アルカディア・プロジェクト   作:ムササ

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遅くなりました!
気づけば6000文字も書いてた……長々と説明を読みたくない方は途中まですっ飛ばして頂きたいてオッケーです!
ちなみにこの小説では前書きは作者が思ってる事を適当に、後書きは設定などを細々と書く予定です。


Chapter Ⅰ 名も無き寒村より愛を込めて
#1 名無しの南瓜


  21■▲年 5月12日 その日、世界のゲーム事情は一変した。本当にそれほどの衝撃を全世界に与えたのだ。ある一本のゲームの発売によって。

 ゲームの名前は「アルカディア・プロジェクト」日本語に直訳すれば理想卿の計画と訳されるこのゲームは、繰り返しになるが全世界のゲーム事情を一変させたのだ。

 VR技術が本格的に実用化してから100年間。正直言ってまともなゲームは一つも現れなかった。人々が求めていたのは現実と寸分変わらぬリアリティの身と心を震わせる冒険活劇なのだ。断じて現実と寸分変わらぬリアリティの教室で受ける教材用VRではない。

 

 その100年で世界はVR技術を使い、様々な進歩を遂げた。しかし、フルダイブ型のVRMMOはついぞ現れなかった。だからだろう、人々が諦めかけた時にいきなり現れた「アルカディア・プロジェクト」はとてつもない衝撃を与えた。

 他とは比べものにならないリアリティ、全く違和感のない五感。そして特筆すべきはNPCである。作品レビューやネット掲示板に数多く書き込まれた「本当は異世界なんじゃないの?」という書き込みが全てを表していた。なにせ、そのNPCは誰の目から見ても生きているようにしか見えないのだから。

 そこから「アルカディア・プロジェクト」の人気は噂に乗算されるように広まった。「Arkadia・Project」として世界中に広く発売された。それまで日本の一企業に過ぎなかったニトワイアの名は世界中に広まることとなる。

 更に驚かせたのが製作者の名前である。「アルカディア・プロジェクト」が発売される2年前に強盗に殺害された橋本司博士がこのゲームの製作者だと言う。橋本博士は世界的に名高いVRの基礎を築いたと言われる科学者の一人である。そんな橋本博士が最後に残したVRゲーム、それは今までゲームにあまり興味のなかった層を惹きつけるのに最適であった。

 

「アルカディア・プロジェクト」が世の中に売り文句としたのは三つの目玉要素であった。

 一つは完全なリアリティ。製作者の橋本博士が異世界を作るとまで豪語したと言われるリアリティはそれに恥じぬクオリティであった。

 一つは単一サーバ、オープンワールドシステム。例え世界中の全国民がアルカディアに移民したとしても耐えられるだけの強固なシステム設計。

 一つはユニーククエスト。これが「アルカディア・プロジェクト」最大の目玉であり、目的である。プレイヤー個人個人にランダムに発生するクエストはそれ一つ一つが一期一会であり、逃すと二度と同じクエストには出会えないと言われている。更にその中でも特別に位置付けられているのがユニーククエスト。それ自体がアルカディア全体に大きな影響を表すこともある重要なクエストである。

 一例を挙げれば、過去に「国王の暗殺」というユニーククエストが発生したこともあると言う。それが成功すれば世界にどんな影響を与えるか分からないだろう。まあ、そのクエストは失敗。クエストを発生させた国の中での内乱が起き、国民がおよそ五千人犠牲になるだけで済んだらしいが。ああ、悪く思わないでくれ。実はアルカディアではプレイヤーがログインしてから一度だけ大きな二国間戦争が起きた事があるのだ。その時の被害はプレイヤーを除いて30万人もの死者が出たと言われている。それに比べれば、ねえ?

 

 ちなみに言うと今現在に至るまでニトワイアは一度も声明を発表したことはない。ただ、一度だけ「アルカディア・プロジェクト」の総合統括AIアンナが15秒のCMを流しただけである。その中の言葉、恐らくは最も人間が「アルカディア・プロジェクト」に惹きつけられたあの有名な言葉をもって締めくくらせてもらう。

 

「英雄よ、挑み給え、これは貴方へと贈る物語、貴方が作る物語、貴方の為の物語。そして、願わくば、アルカディアに光ある未来あれ」

 

 ーーとある「アルカディア・プロジェクト」のレビューより抜粋ーー

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「よっしゃ、あったー!!」

 

 年甲斐も無くはしゃいで大声をあげてしまうほどにテンションが上がってしまったのには理由がある。

 俺、九条蓮也はゲームが好きだ。正直将来はプロゲーマーに憧れるくらいには好きだ。だがら高校三年生の春、「アルカディア・プロジェクト」が発売された時には涙を流して憤慨した。なぜ、よりによって今なのかと。

 熱中してしまうのは目に見えている。しかし、どう考えても大学受験を疎かにするのはまずい。俺は、涙を飲むしか無かった。まあ、発売初日に買うのは買ったんですが。ちなみに今でもこの「アルカディア・プロジェクト」プレイヤーデータの作り直しが出来ないこともあって中古が全く存在しない。発売価格は15000円という挑戦的なものだったが、今ではオークションで30000以上の値段がつくこともあるらしい。プレイヤー総数1000万人ほど、まあ確かにそれだけの値段がつくのもわかる。今でも数少ないニトワイアが出している公式の新品はすぐさま売り切れになるらしい。

 

「この一年は長かった」

 

 前のゲームからずっと付き合っているゲーム友達には「早く始めようぜー」という悪魔の囁きを喰らい続け、少しでも成績が落ちようものなら親からの「アルカディア・プロジェクト」って今売ったらいくらになるのかしら?という脅しをかいくぐり。今ようやくその苦労が報われたのだ。

 速攻で両親に報告、そして自室にダッシュで戻る。

 ちなみに結果発表は家のホログラムタブレットで見た。大学は家から離れており、もう入学が決まったので来週から引っ越すこととなる。念願の一人暮らし、ビバ!「アルカディア・プロジェクト」!

 

「この後の予定は無い、飯も食った、よし!」

 

 ゲーム機の電源を入れ、未開封の「アルカディア・プロジェクト」のソフトをインストール。個人認証メモリーをセット。ヘルメット型のゲーム機を被れば準備OK!カウントダウンが始まり、0になった瞬間視界が暗転した。

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ようこそ、アルカディア・プロジェクトへ」

 

 鈴の鳴ったような美しい声色で目を開けた。

 目の前には現実に存在したら間違いなく芸能界にスカウトされそうな美少女が無表情で立っていた。

 

「えーっと、どうもよろしくお願いします」

 

 挨拶されると返してしまうのは礼儀正しい父に仕込まれた俺の癖だ。

 すると目の前の美少女は少し驚いた表情をする。おおっ、本当に凄いなリアリティ!

 

「人間にしては話の分かりそうなので助かります。ここは「アルカディア・プロジェクト」のログインスペースとなっています」

 

 なんかナチュラルに人間全体をディスられた気がするけどそういうキャラなのだと流しておこう、それよりログインだ。

 

「えっと、ここでプレイヤーとしてログイン出来るってこと?」

「そういう事になります、申し遅れました。私の名前はプレイヤーナビゲーターAIのクララと申します。以後、お見知り置きを」

 

 ペコリ、と綺麗な90度のお辞儀。

 なるほど、ナビゲーターAIか。確か、「アルカディア・プロジェクト」にはいま確認できているだけで五人のAIがいるんだったな。しかも全員が美男子、美少女。現実にもファンクラブが有るって聞いたことがある。それに他のゲームとは比べることすら出来ないリアリティのNPCに比べて、もっと凄いと聞いたな。

 

「よろしくお願いします」

「はい、話がテンポよく進んで何よりです。先ずは貴方のプレイヤーネームを決めて下さい」

「ロータスで」

 

 何ということはない、名前の蓮也の蓮を英訳しただけ。まあずっと使っている名前だし今更変える気はない。

 

「重複は……無しですね。プレイヤーネーム、ロータス。承認しました」

 

 おお、危ない。重複ネームは無しなのか。

 

「重複ネームは有りですが、見分けの為に色々しなければならないのでこちらとしては手間が省けて嬉しい程度です」

 

 あっ、そう。

 

「次は容姿を決めて頂きます。個人認証メモリーを元に作りますか?」

「はい、それでよろしくお願いします」

「了解しました」

 

 何やら操作をすると、目の前に俺が現れた。

 さまざまなシークバーがあってそれを操作することで身長や体重、肌の色を変えられるらしい。

 

「細かい設定をするより先に種族を決めて頂いた方が楽だと思いますのでそちらを推奨します」

 

 クララが手を横に振ると俺のプレイヤーアバターが横にずれて元にあった場所に地図が映し出された。

 少し待つと赤い光点が五つ現れた。

 

「この光点が初期に所属する国と種族です。それぞれ変更する事も出来ますが、ある程度進まないと不可能なのでご注意を」

 

 クララが説明を終えると、赤い光点の上に文字列が浮かび上がった。

 

 世界最大の美しき堅牢なる城を王都とし、まさに王道ファンタジーを形にしたような人間の国、[ストルタス]

 

 狩をして、自然の恵みを受け、様々な部族がたった一人の絶対的な力を持つ王の元に集まりできた獣人の国、[プグナーテ]

 

 世界樹を中心に、自然と共に生き、長きを知識の研鑽と技術の進歩の為に歩んできた、深き森のエルフの国、[アロガネア]

 

 石と鉄を打つ音が一日中聞こえる技術大国にして、世界最大の武器商人が集まり、そして世界中に散らばっていくドワーフの国、[テナースク]

 

 世界で一番進んだ科学とそれに後押しをかける世界最強の魔法大国にして軍事大国、厳しい自然を生き抜いた魔族の国、[クルーデリオ]

 

 おおっ、どれも素晴らしい!まさに地球とは違うのだって事を強く認識できる。正直どこにも行ってみたい。が、もう種族は決まっている。

 

「種族は人間でお願いします」

 

 実は1年待たせたゲーム仲間が三人共人間にしているのだ、ここで違う選択肢を選ぶのはちょっとどうかと思うし、出来ればあいつらと一緒にゲームがしたい。

 

「了解しました、では細かい容姿の設定をお願いします」

 

 とりあえず、そのままは無しっと、細かいディテールを変えて、一目で俺と分からなければ良いかな。あんまり体格とか変えると操作し辛いって聞くし。

 

「ほい、これで」

「では次は初期装備です。この中よりお選び下さい。武器は使用不可になることは有りますが、決して壊れない貴方の相棒となります。武器は貴方の成長とともに形状を変化、進化していきますので慎重にお選び下さい」

 

 クララの説明の通り、「アルカディア・プロジェクト」は最初に選んだ武器を延々と強化していくシステムである。文字通り、相棒というわけだ。

 

「じゃあ、小太刀で」

「了解致しました。初心者特典としてマジックバッグ(小)といくつかのアイテムを付与致しましたので後ほどご確認を。それと当面の資金となります。こちらも無くさぬようご注意を」

 

 クララが言い終わると、小さなポーチと小太刀が俺の腰のあたりに装備された。

 

「マジックバッグ(小)は大体そのポーチの50倍ほどの体積があるとお考え下さい。これで殆どのチュートリアルは終了ですが、何か質問はございますか?」

「えっと、職業とかは決めないの?」

「職業はプレイヤー全員最初は旅人となっています。念じればステータス画面が表示されますので後ほどご確認を」

「えっと、じゃあ大丈夫かな」

「了解致しました、それと最後になりますが」

 

 クララがどこから出したのか分からないがクラッカーを取り出す。

 そして、パァン!という音とともに紙吹雪が舞う。ちなみにクララの顔は無表情だ。

 

「おめでとうございます。貴方はアルカディア・プロジェクト1000万人目のプレイヤーです」

 

 えっ。…………まじかー!!!!

 

「えっ、ちょっ、マジ?」

「マジです」

「よっしゃー!今それを言うって事は何か有るって事だよな!」

「はい、メモリアルナンバーのプレイヤーには特典防具を渡すことになっています」

 

 キターーーーー!!

 やべえ、めっちゃ嬉しいんだけど!

 

「これが貴方の特典防具です、後生大事に抱えなさい」

 

 すると、俺の両手に収まるほどの丸いシルエットが……これは。

 

「って、カボチャじゃねえか!」

 

 そこに現れたのは銀色のどう見てもハロウィンとかによく見る目と口がくり抜かれたあれであった。

 これは、あれだ、ジャック・オー・ランタンってやつだ。

 

「何を言いますか、武器管理AIが手作りしたこの世に一つしか無いユニーク装備です。本来ならば咽び泣いて受け取るべきものです。そんじょそこらの装備とは一線を画しています」

 

 えー?このカボチャが?

 

「そんなに疑うのならば見せてあげましょう。ステータスオープン」

 

 クララがそう呟くと目の前にポップアップが現れる。

 

 =============================================

 名無しの南瓜 頭装備 ★

 

 破壊不可 窃盗不可 売却不可 譲渡不可 廃棄不可 PKデスペナルティ対象外 窃盗スキル対象外

 

 火属性耐性+1 DEF+200 MND+200 [???]

 

 クララ「おめでとうございます。貴方はアルカディア・プロジェクト1000万人目のプレイヤーです」

 

 =============================================

 

「よく分からん」

 

 いきなりステータスを見せられても比較対象が無いからなんとも言えない。あとなんかめっちゃ不可って書いてあるんだけど。

 

「普通の初心者がつける防具がDEFかMNDかどちらかだけの+50装備と言えばお分かりですか?ちなみに耐性系は初心者にはまだ手の届かないレアものです」

「おお」

 

 そう言われればわかる。確かに凄い装備だ。だが、しかしだ。

 

「これ、一生手放せないって事じゃない?」

 

 この不可とか対象外の羅列的に俺のアイテムとして残り続けるって事だよね。装備変更不可とかじゃなくて良かったけどさ。

 

「この名無しの南瓜に限らず、ユニークと呼ばれる装備は所有者の変更を一切受け付けておりません。だからさっき言ったじゃないですか。後生大事に抱えなさいって」

 

 詐欺だろこれー!言うとまたねちねち言われるのが分かってるから言わないけどさ!

 

「まあ、分かった。外見はアレだけど性能は凄いし有り難く貰っておくよ」

 

 どうせ返品も出来ないだろうし。と心の中で呟いておく。

 

「では以上で初期チュートリアルを終了させていただきます。何か質問はございますか?」

「いや、特にはないかな」

「左様でございますか。ではストルタスの王都へ転送致します。定型文ではございますが、我々(・・)が最も伝えたい事を最後に伝えて終わりとさせて頂きます」

 

 そして彼女は言ったのだ。この後の俺の運命を決定づける。あまりに有名な、あの言葉を。

 

「英雄よ、挑み給え、これは貴方へと贈る物語、貴方が作る物語、貴方の為の物語。そして、願わくば、貴方の旅路が光溢れるものでありますよう」

 

 転送の光の中、俺が最後に見たのは、恐らく本心から微笑んでいるクララであった。

 その時俺は確かに思ったんだ、

「ああ、クララは人間なんだ(・・・・・)」って。

 

 

 




C「お初にお目にかかります。プレイヤーナビゲーターAIのクララと申します」

クララ「この場では本文には書けない細かい設定を説明致します。質問にも出来るだけ答えてまいりますので、担当者に直接ぶちまけてやって下さい」

クララ「初回の今回はユニーク装備に関して。これはその名の通り世界に一つしかない装備という事です。このユニーク装備を手に入れるにはロータスのようなメモリアルナンバーを含めて相当な運が前提条件です」

クララ「代表例で言えば、アルカディアに存在する《守護者》を倒す、ユニーク装備が報酬である、ユニーククエストをクリアするなどです」

クララ「しかしその恩恵は凄まじく、決して壊れず、装備自体も強いとなれば皆が血眼になって探し求めます。因みに装備名の横についている★がユニークのサインです。最高3つまで付き、数が多ければ多いほどユニークの中でも格が上です」

クララ「先程ロータスはユニークは一生手放せないと言っていましたがアルカディア・プロジェクトを辞める以外にひとつだけ手放す方法がありますが、それは作中で語られる事でしょう」

クララ「それでは今回はこの辺で失礼致します」
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