつまでも晴れる事は無いものです」

 

 そう、それがどんなものでも。その過程がどうであれ結果として大切な人を失ったという事実は変わらないのだから。だからこそ、俺はこんなにも空虚な言葉を吐くのだろう。

 

「ありがとう、ロータスさん。レベッカを助けてくれたのが貴方で良かった。どうか、これからもあの子の事をよろしくお願いします」

 

「ーーはい。私の命に代えても」

 

 この世界(ゲーム)でのプレイヤーの命などその辺の石ころにも劣る。何度でも蘇り、心が折れたりモチベーションが下がらない限りロータスという命は不死なのだ。

 そんなものより一人のクォーレ(取り返しのつかない命)の方がよっぽど尊く、価値あるものだ。それがまだ若い少年少女であれば尚更の事だ。

 

「はは、貴方がたプレイヤーの方々は不死でしたな。それは心強い、幸いレベッカも貴方によく懐いているようだ。どうです?心に決まったお人でもいるのですかな?」

 

 あー、これはもしかしてあれか?レベッカと結婚しない?って言われてんのか?というか俺プレイヤーなんだけど、結婚システムとか実装してるのかよ。

 

「あー、お忘れかもしれませんが私はプレイヤーですよ?」

 

「そんな事は関係ありませんよ。それに、意外と多いのですよ?プレイヤーと我々クォーレが結婚したという例は」

 

 マジかよ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 結局返事は先延ばしにして村の外周部にまでやってきた。

 あの老人絶対にレベッカを嫁がせようとしてやがったぞ。どう考えてもまだ結婚できる年齢じゃねえだろうが。いや、でも地球ならアウトでもアルカディア(ここ)ならいいのか?よくわからん。

 まあ、それは置いておいて。取り敢えず目先の目標は『限界村落を立て直せ』である、二つ同時に発生したユニーククエストだが『村娘の願い』は達成条件がよくわからないので後回しになる。レベッカに関係しているのは間違いなさそうだが、レベッカのお願いを叶えれば良いのか?いわゆるおつかいクエストというやつだろうか。

 さて、外周部であるがここは森の一部分を切り拓いて作られた村である。当然きちんとした外壁など期待できないし、そもそも門も無かった。アルカディアに住む人々は基本的にはプレイヤーと遜色ない身体能力を持っている。しかし、その戦闘能力に関してはプレイヤーのほうが一歩先を進んでいる。理由としては素質の差と環境の差である。プレイヤーは基本的にキャラクリエイトの時点で全ての素質を与えられている。例えば、マジックツリーを解放すればどんなプレイヤーでもどの系統の魔法でも使う事が出来る。しかしクォーレは生まれた時に既に素質が決まっているらしく土魔法しか使えない者や、水魔法以外の全てを使える者などが存在する。

 もう一つの環境の差であるが、これは単純に探求者(クアエシトール)の職に就くものがあまり多くないという点である。他にも戦闘に従事する職業としては兵士や傭兵などが挙げられるが、基本的には職業選択の自由が存在する状況で身体的に危険な職業をわざわざ選ぶ者など多くはないという事だ。

 しかし、この二つが噛み合わさりその上でそれ相応の運を持ち合わせた者が存在する。それが今なおプレイヤー達が束になっても叶わない探求者の上位陣である。正直開発側の人間だとか実験的なチートツールでも使っているのではないかとか言われているが定かではない。

 

 ここまで長々と語ってきて何が言いたかったかといえば、普通のクォーレは弱いという事である。正直低レベル帯のプレイヤーでも一対一なら問題なく圧倒できるだろう。しかもこの村はさまざまな所から逃げ延びてきた者たちが集まって作られた村だ。戦闘能力に長けた者などあまりいないだろう。そもそもした事がない者も多い。

 ならばモンスターが跋扈するこの森で村人達はどうやって今まで生き延びてきたのか、もちろん抵抗はするしあり合わせのものとはいえ木の柵で出来た外壁なども作る。しかし一番良いのは諦める事である。

 あまり気持ちの良い話では無いが、人間の肉の栄養価はあまり高くないと言われている。アルカディアで結構頻繁に出てくる食肉としてイノシシが挙げられるのだが、イノシシの肉1キログラムが約4000キロカロリーなのに対し、人間の肉は1キログラム約1300キロカロリーだと言われている。

 モンスターがカロリーを考えて獲物を選んでいるとは思えないし、そもそも死んだらポリゴンになって爆散するような生命体である。どうやって栄養を摂取しているのかと考えなくもないが、幸いにも俺はまだ人が目の前で食われた経験は無いのでわからない。出来ればプレイヤーで生き返るとしても見たくは無い光景であるが。

 とにかく人間は骨が多いし、筋張っているし、食べられる所は少ないしで、あまりモンスターにとっても良い食料では無いらしい。それでも襲われるときは襲われるし、戯れに殺される事もあるので安全とは程遠いのだが。しかし、家畜を代わりに出せば人間への被害は最小限に抑えられるのだろう。この村はそうやって生き延びてきたのだと教えてもらった。

 

「さて、じゃあぼちぼちやりますか」

 

 そこへやってきたのが俺たちなのだ。プレイヤー未踏領域とあった通り俺たちがここを訪れた最初のプレイヤーである。言い方は悪いが死んでも蘇り、何故か自分たちに友好的な探求者である。それこそ縋りたくなる気持ちは理解できる。

『限界村落を立て直せ』の下にはいかにも貯めてくださいと言わんばかりのゲージが併設されている。現状0%な事を考えるとこれを貯めていくのが基本方針となるのは間違いない。

 モンスターの討伐、防衛機能の強化、後は村人の鍛錬って所か?立て直せとある以上、何かをより良い状況にするのは間違いないだろうが、村は綺麗だしだったら防衛機能のことじゃ無いかとなったのが昨日の最後の方。トト姉達からも了承を貰ったし、この方針で進めてこうと思う。先ずは森に入ってモンスターの間引きだな。

 

「森に入るの?私も行く!」

 

「おう、そうだな。やっぱり一人より二人……ん?」

 

 聞き覚えのある声。振り返れば、金髪を風になびかせてこちらを見つめる村娘(レベッカ)

 

 

『レベッカがパーティに加入しました』

 

 

 えぇ……。

 

 




クララ「今回は主に結婚についてです」

フルティア「文中にも出てたけど結構プレイヤーとクォーレの夫婦って多いよね〜」

クララ「比率的に言えば圧倒的にクォーレ同士の方が多いですが、確かに一つの都市に行けば1組は見かけますね」

フルティア「プレイヤーも男女問わず、種族問わず結婚してるね〜。子どもって出来るの?」

クララ「そこは黙秘権を行使しましょう。生命を司るのは私達じゃありませんし」

フルティア「既婚者のプレイヤーがアルカディアで結婚したら重婚になるのかな〜?」

クララ「さあ?なるんじゃ無いですか?」
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